解説者は、「球に逆らわないバッティングをしないと打ち崩せませんね」とよく言う。「球に逆らわない打撃」とは何だろう。 感覚的には、内角なら引っ張り、外角なら流す打撃だということはお分かりであろう。では、これが何故「球に逆らわない打撃」なのか。きちんと説明できる人は少ない。誰も球に逆らったバッティングをしようなどとは思っていない。なのに、何故「逆らった打撃」になってしまうのか。 ホームベースの内角と外角の辺を延長した2本の平行線を描く。次に、ボックス内の自分が立つ位置を考え、頭の位置を中心に、外角の直線に接する円を描く。その円が外角の直線と接する点が外角のミートポイントであり、内角の線と円の交点が内角のミートポイントである。まるで数学のようであるが、内角と外角のミートポイントの違いが分かるであろう。 次に、「バットスイング」の章(金網に接することなくバットを振り抜く打撃)を再度読み返してほしい。外角を打つ場合も同じで脇を締め、バットを構えている手首、両腕、及び両肱を結ぶ胸の間に形成された三角形を崩さずに、最単距離で振る。ただ、ミートポイントが異なるだけである。すると、ミートポイントにおいて、手首の方が前にあり、バットの重心の位置は手首より後ろにある。 さて、ここまで理解できれば、物理を思い出してほしい。「入射角と反射角は等しい」というアレだ。打球はこの法則に従って飛ぶ方向が決まる。つまり右打者なら右に、左打者なら左に打球が飛ぶ。このように、基本に忠実な打撃フォームで、正しくミートポイントを捉えることができれば、自然に「逆らわない打撃」になるのだ。 では、何故それがそんなに簡単ではないのか。草野球レベルでの最も大きな原因は、ミートポイントにおいて、外角の直線とバットがほぼ直角に近い角度で交わっているためである。つまり、脇が締まっていない→最短距離でバットが振られてない→その結果、手首(右打者なら右手首)がすでに返り、右腕が伸びきった状態で球を捉えているのである。故に、「入射角と反射角は等しい」の法則にしたがって打球は右に飛ばない。さらに、手首が返り、右腕が伸びきっているため打球にかかる運動エネルギーが小さい。このため、ボテボテのサードゴロかショートゴロに終わる。所謂、引っかけた打球になる。 手首は常にバットの重心より前に来るように振る。 これ、ゆめゆめわすれることなかれ。 |
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