「草野球の窓」

第27章
「守りを固める」

 サッカーの全日本チームが日韓戦に負けた時、1点リードで迎えた後半途中から、守りを重視した布陣を敷いたことが敗因の一つであるという声を聞く。

 だが、守りを固めたことが本当の敗因だったのだろうか。

 野球でいえば、1点リードで迎えた最終回の守備において、「守りを固める」ことは当然の作戦であって、そうしない方がむしろおかしい。「守りを固める」ことの意味は、「相手に攻撃の糸口を与えない」ということである。布陣を守備中心にすることも、攻撃中心の体制を取ることも、「相手に攻撃の糸口を与えない」ために取りえる作戦の一つである。どちらを選択するかは、その時の戦況次第であり一概には決められない。たまたま日韓戦においては、守備中心の布陣を敷いたことによって、選手に消極的な気持ちを与え、そこを相手にうまく攻め込まれたのである。

 1点リードで迎えた最終回の守備、ライナー性の小飛球が外野手の前に飛んだとする。もし、突っ込んで捕球できなければ長打になり、同点もしくは逆転の局面を迎える。しかし、捕球すれば相手は意気消沈するし、味方は盛り上がる。一方、ワンバウンドなら単打ですむかわりに、相手に攻撃の糸口を与え、守備側もますます緊張が高まる。ここは、突っ込むべきか、安全策を取り単打を許すか、は外野手が一瞬のうちに判断すべき問題であり、大いに迷う。
原則的には積極的に突っ込むべきであり、失敗したら仕方ないと考える。練習を積んでいる外野手なら、取れると判断した打球は捕球できるものである。捕球することによって攻撃の糸口を封じ、味方をますます積極的な気持ちに向かわせる。つまり「守りを固める」ことが可能となる。

 一方、単打を与える、四死球を与える、失策するなど出塁を許せば、相手に様々な攻撃の可能性を与え、守備側はそれらに備えた守備体制を取らねばならない。このことでますます相手がヒットを生んだり、味方が失策する確率が高まる。すなわち、「消極的な気持ち」に陥ってしまうと、相手に攻撃の糸口を与えてしまい、それは「守りを固める」ことにはならないのだ。

 「守りを固める」とは、「積極的に攻撃の糸口を封じる」ことであり、これを古来から

      「攻撃は最大の防御なり」  と言う。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。



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