はじめての障害(ジャンプ)レース
障害(ジャンプ)レースのABC

 
各馬一斉に障害をジャンプ!(99年7月、福島競馬場にて。障害の形状は、現在と若干異なります)
 
 
  ここでは、競馬の障害(ジャンプ)レースの概要についてその名のとおり「ABC」の段階から説明していこうと思います。競馬を全く知らない方のレヴェルに合わせた表現につき、少しでも競馬をかじったことのある方にとっては少々「くどい」と感じるかもしれませんが、何とぞご了承ください。なお、画像なしでもわかる内容になっていますので、プロバイダ代や電話代の気になる方は「名前をつけて保存」して、電話を切ってから読まれることをお薦めいたします。
 
もくじ

 障害(ジャンプ)レースって、何?
 障害(ジャンプ)レースの魅力は?
 どの競馬場へ行けば、障害(ジャンプ)レースが観られるの?
 障害(ジャンプ)レースは、いつ行われるの?

 障害には、どんな種類があるの?
  いけ垣
  竹柵・ハードル・ハードル(可動式障害)
  【番外】メイキング・オヴ・ハードル
  水ごう・バンケット・坂路

 障害(ジャンプ)レースの騎手って?
 障害(ジャンプ)レースのランク分けは?
 障害(ジャンプ)レースに出る馬は、何kg背負って走るの?
  【応用】「負担重量」のルールって?

 障害(ジャンプ)レースの安全対策は?
 障害(ジャンプ)レースで騎手が落馬すると?
 世界的にみた、日本の障害(ジャンプ)レースの特徴は?



 
障害(ジャンプ)レースって、何?
 
  まずは、人間の陸上競技の「100m競走」と「110mハードル競走」を思い浮かべてください。100m競走は、コースの上には何も立ちはだかるものはなく、ひたすらゴールに向かって走るレース。それに対し「110mハードル競走」は、コース上に立ちはだかるハードルを何回も飛び越えながらゴールに向かっていくレースですよね?                           

 実は、競馬の世界でも「○○m競走」と「○○mハードル競走」にあたるレースが、それぞれ存在するんです。                    

 まず、「○○m競走」にあたるレースは、「平地(ひらち)レース」と呼ばれ、競馬のごく一般的な形態。誰でも少なくともレース名だけは知っている「日本ダービー」「天皇賞」「有馬記念」などは、すべてこの形態に該当するレースです。ウェブ上にも、いろんな趣向の、そして非常に詳しいサイトが数あまたあります。

 次に、「○○mハードル競走」にあたるレース。これが「障害レース」で、「芝コース上に生け垣などが立ちはだかっていて、それを馬が飛び越えながらゴールへ向かっていく競馬」のことです。ただし、人間のハードルと競馬の障害レースには大きく異なる点もあります。すなわち人間の場合は、コース上にある障害は高さも大きさも同じ1種類のものだけですが、競馬ではそれが数種類あること、そして人間ではスプリント競走が基本ですが、競馬ではマラソンレースばかりであることなどです。

 この障害レースは、コース上の生け垣などをジャンプしながらゴールへ向かうことから、「ジャンプレース」という通称で呼ばれています。なお、この「ジャンプレース」は、あくまで日本における通称であって、「障害競走(障害レース)」の英訳(のひとつ)は「スティープルチェイス(Steeplechase=直訳「野外横断競走」)」となっています。

 なお、このコーナーにおいては、表現の簡略化のため、見出しの部分や固有名詞等を除いて「障害(レース)という表現に一本化しておりますので、どうか頭の隅に留めておいてくださいね。


 
障害(ジャンプ)レースの魅力は?
 
人馬一体である
 主だった「馬が跳ぶ」競技は2つあります。ひとつは競馬の障害レースであり、もうひとつは馬術です。片やタイムを競う、片や競うのはタイムばかりではないなどという違いはありますが、共通しているのは「人と馬の呼吸が合わないとダメ」であることです。
 また、「馬と騎手」はさることながら、馬(&騎手)とファンの一体感も障害レースの魅力です。ゴール時、無事完走を果たした馬たちに対してひびきわたる「拍手」にそれが象徴されていると思いますし、大レース後の表彰式では勝利騎手がファンから花束を受け取ったり(写真)、サインを書いたりという光景がしばしば見られます。
 
美しい
 馬術でもそうなのですが、馬が障害を飛び越えるシーンは「美しい!」のひとことにつきます。これは、(まるしんの頁では十分なサポートができないのが残念ですが・・・)写真をごらんになれば一目瞭然のことと思います。そのためか、障害レースには意外に女性ファンが多いという話を聞きます。

スリリングである
 障害レースは、まさに「手に汗握る」という表現がぴったりのスリリングさをもっています。その要因は、騎手の落馬が多いこと。「落馬は障害の華」という言葉があるくらいです。障害レースでの騎手の落馬には、障害を飛び越えたのち着地に失敗して馬が転倒する、あるいは着地時に馬がつまづいて騎手がバランスを崩すなどのケースがあります。ですから、障害ジョッキー(騎手)にはケガがつきもの。ホントに身を張って仕事をしているわけです。
 ちなみに、障害のない「平地レース」での落馬はめったにありませんが、よりスピードがあるぶん障害レースのそれよりも危険で、こちらは死亡するケースすらあります。

 

どの競馬場へ行けば、障害(ジャンプ)レースが観られるの?
 
 現在、障害レースは、中央競馬場でのみ行われています。ちなみに70年代までは、地方競馬場でも障害レースが行われていたところがありました。実際、一部の地方競馬場には、今でもその遺構が存在しています。

障害レースの行われている競馬場                   

 関東(東日本) 中山競馬場 東京競馬場 福島競馬場 新潟競馬場
 関西(西日本) 京都競馬場 阪神競馬場 中京競馬場 小倉競馬場

  ※中山競馬場=千葉県船橋市  東京競馬場=東京都府中市
   新潟競馬場=新潟県豊栄市  中京競馬場=愛知県豊明市
   阪神競馬場=兵庫県宝塚市  小倉競馬場=福岡県北九州市

 上にあげた競馬場のうち、「表開催」の競馬場(東西各1カ所、計2ヵ所)で行われています。


 
障害(ジャンプ)レースは、いつ行われるの?
   
 障害レースは、興行的な色彩も兼ね備えている大レースを除き、通常正午ごろの時間帯に行われます。縦横無尽に競馬場内を飛び回るというレースの性格上、日が高い時間帯のほうが障害レースに向いているのがその理由ですが、「表開催」の競馬場であっても障害レースの行われない日もありますので、プログラムを参照してください。

 
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