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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その12
大好きな義母が卵巣ガン。余命にふりまわされず頑張りたい

Sさんより
初めまして。私は看護師をしております。
今年の6月、幸せな生活が一変してしまいました。大好きな義母が卵巣ガンだと診断されたのです。

卵巣ガンは発見が遅れがちで進行してから見つかります。母も3期、肝臓や肺にこそ転移はしていませんでしたが結腸と大網にびっしりとガンがとりついていて腹くう内に無数の転移がみられました。卵巣からくるガンなので外から侵して来ていてどんなに胃カメラなどをしても解らなかったはずです。とてもしたたかなガンです。

私が看護師になれたのはこの母のおかげなのです。
結婚してから高校生に混じって予備校に通い正看の免許を取れたのは母が子供の面倒を見てくれたからに他なりません。母がガンになったことに医療従事者でありながら気づくことができなかった私は自分を責めました。しかし医療知識があることで母を看病することができますし、母が免許を取らせてくれたおかげで収入が入り、高額な治療費も捻出することができています。

今まで私は大きな困難にぶつかってもいつも助け船がいいタイミングで出てきてくれます。母が入院した病院も私の勤務する病院で、主治医も飲み会に一緒になったことがあるため、心おきなく相談でき治療に専念できています。

いままさに母は自分のこの病気の為に全て(同居したこと、免許をとったこと、働いて結構貯金もたまっていたなど)が用意されていたように私は感じてなりません。

私は母に対し、全く治療をやめて自然退宿を期待しようとは思いません。やっぱりそれは勇気がいることですし、西洋医学と併用してプロポリスやアガリクスなど健康食品も試しています。

母は大事なお金を自分の治療費にあてがうのは心苦しく感じているようですが私は何が何でも助けたい!大大大好きな義母なのです。今まで私にしてくれた数々のことを思えば治療費なんて安すぎるようなものです。母とはもっと長く、娘や息子が結婚して曾孫ができるまで元気でいてもらいたいのです。いえ、いてもらうのです!

伊藤さんの件を聞いてすごく勇気がわきました。絶対に諦めないぞと思います。
そしてたくさんの病に悩み苦しむ患者さんの立場に立った看護を心がけていきたいと思いました。母がガンになってから病院の友達が増えました。数人のガン患者さんです。医療者と患者という関係でなく、ガン患者とガン患者の家族という関係です。全くわだかまりをもつことなく本も貸し借りしたりして情報交換しています。

人間の力は未知数です。たかだか数百年の歴史しかない西洋医学のなかだけで出された余命などに振りまわされず、うるさい、だまれ!余命?寿命は自分がきめるよ!くらいの意気込みで頑張りたいと思います。

母は告知された夜、肌色のきれいなそれは大きな馬が天に昇る夢をみたそうです。母は怖いなあっていってましたが私は吉夢だと直感しました。その肌色のおおきな馬は守り神のように感じています。伊藤さん、頑張りましょう!そして大先輩として母を応援してくださいね。またお便りします。

その12
伊藤勇 より

Sさんへ
お義母さんに心からお見舞いを申上げます。
お便りを拝見し、大変真面目な努力家で、理想に向かって一路邁進されていらっしゃるあなたの暮らしぶりが伺えます。そして又、とても気持の優しい方なんだなとも感じました。

あなたのような看護師さんでしたら、さぞ患者さんからもご家族全員からも、きっとあなたはありがとう!と感謝され、信頼されている事だろうと思います。

私の入院している病院でも、何時もニコニコと自分の家族のように接して見える看護師さんには、気難しい患者も、自然と笑顔になって心が癒されて行くようです。

あなたは又、日頃から何につけても真から感謝の気持で接して見えるご様子。そんな人には、福は向こうから自然とやって来るものなのでしょう。すべてに深い慈しみの愛情を掛けるあなたに福の神様はちゃんと先回りして色々とお手配して下さるのですね。

さて、お義母さんの卵巣ガン発症の件ですが、ご承知の通り発見された時は転移ガンが殆どなのです。責任感の強い頑張りやさんのSさん!決してあなたの責任などではありません。

幸いにも、あなたの勤務先の先生も本音であなたに接し、最善を尽くして居られるようですので、今後も相談されながら、お義母さんがなるべく苦しまない方法をとって、心穏やかな療養が出来るようにお願いしたいと思っております。

病状は厳しい状態ですが、あなたのお義母さんに対する「治って欲しい」の一念がきっとお義母さんにも通じ、お義母さんのお気持を奮い立たせて、絶対に、絶対に治して見せる!という意気込みになってくれる事を祈ります。

病気は人が治してくれるものではない。自分がその気に先ずなる事だと思います。患者自身がそうなれば、自ずから誰でもが持っている自己免疫力や自然治癒力の力が働きだすのですから、それプラスあなたのパワーとご家族のパワーが一体となった時、奇跡は起ります。
私だけでなく、多くの患者さんが奇跡を体験しております。

私は、先生の余命告知を逆読みして自分を励まして来ました。「予想」を「ウソヨ」と逆読みして強い精神力で今まで命を繋いで来ました。
私が見る限り、Sさんには、困難を乗り越えるパワーを凄く感じます。

どうか、これからも色々な山坂に出くわす事もあるでしょうが、身体に気を付けて温かいご家庭を築いて行って下さい。

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