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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その3
前立腺癌初期の父、手術をすべきか食事療法にすべきか迷っています

Wさんより
父の前立腺癌の治療法のことでご意見をお聞かせください。
父が宣告されたのは、前立腺「初期」癌でした。今すぐとれば、後遺症が残るかもしれないけど、そんなに深刻な状況でもない、ということです。T2a、ステージBということでした。今ならかなりの確率で助かるという状況である以上、私は即手術すること以外の選択はあり得ないと思っています。

しかし母は、末期癌を自力で自然治癒させ、また患者を導いている、という方に出会い、両親で会いに行き「免疫力が落ちるので切ってはいけない」と言われ、西洋医学に頼るかを迷っているのです。

私は、やはり手術は必須だとおもうのですが、どう思われますか?両親は、数カ月間、教えられた食事療法を実践する時間を持ってその経過を見つつ手術をするかを決める、という道も検討しているようです。私は転移する前に一刻でも早く手術を決断してほしいのですが。

その3
伊藤勇 より

Wさんへ
お父さんに心よりお見舞い申し上げます。
始めに先立ち、次の点をご了承下さい。
私は、一人の患者であり、医療関係者ではありません。従って、癌患者の一人として、十余年に及ぶ闘病生活の体験の中から私なりの、病気に立ち向かう姿勢や、生き方への信念が植え付けられていった結果、奇跡的に癌からの生還となった訳で、こうすれば、こうなる、との断言は一切しておりませんことを、ご承知置き下さい。

最初から突然切り口上で申し訳ありません。
ワラをも掴みたい気持でおられる患者さんやご家族は、ともすれば丸ごと鵜呑みにして、すべてに当てはまる錯覚のもとで、手術をすれば治ると言われても踏み切らず、無理無茶と思われる生活習慣に強引に転換していって、悪い方向に進んでしまったら大変です。

あくまで参考として、冷静に受け取られるようお願い致します。
さて、あなたの文面から見る、お父さんの前立腺がんについて。

1) 癌の部位が局部にだけ限定しているとすれば、手術可能と思います。
2) 手術後の後遺障害としては、性的不能、及び失禁などの割合は、かなりあるようです。
3) セカンドオピニオンは是非とも受けて戴きたい。医師により、相当、見解の相違がありますので遠慮なくご相談なさる事をお勧めします。
4) 併病がある場合は、多種類の服用治療の為、薬の複合作用は怖いですから気を付けて下さい。
5) お父さんの年齢が解かりませんが、高齢者の場合、手術をしないホルモン療法は、多くの患者さんに使用され、比較的に効用があり、完治しなくても、癌と共存して一生を全うされる例も多いようです。
6) この前立腺がんは、一般的に進行が遅く、西洋医学での新療法が多く開発され、採用されようになりましたので、検討されるのも良いと思います。
以上、お便りから判断したお答えです。

最終的には、お父さんご自身のご決断なんですが、お母さんや、あなたは、お父さんと一緒に最善の方法を身を尽くして模索され、明るく、温かく、笑顔で見守ってあげて下さいね。そして、何よりも孤独にさせない配慮をお願いしたいです。

同じ病名であっても、個人個人の体力、気力、身体の性質、痛さ、苦しさの感じ方、生まれつき持っている精神力などで、身体への影響力は全然違って来ます。「心の持ち方」・・・必ず治るという強いイメージトレーニングを常に自分に課し、明るく、前向きに癌という病名も忘れて平常心での生活は、自然治癒力も引き出され、免疫力も高まる事は、よく言われる生活信条の一つです。

先生とも、十二分に話し合いを持たれ、双方の納得した治療方法が一番ベストだと思います。お互い、人間同士の信頼関係を穏やかに築き上げながら、お父さんのご病気が良い方向に進まれるよう私も、心からお祈りしております。

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