すくすく育て“電脳ペット”

<< 読売新聞 1996/12/25 >>

■すくすく育て“電脳ペット”

■住宅事情、アレルギー関係なし
■飼育ゲーム大人気

 えさをやったり、優しく接したりすると、こちらに慣れてく る。といつても本物のペットの話ではない。パソコンやミニゲ ーム上で育てる“電脳ペット”だ。住宅事情やアレルギーなど が原因で本物のペットを飼いたくても飼えないという社会背景 もあってか、売り出されて以来、人気沸騰だ。

 先月下旬に発売された卵形の携帯ペット「たまごっち」 は、液晶画面の中で鳥に似た小動物を育てていくもの。内 蔵の時計を合わせると、画面上で五分後に卵がかえり、「た まごっち」が誕生。おなかがへった時や、遊んでほしい時 に電子音で“鳴く”。病気になったら注射し、トイレの世 話をすることで成長。約四、五日で大人に変身する。

 単純な絵がかわいいのが人気なのに加えて、手のひらサ イズなのでいつも持ち歩くことができ、育て方ひとつで性 格、姿や寿命が変わる面白さが受ける理由のようだ。

 東京都の会社員(三一)は「たかがゲームと思っていたのに だんだん愛着が出てきて、たまごっちが死んでしまった時 には落ち込んだ」と話す。発売一週間で十万個が売れ た。発売元のバンダイでは「住宅事情やアレルギーなどの理 由から、本物のペットを飼いたくても飼えない状況があ る。そんな人にも喜ばれているようです」と説明する。

 富士通のパソコン用ソフト「TEO」もうひとつの地球」 は、架空の感星にアクセスし、地球と同じように天気や季節 の移り変わりを楽しみながら、さまさまな生き物とも交 信する。登場するイルカに似た動物「フィンフィン」は、 センサーで優しく呼び掛けたり、笛を吹いたりすると、だ んだんなついてそばによってくるようになる。

 このほか、子供向け電子帳にもペットを育てるソフト が盛り込まれるなど、飼育ソフトは一つのジャンルを確立 しつつある。大きなきっかけとなったのが、三年前に登場 したパソコン用ソフト「アクアゾーン」。画面の中の水槽で 熱帯魚を育てるというもの。世話を怠り、水槽の水をかえ てやらないと、病気になったり死んでしまったりすること も。逆に水質を管理しながら上手に育てていくと、つがい ができて産卵もする。

 発売元のオープンブック9003が行った調査では、購 入の理由として「気持ちが落ち着く」が最も多く、次いで 「画面がきれい」となっていた。また実際に魚を飼育した 経験がない人が七八%にものぼっているという。

----( 引用終り )

「たまごっち」というのかあれは。発売一週間で10万個売れたってのは 何か世の中間違ってるな。 すぐ類似品が出回るでしょう。

電子ペットがペットの代替品だってことはよく言われるけど、 ペットが疑似的な「息子 / 娘・友人・恋人・家族」の代替だってことは 指摘する人が少ないようです。
「そんなものより、人間の子供を作って・育てる方がずっと 楽しくて可愛くて面白いじゃん。」ってところにどうして 気づかないかな。まぁ、小中学生だったらそうもいかないとしても。
わかっててもどうしようもないから心のすき間を埋めているって ことなのかな。


台湾製や中国製の、たまごっちの類似品が多量に出回って、 バンダイが輸入業者を訴えている、という記事 「ストップ・ザ・"そっくり・たまごっち"」が 1997/04/12 の 読売新聞に掲載されています。 やっぱりなぁ。作るのは簡単そうだからなぁ。1997/04/12


1996/12/25 T.Minewaki
1997/04/12 last modified T.Minewaki

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