球磨川漁協の正常な運営を回復するために熊本県の法に基づく厳正な対応を求める
熊本県知事 潮谷義子殿
二〇〇一年二月十九日
日本共産党衆議院議員 小沢和秋
広範な国民の「ムダな公共事業を止めよ」という国民の声の高まりのなかで、国土交通省は川辺川ダムの年度内本体着工を焦っている。
このようななかで、漁民の生活の基盤である漁業権を放棄する補償契約締結を巡って、球磨川漁協は漁協組合員から開催請求が出されている総会の開催を拒否し、法を無視した異常な運営を続けている。このような現状を許すならば、今後にとって取り返しのつかない事態が予想される。漁協に対する監督責任を有する熊本県として、法に基づき厳正な指導及び措置を取るよう強く申し入れる。一、漁協組合員からの正当な「総会開催」要求に対し、県として厳正に対応すること。
@水産業協同組合法・第四十七条の三では、総組合員の五分の一以上の同意で、総会の招集を請求された場合、理事会は請求のあった日から二〇日以内に臨時総会を招集すべきことを決定しなければならない、と規定されている。しかし、漁協はこの規定を無視し、総会開催を拒否し続けている。
また、同法・第四十七条の四では、この請求があった場合、理事会が正当な理由がないのに総会招集の手続きをしない時は、監事が総会を召集しなければならない、と規定しているが、監事はこの規定に従わず、総会開催の招集を行っていないのである。
Aこの水産業協同組合法の施行上の監督責任は、同法・第八章以下の各条で明文の規定が置かれている。県は漁協に対する「報告の徴収」(第百二十二条)、「検査」(同百二十三条〉を行う権限があり、法令等の違反がある場合、「必要な措置をとるべき旨を命ずる」こと(同百二十四条第一項)、この命令に従わないときは「業務の全部もしくは一部の停止、又は役員の改選を命ずる」ことができるとされている。
更に、第百二十四条の二では、組合が法会に違反し、県の前条第一項の命令に従わないときには、組合の「解散を命ずる」ことも出来ることを明文の規定が定められている。
これらの法的権限をあいまいにし、法違反の状態をいたずらに看過することは、法治主義のもとでは到底許されるものではない。従って県は、迅速にこれらの法律上の権限に基づき、正常な運営を回復するよう球磨川漁協に厳正に指導、措置をとるべきである。二、総会の議決が、当然に、総代会の決定より「優位」にあることを指導すること。
@漁業権の放棄は、漁民の生活基盤の喪失であることから、法・第五〇条は「特別決議事項」として、総会への総組合員の過半数の出席と、議決権の三分の二以上」の議決を必要と規定している。
法・第五〇条第四項の条文は「漁業権又はこれに関する物権の設定、得喪又は変更」と明確に規定しており、特別決議事項の対象であることは明らかである。
A球磨川漁協は、法・第五十二条において「総代会」の規定があり、「総代の選挙、組合の解散・合併、組合員の除名」以外はすべて同法・第六項の規定で、総代会で議決することができるかの如き恣意的解釈に立ち、補償の「前提」であるこの漁業権の放棄の特別議決を行わないまま交渉委員会を設置し、更に総会開催請求を否定し、漁業権補償契約も総代会で議決できるとしている。
これは、同法・同条第九項が「総代会にいて既に議決した事項については、総代会の議決の日から三ヵ月以内に開催された総会において、更にこれについて議決することができる。この場合総会において総代会と異なる議決をしたときは、以後その議決によるものとする」と明確に規定しているように、総会議決が総代会の決定に対して「優位」にあることは明瞭である。この法理を漁協に厳しく指導すべきである。三、県は、球磨川漁協の適法的運営が軌道に載るまでは、国の川辺川ダム工事事務所との漁業権補償契約の締結を凍結するよう申し入れること。
以上、るる述べたように球磨川漁協の運営は水産業協同組合に著しく違反している。漁民のダム建設への賛成・反対の意見にこだわらず、法的な監督責任を負っている熊本県としては、このような違法状態を即刻改善し、漁協が適法的な運営を回復するよう全力を挙げるべきである。
そのためにも「年度内着工」を急ぐがあまり、今日の混乱状態をつくりだした一因である国の出先機関、川辺川ダム工事事務所に対して、状況を説明した上で、国と漁協の補償契約締詰を凍結するよう申し入れるべきである。以上
ホームレスの生命と健康を守り、生活保障と仕事の確保を求める緊急申し入れ
日本共産党国会議員団ホームレス問題プロジェクトチーム
2001年1月26日
日本共産党国会議員団ホームレス問題プロジェクトチームが1月26日、厚生労働省におこなった申し入れの全文は次の通りです。
ホームレス(野宿生活者)は、長期不況のもとで急増し、いまや全国で三万人を超えるといわれています。厳冬期をむかえ、食事も満足にとることができず、野宿による体調の悪化、体力の低下と衰弱から、凍死者さえ生まれるなど、悲惨な状況のもとに置かれています。このような状態は、憲法二五条の生存権が侵害されていると言わざるをえません。ボランティアによる炊き出しなど、必死の援助がおこなわれていますが、ホームレスのひろがりのなかで、事態はますます深刻になっており、人道上、一刻も放置できない現状にあります。
日本共産党は、国と自治体が早急に現状を把握するとともに、生命と健康を守り、最低限度の生活を保障し、さらに働ける人には仕事を確保するなど、ホームレスをとりまく現状の改善のために、以下の施策を緊急におこなうよう求めるものです。
一、ホームレスから緊急に離脱できる住居を国と自治体の責任で確保すること
ホームレスに対しては、人間らしい、一定のプライバシーも守れる、一息つける住居を確保することが最優先の課題です。そのために、簡易宿泊所の空き部屋の借り上げや公営住宅の空き部屋の活用、さらに地域住民の理解と協力、ホームレスの同意をえて、シェルター(緊急避難施設)の建設を急ぐことです。
ホームレスがやむにやまれず、生活保護を申請しても、行政は「住所不定」を理由に、事実上、生活保護の適用を拒否しています。一方で、住居も保障しないというのでは、ホームレスの窮状はいつまでたっても解決しないことになります。
二、生活保護行政を実態にあわせて改善をおこなうこと
「住所不定」を理由に、生活保護の適用を一律に拒否することは、現行の生活保護法の運用基準からも逸脱したものです。国は、ホームレスの窮迫する事態にあっては、生活保護法の積極的な適用を促すよう、地方自治体に徹底、指導することを求めます。
また、「稼働年齢」を理由に、事実上六十五歳未満のホームレスを生活保護の適用から排除していることも、現行法の運用基準から逸脱したものであり、国はただちに改善の指導をおこなうよう要求します。
高齢に達したにもかかわらず、年金の受給権がない、または低額しか受け取れない人々に生活保護を適用することも、緊急の課題です。
三、ホームレスに十分な医療を保障すること
ホームレスの健康管理や医療に公的医療機関が責任をもつことが重要です。とりわけ結核対策は万全の措置を講ずることが求められています。行き倒れ状態で医療機関に搬送され、入院すると生活保護の医療扶助制度が適用されるものの、治療を受けて退院すると、とたんに生活保護が打ち切られ、再び野宿生活に舞い戻るということが繰り返されています。退院するにあたっては、行政の責任で住居を確保し、働けるようになるまで必要なリハビリと、生活保護による所得保障をおこなうよう求めます。
四、仕事と生活できる賃金の保障、安定した職業につくための援助を強化すること
ホームレスの大半は、働く意欲がありながら、仕事に就くことができない労働者です。しかも、土木・建築に従事してきた日雇い労働者が多数を占めており、今日の雇用・失業情勢のもとで、一般求職者でも就職が困難ななか、働きたくても働けないのが現実です。
こうした労働者には、国と自治体の責任で、職業経験にふさわしい都市部での公的な就労事業を臨時的に起こし、生活できる賃金を保障することを求めます。
政府の「ホームレス自立支援事業」は、二〇〇一年度は十一カ所で千二百〜千三百人程度、予算もわずか七億八千万円にすぎません。しかも、六カ月を限度とした「自立支援センター」では、自立の道にはなりえないことは明白です。抜本的な拡充を求めます。
以上の緊急措置をおこなうにあたっては、国が十分な財政措置をとり、自治体の要望にこたえられるようにすることが不可欠です。
有明海ノリ凶作に対する緊急申し入れ
二〇〇一年一月二十三日
農林水産大臣 谷津 義男 殿日本共産党 衆議院議員 小沢 和秋
同 福岡県委員会委員長 五島 寿夫
同 佐賀県委員会委員長 平林 正勝
同 長崎県委員会委員長 深町 孝郎
同 熊本県委員会委員長 久保山啓介
有明梅では昨年十二月からプランクトンが異常繁殖し、沿岸四県の養殖ノリが記録的な不作となっており、ノリ網は一部漁場を残して撤去せざるをえなくなっている。
我々は一月十八日、佐賀県沖合のノリ漁場まで出船し、被害の状況を調査した。黄土色に「色落ち」したノリを目の当たりにし、水揚げしても商品価値のないものになっている実態を確認してきた。その後、佐賀県・福岡県・熊本県のノリ漁業者らから直接聞き取りを行い、被害が予想以上に切実で深刻なものとなっており、抜本的かつ早急な対策が迫られていることが改めて明らかになった。
このままでは収入の途を絶たれているノリ漁業者の生活への打撃はもとより、有明海沿岸地域の関連する経済・産業に与える影響は計り知れないものがある。諌早湾干拓潮受け堤防が1997年4月に閉め切られた後、潮流の向きと速度、潮位の大きな変化など有明海には異変が起こっている。これは常に海に出ている漁業者が直接肌で感じているところである。潮受け堤防閉め切り後、タイラギ・アゲマキ・アサリをはじめとした有明海を代表する数多くの水産物の水揚げが激減している。加えて今回の歴史的なノリ凶作を考えれば、沿岸漁業者が指摘するとおり、潮受け堤防閉め切りによって生じた一連の異変がその被害の原因ではないかと推定するのは当然である。
このままでは有明海の水質が改善される保証はなく、漁業者は今後の展望を見失っている。今こそ政府は、原因を早期に究明し漁業者の生活を守る措置を講じなければならない。
よって、以下のことについて緊急に申し入れる。
一、ノリ凶作の原因となっているプランクトンの異常発生の原因をすみやかに明らかにすること。
二、諌早湾干拓事業をすみやかに中止し、干潟の再生を図る措置をとること。
三、収入を絶たれた漁業者に対し、緊急に就労の場を確保すること。
四、所得が減少した漁業者に対し、無利子・無担保融資を行う こと。また、すでに融資を受けている漁業者に対しては償還猶予・利子補給を行うこと。
五、水産資源回復・増大のための事業を実施すること。
六、有明海に関する調査研究機関を設置し、環境変化に機動的に対応可能な体制を整えること。| トピックス | 国会レポート | 九州・沖縄レポート|交渉・陳情|小沢さん紹介|
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