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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その4
脳腫瘍で日に日に痩せ笑顔が消えた母にできることは

Aさんより
母は50代です。子宮がんからの転移による脳腫瘍でした。抗がん剤治療、うつ病、二度目の腫瘍再発をへて、今は自宅療養ですが、日に日に痩せ、笑顔もありません。 母を見るたび私は何にもできないのかと。母に笑顔をあげたいのです。

その4
伊藤勇 より

Aさんへ
この間まで、現役で働かれて居られたお母さんが、数ヶ月の間に脳腫瘍がどんどん進行して行き、日に日にやせ衰えて行かれる、大変ショッキングな現実を目の当たりにされている毎日、さぞお辛い事とお察し致します。
心からお見舞い申し上げます。あなたの心身のお疲れは、如何ばかりかと気になります。

子宮から脳への転移は、大変厳しく、まして再発となれば、今は痛みが少なくて自宅療養でいられるも、何時痛みが耐えられなくなる時が来るのか、看護師さんであるあなたには予測可能ではないでしょうか?

今、痛みの少ない時期に、お母さんの遣り残した事、行っておきたい所など、少しでも叶えてあげる時間が、わたしは、今しか無いような気がしております。そして、ホスピス病棟への入院で、疼痛緩和によって痛みが和らぎ、多少の混濁状態でも、痛みのない療養生活が出来るのではないかと思います。

先生とも充分に相談されて、お母さんにとって、どのような看護が適切かを看護に携わるあなたは、冷静に判断されて、患者さん本人の苦しみの軽減を考えてあげて下さい。

最終的には、お父さんご自身のご決断なんですが、お母さんや、あなたは、お父さんと一緒に最善の方法を身を尽くして模索され、明るく、温かく、笑顔で見守ってあげて下さいね。そして、何よりも孤独にさせない配慮をお願いしたいです。

深刻な時期に明るい笑顔は、なかなか出来辛いのですが、あなたの笑顔で、家族が頑張れるとも言えますので、お辛いでしょうが冗談の一つも言いながら、大切なお母さんに悔いない看病ができることを私も応援しております。
どうぞ、お身体に気をつけて下さいね。

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