初めての神戸 ー早起きからの旅ー

 平成12年5月4日、以前から従兄弟達と神戸へ行かないかとの誘いを受けて、貴重な連休を旅で満喫する事になった。早めに目的地に着いてから色々な所を観光する時間を作るため、朝7時発の新幹線に乗るという眠気の残る状況から始まった。まず軽く朝食をとった後3時間の神戸に着くまでの電車移動では暇を潰す物が何もないので景色を眺める事に、名古屋辺りで少し眠って京都を越えて新大阪へ。ここからは神戸線で住吉まで、次は六甲アイランド行きの六甲ライナーに乗り六甲アイランド駅を降りた。最初の散策場所は駅付近の小磯美術館というところ。神戸で活躍した画家達の現代絵画を鑑賞し街の中へ、周りは埋め立て地の新興の居住地がほとんどでマンション周りにはかなり多く植林されており、東京にはないような「緑の多い街の雰囲気」を味わった気がする。それから昼はいとこが行ってみたいと言うベトナム料理の店へ、普通にあるレストランの雰囲気であるがあのナンプラーの独特のにおいが室内に感じられた。頼んだのは生春巻きとお好み焼き(卵焼きを平たくしたものでニラが入っている)、焼そば(固麺、柔らかい麺の両方)やちまき、ビーフンを9人ではかなり少なく感じながらも堪能した。しかしながら自分にとって食の最大の楽しみは神戸牛である、それは後程。  その後は六甲アイランドの周りを散歩した、海の見える方へいってみたがその近くの公園には人気がなく、路上では車もほとんど走っておらずゴールデンウィークでも騒がしい東京と比べてかなり静かであった。次は西魚崎という町で酒蔵巡りをしたが家族は酒の試飲ができるという事で行った、でも自分は酒が飲めないが着いて行く事にした。日本酒の香りの良さがわからないでもないが味わうことまでには至らない、まあ飲みやすい方が自分にとって有り難いけど。散策を終えて兵庫駅近くのビジネスホテルへ、9人で泊まる部屋を3人単位で取る予定だったがどうもホテル側にはっきりと伝わっていなかったトラブルがあって、ひとり一部屋を使う事となった。夕食となり待望の神戸牛お出ましだ。神戸駅を降りるとかつての震災の後はすっかり消えていた。町並みが元通りになっていたのを見て改めて復興の早さを感じた。ステーキ店に着き、まずは神戸牛の佃煮からコースが始まった。個室でロース肉を焼く大きい鉄板があってそこで焼いてくれるという物で、小さくきって食べやすくなった肉は非常に柔らかかった。神戸牛という特別な存在だからだろうか風味や油の口どけの感じが違うとはっきり感じられ、次のヒレ肉もロース肉と同じくらい柔らかかったのはけっこうよかった。そして肉の脂を使って炒めたスパゲッティとガーリックライスは格別で肉の脂の臭いがさらに食欲をそそり、肉を余す事無く使っていた料理を堪能した。食後は神戸市役所内の展望台で夜景を鑑賞、そこからの街の眺めは港のポートタワーや街の灯、観覧車のイルミネーションでロマンチックな景色であった。ちなみに警備員の話ではこの区役所が震災の時20センチ傾いたままになっているままだと言っていた。普通に平坦に見えていたのに傾いたままなのには驚いたが、警備員は「132メートルの建物で20センチ傾いているのは誤差程度のものだ」と軽く言っていた。その後港の方へ夜景を見に行ってポートタワーのショッピングモールの喧噪をくぐり抜けてからホテルへ。 2日目、朝から地下鉄で新神戸駅に行き、海の見える坂道を越えて北野町の異人館へ行った。なかでも旧中国領事館や北野外国人倶楽部など、当時のヨーロッパの美術品や台所の生活道具を展示しているなどかなり見ごたえはあった。特に気に入ったのは山手八番館という所でタイの仏教美術と中世ヨーロッパの鎧や戦闘の場面をあらわしたミニチュアが結構興味を注がれた。さらにうろこの家では奇怪なアフリカの彫刻で、人間の姿をあらわしているが怪物のような表現で作られている物が印象的だった。坂を下ってジャイナ教とイスラム教の寺院へ、中に入れてもらうと儀礼で使うのか香の良いにおいがしていた。さらに竹中大工道具館で昔の建物というものは木の組み方だけでしっかりと建てていた事を知り、人込みの激しい元町と三宮をまわった。駅付近の入り組んだ一昔前の雰囲気を持った小さな店の多い所にはお菓子の問屋、アクセサリー、服など様々な店舗が立ち並んでおり、中華街をまわろうと思ったがゴールデンウィーク時の人込みの激しい多さに歩けず裏道から中華料理屋で夕食をとった。夜8時に新神戸駅を出発して11時に東京へ、家に帰ったのは12時でこの時ばかりはかなり疲れていたが、震災から5年の間にすっかりと復興した神戸を初めてまわり海と山に挟まれたこの雰囲気を味わうことが出来て本当に良かったと思っていた。