ゴールデンウィーク中に家族と仏果山に登ったことを除けば、本当に久しぶりの登山である。
今回の仏果山登山も立派な登山として私の慎ましやかな山歴に追加すべきなのだが、家族と一緒とあって登るペースを足の遅い者に合わせたこともあり、 また撮った写真も家族中心だったことから、記録に残すのも何となく恥ずかしく、非公式記録に止めておきたいと思っている。
従って、公式記録としては 3月20日に長崎県の 多良岳に登って以来の山行となる訳で、 約 1ヶ月半ぶりの登山である。今回の雲取山・飛竜山登山は、山の雑記帳にも書いたように 前々から狙っていたコースではあったのだが、林道を長い距離 (約10q) 運転しなければならないことと、 登山口に駐車スペースがあまりないということがネックとなって、やや躊躇するところもあったのである。
しかし、長い間山に登っていないことから山に登りたいという欲求が強く、意を決して (それ程大袈裟ではないが・・・) 行ってみることにしたのだが、 どうも駐車スペースの問題が頭にひっかかったため、それならなるべく早く現地に着くべきだと考え、 朝 4時少し過ぎに家を出たのであった。国道 16号線、青梅街道 (国道 411号線) と進む行程は予想以上に時間がかかったものの、 それでも 6時半には登山口のある後山林道終点に着くことができたのだが、もうこの時間では遅い方らしく、 すでに駐車スペースはほとんどない状況であった。
何とか車を止めて出発したのが、6時41分、林道をさらに先に進み、車返しのスペースの所から山に取り付くことになった (というよりも、谷へと下る感じ)。
ここから三条ノ湯までは三条沢に沿って歩くことになり、新緑が映える中、沢に所々で見られる滝などを楽しみながらの遊歩となった。
道はなだらかな登りで、まだ良く目覚めていない体には適度な運動である。やがて、左下にワサビ田 ? とキャンプ場が見えると、橋を渡った先に三条ノ湯の意外と立派な建物が現れた (7時4分着)。
ここで道はいくつもに分かれるようになっており、1つはこれから進む 雲取山への道、 もう 1つは帰りに下ってくるはずの飛竜山へと続く道、もう 1つはサオラ峠を経て丹波に続く道である。
三条ノ湯の前を通って 雲取山への道を進むと、すぐにまた三条沢を渡り返すことになり、 そこから登りが再び始まった。
ここから三条ダルミまではハッキリ言ってダラダラした登りが続いているのだが、このように勾配が小さいながらそれが長く続く道は私には苦手である。それでも新緑の中を、時折聞こえるウグイスの声を楽しみながら登るのは大変気分が良いもので、 それに加えて懐かしい ? ものを発見して嬉しくなってしまった。
というのは今回 3回目となる 雲取山登山であるが、 第1回目の鴨沢からのルートでは登山道の木々に数字が書かれたカード大の小さな標識が付けられていて、 50m単位で現れるその数値に結構励まされた覚えがあり、それが今回のこのルートにもあったからなのである。
数字は恐らくは標高を表しているのだと思うが、これを励みに登ると単調な登りもメリハリがつくというものである。
しかし、今回は 1550 の数字を見てからは全く見当たらなくなり (見落としたのかもしれないが全部見落としたとも思えない)、 何となく尻切れトンボになってしまったのが残念である。道は所々に水場もあり、先ほど述べたように大した傾斜ではないことから、本当に楽なのであるが、 木々や山に囲まれて展望がなかなか得られず、やや単調なところもある。
やがて、右手に 雲取山と思しき山が見えてきたが単なる突起のようにも見え、 なかなかそれが 雲取山であるという確証が得られなかったため、 カメラに納めようかどうか迷ってしまった。
暫く進んで高度を上げていくと、先ほどの山が単なる突起ではなく、下から突き上がった堂々とした山であることが明らかになり、 雲取山に違いないことを確信できるようになったのだが、 ここまで来るとその暫く先で三条ダルミである (8時46分着)。ここは 雲取山への直登ルートと雲取山荘への巻き道、 そして反対側へは飛竜山への縦走ルートが続く重要な場所である。
ここの展望は抜群で、特に 大菩薩方面の山が良く見える。
そして本来ならその後ろに 富士山も認めることができるのだが、 この日は花曇りで 富士山は霞んでおり、カメラのレンズを覗いて 雁ヶ腹摺山方面を捉えた時、 その後ろに 富士山があるのに初めて気づいたといった状況であった。この三条ダルミから 雲取山へは 3、40分程であるが、 ここまでかなりのハイペースで登ってきたことと、この 1ヶ月半程ほとんど運動らしい運動をしていなかったことから、 この最後の登りは大変苦しいものであった。
しかし喘ぎながらも足を進めていくと、9時13分、例の 『山梨百名山』 の標識がある 雲取山頂上の一角 (敢えて山梨頂上と呼ぶ) に辿り着くことができた。
そして、山梨頂上から避難小屋の前を通って、三角点のある頂上に向かい、9時15分、 久々の 雲取山頂上に立つことができたのであった。展望は先ほど述べたように花曇りのため、富士山はほとんど見ることができず、 これから進む飛竜山を中心とした奥秩父主脈縦走路上の山々だけしか見ることができなかったが、 それでもやはりこの山に立つと東京都の最高峰に立っているという誇らしさを感じる (私は東京生まれ、東京育ちなのである)。
再び山梨頂上に戻ってから草の上で早めの食事をとると、目の前に小雲取へと続く気持ちの良い尾根道が見え、 この明るい尾根が 雲取山の象徴であることを再認識した次第である。
9時45分に山梨頂上を出発し、三条ダルミまで一気に下ってから (9時58分着)、 今度は飛竜山への縦走路へと進んだ。
雲取山頂上では私を含めてわずか 4人の人しかいなかったのだが、 三条ダルミへの下りや、三条ダルミでは大勢の人とすれ違うことになった。
しかし、この飛竜山への縦走路に入った途端に人波は途絶え、北天ノタルまでの 2時間弱の間、誰にも会うことはなかったのだった。
それはそれで静かな山旅ができて大変良かったのだけれど、実は 雲取山山頂の三角点の裏手、 西面の崖のところに熊のような大きな足跡を見つけたことから、誰もいない縦走路を進む途中に熊が出るのではないかと内心ビクビクしながら進んだのであった。
後でもしかしたら犬の足跡だったのかもしれないと思ったのだが、セントバーナード犬くらいないとつけられない大きさであった。縦走路自体は全面笹の中を歩くと言っても過言ではないほど笹に囲まれた道となっており、 この笹と原生林との組み合わせというのはこれぞ奥秩父というものを感じさせてくれる大変気持ちの良いものであった。
道も大変良く踏まれており、途中 崩れた場所などにも人手が入って修復されていて、立派な木の橋も掛けられており、 初心者でも十分安心して歩くことができる。
また、勾配もほとんど緩やかとなっており、途中 縦走路前方に見える三ツ山の険しい姿にややビビルものの、 実は山頂を通らずに左側を巻くようになっているので大したことはない。
時折 左側が開けて秩父・大菩薩の山々が見えるのも素晴らしく (これで富士山が見えたら文句ないのだが)、 また狼平のような草原状の場所にも奥秩父を感じることができた。三ツ山を越えて暫く進むと三条ノ湯からの道と合流する北天ノタルで (11時36分着)、 ここもなかなか好展望の場所である。
この北天ノタルから尾根の南側を巻くように進むと、目の前に飛竜山頂上近道 (2、30分)と書かれた小さな標識が目に付いた。
正規ルートは飛竜山の南側をグルッと回って西側の飛竜権現まで行き、そこから Jターンのようにして飛竜山に登ることになっているのであるが、 この近道は直接頂上に行けるらしい。
このパターンは同じ縦走路中の笠取山と同じである。この道は急斜面に作られた道であったが確かに近道で、わずか 13分程で飛竜山頂上に到達することができたのであった (12時13分着)。
飛竜山頂上はほとんどが樹林に囲まれており、わずかに南面が開けていて 大菩薩方面が見えたものの、 もうこの頃は完全にモヤがかかったような霞んだ状態で、十分な展望を得ることができなかった。
飛竜山頂上からは正規のルートを辿ってシャクナゲの林の中を進み、飛竜権現を目指したところ、この道の結構長いのには大変驚かされた。
近道を通って良かったと心底思った次第である。
見るも無惨にひっくり返された飛竜権現からは竜喰山方面に少し進み、ハゲ岩まで行ってみた。
ここは岩が突き出た場所のため素晴らしい展望が得られる所であるが、周囲は何となく紫色のモヤがかかったような状態になっていて、 折角の好展望台も十分な景色を得られなかった。
それでも竜喰山、御殿岩、唐松尾山、雁坂嶺と続く奥秩父主脈縦走路の景観は見事で、 ふと 大峰山の日本岩から弥山や大普賢岳などを眺めたことを思い出してしまった。この後は飛竜山の南側を巻くほぼ平らな道を北天ノタルまで戻り、そこからは一気に三条ノ湯まで下った。
三条ノ湯に着いたのが 13時58分、後山林道終点の車の所に着いたのが 14時16分であった。久々の登山を堪能したものの、山の雑記帳にも書いたようにやや太り気味となった自分の身体が気にかかった山行でもあった。
なお、後山林道を経て奥多摩湖を抜ける頃には俄雨が降ってきた。早く下山して正解であった。
雲取山・飛竜山登山データ
上記登山のデータ 登山日:1999.5.8 天候:薄曇り 単独行 日帰り 登山路:後山林道終点−三条ノ湯−青岩鍾乳洞分岐−三条ダルミ−雲取山−三条ダルミ−狼平−北天ノタル−飛竜山−飛竜権現−ハゲ岩−飛竜権現−北天ノタル−三条ノ湯−後山林道終点 交通往路:瀬谷−八王子−青梅−奥多摩湖−後山林道分岐−後山林道終点 (車にて) 交通復路:後山林道終点−奥多摩湖−青梅−八王子−瀬谷 その他の飛竜山登山 三ノ瀬−牛王院平−将監峠−飛竜権現−飛竜山−飛竜権現−禿岩−将監小屋−三ノ瀬   (2008.12.06 : 快晴)
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