2001年4月


「ショコラ」 - Chocolat - ☆

 ラッセ・ハルストレ監督、ジョーン・ハリス原作、ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、レナ・オリン、アルフレッド・モリーナ、ピーター・ストーメア。

 フランスの小さな保守的な村にやってきたヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と娘のアヌーク(ヴィクトワール・ティヴィソル)はチョコレート・ショップを開く。チョコレートは魔法の様に村人の心を魅了し、母娘と保守的なレノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)は対立する…。
「ギルバート・グレイプ」、「サイダー・ハウス・ルール」のハルストレ監督に、一番好きな女優であるビノッシュの組み合わせでは評価が甘くなるかもしれないが、これは面白かった。チョコレートは魔法の薬の様に魅惑的。性善説的な視点は暖かく、後味は素晴らしく心地よい。

→ 原作「ショコラ」感想
「ショコラ」 Official Website
「Le Chocolat」Official Website (仏語)


「スターリングラード」- Enemy at the Gates - ☆

 ジャン=ジャック・アノー監督、ジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、ジョセフ・ファインズ、エド・ハリス、ボブ・ホスキンス。

 1942年9月、ナチス・ドイツの猛攻を食い止めるべく激戦地となったスターリングラードも陥落寸前。新兵としてスターリングラードに送られたヴァシリ・ザイツェフ(実在の人物、ジュード・ロウ)は偶然に出会った政治将校ダニロフ(ジョセフ・ファインズ)に射撃の腕を買われ、英雄へと仕立てられていく。そして若きレジスタンスのターニャ(レイチェル・ワイズ)との恋、ナチスの名狙撃手ケーニッヒ(エド・ハリス)との戦いなどが絡んでいく…。

 列車からボルガ川を渡り激戦地スターリングラードへ向かう、新兵の視点を追った冒頭が圧巻。スターリンの名前を拝している都市というだけの理由の徹底抗戦、瓦礫と市街の山、血に染まるボルガ川。あまりに無意味な戦争の描き出し方が上手い。決してナチス・ドイツだけを悪者にせず、戦争そのものを悪者にしている。戦争を賛美する所も無く、英雄も作っていない、戦争に直面した人間自身を描いている。

「スターリングラード」Official Website


「チキンラン」- Chicken Run - 吹き替え版 ☆

 ニック・バーク/ピーター・ロード監督製作原案。
 女主人トゥイーディーが経営するトゥイーディー養鶏場、雄鳥ジンジャーは外の世界を夢見て何度も脱走を試み、失敗していた。そんな時、空飛ぶ雄鳥ロッキーが突然現れる…。

 満足。ストーリは夢もあって見事だし、「大脱走」や「インディ・ジョーンズ」のパロディは楽しい。技術的には群を扱うという、クレイ・アニメにとっては悪夢の様な作業にチャレンジしているのが凄い。特にダンスシーンはカメラ移動も上手く圧巻。
 その昔、アードマンの映画と言えば、マイナーで観客はおたくな層ばっかりだったのに、今は子供の多い事に驚いた(^^;)、ま、「ウォレスとグルミット」も有名になったから当然か。ディズニーとは一味違ったファンタジックな世界でお薦め。

「チキンラン」 Official Website


「走れ!イチロー」

 大森一樹監督、村上龍原作、中村雅俊、石原良純、松田龍平、浅野ゆう子、木村佳乃、川口和久、浅田美代子、笹岡莉紗。

 大森一樹というだけで観る気になった(SMAP主演の「シュート」みたいな例もあるし)…しかし、詰まらなかった。原作は村上龍「走れ!タカハシ」で、イチローでは無く広島カープ高橋慶彦のタカハシらしい。
 舞台は神戸、大手ゼネコンをリストラされた石川市郎(中村雅俊)、ベストセラー作家の奥手川(石原良純)、神戸グリーンスタジアムの売り子望月リュウ<一浪>(松田龍平)、オリックスのイチローの4人のイチローの物語。イチローは試合のビデオのみの登場。まあ、ストーリ的にはしょうもないないし、演技も特筆すべき事がほとんどない内容。イシロー人気に、神戸復興などもかけているけど、もうちょっと面白く作って欲しい。

 ソフトボールのコーチ役、元広島カープ川口和久はリチャード・ギアを意識している風貌なのかな??

「走れ!イチロー」 Official Website


「ハンニバル」 - Hannibal -

 リドリー・スコット監督、トマス・ハリス原作、デビッド・マメット/スティーブン・ザイリアン脚本、アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア、レイ・リオッタ、フランキー・R・フェイゾン、ジャンカルロ・ジャンニーニ。

 ストーリ的には原作とほぼ一緒。ただ、映画では忠実にストーリは追っているけど、レクターの精神世界にまでは入り込んでいけない。それゆえに、フィレンツェの描写も上っ面で、石の質感一つを取ってみても安っぽい。さすがに「羊たちの沈黙」は上手く映画化出来ても、「ハンニバル」は難しかったのかも。どうだ、これを映画にして見ろ、っていう感じの原作者トマス・ハリスの挑戦状みたいなもんを原作には感じたが、残念ながら今回は無理だったか。

「ハンニバル」 Official Website
「ハンニバル」原作感想
FBI's ten most wanted fugitives - レクターが入っていたFBIの指名手配ベスト10


「小説家を見つけたら」- Finding Forrester - ☆

 ガス・ヴァン・サント監督、ローレンス・マーク製作、マイク・リッチ脚本、ショーン・コネリー、ロブ・ブラウン、F・マーリー・エイブラハム、アンナ・パキン、バスタ・ライムス、マット・デイモン。

 NY、ブロンクスに暮らすジャマール・ウォレス(ロブ・ブラウン)は文学的才能が持ちながら周囲の環境のためにそれを隠している。そんな彼が知り合ったのは、処女作でピューリッツァー賞にを取りながら、その後隠遁生活を続ける小説家ウィリアム・フォレスター(ショーン・コネリー)だった…。
 才能がありながら環境のために力が出せない若者、輝く栄光を持ちながら今は燃えつきてしまった才人、この二人が出会うドラマという点でガス・ヴァン・サント監督の前作、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」とまったく同じ。同じであってもまったく飽きさせず、抜群に面白いドラマに仕上げている。

「小説家を見つけたら」 Official Website
→ 原作「小説をみつけたら」感想


「あの頃ペニー・レインと」 - Almost Famous -

 キャメロン・クロウ監督脚本製作、パトリック・フュジット、ケイト・ハドソン、フランシス・マクドーマンド。

 1973年サンディエゴ、主人公ウィリアム・ミラー(パトリック・フュジット)は大学教授の母との二人暮し。家を出た姉の残していったレコードでロックの世界にのめり込み、15歳でロック雑誌の記者となる。取材のうち、バンドエイドの一人ペニー・レイン(ケイト・ハドソン)と知り合い、やがて人気急上昇のスティルウォーターのツアーに同行取材する事になる…。

 15歳のロック雑誌記者、その視点で1970年のロックの世界を描くという設定が抜群に上手い。ロックへの情熱、商業主義による退廃、グルーピーたち。青春模様は1970年代ロックの「アメリカン・グラフティ」となっている。

「あの頃ペニー・レインと」 Official Website - Sony Pictures Online
「Almost Famous」Official Website - (英文)


「バガー・ヴァンスの伝説」- The Legend of Bagger Vance -

 ロバート・レッドフォード監督制作、ウィル・スミス、マット・デイモン、シャーリズ・セロン、ジャック・レモン。

 ジョージア州サヴァンナ、第一次世界大戦の影響で、地元の天才的なゴルファーのラナルフ・ジュナ(マット・デイモン)は隠遁生活を続けたいていた。1931年、大恐慌の影響で父が挫折したゴルフ場のため、ジュナの元恋人のアデール(シャーリズ・セロン)は賞金1万ドルでボビー・ジョーンズ(ジョエル・グレッチ)とウォルター・ヘーゲン(ブルース・マックギル)のエキジビション・マッチを開催を企画。一方、ジョナの元にはバガー・ヴァンス(ウィル・スミス)と名乗るキャディが現れる…。

 レドフォードは、近作「モンタナの風にふかれて」が郷愁だけで冴えなかったので期待は無かったのだけど、これは「リバー・ランズ・スルー・イット」の匹敵する素晴らしい。柔らかい光の見事な自然の描写、南部の街、どれもこれも郷愁に満ちていながらそれだけではない。ゴルフを通して人間が生きることを描いている。

「バガー・ヴァンスの伝説」 Official Website


「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」

 こだま兼嗣監督、青山剛昌原作、声優は高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明。
 西多摩市、完成間近の国内で最も高いツインタワー・ビル。そのオーナー常盤美緒は小五郎の後輩。このビルをめぐる連続殺人事件、そして工藤新一に毒薬を飲ませコナンの姿に変えさせた<黒ずくめのやつら>ジンとウオッカも絡み、大きな事件に発展する…。

 コナンのシリーズも映画シリーズも最初は面白くなかったのだけど、だんだんと映画の大きな時間枠の中を上手く使える様になって今回は楽しめた。推理モノよりは、アクション部分が多いがハリウッド映画も驚くハデハデなラストは素晴らしい。

「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」 Official Website


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