2001年8月


「ゴーストワールド」- Ghost World - ☆

 テリー・ツワイゴフ監督、ダニエル・クロウズ原作、ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンスン、スティーブ・ブシェミ、ブラッド・レンフロ、ボブ・バラバン、イリーナ・ダグラス。

 絵とファッションが好きで辛口のイニード(ソーラ・バーチ)、金髪で美人のレベッカ(スカーレット・ヨハンスン)は幼なじみの友人。高校を卒業し、いっしょに暮らす約束をしながら将来は見えない。新聞の広告欄で中年男シーモア(スティーブ・ブシェミ)に悪戯をしかける…。
 抜群に面白かった。表現的には軽いノリでポップな映像と展開なのに、その内容と言えば自分らしく生きることの辛さを、正面から突きつけられる。結構厳しい映画。ラストについてはちょっと気に入らない部分もあるが。

 映画ではいきなりインド音楽から始まるのが驚くけど音楽もいいし、イニードのファッションは抜群。演ずるソーラ・バーチの存在感は凄い。「ダンジョン&ドラゴン」の女王サヴィーナと同じ人とは思えない(^^;)。

「ゴーストワールド」Official Website


「RED SHADOW 赤影」

 中野裕之監督、安藤政信、奥菜恵、麻生久美子、村上淳、竹中直人、藤井フミヤ、舞の海秀平、津川雅彦。

 時は戦国時代、赤影(安藤政信)、青影(村上淳)、白影(竹中直人)、飛鳥(麻生久美子)など影一族は東郷(津川雅彦)に使える忍者軍団。敵対する京極の秘密兵器を探るため赤影、青影、飛鳥は京極城へ忍ぶ込むが、根来忍者の攻撃を受ける…。

 「SFサムライフィクション」のスタイリッシュな感覚で「赤影」を作ると…リアルタイムで観ていた世代としてはかなりの期待感が有ったが、がっかり。ともかく、忍者モノをヘンにひねって詰まらなくしている。「Stereo Future」もイマイチだったし、中野裕之の実力はよく判らなくなってきた。無意味に細かいカット割りも、表面だけ香港映画を真似た様。
 飛鳥のカッコはまるでコスプレ忍者だなあ…。

「RED SHADOW 赤影」 Official Website


「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」

 本木克英監督、西田敏行、三國連太郎、宮沢りえ、青島幸男、浅田美代子、吉岡秀隆、谷啓、大杉漣。

 鈴木建設の釣り同好会会長の高野常務(青島幸男)が退職、故郷の山口県萩市で長年の夢であった晴釣雨読の暮らしをするという。スーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)とハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)は出張のついでに、高野の家を訪ねる…。

 最近、これほど劇場がドカンドカンと爆笑でわく映画は観たことない。観客の年齢層にあったギャグはちょっと古くさいけど、確かに面白い。監督の本木克英は「てなもんや商社」から気に入っているけど、、大したものだと思う。吉岡秀隆は余計にしても、宮沢りえも上手く話に収まっている。
 「釣りバカ日誌イレブン」は沖縄、今回は山口と、シリーズもご当地モノという色合いが強くなっているのは、「男はつらいよ」の路線に乗せた作戦か?バブリーな山口きらら博が出てきたりするのはちょっと気になる。

「釣りバカ日誌」公式サイト


「DENGEKI 電撃」- Exit Wounds -

 アンジェイ・バートコウィアク監督、スティーブン・セガール、DMX、アイザイア・ワシントン、デイビッド・バディム。

 デトロイト警察21分署の刑事オーリン・ボイド(スティーブン・セガール)は腕は立つが手荒で無鉄砲。テロリストに襲われた副大統領救助での失敗から無法地帯の15分署に転属。上司は美人のマルケイヒー(ジル・ヘネシー)、相棒の黒人警官クラーク(アイザイア・ワシントン)、密売人ラトレル・ウォーカー(DMX)などが絡み合い、謎の組織が明らかになっていく…。
 アクションはそこそことしても、ストーリがまったくなってない。展開もいい加減なら、ラストもいい加減。黒幕もなんだかどーでもいい謎だし。ちょっと味のある演技だったDMXや、HIP HOPの音楽などがもったいなかった。

「DENGEKI 電撃」 Official Website


「恋戦。OKINAWA Rendex-vous」- 恋戦沖縄 -

 ゴードン・チャン監督脚本、レスリー・チャン、フェイ・ウォン、レオン・カーファイ、ジジ・ライ、ヴィンセント・コック、ステファニー・チェ、加藤雅也、樋口明日嘉。

 ヤクザのサトウ(加藤雅也)のために一冊の手帳を警察から盗んだジミー(レスリー・チャン)、ジミーへ報奨金を持ち逃げしたサトウの愛人ジェニー(フェイ・ウォン)、バカンス先の沖縄でジェニーに偶然会う香港の警察官ロー(レオン・カーファイ)が絡み合う…。
 3大スター共演という事で期待大だったが、まあ演技は面白いものの、ストーリはイマイチ。香港的いい加減さではあるのだけれど、勢いが無い分アラが目立った。舞台が沖縄なのに、みんな広東語で喋っているのが奇妙。


「CLUBファンダンゴ」- Fandango -

 ティアス・グラスナー監督脚本、ニコレット・クラビッツ、モーリッツ・ブライプトロイ、リッチー・ミューラー。

 モデルになるのが夢だが背が足りないジャーリー(ニコレット・クラビッツ)、その恋人のルポ(リッキー・ミューラー)はベルリンの人気クラブ「LAND」のオーナーであるがヤバイ仕事にも手を染めている。クラブの人気DJのサニー・サンシャイン、その友達のかなりキレているアキラなどが登場人物。
 「ラン・ローラ・ラン」など年に一本入ってくるかどうかというドイツ映画は、結構当たりなのが多いのだけど、これはダメだった。結構いいノリをしているのだけど、ストーリが散漫で見た後の印象も薄い。
 ナスビみたいな顔のアキラはいい味を出していたけどクレジットによると中国人みたいだった。

「Fandango」 Official Website - ドイツ語


「セイブ・ザ・ラストダンス」 - Save the Last Dance -

 トーマス・カーター監督、ジュリア・スタイルズ、ショーン・パトリック・トーマス。
 バレエでジュリアード音楽院に入るのを夢見るサラ(ジュリア・スタイルズ)は母親の交通事故により、分かれた父ロイ(テリー・キニー)の元で暮らすことになる。転校した学校は黒人ばかり。知り合ったデレク(ショーン・パトリック・トーマス)に誘われたヒッポホップのクラブで踊りの楽しさを思い出す…。

 米国でスマッシュヒットという噂を聞いて、ダンス映画なら見ねばならないと思っていたが…ダンス映画といいながら、ダンスも音楽も少ない上にノリが悪くつまらない。「フラッシュダンス」「ブレイクダンス」「フットルース」ちょっと古いが「サタデー・ナイト・フィーバー」や「グリース」みたいな威勢の良さがまったくない。

「セイブ・ザ・ラストダンス」 Official Website


「真夜中まで」

 和田誠監督、真田広之、ミッシェル・リー、岸辺一徳、國村隼、柄本明、高野拳磁。演奏は五十嵐一生、佐山雅弘、道下和彦、小井政都志、井上功一。

 殺人事件を目撃したために追われる中国人ホステスのリンダ(ミッシェル・リー)、偶然に彼女を助けたジャズ・トランペッターの守山(真田広之)まで追われることになる…。
 「麻雀放浪記」「快盗ルビイ」と、それなりに好きな映画を作っていた和田誠に、ミッシェル・リーが出るとなると多少期待はあったが、なんとも詰まらない。テンポは悪いし、なにもかも古くさい。次の大事なステージの真夜中の12時までに戻るなんていい設定の割には何もスピード感が無いのは何故と思ってしまう。
 多量のカメオ出演はあるけど、こんな映画じゃ出てもしょうがないだろうなあ。

「真夜中まで」 Official Website


「ドクター・ドリトル2」- Dr.Dolittle 2 -

 スティーブ・カー監督、ヒュー・ロフティング原作(原案?)、エディー・マーフィー、K.ウィルソン。

 動物と会話出来る能力があるドリトル先生(エディー・マーフィー)は、森林伐採のために家を失う動物からの助けを求められる。ドリトル先生は絶滅寸前の熊を自然に返すことにより、森を救おうとするが…。
 「ドクター・ドリトル」の続編。前作に続いて、原作のイメージはほとんどない。ヒュー・ロフティングが原作になっているようだが、原案といった所でしょう。
 妻のリア役クリスティン・ウィルソン、長女のシャリース役レーベン=シモーネ、次女のマヤ役カイラ・プラットは前作そのまま。
 ほとんどCG合成だと思う動物の口の動きが、「ベイブ 都会へ行く」などよりさらに上手くなっている。


「パール・ハーバー」- Pearl Harbor -

 マイケル・ベイ監督、ジェリー・ブラッカイマー制作、ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセール。

 パイロットのレイフ・マコーレー(ベン・アフレック)、ダニー・ウォーカー(ジョシュ・ハートネット)は幼なじみ。レイフは入隊試験で知り合った看護婦のイヴリン・ジョンソン(ケイト・ベッキンセール)と恋に落ちる。運命の時1941年12月7日日曜日、ハワイのオアフ島パール・ハーバーは日本の奇襲を受ける…。

 「アルマゲドン」と一緒で、いかにも米国大衆受けするブラッカイマー制作。予告編からも予想出来る通りの内容。パール・ハーバーだけで終わるかと思ったら、やられただけでは我慢出来ないのか、クライマックスがあんなだとは…。劇場で盛り上がる米国民を想像すると空恐ろしい(^^;)。
 ILMの仕事である、予告編にある爆弾が落下するシーンはなんか驚くほどよくできているのにこんな映画になってしまうとは勿体ない。実際の戦争をエンターテイメントにしてしまっている酷い例。

「Pearl Harbor」Official Website
「パール・ハーバー」 Official Website


「ダンジョン&ドラゴン」- Dangeons & Dragons -

 コートニー・ソロモン監督、ジャスティン・ワリン、ゾー・マクラーレン、マーロン・ウェイアンズ、ジェレミー・アイアンズ、ソーラ・バーチ、ブルース・ペイン。

 舞台は魔法を使う貴族"メイジ"が平民を支配するイズメール帝国。邪悪な魔法使いの宰相プロフィオン(ジェレミー・アイアンズ)は、人々の平等を願う女王サヴィーナ(ソーラ・バーチ)の王位を狙う。泥棒だったリドリー(ジャスティン・ワリン)、見習い魔法使いマリーナ(ゾー・マクラーレン)、リドリーの相棒のスネイルズ(マーロン・ウェイアンズ-「最終絶叫計画」の脚本出演)らは、レッド・ドラゴンを操る伝説の魔法の杖、サブリールの杖を探す旅に出る。

 「ダンジョン&ドラゴン」といえば、古くからのRPGの元の元であり思い入れが強い人が多いだろうけど…この映画はそういう思い入れが先走ってしまって映画的に成り立っていない。ダンジョンやドラゴンや戦士、魔法使い、ドワーフ、妖精などなど、道具立てはそろえているけど、それを構成する物語が「スターウォーズ」適当に拝借したみたいで、なんとも陳腐。

「ダンジョン&ドラゴン」Official Website


「ジャニスのOL日記」- Janice Bread 45 WPM -

 クレア・キルナー監督脚本、アイリーン・ウォルシュ、リス・エヴァンス、パッツィ・ケンジット。

 主人公はなんとも冴えないジャニス(アイリーン・ウォルシュ)。強度の鬱病(広場恐怖症?)で家から一歩も出ない母親を残し、一念発起スコットランドのグラスゴーからロンドンに出て、派遣社員としてOL生活を始める。オフィスはブロンド、ミニスカ、ハイヒールでばっちり決めている秘書室長ジュリア(パッツィ・ケンジット)を頭に妙なOL人間関係が出来ている。そこでメールボーイのショーン(リス・エヴァンス)と仲良くなる…。

 挙動不審人物という言葉がぴったりなアイリーン・ウォルシュが最高にいい。監督のOL生活から出ている、妙な人間関係のバランスの使い方も抜群に上手くて楽しめる。女ばかりなのを上手く逆手に取っている。そこに花を与えているのが、パッツィ・ケンジットというのが面白い。すごく楽しめた。
 原題の45 WPMは、45 Words Per Minuteの略で、1分間に45ワードのタイプスピード、秘書の最低スピードを意味する(たぶん)。

「ジャニスのOL日記」Official Website


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