原田マハ作品のページ
No.1


1962年東京都生、山陽女子高等学校(岡山市)を経て関西学院大学文学部日本文学科卒。また学士入学し早稲田大学第二文学部美術史科を卒業。伊藤忠商事、森ビル・森美術館準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年キュレーターとして独立。03年よりカルチャーライターとして執筆活動開始。06年「カフーを待ちわびて」にて第1回日本ラブストーリー大賞(宝島社)を受賞し作家デビュー。2012年「楽園のカンヴァス」にて第25回山本周五郎賞、17年「リーチ先生」にて第36回新田次郎文学賞を受賞。※作家の原田宗典氏は実兄。


1.
カフーを待ちわびて

2.普通じゃない。

3.ごめん(文庫改題:夏を喪くす)

4.さいはての彼女

5.おいしい水

6.キネマの神様

7.花々

8.翼をください

9.インディペンデンス・デイ(文庫改題:独立記念日)

10.星がひとつほしいとの祈り


本日はお日柄もよく、ランウェイ・ビート、風のマジム、まぐだら屋のマリア、でーれーガールズ、永遠をさがしに、楽園のカンヴァス、旅屋おかえり、生きるぼくら、ジヴェルニーの食卓

 → 原田マハ作品のページ No.2


総理の夫、ユニコーン、翔ぶ少女、太陽の棘、奇跡の人、あなたは誰かの大切な人、異邦人、モダン、ロマンシエ、暗幕のゲルニカ

 → 原田マハ作品のページ No.3


デトロイト美術館の奇跡、リーチ先生、サロメ、アノニム、たゆたえども沈まず、スイート・ホーム、やっぱり食べに行こう、常設展示室

 → 原田マハ作品のページ No.4

 


   

1.

●「カフーを待ちわびて」● ★★☆     日本ラブストーリー大賞


カフーを待ちわびて画像

2006年04月
宝島社刊

(1400円+税)

2008年08月
宝島社文庫化



2006/06/11



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沖縄の与那喜島を舞台にした、伸びやかでピュアなラブ・ストーリィ。
なんといっても南の島での、悠久の時間が過ぎていく中でゆっくりと進んでいくラブ・ストーリィ、忙しない生活を送っている都会人にとっては、そんな雰囲気が魅力です。

主人公の友寄明青(ともよせあきお)は、育ててくれた祖母が遺してくれた雑貨屋を受け継いで一人暮らし。食事は裏の年老いたユタ(巫女)のおばあの世話になっている。
そんな明青が能登半島の遠久島の神社に残してきた、「嫁に来ないか。幸せにします」という絵馬に応える一通の手紙が彼の元に届きます。
それは、わたしをあなたのお嫁さんにして欲しい、近々訪ねますという内容の「」という女性からの便り。
そして実際に現れた幸は、とても美しい女性だった。その幸と愛犬のカフー、おばあを交えた共同生活がなんとはなしに始まるというストーリィ。一方で、島の開発計画を携えて戻ってきた幼友達である俊一と明青との対照があります。

幸がどういう女性か、どういうつもりで明青の元にやってきたのか、肝心のそれは明らかにされないままストーリィは進んでいきます。それでも沖縄の生活のひとつひとつに新鮮な驚きを見せ、積極的に島の生活に馴染んでいく幸のひたむきな姿を見ているだけで、心楽しい。
舞台となる南国の海風に吹かれるかのように、とても爽やかな気分を味わうことができるのですが、細部においては幾つか気になるところもあります。
特に、本作品がピュアなラブ・ストーリィに成り得ているのは、主人公・明青の不器用さを通り越す、意気地なし、さにあるのです。男性読者としては、幾らなんでもそこまで男らしくないとしなくても、と言いたくなるのです。
それがひとつの要因となって、明青と幸の恋の行方には暗雲が立ち込めます。
それを吹き払って作品が爽やかさを取り戻すのは、幸の秘密が明らかにされるから。明青と幸の結びつきの必然性が明らかにされて、すべてが納得できてしまうのです。

なお、「カフー(果報)」には「いい報せ」「幸せ」の2つの意味があり、本書においては明青の愛犬の名前でもあります。

      

2.

●「普通じゃない。Extraordinary.」● ★☆


普通じゃない画像

2007年09月
角川書店刊

(1100円+税)



2007/10/01



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本書は“mixi”に連載した作品を加筆修正して単行本化したものとのこと。
軽快なテンポに個性的な登場人物、ファンタジーな仕掛け、そして都会的に夢あふれるストーリィ。
気軽に読めて後味も爽やかですから、気分転換したい時などに楽しむには格好の一冊。

造園会社に働きに行った時にハシゴから落ちて以来、御厨しいなには植物の発する声が聞こえるようになります。
そして植物園で知り合った愉快な老人、何と総合都市開発企業・権大開発の社長であったことから、その縁でしいなはその大企業に入社することになります。
しかし配属されたのは秘書室とは言っても、地下4階にある別室「出島」。何とそこは社長の妄想をかなえるための専担部署なのだという。しかも部員はしいなを含めてたったの2人。
「強く願えば、きっとできる」、それがモットーである社長の究極の妄想は、都心のビルの屋上をすべて花畑に変えたい、というもの。果たしてそんなことができるのか。
名付けて“プロジェクト:普通じゃない”。日本一のガーデナーを夢みる御厨しいな、この課題にどう挑むのか。

社長の権田原大咲を初めとして、妄想担当=矢車草輔、同期社員の美人=花房藤花、イケメン=森崎葉、しいなの親友=大庭真百合、派遣社員の青葉桜子に樹医の萩野あおい、そして祖父で花火職人の道楽と、次々に登場してくる人物がみな若々しく、颯爽として気分良い。
そして青春物語で恋もあり、そのうえ夢を叶えようとするストーリィなのですから、楽しいこと間違いなし。
おっと、しいながペットの如くいつも脇に伴う鉢植えのラナンキュラス=E.O.と交わす会話の面白さも忘れてはなりません。

    

3.

●「ごめん Where Life Goes」● 
 (文庫改題:夏を喪くす)

ごめん画像

2008年05月
講談社刊

(1500円+税)

2012年10月
講談社文庫化

2010/12/27

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自分の思うままにならぬ状況、あるいは自分勝手に振る舞う中で、ふと見せる女性の微妙な胸の内を描く4篇。

身勝手で金銭面にだらしなかった父親のこと、年下の愛人と自分勝手に遊びながらふと知った夫の秘密に動揺する妻、人妻の身で年上の男との恋愛に溺れる最中に突き当たった壁、かつてのルームメイトとの口にし難い経緯、等々の展開の中で、主人公たちの揺れ動く心理が描かれます。
男性である私からすると、何を勝手なと思うに至らないまでも、そもそも前提となるストーリィに、すっきりしないものが残ります。
それ故、読後感としても今一つ。

女性読者であれば、読後感、私とまた少し違うかもしれません。

天国の蠅-No Father of Mine/ごめん-Where Life Goes/夏を喪くす-The Lost Summer on the Bridge/最後の晩餐-The Last Supper

         

4.

「さいはての彼女 Ride to Land's End ★☆


さいはての彼女画像

2008年09月
角川書店刊

(1500円+税)

2013年01月
角川文庫化


2013/01/22


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仕事に全力投球してきたワーキングガールが経験した挫折。
そんな時に出掛けたあてずっぽうの旅、そこで出会った人たち、経験した出来事から再び元気を取り戻すという、旅&再生ストーリィ。
何も女性専売特許の話ではないと思うのですが、その方がストーリィになっているのも確かです。

日常から解き放たれて旅に出る、何と好い気分であることでしょう(私も20代の頃何度もこうした旅をしていました)。それに心機一転、再生という要素が加われば、爽快なストーリィになること間違いなし、という次第。
そんな旅をテーマにした、爽快なストーリィ3篇+付随ストーリィ1篇。

表題作
「さいはての彼女」の“彼女”とは、主人公のことではなく、主人公が道東で出会ったハーレーを駆って風のように走る女の子=ナギ
このナギという女の子の魅力が抜群で、爽快な風をそのまま体現しているようなキャラクター。こうした登場人物に会えるだけで幸せな気分になります。
一方、最後の
「風を止めないで」は、ナギの母親を主人公にした「さいはて」のサイドストーリィ。こちらも魅力の源泉は不在であるナギにこそあります。

さいはての彼女/旅をあきらめた友と、その母への手紙/冬空のクレーン/風を止めないで

     

5.

●「おいしい水 Agua de Beber」●(画:伊庭靖子) ★☆


おいしい水画像

2008年11月
岩波書店刊

(1500円+税)



2009/02/15



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小説家と気鋭の画家によるコラボレーション。コーヒーブレイクにふさわしい、短い小説+画を提供する“Coffee Books”シリーズの一冊。

大学生活を過ごした神戸・三宮は、山と海と街の風景がある、胸ときめいていた街。
アルバイト先は、元町北の路地裏にある写真集等々の雑貨を売っている“スチール・アンド・モーション”。
そして店主のナツコさんお薦めの居心地良い喫茶店“エビアン”で時間を過ごすのが常。
そのエビアンでいつも見かけたのが、ただ一人明るく、静かな光に包まれているような青年、ベベ。そのベベに私は恋した。

過ぎ去れば、アルバムの中に青春時の貴重な一篇の思い出となるような、ひと時の恋。
一瞬の輝きのような恋、コーヒーを飲む間に読みあげてしまうような短い物語に、なんと合うことか。
そしてその物語に添えられているのは、写真かと見間違えるような絵。恋物語を描くのではなく、コーヒーカップとか椅子とか、空間をイメージさせる絵。
ちょっと片岡義男さんの恋愛小説を思い出させられます。
表題の「おいしい水」とは、涙のこと。

【伊庭靖子】
1967年生、画家。身近な素材の細部に宿る色彩の滲み、光の揺れを油彩で描き、透明感にみちた絵画空間を創作。国内外で高い評価を得ている。

 

6.

●「キネマの神様 The Name above the Title 」● ★☆


キネマの神様画像

2008年12月
文芸春秋刊

(1762円+税)

2011年05月
文春文庫化



2009/01/08



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父親の円山郷直は映画とギャンブルが生き甲斐、性懲りもなく借金を重ねている。一方、その父親が自慢する大企業の課長職にある娘=・39歳は、左遷通告を受けて退職し、今や失業者。
八方ふさがりのようなこの父娘に降って湧いたチャンスは、大好きな映画に関わる仕事だった。
それは、歩がメモ書きした映画評を父親が勝手に老舗映画雑誌社「映友」のサイトに投稿したところ、ライターとしてスカウトされたというもの。しかし、実際に注目されたのは、父親が書いた映画評の文章だった。

名画座という存在、古今から現在に至るまでの名作の数々、そして登場人物たちが繰り広げる映画評。映画ファンなら、その部分だけでも楽しくって堪らない気持ちになるに違いありません。
表題の「キネマの神様」とは、父娘2人が関わることになる映画ブログの名前です。
ストーリィ自体は、どん底に落ちた父娘が映画を介して親子の絆を確か合う、母親も含め家族の再生という、平凡なものかもしれませんが、何しろ映画に関わる部分が面白く、とても楽しい。
本書は、映画ファンならばこそ楽しめる作品です。

さて、最後にゴウと友が選んだ人生最良の映画とは・・・あの映画でしょうか。私はこちらの方が相応しいと思ったのですが。
その他、本作品中に登場する名作映画は、フィールド・オブ・ドリームス」「ビッグ・フィッシュ」「市民ケーン」「アイ・アム・サム」「天国から来たチャンピオン」「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」等々。

※なお、映画は映画館でどっぷりその世界にはまって観るからこそ楽しいという作中意見には同感。最近私がレンタルDVDではなくシネコンで映画を観るようになっている理由も、実はそこにあります。

  

7.

●「花々(はなばな) The Wondering Flowers」● ★★


花々画像

2009年03月
宝島社刊

(1200円+税)



2009/04/02



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日本ラブストーリー大賞を受賞したカフーを待ちわびてのサイドストーリィ。
「カフー」の明青のその後を知りたくて手に取ったようなもので、それ程期待していなかったのですが、これが意外と正解。小説として素晴らしいというより、私好みという点で。

決してハッピーエンドというばかりのストーリィではありませんが、本書を読んでいると気持ち好い気分になります。
頬よせてホノルルを思い起こす、南洋の爽やかな風を肌に感じるようです。
ただし、本書は自分の居場所を探して旅する幾人かの女性たちの姿を描いた連作風長篇ストーリィですので、幾ばくかの寂しさが混じります。
その寂しさを各篇で語られる花々が和らげているという印象。

主たる主人公となるのは、事情あって故郷を離れ、沖縄の与那喜島に行き着いた純子。しかし、大型リゾート開発計画が実行段階に進んだことから、バイト先ダイビングショップの経営者である田中庄司一家は石垣島に移ることとなり、純子も島を離れざるを得なくなります。
ちょうどそこに現れたのが明青や俊一の同級生だった山内成子。離婚したばかりの彼女もまた、自分のいるべき場所を探すもう一人の主人公です。
その他、旅人であることを続けている奈津子、奄美諸島の加計呂麻島でカフェを営んでいる知花子もまた、2人の仲間です。

そして生きるべき場所を求めて明生の元にやってきた幸もまた、彼女たちの一人といえます。
その意味でも「カフー」のサイドストーリィと言える作品。
本書の最後で明生と幸に関するその後の便りを聞けたのは嬉しいことですが、もはやそれは余禄の楽しみというに過ぎなくなっていました。

鳳仙花/ねむの花 デイゴの花/さがり花/千と一枚のハンカチ/花だより

  

8.

●「翼をください Freedom in the Sky」● ★★☆


翼をください画像

2009年09月
毎日新聞社刊

(1700円+税)

2015年01月
角川文庫化
(上下)



2009/10/09



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あまり注目されていないという感じだったので、然程期待しないまま読み始めたのですが、これが何と私の好みにすっぽり嵌り、大正解。まさに掘出し物というところで、掘出し物であるが故に読めた喜びもまたさらにアップ。

1939年、世界で最初に世界一周飛行を果たしたのは、毎日新聞の社用機“ニッポン”とその7人の乗組員だったそうです。
そのニッポン号の史実に、アメリカの女性飛行家=エイミー・イーグルウィングとニッポン号に乗り込んだカメラマン=山田順平という架空の人物を配して描いた、壮大にして爽快な愛と冒険の物語。
なお、その“愛”とは、男女間の愛のことではなく、大空への、自由への、そして飛ぶことへの愛です。
ヒロインであるエイミー・イーグルウィングが、実在の伝説的女性飛行家アメリア・イアハートをモデルにしていることは、明らかで、これもまた本作品の魅力のひとつ。

1930年代、それもプロペラ機ですから、一気に世界一周飛行する訳ではなく、56日間、32都市を繋ぐようにして飛ぶ旅。ですから飛行中の話が多い訳ではないのですが、とにかく大空を飛ぶことの楽しさ、喜びが本書には満ち溢れています。単純だからこそ爽快。
そしてそれを体現しているのが、エイミー・イーグルウィングという本書ヒロインの姿。
そしてまた、「世界はひとつ」というエイミーの言葉に、どれだけ平和を願う気持ちが籠められているか。それは現代にあってもなお有効な思いでしょう。

アチソン、カンザス 2007年/アチソン、カンザス 1928年/銀座、東京 1937年/大江、名古屋 2009年

※アメリア・イアハート Amelia Mary Earhart
1897年米国カンザス州アチソン生。女性として初めて大西洋単独横断飛行に成功。1937年世界一周飛行の途中、南太平洋上で消息を断つ。
本書表紙の写真は、世界一周に飛立ったイアハートとロッキード・エレクトラ機。
恩田陸「ライオンハート」の第一章「エアハート嬢の到着」がイアハートに絡むストーリィで、私がイアハートを知ったのはそれが最初です。

※ニッポン号
元々長距離偵察機として開発された海軍の九六式陸上攻撃機を元に特注された、エンジンも含め純国産機で、日本の技術水準の高さを世界に示すことになったという。

 

9.

●「インディペンデンス・デイ Independence Day」● ★★
 (文庫改題:独立記念日)


インディペンデンス・デイ画像

2010年03月
PHP研究所刊

(1500円+税)

2012年11月
PHP文芸文庫化


2010/04/10


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インディペンデンス・デイ、すなわち独立記念日。
本書は、様々な苦労や悩みを経てようやく自立、再生の道に踏み出していこうとする女性たちの姿を描く、短篇集。

主人公たちが自立すべき相手、ものは色々です。
親元、苦い過去、離婚した元夫、DVの恋人、母親、子育てのプレッシャー、幼馴染、意固地な自分、夢、等々。
それらからの自立は、主人公たちにとって新たな旅立ち、というに相応しい。

本書に収録されているのは24篇。
どれもあっさりと軽い、ショートストーリィですが、自立=旅立ち、いかにも春に相応しい短篇集です。
また、前の篇でちょっと顔をみせた人物が、次の篇では主人公になって登場するといった、リレー小説のような仕掛けも楽しい。
私はこうした旅立ち、春に相応しい短篇集というのが、大好きです。私自身もまた前向きな気分になれるので。
したがって、★★評価は、内容より私の好みだから、というのが単純な理由。

悩みや悔いにけりをつけ、さぁこれから前向きに歩き出そう、と心を決めた女性たちの後ろ姿は、とても爽やかです。

川向うの駅まで/月とパンケーキ/雪の気配/真冬の花束/ふたりの時計/転がる石/いろはに、こんぺいとう/誕生日の夜/メッセンジャー/バーバーみらい/この地面から/魔法使いの涙/名もない星座/お宿かみわら/空っぽの時間/おでき/缶椿/ひなたを歩こう/甘い生活/幸せの青くもない鳥/独立記念日/まぶしい窓/いつか、鐘を鳴らす日/川面を渡る風

  

10.

●「星がひとつほしいとの祈り Pray for a Star」● ★☆


星がひとつほしいとの祈り画像

2010年04月
実業之日本社

(1500円+税)

2013年10月
実業之日本社
文庫化


2013/10/14


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未読だった原田マハ作品の一つ。今月の文庫化を契機に興味を惹かれて読んでみました。
本書は、20代から50代まで7人の女性について、彼女たちの人生における今を描いた短篇集。
不倫相手の子を妊娠した20代の新人デザイナー、著名女優である母に距離を置いて生きてきた女性、売れっ子ではあるものの生活に幸せを見い出せない30代コピーライター、結局独身のままとなり共に旅する40代の女友達2人、未婚で産んだ娘の無感情に心を痛めるシングルマザー、夫を失くして娘とその婚約者と共に旅行に来た50代女性、逃亡してきた元継娘を受け入れた50代末の女性という7人。

一つ一つのストーリィ、それなりに読ませるところは原田マハさんのストーリィテラーとしての上手さでしょう。ただし、それだけならとりわけどうこう言うほどのものではありません。
それが20代〜50代へと、順を追って並べられることにより、広く女性一般の人生が浮かび上がってくるように思います。
すなわち、20代〜30代はいろいろ辛いことや苦しいこと、苦労もあって当然のこと。それらを乗り越え年月を重ねてやっと50代に辿り着いた時、初めて自分の人生がどうであったかを振り返ることができるのではないか、というメッセージが伝わってきます。そして勿論50代が人生の終わりではなく、それから新しいスタートがあることもちゃんと伝えられています。

原田さんらしい良さを感じる短編集。


椿姫/夜明けまで/星がひとつほしいとの祈り/寄り道/斉唱/長良川/沈下橋

                             

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