離婚調停が終わったが、高い弁護士費用(報酬)を請求されている。

河原崎法律事務所離婚/婚約破棄
2015.5.7mf更新


相談:離婚調停の弁護士費用

私は、47歳。8年間一緒にいた妻が、預金通帳、印鑑類を持ち出し家を出て、離婚を言い出しました。子供はいません。妻は、有名な弁護士に依頼しました。
私も、2003年3月、弁護士に 離婚事件 を依頼しました。この弁護士の法律事務所は、弁護士がたくさんいるので、信頼できると感じて依頼したのです。
私の年収は900万円(税込み)です。
妻との間の 婚姻費用 の調停(妻が申立人、私は相手方)は、7回の調停期日を経て、2004年6月、「相互に何も払わない」との条件で、終わりました。
私と弁護士は、初めに、契約をし、着手金50万円(離婚の分40万円、財産関係の分10万円)を支払い、実費として20万円を預けました。弁護士との間の報酬契約 では、報酬は、「私の得た利益の2割、日当は、弁護士が使った時間1時間につき1万円以上」と決められました。
当初、元妻は、次のような請求をしていました。 ただし、調停ですので,元妻の請求は、口頭でなされ、書面はありません。
調停では、私は、何も支払わなくてもよくなりました。その代わり、妻が、婚姻期間中の預金を持ち出していますが、私は、それについては、返還請求しないことになりました。
弁護士は、マンションは私の手元に残ったので、これを2000万円の利益と評価し、現在、報酬として、740万円を請求してきました。 この金額は、高過ぎると思いますが、どうでしょうか。

回答:離婚調停の弁護士費用の概略

まず、離婚調停は、弁護士に依頼せず、自分で処理すべきでした。弁護士費用を節約したい場合は、特にそうです。自分で処理すれば、弁護士費用は不要です。相手(元妻)の弁護士が有名で、強力でも、年収900万円のあなたから、多くの金額を取ることはできません。その意味では、あなたは身分相応の対処をすべきでした。
弁護士に相談しながら、自分で調停に出席する方法があったのです。

離婚調停の着手金(相場)は、40万円前後は、妥当です。財産分与の分の着手金として10万円も妥当の範囲です(弁護士費用の概略 を参照)。
問題は、報酬です。 あなたが、弁護士と締結した契約では、「あなたが得た利益の2割を報酬とする」と決められていれば、あなたが、その金額を支払う義務があります。 しかし、あなたの得た利益については、正確に、計算をする必要があります。
あなたの得た利益(元妻が要求した金額が調停の結果ゼロになったことによる要求の減少額)は次のとおりです。
  1. 支払いを免れた500万円(慰謝料)。
  2. 相手に渡さずに済んだマンションの価値600万円(時価2000万円のマンションはあなたの手元に残っても、あなたの得た利益は、1400万円のローンをマイナスして計算すべきでしょう)。
  3. 退職金についても、結婚前から就労していたのですから、「結婚時から離婚時(正確には、婚姻生活が破綻したとき、本件では妻が家出をしたとき)までの就労で増えた部分」を正確に計算すべきでしょう。
日当については、1時間1万円以上と決めたのですから、やむをえないでしょう。

退職金について、「結婚時から離婚時までの就労で増えた部分」を仮に800万円とし、これに前記1、2をプラスすると、あなたの得た利益は1900万円になります。その2割は、380万円です。弁護士が費やした時間を40時間として、日当は40万円です。とすると、弁護士報酬は合計420万円になります。

しかし、1900万円が、本当に、あなたの得た経済的利益と言えるか疑問です。元妻は、真実、これらの請求を請求していたかも疑問です。単に、吹っかけていた可能性が大です。経済的利益は実質的に考えるべきです(旧報酬会規15条 1項は、前条で算定された経済的利益の額が、紛争の実態に比して明らかに大きいときは、弁護士は、経済的利益の額を、紛争の実態に相応するまで、減額しなければならないと規定しています)。
弁護士が説明する経済的利益は高過ぎ、2割との報酬割合も高いです(弁護士費用計算機 で計算する標準報酬額と比べ、2割で計算した金額は高いです)。

あなたの年収、紛争の対象となった資産などの金額は低いです。しかも、訴訟ではなく、より簡易に解決した調停です。一般論として、あなたの弁護士が請求した報酬は、明らかに、高いとの印象を受けます。直感では、せいぜい100万円以下が適正と感じられます。

結論として、上記正確に計算した金額と、元妻の請求が過大であったこと、直感で判断した金額などを総合して、金額を決めてください。そして、弁護士と話し合い、あなたが、考える適正額を提案してください。
平成16年3月31日、弁護士会の報酬会規は廃止されました。日弁連の 弁護士の報酬に関する規程 2条は、「弁護士の報酬は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らし て適正かつ妥当なものでなければならない」とだけ、決めています。報酬は、自由に決めることができます。それでも、適正な報酬金額はあるでしょう。
話がまとまらなければ、弁護士会 紛議調停の申立をするとよいとアドバイスできます。紛議調停事件は、依頼者の無理解が紛争の原因であるものが大部分を占めます。しかし、あなたのケースは、弁護士の請求が不当ではないかとの疑いがあります。紛議調停委員(弁護士)からも、意見が出るでしょう。

その後:弁護士会へ紛議調停の申立

相談者は、すぐに、弁護士の事務所に行き、交渉しましたが、まとまりませんでした。その後、弁護士から、「報酬を300万円に減額する」との請求書が届きました。相談者は、急に金額が大きく減額されることに、また驚きました。
相談者は、弁護士会に紛議調停の申立をしました。そうすると、弁護士は、「調停を取下げてほしい。報酬はいくらでもいい」と連絡してきました。 そこで、相談者は、残りの報酬を支払い、弁護士との間で、事件依頼が終了した旨の書類を取り交わしました。弁護士会に紛議調停の申立をしただけで、紛争は終わりました。
相談後2か月ほどし、相談者から、「落ち着いて、手紙が書けるようになりましたので」と添え書きされた、お礼の手紙で報告がありました。

一言:弁護士の活動もビジネスの面あり

弁護士が、弁護士の仕事を単に、ビジネスとして考えると、2割との成功報酬は高くはないのでしょう。インターネットに広告を載せているアメリカ人の弁護士が、「全面成功報酬制の場合、着手金なし、実費を含んで、弁護士報酬は、成功報酬 33%〜40% 」と書いていました。
日本では、アメリカにならって、弁護士を急激に増やそうとしています。33%〜40% の高額な弁護士報酬が認められるなら、日本でも、弁護士に対するニーズはあるでしょう。しかし、依頼人が、このような金額に納得するか、疑問ですね。
離婚訴訟で高い弁護士費用を請求された が、弁護士会の紛議調停で解決した例もありますから、ご参考に。

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