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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その5
抗癌治療で下半身がマヒし、医療ミスかと思えてやりきれません。

Yさんより
父は膀胱癌で抗癌治療をした翌日から下半身マヒとなり食欲もまったくなくなりました。余命半年と告げられやりきれません。
いやがる父を説得して治療を進めたのは、医師から一週間で退院できると聞いていたからです。父に大変申し訳なくてどうしていいかわかりません。こういったケ−スはよくあるのでしようか。

医療ミスに思えるのですが、奇跡的に歩けるようにならないのでしようか。医師からもう歩けることはないと告げられ、他の病院へ移る手続きを促されとても悲しいです。
この状態は抗がん剤の副作用ではなく、癌が脊髄に転移していると言われました。肺にも転移しているようです。せめて歩けるようにならないものでしょうか。

その5
伊藤勇 より

Yさんへ
お父さんへ心からお見舞い申し上げます。
私は専門家ではありませんので、医療ミスと云えるかどうか断言は出来ないのですが、現在、入院されておられるのでしょうから先生(研修医ではなく)主治医と直接面接したい旨を強く提案すべきです。直接、今あなたが疑問に思っていることなどを質問して納得いくまで説明を受ける事が大事です。

ご質問にある、「こういったケース」は、よくあることかと私は思います。
抗がん剤そのものが合わないとか、量が合っていない場合などが考えられます。投与前に他の部位に転移している事が解っていたとしたら、それを検討しないで抗がん剤を投与したら下半身麻痺、余命半年などの急激な副作用も出るでしょう。
未だに同じ抗がん剤を投与し続けていることはないと思いますが、やっていたとしたら直ちに中止して下さい。

私の経験上でも、大病院は、主治医が処方した薬などは、ナースや研修医は、ずっと使い続けますので、果たして現在のお父さんの細かい病状を主治医が何処まで把握できているかということです。
たくさんの患者を抱え、機械的に患者をさばく作業に追われる主治医ですが、直接会って(日を延ばさずに)疑問点、これからのことなど相談して下さい。

〇 抗がん剤投与の翌日から、この急激な変調は、抗がん剤が合わなかったのではないか?
〇 一週間で退院できると言われたのに、「もう歩ける事はない」「他の病院への手続きを・・」と転院を促された事の意図は?
〇 抗がん剤の副作用ではないと云われた事の説明は?
〇 抗がん剤投与以前に脊髄や肺に転移していた事は解っていての投与か?
〇 医療ミスではなかったか?

などなど、前もってメモ書きしておいて聞き損なう事のないように準備して面談に臨んで下さい。
下半身麻痺や食欲不振などの急激な身体の変化に、お父さんもさぞかし落ち込んで孤独感、不信感、焦燥感でいっぱいの事と推察致します。

先生を責めるのではなく、冷静に説明を聞く姿勢も大切です。お父さんが、早く良い方向に向かわれるようお祈り致します。

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