2000年1月


「エンド・オブ・デイズ」 - End of Days -

 ピーター・ハイアムズ監督、アンドリュー・W・マーロー脚本、アーノルド・シュワルツェネッガー、ガブリエル・バーン、ケビン・ポラック、ロビン・タニー。

 主人公は元刑事、妻を亡くした後にVIPのボディーガードとして働くジェリコ・ケイン(アーノルド・シュワルツェネガー)。ミレニアムを狙った黙示録、悪魔復活の話であるけど、世界の終わりという大きな設定の割には、最後の戦いなどセコくて情けない。シュワルツェネガーは心臓病の手術後の病み上がりって感じ丸出しで、アクションは無いし、見せ場がほとんどない。
 悪魔役のガブリエル・バーンはちょっといい雰囲気出していたけど。

「エンド・オブ・デイズ」 Official Website


「GTO」

 鈴木雅之監督、反町隆史、藤原紀香、田中麗奈。
 元暴走族の破天荒な教師、鬼塚永吉(反町隆史)が今度は北海道の高校に三週間だけの代用教員として赴任する。そこで起こる騒動が話の主軸ではあるけど…まあ、テレビドラマの域を出ていない。せっかく、映画という枠を貰っているんだからもっと冒険があってもいいと思うけど。
 反町隆史、藤原紀香は可も無く不可もなく、従来そのまま。でも生徒役では面白い役者も多かった。田中麗奈がひねくれた嫌われ者をやっているのなんか、なかなかいい味があったし。


「ラグラッツ・ムービー」

 アメリカのケーブルTVでヒットしたアニメ番組の映画化。主人公1歳のトミーに弟ディルができた。トミーは、兄として弟を守ろうと決意するが…。
 子供向けのものであっても、しっかりストーリがで出来ているのには関心する。友情あり、兄弟愛あり、恋愛あり、冒険ありの盛り沢山の構成。赤ちゃんモノという珍しい設定がヘンな感じ。あんまり日本時になじめないキャラクタだけど、本筋の所ではよく出来ている。


「ブルー・ストリーク」 - Blue Streak -

 レス・メイフィールド監督、マーティン・ローレンス、ルーク・ウィルソン

 宝石泥棒のマイルズ(マーティン・ローレンス)は、逮捕される前に盗んだダイヤモンドの"ブルー・ストリーク"を建設中のビルの換気口に隠す。2年後、出所してダイヤを取り戻そうとすると、そのビルはロサンジェルス警察37分署になっていた。刑事として署内に潜入したマイルズは本物の刑事として事件に巻き込まれる…。
 新人刑事カールソン(ルーク・ウィルソン)と組む所はバディものとしては有りがちだし、勘違い、巻き込まれと言った設定も平凡。マーティン・ローレンスのしゃべりとノリで乗り切るパターンは、エディー・マーフィーそのままだし…結局、新しい所はまるで無く、詰まらなかった。

「ブルー・ストリーク」 Official Website


「雨あがる」☆

 小泉堯史監督、黒澤明脚本、寺尾聰、宮崎美子、三船史郎、檀ふみ、井川比佐志、吉岡秀隆、加藤隆之、原田美枝子、松村達雄、仲代達矢。1999年ヴェネチア国際映画祭緑の獅子賞受賞。

 腕はたつが人がいいばかりに職を失っている三沢伊兵衛(寺尾聰)は、妻のたよ(宮崎美子)とともに、豪雨で川を渡れず、安宿に泊まっている。偶然から城主の永井和泉守重明(三船史郎)に出会い、藩の剣術指南番を探している事を知る…。
 面白かった。黒澤らしいヒューマニズムに溢れているし、終わりまでなんともすがすがしい。今年は「どら平太」とこれと、面白い時代劇が揃ったものである。時代劇と復活、と叫びたい所だけど、実際は両作とも黒澤の遺産に過ぎない所が悲しい。黒澤の脚本と、それに集まった最高のスタッフが作り上げたものである。
 城主役の三船史郎がなんとも、生まれながらの役者といった姿の、いい雰囲気を出していた。
「雨あがる」 Official Website


「リング0/バースディ」

 鶴田法男監督、原作鈴木光司、高橋洋脚本、仲間由紀恵、田辺誠一、麻生久美子、田中好子。

 「リング」「らせん」に続くもので、基本的には原作「バースディ」に納められている「レモンハート」を元に、話を膨らませている。
 昭和43年、貞子(仲間由紀恵)が所属する劇団の公演前にヒロインの女優が怪死。貞子は代わりにヒロインとして抜擢されるが、陰では"彼女が主演女優を殺した"という噂が囁かれる…。貞子は怪物で無く、一人の等身大の人間として捉えている所は面白い。「リング」ワールド全体の中では意味あると思うけど、単独の映画としては面白くないかも。

原作「バースディ」感想


「ISOLA 多重人格少女」

 水谷俊之監督、貴志祐介原作、木村佳乃、黒澤優、石黒賢、手塚理美、渡辺真起子。

 1995年1月17日午前5時45分、阪神淡路大震災発生。人の心が読める力を持つ賀茂由香里(木村佳乃)は避難所のボランティアで働くが、ある時、少女千尋(黒澤優)の12人に分裂した人格それぞれが描いた絵を見せられ興味を持つ…。
 脚本も悪くないのだけど、どうもチープさが全体に漂うのが残念。特にラストは余りに情けないし、石黒賢も下手くそで全体の雰囲気を壊している。
 それに比べて、一番の不安だった黒澤優の演技はよかった。分裂した千尋、悠子、陶子、瞭子、瞳、忍、殊里、幸生、陽子、創、満、範子、そして磯良…元々の千尋の繊細な感じもいい。


「ガラスの脳」

 中田秀夫監督、手塚治虫原作、小原裕貴(ジャニーズJr.)、後藤理沙、榎本孝明、林知花、河合美智子、名取裕子。
 墜落した旅客機の生存者は、妊婦から誕生した飯田由美(後藤理沙)だけであった。しかし、彼女はその後も17年間眠りつづけるが、一人の少年長沢雄一(小原裕貴)の願いにより目をさます…。
 原作はヘンな感じはしないのだけど、なんか映画になると雄一は性犯罪のにおいがする程アブナイ感じがするし、医師の甲斐(榎本孝明)もなんかヘン。全体的になんとも納得が出来ない映画になっいた…当然、感動すべきラストも何もただ白けるのみ。
 観客の半分以上は小原裕貴のファンだったみたい。

「ガラスの脳」 Official Website


13ウォーリアーズ - the 13th Warrior (機内上映)

 ジョン・マクティアナン監督、マイケル・クライトン原作、アントニオ・バンデラス、オマー・シャリフ。
 クライトンの「北人伝説」が原作。原作はクライトンの中でも、もっとも駄作だと思っているので映画も期待はなかったのだけど、結構面白かった。生まれた地を追われたアラブの詩人イブン(アントニオ・バンデラス)は、北方の未開の地の伝説の魔物を討伐するために集められた戦士たちの13番目に加わる。当時、アラブ文化はヨーロッパ文化より遥かに進み洗練されたものであった。蛮人の地で戦士として生きていくイブンが上手く出ている。原作よりも遥かに面白く感じた。


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