「草野球の窓」

第95章
「脇を締める」

 某大物政治家が女性キャスターとの怪しげな密会をフォーカスされ、奥さんから「脇が甘い」と言われたと報道されている。ここで言う「脇が甘い」とはどういう意味かはしかとは分からない。恐らく、政敵からつけ込まれる隙だらけの構えであり、総理大臣を狙う人間とも思えない迂闊な行動だということなのであろう。確かに、ボクシングや剣道のように一瞬の隙を攻撃するスポーツでは、腕や竹刀を構えるとき脇が甘いと防御も攻撃もできない。恐らく、ゴルフ、テニス、卓球などなど腕を使うスポーツで、脇が甘い方がいいと考えられているものはないのではないだろうか。

 野球においてもしかり。すでに第20章「バットスイング」で述べたように、バッティングの際、脇を締めないとバットの軌道が長くなり素早く振り抜くことができない。それを実感するために、金網の近くに立ち、金網に触れないようにバットを振り抜く練習方法を紹介した。金網の側に立ったときは、何とか金網に触れずにバットが振れるのに、実際の打席に立つとどうもだめだという人もいる。そんな人のために、別の練習方法を紹介する。

 グラブを脇に挟む。右打ちなら右脇に、左打ちなら左脇に挟む。そして、自分の打ち方で実際に投げられた球を打ってみる。インコースの球、アウトコースの球それぞれ打った時、グラブはどこに落ちるだろうか。人によってグラブが落ちる場所は異なる。最も脇が甘い人は、恐らく右足の右側に落ちるであろう(右打者の場合)。インコースもアウトコースもグラブが落ちる位置は殆ど変わらない。一方、最も脇が締まっている人はインコースとアウトコースでグラブが落ちる位置が全く異なる。インコースの場合、左足と投手を結ぶ線よりも左側に落ちるであろう。アウトコースでは右足の爪先前付近に落ちるであろう。まずはグラブがどこに落ちるかしっかり把握してみよう。それが貴方の打ち方、脇の締まり具合なのである。そして、チームで最も打つ人ではグラブがどこに落ちるか観察してみよう。貴方とは違う位置に落ちるはずである。「打てる」か「打てない」の違いはバットの振り方のみで決まるものではない。しかし、バットスウィングは大きな要因の一つなのである。

 次に、グラブを挟んで素振り練習をする。どうすれば脇が締まった際のグラブの落ち方になるのか自分で、体で覚える。腰を回転させ、左手でバットを引っ張るようにしないと決して左足の左側に落ちるようにはならない。口で言われ、頭で理解しても、体で覚えないと打席に立ったとき実行できない。素振りでできるようになったら、実際に球を打ってみる。打球の勢い、飛ぶ方向が違っていることに気づくであろう。特に、右方向にも打球が飛ぶようになることが大きな違いだ。脇が甘いと外角を引っかけてボテボテゴロになりやすく、内角はいい当たりはファールというケースが多いから、その違いは自分ですぐに分かるはずである。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。  (平成11年1月24日掲載)



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