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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その7
胃がんで余命1ヶ月の父。好きな物を食べていますが止めるべきですか?

Yさんより
今日父が病院から帰り言いました、[治らないって!」と。先日胃がんが発見され全摘の予定で入院待ちでした。放射線治療ができず残るは抗がん剤のみです。抗がん剤なしでは余命1ヶ月との事でした。

どのくらい生きるのか?死ぬまで抗がん剤治療するのか、今だに不明です。
食べられなくなる恐怖からでしょうか、好きなものを買ってきて食べていますが本当はいけないのでしょう?娘として止めるべきかわかりません。

その7
伊藤勇 より

Yさんへ
お父さんに心からお見舞いを申し上げます。医師から直接「治らない」と言われて病院から帰って来られたお父さんの心情は如何ばかりかと経験者として胸に痛く響きます。

道中の見るもの聞くもの全てが「ああ、これも見納め、聞き納めか」と・・・。私も、医師から余命を宣告された日、病院から出て来た所にドングリの木があり、下にはいくつもの実が落ちていました。「来年の今頃には、もう、この実は見る事はないんだなー」と感無量で数個拾って帰りました。今も、この実を見る度に、あの時の気持が蘇えります。

お好きなものを買って来て食べて居られる現在、お孫さんを相手に遊んでおられるお父さんも、これも限りある時間だとは、もう解っておられると思います。あなたは、優しく見守ってあげて下さい。

まだ夢の中に居るようで、何をどうしたら良いか解らないパニック状態でしょうが、これが現実であると、早く気持を転換して、先生と面談されて詳しく、思ったままを相談され、お父さんにとって、なるべく身体の負担にならない治療方法を選択して下さい。

お父さんの意識がしっかりしているうちに、親しい人、親戚などに会わせてあげる手配とか、云って置きたい事、やって置きたい事・・・などをそれとなく聞き出して叶えてあげるようにして下さい。これも何れは、先生から持ち出される事でしょうから、あなたは冷静に受け止めて、一生懸命尽くしてあげて下さい。

対症療法としては、ホスピス療法が考えられます。痛みは患者も、見ている家族も耐えられません。痛みを緩和しするモルヒネ投与で、痛みのない穏やかな心で、残された時間を、あなたやお孫さんに接する事が出来る事でしょう。
必ずこういう日はやって来ます。明るい笑顔で、お父さんを孤独にしないように心がけ接して下さいね。

お父さんに心から感謝をして、悔いのない親孝行をやり遂げて下さい。身体に気をつけて下さいね。

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