日向山( 日向山 :1,659.6m ) 2007.2.12 登山


  花崗岩が風化した雁ヶ原 ( 2007.2.12 )

【日向山登山記録】

【日向山登山データ】

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再登山


日向山登山記録

先週の小楢山に続いての登山である。

私としては、冬のこの時期、このように続けて山に登るのは珍しいが、それだけ登山に対する情熱が復活してきたというところか ?
登った山は 甲斐駒ヶ岳 の北東に位置する日向山。この山も小楢山と同様に普段は登りにくい山である。 なぜなら、林道がかなり高いところまで延びているため、その途中にある登山口 矢立石の標高は 1,130mもある。 日向山の標高は 1,660mであるから標高差わずか 530mであり、しかも登りが緩やかとくれば、私にとって敢えて登りたい山に入らないからである。 加えて、これだけ登り易ければ人も多いという訳で、ますます足が遠のくということになる。

しかし、この山の頂上直下にある雁ヶ原 (ガンガワラ) には少々食指を動かされる。 写真で見ると、花崗岩が風化して周囲が雪を被ったような世界を創り出しており、一見の価値が十分にありそうに思えるからである。
ということで、人があまり登りそうもないオフシーズンを狙って、この冬、日向山に登ることにした。
だが、やはり矢立石まで車で行くのは気が引ける。しかも、もしかしたら林道は雪のため車が通れない可能性もある訳で、地図を見て散々考えたあげく、 昔懐かしい竹宇駒ヶ岳神社の駐車場に車を駐め、そこから林道を登ることにしたのであった。

朝、横浜の家を 4時30分に出発。空には星が瞬き、本日は確実に晴れることを示している。 八王子ICから中央高速に乗り、須玉ICで降りる。長坂IC、小淵沢ICの方が近いのかもしれないが、どういう訳か ナビはここで降りることを指示。 高速を降りて 141号線を清里方面へと向かい、すぐの信号を左折して中央高速の下を潜り、小さな丘陵を越えると、そこには素晴らしい光景が待っていた。 朝日を浴びて赤く輝く 甲斐駒ヶ岳 の姿である。
拳を突き出したような特徴ある山容がようやく目覚め始めた町並みの向こうにデンと構えており、その白い頂が朝日に赤く染まっているのである。 こういうものを見ると言葉が出ない。その神々しい姿に感動さえ覚えながら、車を駐めてカメラのシャッターを切ったのであった (6時46分)

道はやがて国道20号線にぶつかったので、右に折れ諏訪方面へと進む。暫く道なりに進むと、 道の駅 「はくしゅう」 が見えてきたので、ここで左折、ここでも前方に甲斐駒ヶ岳の姿が大きい。

やがて、まっすぐ行けば矢立石、左折が竹宇駒ヶ岳神社の分岐となり、計画通り道を左に折れる。 この分岐から駐車場までは意外に距離があった。
駐車場に車を駐めたのが 7時14分。駐車場には既に 10台ほどの車が駐まっていたが、これらの車は甲斐駒ヶ岳登山者のものであろう。
7時20分、駐車場を出発。別荘地となっている道を先ほどの分岐まで戻る。振り向けば甲斐駒ヶ岳が山の向こうにほんの少しだけ白い峰を見せている。 手前の山は黒戸山であろうか。

分岐から長い林道歩きが始まった。途中までは道の両脇に別荘が見られるが、やがてそれも途絶え、 舗装された林道を黙々と歩くことになる。周辺に雪は全くない。分岐から 1時間ほど登ったであろうか、道が大きく右にカーブする手前で樹林越しに甲斐駒ヶ岳の姿が現れた。 その白く輝く姿に改めて見とれていると、すぐにその先のところで木に付けられた小さな標識が目に入ってきた。赤い字で日向山と書いてあり、山の中へと導いている。 長い林道歩きにそろそろ飽きてきたところだったので、喜んで山に取り付く。
多くの人が矢立石まで車で行くので、このような道を踏む人はあまりいないのであろう、ルートが少々分かりにくい。テープを探しながら何とか進んでいくと、 再び林道に飛び出すこととなり、目の前に 日向山ハイキングコース入口 と緑の字で書かれた標識が現れた (8時36分)。 このハイキングコースという言葉が少々私のプライドを傷つける。だからこのような山には普段は登りたくないのだ。

さらに少々気になるのは標識の下に付けられた 「錦滝→不動滝は、途中の林道が崩落しているため、 通行できません 云々」 と書かれた注意書である。これでは本日の予定が狂ってしまうのだが、その場合は錦滝からこの矢立石までの道を辿り、 再び林道歩きということになる。まあこれも致し方ない。
さて、山に取り付いたものの、登山道には全く雪がない。その上、傾斜もさほど急ではないため、まさにハイキングコースである。子供たちが安心して登れるといったところであろうか。

物足りなさを覚えつつ登るが、時折樹林越しに見える甲斐駒ヶ岳が、 早く甲斐駒ヶ岳を見通せる場所に行くことを催促しているようで、自然と足が進む。
やがて雑木林からカラ松の林に変わり始めると、今度は右手樹林越しに 八ヶ岳 の姿が見え始める。 暫く登ると、登山道の右上に小さな祠を見つけたので、登山道をはずれて行ってみると、そこからは八ヶ岳を遮るものなく見ることができたのであった (9時1分)
この八ヶ岳も真っ白なのは上の方 1/3だけで、下の方は黒々としており、ましてや麓の方は全く雪がない状況である。やはりこの暖冬は異常である。

といっても、高度を上げるに連れ、徐々にこの日向山でも雪を見るようになってきたのだったが、 日向山の名の通り日当たりが良いのであろうか、雪の量は少なく、地面がむき出しになっているところが多い。雪の山を楽しむなどほど遠く、足に付けたロングスパッツが滑稽にさえ思える。
先ほどの祠から約40分ほど登ったであろうか、右手への分岐が現れたのでそちらに進んでみると、周囲をササと樹林で囲まれた中に丸い空き地があり、 その真ん中に三角点を見つけたのであった。視界はほとんど利かず、雪が融けてアイスバーンとなったような場所に ひっそりと置かれている三角点はあまりにも寂しそうであった (9時43分)

再び登山道に戻り、雪がない代わりに白い砂が敷かれているようになっている道を進んで右手の小さな突起を超えると、 そこには別世界が待っていた (9時47分)。雁ヶ原である。足下には砂浜と見紛うばかりの白い砂、 周囲の岩々 (花崗岩) は風化して丸みを帯び、白い粉をまぶしたような突起物となって独特の世界を作り出している。
見上げれば 甲斐駒ヶ岳が日の光を受けて白く輝き、その右手上空には有明月というのであろうか、右側が大きく欠けた月が青い空にうっすらと白い。 右に目をやれば、鞍掛山、中ノ尾根と続き、水晶ナギを抱えた雨乞岳が見える。雨乞岳の左後方に少しに見えている山は、方角的には入笠山、 釜無山であろうか ?
雨乞岳から右へと続く尾根の右後方には、丘陵のような 霧ヶ峰、その右手には 蓼科山、 そして八ヶ岳連峰と続き、さらに御座山金峰山 と続いている。
また、甲斐駒ヶ岳の左手には、鳳凰山富士山 が逆光の中、 周囲のまぶしさに融け込むようにして白い輝きを見せている。
目を再び雁ヶ原に戻せば、白い砂地からニョキニョキと生えた岩峰群が面白い。その岩峰の中に石碑が建っているのが見えたので、そちらへと行ってみる。 大明神と刻まれた石碑のほか、2本ほどの石碑が建っているのを確かめた後は、冷たい風を避けて岩の間に身を置いて腹ごしらえをした。時間はまだ 10時を少し回ったところ、 大休憩をしてもまだまだ時間に余裕がある。

私としては珍しく 30分近い休みをとった後、蟻地獄のような砂の斜面を下って下山を開始した (10時30分)
まずは、下りついた鞍部から左に沢のような道に入る。鞍部をまっすぐ行けば鞍掛山に行くようだが、本日はパス。こちら側の下りは日当たりも良いこともあって全く雪はなく、 樹林帯の中の急下降ではあるが快調に下ることができる。
早足で 20分弱下ったであろうか、鉄梯子が現れたかと思うと、すぐに右手下に半分凍った滝が現れた (10時58分)。 これが錦滝で、水は流れてはいるものの下の方は凍っていて、氷の筍がニョキニョキと生えた状態である。

滝を後にするとすぐに林道へと飛び出すこととなる。
左に進めば矢立石であるが、計画通り右に進み、尾白渓谷経由の道を目指す。矢立石登山口のところにあった警告文はここにはなく、さらにうっすらと残る雪の上に足跡があったことが、 こちらに進むことを決心させたといったところである。

この林道は、確かに途中崩壊が激しいところがあったものの、歩くにはそれほど問題ではない。
やがて、左手に尾白渓谷への下り口を示す標識が現れたので、林道を離れて再び山に入る。道は、途中かなり痛んでいるところがあり、丸太の階段などは朽ち果てたものも多いが、 道自体は明瞭でそれほど歩きにくいことはない。
少々問題を抱える道かと思っていただけに、意外と歩きやすい道なのでつい気が緩んでしまったのだろうか。尾根を進んでいる時、途中から右に下るべきところを、 ついまっすぐに進んでしまい、ハッと気づいた時には道がなくなってしまう という事態に陥ってしまったのであった。辺りをウロウロしたが道が見つからず、 結局 来た道を引き返し、明瞭な道となったところからゆっくりと慎重に進み直したところ、右手に下りることを示唆するテープを見つけて事なきを得たのであった。 調子に乗り過ぎると、こういうことが起こりうるのである。反省。

鉄の梯子を過ぎると、少し先で道がやや不明瞭になった。周囲を見回すと左手に橋が見える。 今いる道はその先にある不動滝に近づくための道だったようで、滝を眺めた後、引き返して橋を渡った (11時40分)。 不動滝は水流に勢いがあるため、先ほどの錦滝ほどは凍ってはいないものの、周囲はあまり日の光があたらないようで、周りが雪に覆われている状態である。

橋を渡ると長い階段が待っており、その後は山道を淡々と進む形となった。
渓谷の方を歩く道もあるようだが、この谷には雪が結構残っており、山道を進むのが正解であろう。
やがて、昔懐かしき、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根登山道の分岐に至り (12時23分)、 そこからゆっくり下っていけば、竹宇駒ヶ岳神社の境内で、真新しい社殿の前を抜けるとやがて駐車場であった (12時39分)

駐車場には甲斐駒ヶ岳からの下山者が数人おり、この好天の中、 皆満足そうな顔をしていたのが印象的であった。
私も冬場とは言わないものの、もう一度甲斐駒ヶ岳に登りたいものである。
本日の日向山は登山としては物足りなかったものの、雁ヶ原は素晴らしい。後で考えれば、矢立石まで車で進み、日向山の後、大岩山とか鞍掛山を目指す方が量的には良かったようだ。 今度はそうしたチャレンジをしてみたい。雁ヶ原にはもう一度行ってみる価値は十分にある。


日向山登山データ

上記登山のデータ登山日:2007.2.12 天候:快晴単独行日帰り
登山路:竹宇駒ヶ岳神社駐車場−林道分岐−矢立石−祠−日向山(三角点)−雁ヶ原−錦滝−不動滝−竹宇駒ヶ岳神社−竹宇駒ヶ岳神社駐車場
交通往路:瀬谷−国道16号線−八王子IC−(中央高速道路)−須玉IC−国道20号線−道の駅 はくしゅう−竹宇駒ヶ岳神社駐車場 (車にて)
交通復路:竹宇駒ヶ岳神社駐車場−道の駅 はくしゅう−国道20号線−須玉IC−(中央高速道)−八王子IC−国道16号線−瀬谷 (車にて)


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