登山NO.0012 蓼 科 山( 蓼科山:2,530m ) 1989.10.21登山


 2,161m付近から見た蓼科山( 1989.10.21 )

【蓼科山登山記録】

【蓼科山登山データ】

フォト

再登山


NO.12 蓼科山登山記録

10月初めに登った甲斐駒ヶ岳があまりに素晴らしかったため、 次に登る山の選択が難しかったのだが、よく山に一緒に行っている I 氏から、次の山行を考えるようにとのお達しがあったことから、 促されるようにして百名山の中から蓼科山を選んだ。
蓼科山が頭に浮かんだのは、このところ山行のバイブルとしている " 東京周辺の山 " (山と渓谷社発刊) から日帰り可能な山をピックアップしたばかりで、 蓼科山もその中の一つであったことと、中央本線を行けば甲斐駒ヶ岳の姿をもう一度見ることができると思ったからである。

横浜駅で 5時半に待ち合わせをして、東神奈川経由にて八王子へ、さらに八王子から高尾まで行き、 高尾発 6時44分の列車で茅野駅に向かう。
思った通り、途中の日野春駅での長時間停車の間に、駅に降りて甲斐駒ヶ岳の姿をカメラに収めることができたのだが、 そこから見る甲斐駒ヶ岳は、甲府盆地から一気に立ち上がった大きな岩の固まりのようで近寄りがたい雰囲気を見せており、 その姿に再度惚れ直すとともに、よくもあの山に登れたなあ と自分を誉めてやりたくなったのであった。

茅野駅で降りてプール平行きのバスを探したが、よく分からず、仕方なくタクシーにてプール平の先の親湯まで行くことにしたのだが、 2人で行く場合、タクシー料金が半分で済むので大変ありがたい。
親湯からは旅館の裏を通って橋を渡り尾根に取り付いたものの、尾根といってもすぐに平坦な林道のような道となり、 黄色に色づいた林の中を暫く進むことになる。
途中、右に竜源橋への道を分け、やがて登りとなったが、上方を見ても真っ黒い雲に覆われていて目指す蓼科山など全く見えず、 少々不安を感じながらの登りであった。

道はやがて車道にぶつかり、左に女神茶屋を見ながら、そのまま車道を横切って尾根に取り付くことになる。
ここからは今までと違って急な登り坂となり、樹林帯の中をジグザグに登りながら、途中 途中で手頃な木の根や岩を見つけては休むといったことを繰り返して進むことになった。
やがて樹林帯を抜け、尾根歩きとなって展望も開けたものの、相変わらず上の方は黒い雲の中で何も見えず、 またお隣の八ヶ岳も雲の中となっていたが、せめてもの慰めは、 下の方に白樺湖が見えていたことである。

一旦、登山道は平らになり、草原のような感じの場所を進むこととなったが、嬉しいことに、 この頃になると雲も消え、目指す蓼科山が少しずつ見え始める。初めて見ることになる蓼科山は、そのズングリとした形とともに、 緑の山腹とその上部に見える縞ガレの白が印象的である。
平坦地を過ぎると道は直線の登りとなり、シラビソの林の中を一気に登っていく形となる。道がズッと先まで見えているので返ってツラく、 加えて、足元はゴロゴロした石で歩きにくかったため、大変苦労する登りであった。

縞ガレは遠くから見るとなかなか美しいものであるが、初めて間近に見てみると、 これは木の墓場という感じがしてあまり気持ちの良いものではない。その原因が自然の摂理によるものなら良いが、 酸性雨や公害によるものとしたら本当に由々しき問題だと思われたのだった。
喘ぎながら登っていくと、やがて森林限界となり、そこからはゴロゴロした大岩の上をペンキ印に従って登っていくようになる。
ルートは、頂上直下を右へ右へと巻くように進むことになり、やがて頂上の一角に飛び出した。

頂上は大きな運動場のように広く、そして黒い岩がゴロゴロしており、 真ん中付近に蓼科神社奥宮の祠と鳥居がある。また、そのやや手前には 3本の木を組んだやぐらのようなものがあり、 その下に三角点がおかれている。
また今 私が登り着いた所と反対側の縁には、方位盤が置かれていた。

今は全体が見渡せるから良いが、霧にまかれたら下山路のとっかかりが見つからなくなるのではないかと思われ、 その場面を想像するだけで些かゾッとする。
登ってきた当初は身体が暑かったので感じなかったが、頂上は風が強くて寒く、岩の間には何日か前に降ったと思われる雪まで残っていて、 冬が近いことを教えてくれる。
頂上からは隣の横岳まではよく見えたものの、その先の八ヶ岳連峰は雲の中でほとんど見ることができない。 頂上の反対側も眼下に女神湖は見えたが、その先は雲に隠れてほとんど何も見えない状態であった。
ただ、方位盤がある側の景色は、南八ヶ岳のそれとは違って何となく伸びやかであり、山容も女性的に感じられる。

頂上の寒さが応え始めたため、そそくさと引き上げて頂上直下にある蓼科山頂ヒュッテへ行ったが、 小屋は閉まっていたため、大きな看板の前で記念写真を撮ってすぐに将軍平へと下ることにした。
将軍平で即席麺を食べながら上を眺めると、お饅頭のようにふっくらとして見える蓼科山の上をどんどん雲が流れており、 陽の光も当たり始めたので、頂上に立つタイミングがずれた という悔しさがこみ上げてくる。

将軍平からは涸沢を下って天祥寺原へ直接下りる道を選び、ゴツゴツして歩きにくい岩の上を伝って、 一気に天祥寺平に下った。
天祥寺平からは暫く平坦なササ原の道が続き、右手には蓼科山の姿を見ることができたが、 こちらから見る蓼科山は先ほどのようなズングリした形ではなく、なだらかな角度の陣笠のような形をしていたのだった。

道はカラマツの林に入ると下り始める。やがて、樹林帯がツガへと変わると、 ジグザグの道をひたすら下るようになり、2人で競うように駆け下る。結果、かなり短時間で竜源橋の停留所がある道路に飛び出したのであった。
道路を横切って林道のような道を進み、左にスケート場を見て、やがて今朝ほどの道と合流し、親湯まで戻ったのであった。

親湯から車道を歩いてプール平のバス停へ行くと、そこは完全に観光地化された世界に変わり、 洒落た土産物店に若い男女がたむろしていた。
バス停近くに公衆温泉もあったが、汗も引っ込んでいたので着替えだけして温泉には入らないことにする。

甲斐駒ヶ岳に登ったばかりであったため、 この蓼科山登山は些か物足りない感じがしたが、それは贅沢というもので、冷静に考えればなかなか登り応えがあり、なおかつ静かな山で、 やはり百名山に選ばれるだけのことはあるという気がした山であった。


蓼 科 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1989.10.21 天候:晴れ時々曇りI氏同行日帰り
登山路:親湯−寺小場平−蓼科山−将軍平−天祥寺原− 竜源橋−親湯−プール平
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(京浜東北線)−東神奈川−(横浜線) −八王子−(中央線)−高尾−(中央本線)−茅野−(タクシー)−親湯
交通復路:プール平−(バス)−茅野−(中央本線)−八王子−(横浜線) −橋本−(相模線)−海老名−(相鉄線)−瀬谷
その他の
蓼科山登山
女神茶屋駐車場−2,100m平坦地−蓼科山頂ヒュッテ−蓼科山−蓼科山神社奥宮−蓼科山頂ヒュッテ− 2,100m平坦地−女神茶屋駐車場 (2002年10月27日 : 晴れ後曇り)
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女神茶屋駐車場−2,100m平坦地−蓼科山頂ヒュッテ−蓼科山−蓼科山神社奥宮−蓼科山頂ヒュッテ− 2,100m平坦地−女神茶屋駐車場 (2004年11月3日 : 晴れ後曇り)
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竜源橋駐車場−天祥寺平−将軍平−蓼科山−将軍平−大河原峠−双子山−双子池−亀甲池−天祥寺平− 竜源橋駐車場
 (2010年11月21日 : 快晴)
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