6 最後の清流
さて。5/5 こどもの日。朝起きて、四万十川の遊覧船に乗りに行った。
遊覧船に乗る前に、まずは腹ごしらえ。乗り口近くの軽食屋「四万十屋」に入る。
天然鰻の鰻重を食べる。タレはべた甘で美味しくなかったが、鰻はやはり美味しい。養殖物にはないマッチョな感じがする(笑)。やはり、動き回っているからか、しまった感じがするのだ。
お腹がいっぱいになったところで、四万十見物。
遊覧船といっても、ジャングルクルーズのような、何というか、屋形船を少し小さくしたような船である。
そこで伝統的な漁(しばづけ漁…葉のついた小枝を束にして、川の中に浸けておく。次の日に引き上げると、その中に鰻や川海老、小魚が掛かっている。投網漁…川に蜘蛛の巣みたいな網を投げ入れて魚を捕まえる)をやっているのを見たりしながら河口へ下っていく。
「最後の清流」と、言われるわりに水はあまり綺麗じゃないなぁと思っていたら、ガイドさん曰く「今の季節は3日に1度雨が降るのと、水田の水換えで濁っております。四万十川が一番綺麗なのは夏。透き通る水面に真っ青な空が反射して、それは本当に綺麗です」とのこと。
ふぅぅん。
河口に近づくにつれ、潮の香りがしてくる。
窓のすぐ下が川面なので、水に触れることが出来る。冷たすぎず、ぬるくなく、気持ちがいい。2〜3回に分けて舐めてみたが、はやり河口に近づくにつれてしょっぱくなる。
川幅が広い。河口の辺りは1kmくらいある。とうとうと流れている。
四万十の景色を堪能した後は、中村見物。中村は小京都なのだ。
…とはいえ、京都らしい町並みは再三に渡る四万十川の氾濫と、1946年の南海大地震で跡形もなく無くなってしまっている。
かろうじて、碁盤の目状に走っている道や、伝統行事(大文字焼き等)、太平寺、不破八幡宮に見て取れるかな…。
あっという間に中村見物も終えてしまって、ノブの釣りタイム。
釣りをしたり、大正町(高知県幡多郡大正町田野々452)で「無手無冠(むてむか)」という地酒を買ったりしたりしていたら、あっという間に17:30になってしまった。
チェックインすべき時間を大幅に超えてしまい、焦っては見たものの、窪川の旅館「美馬旅館」に着いた時には18:30を回っていた。
ここは昭和初期に建てられた旅館である。宿泊しなくても、食事だけも出来る。
お風呂(温泉ではないが、檜風呂)に入って、即夕食。
全体的にかなり塩辛い。ここはごはんだけで行ってもいいかも。
面白いものが食べられるので。
なんと、目玉は「白米」!
この地域は、仁井田(にいた)米という香米を栽培している(普通の白米に15%程混ぜて炊く)。刈り取り直前の田んぼでかぐ匂い、というか、米をはぜたときの様な香ばしい香り。
甘味のある米というのは、北の地方に多いような気がする。それに比べて、南の米は、香りと歯応えがある米。
今、私たちが日常食べている米は、穀物の中でも別扱いにされているような気がする。
それに比べて米が、まだ原始的な、純粋に「穀物」だったときの味がする。
そして、同じく仁井田地方で獲れる米で「文本(ふみもと)酒造」(←しかも、ここの次男とノブは知り合いらしい)は酒を造っているらしい。すごく甘口の酒なので、地元の人には評判があまり良くないのだとか。
…確かに甘口のようである。一番辛いので日本酒度+5(プラスになればなるほど辛い)。一番甘い薄濁りの酒は、何と−20である。
まぁ、そう言われてもね、せっかくだから一番辛口の「桃太郎」を冷やでもらう。ここ窪川町内で消費する量しか作っていないので、滅多にお目にかかれない代物なのだ。
純米ではないのに、確かに甘口。米の旨味を出そうと頑張っているのではないか?ふぅぅむ。
ノブ、明日は4:00起き(釣りのためには平気で睡眠時間を削る削る!)なので、食べ終えて22:30には寝てしまった。
やれやれ、あたしも寝ますか。
5/6、ノブが釣りから戻ってきた8:30頃にごはん。
仁井田米で食べる玉子ごはんの美味しさよ(泣)!しかも、玉子、地鶏のだ。
食べ終えて、チェックアウト(ここの旅館の人々、みんなかなり人がいい)してから、その辺の河原で昨日と今朝に釣ったあめごを炭火焼きにした。…これがお昼ごはん。
撤収した後に高知市内へ向かいます。
またも、食べ物三昧なのでお楽しみに!ではでは。
高知市内へ抜けるまで、すごい渋滞。
途中街道沿いの青果店で、「小夏」と「文旦」という柑橘物を買い求める。
文旦というのは、土佐の名物。グレープフルーツくらいの大きさで、あれから苦みを取っ払ったような味。さくさくとした歯応え。
小夏は、(今の時期は)柚子くらいの大きさで(夏前にはグレープフルーツ位の大きさになるらしい)、皮を薄く剥いて、白い部分(←ここが美味しい)ごと食べる。酸味、甘味はそんなに強くないが、口の中がさっぱりする味。食べた後の清涼感が何とも言えない。美味しい。
さて、それらをいやという程買い込んで、高知市内へ。
久美子母に紹介された「古味ベーカリー」へ(高知市知寄町1−1−21)へ。
ここの釜出しチーズケーキと、バターパンを買いに走る。観光客が、観光バスで乗り付けて買いに来る程の人気店である。
久美子母と、古味ベーカリーの社長・専務(奥さん)はお知り合いなのだそうだ。
専務に声を掛けると、忙しい中、色々と相手にしてくれた。
しかも、クルミパンと、ソフトクリーム(後に残らないさっぱりした優しい甘さ。合成保存料等使用していないので安心して食べられる。すごく美味しい)まで頂いてしまった。
…何だか、申し訳ないやら、嬉しいやら。
チーズケーキ(直径20cmもあるよぉぉ。2人でいつどこで食べるんだ…)と、オリジナル・ブレッド(玉子・ハム・ポテトサラダののった3個入りのパン)とバターパン(ここまではちゃんと買った)、クルミパン2つを手に、知寄町を後にした。
買ったものは、フェリーの中で食べる予定。東京に着いてから詳しくはリポートですな。
フェリーに乗ってからまずいごはんを食べるくらいなら、今の内に早い夕食にしよう、ということで、土佐料理のお店「司」(高知市はりまや町1−2−15)へ。
ここで土佐名物の皿鉢(さわち)料理を食べる(1人4,000円)。
直径40cm位の大皿に煮物、刺身(鰹のたたきも含む)、海老・蟹、寿司(カッパ、穴子巻き、鯖の押し寿司)が山盛りになってやってくる。これはなかなか食べ応えがある。
土佐の人ならではの豪快な盛りつけ、というか、食べ方、というか、食べっぷりである。
私たちは食べきれなくて、寿司を包んでもらった。フェリーで食べるものがまた1つ増えた。食べきれるのか?!…食べきるだろうなぁぁ(笑)。
さて。船が思ったより揺れなくて、ほっとしているかづよです。
もう、東京湾に入ってきている(13:00)。いつもの事だが、ここからが長い。船の交通渋滞。分刻みで航行スケジュールが決められているらしい。
さて、食べ物レポート続き。
古味ベーカリーの釜出しチーズケーキは、すごぉぉく軟らかくて、口の中でしゅわしゅわ溶ける。手作りのあったかい味。
…と、ここまで書いたら、古味ベーカリーを推薦してくれた久美子からメールが届いた。
> 久美子 Wrote:
>
なんかね。うちって古味さんの裏に住んでたらしく、家でつくるのとおんなじ感じのチーズケーキ作って!って母や近所の奥様方がおじさんにたのんで、なんどもダメだししながら出来たものなんだって!
…なるほどね。この手作りの味が、人気(予約しないとすぐ売り切れになる)の秘密なんだな、と思う。しかも、
> 久美子 Wrote:
> 子どもたちを銭湯に行かせ、家のお風呂でパンを焼き、ちいさな部屋でパンを売ってた頃、そして、それが一軒家のふつうのパン屋になり、、、→1億円の豪邸が建ち。。。っ
て大きなパン屋になっていく姿を見てきたんだって(父母)
>「社長も昔は和菓子職人で、和菓子ではうまくいかず、パンで勝負したんだよねぇ。」って夫婦で思い出話をしてます。
…ほっほう。こんな話聞いたら、それだけで「行って良かった」って思えた。
帰宅後、ノブがうどんを打った(22:00頃)。
きっと、今回の旅行中に食べたうどんに触発されたのだろう。
…出来上がったものは、何故か、ほうとうをもっとマッチョにした様なうどんだったり、「まきまき」という歯応えのする、すいとんの親分の様なものだった。
さすがの雑食のノブにも食べられなかったらしく、途中で捨ててた(笑)。
まぁね、人生何事も経験である(笑)。
そのうちおいし〜いうどんが食べられる様になったら、ご報告いたしますので、お楽しみに。
(いつになることやら?!)
さて、ご報告その2。
高知県窪川町特産の「仁井田米(香り米)」を購入してきました。
普通米に15%ほど混ぜて炊くんですけど、美馬旅館で食べたごはんと同じ香り、同じ味だった。
…感動。
そんなこんなの四国 旅日記でした。
(今回は長かったけど…)毎度ご愛読感謝!!
☆00'GW全体目次
☆広島編目次 ☆四国編目次
1坊ちゃん気取り 2うどん帝国の洗礼
3目から鼻から耳からうどん
4秘境
5四万十川へ 6最後の清流