2000年11月


「十五才学校IV 」

 山田洋次監督、金井勇太、 麻実れい、赤井英和、高田聖子、前田吟、秋野暢子、小林稔侍、秋野暢子、丹波哲郎。

 不登校の中学三年生川島大介(金井勇太)が、屋久島にある樹齢七千年を越える縄文杉を目指して一人ヒッチハイクで出掛けるロードムービー。
 学校を舞台とするシリーズだが、今回は不登校から描くという設定も面白い。前回が「学校III」が職業訓練校を選びながら、中年ラブロマンスに走ったのが残念だったけど、今回はうまくロードムービーにまとめている。
 ひさしぶりに、まともな山田洋次の映画を観た気がする。主人公金井勇太があまりに昔の吉岡秀隆に似ているのが面白い。意識した演技かもしれないが上手い。「ズッコケ三人組 怪盗X物語」がデビューらしいが、まるで記憶に無い。
 丹波哲郎が久しぶりにまともに演技する役をやっている事に驚いた。劇団☆新感線の高田聖子、麻実れいも上手い。

「十五才学校IV 」Official Website


「カル」

 チャン・ユニョン監督、ハン・ソッキョ、シム・ウナ、ヨム・ジョンア、チャン・ハンソン。

 ソウル、始まりは少年の転落事件、そして体の一部が欠けてバラバラ死体が連続して発見される。謎を追うチョ刑事(ハン・ソッキュ)。すべての被害者とつき合っていた女性チエ・スヨン(シム・ウナ)の存在の存在が明らかになる…。
 判りにくいが無気味な雰囲気は非常にいいし、展開もそれなりに面白い。謎がすっきり解けない所が、最近の日本の映画、ドラマを意識しているようで、ちょっと好きじゃない。映像的や構成は、黒沢清の「CURE」「リング」当たりに随分と影響を受けている感じがする。全体では面白い映画だったのは確か。

 「8月のクリスマス」「シュリ」と連続でヒットをとばすハン・ソッキョは安定したいい演技。シム・ウナも謎な美貌がよい。スヨンの友人オ・スンミン役のヨム・ジョンアや、オ刑事役のチャン・ハンソンと脇役まで、よい。
 
 公式ホームページのネタバレの「カルをめぐる13の謎」を読むと、謎が整理されていて判りやすい。

「カル」Official Website


「カオス」☆

 中田秀夫監督、歌野晶午原作、萩原聖人、中谷美紀、光石研、國村隼。

 便利屋である黒田五郎(萩原聖人)の元に、一人の美女(中谷美紀)が狂言誘拐を持ちかけてくる…、そこから始まる事件、そして真実。
 「ガラスの脳」が満足出来ない出来だっただけに、今度の中田秀夫にはちょっと不安があった…期待して無かっただけに面白かった。ごく普通であるシーンに、恐怖感や、妖艶さを入れ込む映像技術がいかにも中田っぽくて関心した。
 中谷美紀がナントとってもいい。色気、影、謎、悪、愛とどれもこれも、いい感じ。萩原聖人は、嫌いなんだけどやっぱり上手い。ラストはちょっとあっさりしているけど、個人的にはお薦め。

「カオス」 Official Website


「スペース・カウボーイ」- Space Cowboys -

 クリント・イーストウッド製作監督主演、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナー。
 1958年、宇宙船の実験飛行の訓練中だった米空軍のテストパイロット・チーム「チーム・ダイダロス」は、プロジェクトが空軍からNASAに移った事により、初のパイロットの座をチンパンジーに奪われた。そして約40年後の現代、ロシアの衛星アイコンの修理のためチーム・ダイダロスが再結成する事になった…。
 老パイロットが宇宙を目指すという設定自体が夢があって面白いし、俳優もみんな頑張っている、展開もそれなりに面白いけど、ちょっと大雑把。とくにトミー・リー・ジョーンズのラストなんか、余りにいい加減。あくまでも娯楽作品。もっと厳密に作って欲しかった。
 
「スペース・カウボーイ」 Official Website


「薔薇の眠り」- Passion of Mind -

 アラン・ベルリネール監督、ロン・バス脚本、デミ・ムーア、ステラン・スカルスゲールド、ウィリアム・フィッチナー、ピーター・リーガート、シニード・キューザック。

 南仏プロヴァンスで娘二人、母と暮らしていた未亡人マリー(デミ・ムーア)が眠りにつくと、ニューヨークのキャリアウーマンであるマーティ、という二重の生活をしていた。それぞれの生活で恋に落ちていく…。
 ベルリネール監督の「僕はバラ色の人生」は未見だけど、面白い設定で、ラストへの展開、真実とかなり面白い。しかしながら、主演のデミ・ムーアの演技で見てしまうと、何故か嘘臭くて素直に感動出来ないのは何故だろう…。他の女優で、素直に感動出来れば面白い映画だっただろうに、残念。

「Passion of Mind」 Official Website
「薔薇の眠り」 Official Website


「グリーン・ディスティニー」- Green Destiny -

 アン・リー監督、ミシェル・ヨー、チョウ・ユンファ、チャン・ツィイー、チャン・チェン。

 19世紀の中国、名剣グリーン・ディスティニー(碧名剣)の使い手リ−・ム−バイ(チョウ・ユンファ)、その女弟子ユー・シュ−リン(ミシェル・ヨ−)、師匠の仇ジェイド・フォックス(碧眼狐)、北京のティエ氏(ラン・シャン)、ユィ長官の娘イェン(チャン・ツィイー)、西方の盗賊の頭 ロー(チャン・チェン)…主要な登場人物がこれだけで、さらに師弟関係、恋愛関係、仇関係が入れ乱れ複雑。やや、ストーリは消化不足、ラストも曖昧という感じもあるが、カンフーやワイヤーアクションは素晴らしい。特にワイヤーアクションでの竹林での戦いの美しさは見事。
 個人的には大好きなんだけど、万人向けではない映画。

「グリーン・ディスティニー」 Official Website


「インビジブル」- Hollow Man -

 ポール・バーホーベン監督、アンドリュー・W・マーロウ脚本、エリザベス・シュー、ケビン・ベーコン、ジョシュ・ブローリン、キム・ディケンズ、グレッグ・グランバーグ。

 透明人間という題材だけど、バーホーベンらしくひねった展開。さすがに「スターシップ・トゥルーパーズ」を表向き好戦映画にするというバーホーベンらしさ構成ではある。透明人間という現象面より、透明人間になった人間の心理的変化が生むサスペンスを上手く作っている。ほとんどは閉鎖的な実験室に展開し、広がりが無いしちょっと物足りない気はするけど結構好きな映画。

「インビジブル」 Official Website
「Hollow Man」 Official Website


「最愛の夏」- 黒暗之光 - ☆

 チャン・ツォーチ監督、リー・カンイ(李康宜)、ツァイ・ミンショウ(ファン・チィウェイ,范植偉)。
 なんか、観なければいけないという強迫観念だけもっていて、映画館に行ったけど、始まってすぐに気がついた。…これって映画祭でみた「ダークスネ&ライト」じゃないか(^^;)。題名が違っていたので、まるで忘れていた。まあ、面白い映画だったからいいけど。2回目も楽しめた、素晴らしい映画ではある。

「ダークスネ&ライト」感想
「最愛の夏」Official Website


「バトル・フィールド・アース」- Battle FIeld Earth -

 ロジャー・クリスチャン監督、L・ロン・ハワード原作、ジョン・トラボルタ、パリー・ペッパー、フォレスト・ウィテカー。

 西暦3000年、地球はサイクロ人により征服され、人類は奴隷として働かせていた。サイクロ人のリーダであるタール(ジョン・トラボルタ)に、ジョニー(バリー・ペッパー)らが戦いを挑む…。
 しかし、つまらない映画だった。話はベタで余りにひねりが無いし、キャラクタに面白みがまるで無かった。退屈な映画。

「バトル・フィールド・アース」 Official Website
「Battle FIeld Earth」Official Website (Waner Bros.)


「ダンサー」- The Dancer - ☆

 フレッド・ギャルソン監督、リュック・ベッソン製作脚本、ミア・フライア、ガーランド・ウィット、ロドニー・イーストマン、ジョシュ・ルーカス。
 
 口は聞けないが天才的なリズム感、ダンスの才能を持った女性イディア(ミア・フライア)は、土曜の夜DJとのバトルで連戦連勝していた。しかし、才能はありながら、ハンディのためにオーディションは合格出来ない。彼女を見守る兄のジャスパー(ガーランド・ウィット)、そしてある研究に没頭するアイザック(ロドニー・イーストマン)が彼女のダンスに出会い…。
 なんと言っても、ミアのダンスの素晴らしさが見事の一言。ストーリは比較的単純で、「フラッシュ・ダンス」なんかも連想させるけど、突然、発明とダンスが融合していく所なんかは、ベッソン風。でも、後に行く程、ダンスが色あせてしまうのが残念。前半のミア・フライアのダンスは素晴らしかっただけに、もっと活かして欲しかった。ダンスだけはとにかく抜群。

「ダンサー」Official Website


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