無という存在感

 15人も乗れば満員になってしまいそうなくらいのボート。乗客は住民とその関係者しかいないらしく、船頭さんとは顔見知りのようである。

 発券所とか無いので、どうするのかと思っていたら、みんな船頭さんに直接お金を渡して勝手に乗り込んでいる。いくら払ったらいいのかなんて、聞けるような雰囲気ではない。
 どうやら小銭を渡しているらしいので、ノブは千円札を渡した。…お釣り200円。どうやら1人400円らしい。

 島へは船頭さんが、まるで軽自動車を鼻歌を歌いながら飛ばすようにして運転し、20分くらいで着いてしまう。島内の人にしてみれば「ちょっとお買い物」に行ける距離なんだな、と思った。


 やっとの事で着いた沖島、何があるかと言えば、何も無い!
 島を1周している道路も無いし、車はもちろん無いし(ここでも、3輪のママチャリ大活躍!)、観光すべき施設なんて何もない。

 沖島は、ただその存在が島であるだけで、普通にその辺に住んでいるのと何ら変わりがないということですね。この島の人々が、観光客をいやがる理由は、多分そこにあるのだろう。
 …私たちだって、普通に暮らしているだけなのに、その暮らしぶりを見るために誰かが押しかけて来たとしたら、いい気がする訳がない。

 公民館と、お墓、保育園(写真左の六角形の建物)と小学校(写真右の木造の建物)があるだけの、ごく普通の居住地(いささか古い感じはするものの)だった。

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☆ 第5部地図
唯一の淡水有人島 2無という存在感  3総員茫然自失
近江牛!  5法の抜け道  6鮒寿司と臭い仲  
EXIT!