「草野球の窓」にアクセスして戴いている読者の方から貴重な質問を戴いた。
「目の前にある金網にバットを当てずに振りぬく方法について」である。
打撃の基本は、いかにコンパクトにバットを振りぬくかである。すなわち、スイングを始動してから、最短時間でボールにミートさせることである。そのために必要なスイングが「金網に当てずに振りぬくスイング」なのだ。
バッティングというものは、心理的なものを除けば、基本的には物理学で説明される。ボールの速度、質量とバットの質量、スイングの速度、ミートの角度、バットの材質(反発係数)、バットとボールの接触時間(バットにボールを乗せるとはこのことであり、接触時間が長いほどボールに与える力積−エネルギーは大きくなる)などで決まる。スイング速度はいうまでもなく“距離/時間”である。距離はミートポイントが決まれば一義的に決まる。従って、時間が短ければ短いほどスイング速度は大きくなる。
スイング時間を短くするには、バットを最短コースで振らなければならない。バットが余分な軌跡を描くと時間を浪費する。最短コースを与えるのが「金網に当てずに振りぬくスイング」なのだ。
バットを自然に構え、両腕の脇を締める。「脇を締める」とは、両腕のヒジが体に緩やかに接触している状態を言う。すると、バットを構えている手首、両腕及び両ヒジを結ぶ胸の間に三角形が形成される。この三角形を崩さずに腰を回転させる。そうすると、バットは自分の体の前方、投手寄りの位置にくる。そのまま両腕を伸ばした位置が、インコースにおけるミートポイントとなる。
この動作を金網の前でやってみる。バットは金網に触れることなく見事に振りぬかれている。最初はぎこちなく、かなり意識してスイングすることと思うが、慣れれば自然に振れるようになる。そしてその時、最短時間でバットが振りぬけ、スイング速度が最大となり、結果として鋭い打球が飛ぶことになる。この「金網に当てずに振りぬくスイング」は極めて優れた練習方法である。是非、素振りを行う際に取り入れることを勧める。
これ、ゆめゆめわすれることなかれ。
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