Kitten  ◆ 心をなごませるもの ◆



みんな疲れて、いやされたいと思っているようです。
「バーチャルペット」 「Teo」 「たまごっち」 「小子化」「晩婚化」 「イルカと泳ぐ治療」「ベル友」 など断片的なヒントがいろいろと目につきます。これらを組み合わせて 見えてくるものは何でしょうか。

現代社会では、便利さを求めてみんな働くようになりました。 でも仕事ってのは競争なので、みんなぎりぎりのところで働くように、 しんどくなるようにできています。そうして、ストレスが溜り、 日々の生活はただあくせくと過ぎるばかり。
だからといって恋愛に向かう情熱もわかず、子供を産んで育てようという 精神的、経済的な余裕もなく、なにか慰めや元気が欲しいという 状況にあるのだと思います。
子供や学生もそう。学校もつまんなくなった。
みんな寂しくて、優しくされたい。でも忙しくて時間がなくて疲れてて 面倒なことが嫌い。

「心がなごむ」ことの本質は何でしょうか? そのひとつのキーワードは 「子供」だと思います。 自分の子供がかわいい、という単純な快感は、 元気と安らぎを与えてくれるものです。それは遺伝子の奥底に (優先度1か2で)プログラムされているもので、容赦なくいとおしさを 湧き上がらせます。 「自分の子供がこんなに可愛いものだとは思わなかった!」 子供を持っている方ならわかると思います。
何かを可愛がりたい、そういう欲求は皆がもともと持っている けれども、対象が欠けているだけなので、 対象を与えてやれば良いのです。それは、子供に似た物です。

 ・恐れを抱かず無条件に甘えて来る無力なもの
 ・自分を認識してくれて、単純にコミュニケートできて、裏切らないもの
 ・小さくて、丸っこくくて、目が大きくて、頭でっかちなもの
 ・柔らかく、暖かいもの

そこで現われるのが、バーチャルペットです。動物のペットはとても 可愛いものだけれど、多少は手がかかるので、その便利な部分だけを 取り出して「バーチャルペット」を作れば、それは売れるでしょう。
プログラムとしてのペットには、「いかに人間を寂しくさせないか」 というノウハウが詰まっていることでしょう。若者だけではなく、 これからは老人のためにも発展する分野かもしれません。

電子ペットがペットの代替品だってことはよく言われますが、 ペットが疑似的な 「息子 / 娘・友人・家族」の代替だってことは指摘する人が 少ないですね。
「そんなものより、人間の子供を作って・育てる方がずーっと、 100倍楽しくて可愛くて面白いじゃん。」ってこと、つまり優先するべき 順序が間違っているってことにどうして気づかないのでしょうか。



◆ ペットによる治療 ◆

先週のいつかの(1997/01/13 週)ニュース番組で、「ペットによる治療」 の特集をしていました。

エイズ患者、痴呆症老人など、社会との繋がりが希薄になり生きる望みを 失いがちな人々に、ペット(犬)を触れ合わせることで元気がでて、 病状が回復する。そういう治療をしているところの紹介でした。
自閉症の子供をイルカと遊ばせて心を開くってのもどこかで 観た事があります。

人間は適度なコミュニケーションがないと不健康になってしまう動物 のようです。コミュニケーションが多すぎる、あるいはコミュニケーション の方法が複雑過ぎるととストレスが溜るし、コミュニケーションが 少なすぎると疎外感で絶望する。(兎は一匹だと寂しくて死んでしまう という話もあったな。)

だから、適度に、自然な方法でコミュニケーションの取れる 「仮想ペット」を作れば、それは医療機器としてペットと同様か それ以上に利用価値があるかもしれません。
ただし、電子的なペットの場合、「触って柔らかく、暖かい」という 重要な要素が欠けてしまいます。


1997/03/14 T.Minewaki
2001/03/28 last modified T.Minewaki
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