「草野球の窓」

第29章
「配球の妙」

 前章で「球に逆らわない打撃」について述べた。「逆らった」打撃をしてしまう大きな原因がもうひとつある。それは、バッテリーが「逆らわない打撃」をさせないようにピッチングを組み立てるためだ。バッテリー側からすれば、いかに「逆らわない打撃」をさせないかを常に考えている。

 その第一は、球速である。球のスピードが速ければ、打者は振り遅れる。正しいミートポイントにバットを持っていくことができない。そのため、いつもより早めに打撃動作を開始しなければならない。このため、ストライク・ボールの見極めが出来にくくなり、ボール球に手を出す結果になる。特に、高低の見極めが出来ない。

 第二に、球速の変化である。速球に合わせて打撃を開始するのだが、ややスピードが遅いと、もはや体は待ちきれない。体が前に突っ込んでしまい、ミートポイントを捉えられない。同じ直球でも、ほんの少し球速を変えるだけで「逆らわない打撃」をさせないことが出来る。

 第三はコントロールである。内外角・高低の四角に自由に制球するコントロールが要求される。例えば内角に球を集めておいて、勝負球を外角に投げれば、打者は内角球のタイミングで打撃を開始するため、ミートポイントで球を捉えることが出来ない。その逆に、勝負球を内角にすれば、スピードは速くなくても遅れてしまう。

 第四の手は変化球である。これは説明するまでもないであろう。

 バッテリーは、これらを組み合わせることによって、さらに「逆らわない打撃」をさせないように工夫しなければならない。時速130kmの速球を投げられる投手は、それだけで打ちにくい。危険なのはそこそこの球速のピッチングである。単調になると「逆らわない打撃」をされてしまう。球速を変えたり、四角を使い分け、そこに変化球を織りまぜる。そこに「配球の妙」がある。

 配球さえよければ、時速100km以下の遅い球しか投げられない投手でも、草野球なら十分通用する。前章で述べた欠点を持っている草野球人があまりにも多いためだ。球速が遅ければ遅いほどこの欠点が出やすく、外角の遅いカーブやスライダーはまず打てない。そこを上手に突くことも配球の妙である。

 これ、ゆめゆめわすれることなかれ。



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