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◆ 1 ◆ 「ワイン葬」 '98.09.08掲載
住宅や車を買う時には、パンフレットをいくつも見比べ、実際に見たり、触ったりして、予算内で満足のゆくものを、時間をかけて選ぶ。しかし、葬儀だと死亡して数時間以内に決めてしまう。事前に複数の葬儀社から見積もりを取ったり、予算や内容を決めておくことなどまずない。何百万円もの衝動買いなんて、ほかにあるだろうか。
AさんやBさんのような葬儀は、自分らしさの演出にお金や手間をかけるが、無駄を排除する。「最期まで自分らしく、個性的に」という考え方が増えてくれば、葬儀も車や住宅と同じく、じっくり選択・購入するようになるだろう。
結婚式と並んで人生の二大イベントである葬儀。この世と、どのように別れを告げたいか、最期の舞台の構想を自分で練っておくことは、なかなか楽しいことである。
◆ 2 ◆ 「心付け」 '98.09.22掲載
「葬儀の料金システムは分かりにくい」との声は多い。最も大きな割合を占める葬儀施行料は通常、祭壇のランクによって決まる。祭壇一段なら締めて40万円、三段なら120万円といった具合。写真や、位まい、棺おけなどは、撞行料に含まれている。
東京都の調査では、施行料は平均約120万円。喪主は緊急事態で混乱しているから、「祭壇は並で」「棺おけはキリの最高級」などと、中身を細かく考える余裕などない。葬儀社に「一切お任せ」で、支払いも言われるままという遺族が多い。日頃から情報を仕入れて整理しておきたい。
◆ 3 ◆ 「人生いろいろ」 '98.09.29掲載
「葬儀」は一般的に、葬儀式と告別式の両方を指すことが多い。葬儀式とは僧りょなどによる「死者の弔いの儀式」で、告別式は「社会的に死を確認する儀式」のこと。つまり、読経をせず、音楽などで故人をしのぶ無宗教葬だと、葬儀式がなく、告別式だけを行うことになる。逆に密葬は葬儀式だけを行っているわけだ。結局、人生模様が人の数だけあるように、この世の最期の儀式も人の数だけパターンがあってよいのではないか。むしろ、そうあるべきなのだ。
葬儀は人生最期のイベント。人生の集大成が「どうでもいい」とか「安けりゃいい」という言葉でくくれる種類のものであったなら、実に悲しいことではないか。
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