インターネット接続

インターネットにパソコンを接続するうえで必要なこと

インターネット接続に必要なもの

自宅からインターネットを利用する場合、まず 「通信回線」 が必要で、その事業者との利用契約が必要です。それに加え、通信回線とインターネットを中継する 「プロバイダー」 とも契約を結ぶ必要があります。

インターネット接続に必要なもの

プロバイダー 「インターネット接続業者(ISP)」

プロバイダーは 「インターネット接続業者(ISP)」 と呼ばれ、インターネットへの接続を提供する組織です。加えて、電子メールアドレスの発行や、Web サイト開設のためのホスティングサーバ提供といった追加サービスも提供するのが一般的です。

プロバイダの例:

通信回線の種類と通信回線事業者

アナログ回線(一般電話回線)を使用して接続ができるようになった1995年ころから、インターネットは急速に普及しました。通信回線はADSLが提供されてから「ブロードバンド」(広帯域)と呼ばれる高速通信回線が主流となっています。主な回線の種類としては、ADSL光ファイバー回線CATV 回線などの有線接続と、無線で接続するものもあります。

主なインターネット接続回線をまとめてみます。

  • 属性
  • 接続種類
  • 具体例
  • 受信速度
  • ナローバンド
  • ダイアルアップ
  • アナログ(一般電話回線)
  • ~ 56Kbps
  •  
  •  
  • ISDN(INS ネット 64)
  • ~ 64Kbps
  •  
  •  
  • モバイル接続(初期の形態)
  •  
  • ブロードバンド
  • ADSL
  • Yahoo! BB、フレッツADSL
  • ~ 数十Mbps
  •  
  • CATV
  • J-COM、イッツコム
  •  
  •  
  • FTTH
  • フレッツ光、au ひかり
  • ~100M、200Mbps
  •  
  • spモード、iモード、EZweb
  • Docomo、au
  • ~7.2Mbps

ADSL が使えるのは旧来の電線(メタル線)がつながっている家庭です。電話回線を使うため、NTT などの電話回線事業者が ADSL のサービスを提供していますが、電話とは別の事業者と契約することもできます。

最近光ファイバーがつながっている家庭も増えており、その場合は光回線が利用できます。

マンションやアパートなどの集合住宅は、建物までは光回線、建物内はメタル回線で分配されているのが普通です。この場合でも光回線で契約します。光回線も電話回線の一種なので、電話回線事業者との契約が主流ですが、別業者とも契約できます。事業者によっては、電話回線とは別に専用の光回線を家庭に引く場合もあります。

ケーブルテレビ局がケーブルテレビ用回線を使ってインターネット通信もできるようにするのが CATV 回線。通信速度、コストともに ADSL と光回線の中間ぐらいです。多くのケーブルテレビ業者がテレビ視聴、インターネット接続、それに電話サービスをセットにしたサービスを提供しています。

無線」は、携帯電話回線やインターネット専用の「広域無線通信」を利用し、無線でインターネットに接続するものです。

2012年から携帯サービスは 「LTE」 に対応して 7.2Mbps から 38Mbps になる予定です(2011年6月)。さらにスマートフォン経由でパソコンをインターネットに接続する 「テザリング」 が始まる可能性があります。

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ADSL とは

Asymmetric Digital Subscriber Line (非対称デジタル加入者線)の略。上り線と下りの通信速度が違う(非対称の)インターネット回線。

ADSL は音声通話用の銅線(メタリックケーブル)をデジタル通信にも使うものです。電話と同じ回線を利用し、家庭内で 「電話」 と 「パソコン」 に信号を分けます。電話用の信号とパソコン用の信号は別々に送受信できるので、電話とインターネットを同時に使えます。

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光ファイバー回線とは

文字通り、光ファイバーを使ったインターネット回線のこと。FTTH (Fiber To The Home の略称) と呼ばれることもあります。

光の明滅を使って通信するため、安定して高速な通信が可能なのが特徴。家庭で利用できるインターネット回線としては現在最も高速な通信が可能です。動画視聴サービスなど、大量の送受信が必要な場合に有用です。その分、通信費もやや高めになります。

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CATV回線とは

ケーブルテレビ会社の提供しているインターネット回線。

テレビ配信用のケーブル設備を使う。CATV 回線はケーブルモデムが必要です。CATV会社からケーブルモデムが提供されます。

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LTE とは

Long Term Evolution のこと。「長期的な進化」とはプロジェクト名だが、そのまま定着して正式名になった。

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テザリングとは

テザリング (英: Tethering) とは、スマートフォンなどのモバイル機器を外部モデムとして用いて、パソコンや携帯端末、携帯ゲーム機などを携帯電話回線を通じてインターネットに常時接続させること、もしくはその機能のことである。テザー機能とも言う。

「通信回線」 + 「プロバイダー」 を利用する契約を結ぶ

通信回線事業者は自宅で利用可能な回線からしか選べません。まずは自宅へ来ている回線が何なのかを確認しましょう。

回線業者によってはプロバイダーも兼ねていて、両者を一括契約する場合もあります。

プロバイダーは選んだ回線に対応している相手しか選べません。

プロバイダー経由で回線とセットで契約する場合もあります。

インターネット接続と LAN

インターネットの接続に、光ファイバー回線や ADSL、CATV などのブロードバンド回線を利用し、パソコンは LAN で接続します。

基本的な接続形態

インターネット接続形態ブロードバンド回線使用時の家庭内の基本的な LAN 接続の形態は、右図のようになります。

必要なものは、モデム (回線終端装置、メディアコンバーターなども含む)、ブロードバンドルーター、それに無線 LAN アクセスポイントです。

モデム回線終端装置メディアコンバーターは、回線に直接つながれます。回線からの信号と、パソコンなどで使うLANの規格の信号とを相互に変換します。

図はBフレッツのマンションタイプ VDSL 方式の接続例です。

ブロードバンドルーターは、家庭内LANを管理し、複数の機器を同時にインターネットにつなげる役割をもちます。インターネット回線のモデム側にブロードバンドルーターを接続し、ブロードバンドルーターの内側にはパソコンやゲーム機、テレビ等を接続します。

回線業者によっては、回線終端装置の機能を内蔵したルーターをレンタルできる場合もあります。

Bフレッツのマンションタイプでは、ブロードバンドルーターは IP 電話対応のもの RT-200NE にしています。

ブロードバンドルーターと次のアクセスポイントが一体化した無線 LAN ルーターが人気です。

無線LAN機能を内蔵したり無線LANアダプターを追加搭載したノートパソコンや携帯ゲーム機は、無線アクセスポイントを介することで、無線で家庭内LANにつながるようになります。このアクセスポイントは無線 LAN 親機とも呼ばれます。

ここでの無線 LAN 親機は DHCP サーバー機能 (ルーター機能) も持っていますが、この機能をオフにしてブリッジタイプとして使用されています。すなわち無線 LAN アクセスポイントとして使われ、有線 LAN のハブとして使われています。

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IP 電話 とは

ブルードバンド接続を扱う事業者の多くは、IP電話と呼ばれる音声サービスも提供しています。これは従来の音声通話と同様な機能を、インターネット上のデータ通信の [パケット方式] を利用して実現しています。パケット方式は設備にお金がかからず、回線の利用効率も高いため、利用者は一般の電話に比べて格安な料金 (事業者によっては無料) でサービスを受けることができます。

LAN 構築の約束事

ルーターは LAN に1台だけ必要

複数パソコンからのインターネット同時接続には、ブロードバンドルーターが必要です。1台だけで十分ですが、機器変更などによりルーターが2台になる場合もあります。2台の場合は特別な接続となります。

インターネット接続の設定が必要

インターネットの接続はブロードバンドルーターが行うので、インターネット回線へ接続するための設定 (IDやパスワードの設定)をルーターに対して行う必要があります。

DHCP サーバーも LAN に1台だけ

LAN に接続したパソコンに IP アドレスを自動で割り当てる DHCP サーバーも、LAN の中に一つだけあるようにします。通常は、ルーターの DHCP サーバー機能を使うので、ルーターが1台で十分でしょう。

無線 LAN を使う場合: ルーターかブリッジか

最近の無線 LAN 親機は、無線 LAN 親機とブロードバンドルーターが一体になっています。回線事業者からルーター機能内臓のネットワーク機器が提供される場合は、無線 LAN ブロードバンドルーターは、ブリッジタイプとして利用されます。

光回線での接続の場合

光回線とは、光ファイバーを使ったインターネット回線です。 FTTH (Fiber To The Home の略称) と呼ばれます。

安定して高速な通信が可能なのが特徴です。現在の標準的な通信速度は理論値最大 100Mbps となっています。

戸建てタイプ

光ファイバー 戸建ての図

戸建てタイプは、各戸に直接光ファイバー回線を引き込むタイプです。光ファイバー回線は回線終端装置に接続し、LAN ケーブルでパソコンなどと接続します。

マンションタイプ

光ファイバーマンションタイプの図

マンションタイプは、建物まで光ファイバー回線を引き込み、建物の共用部分で各戸に回線を分配するための設備を設置して分配します。

分配の方式には、LAN 方式、VDSL 方式、無線方式などがあります。

LAN 方式の場合は、RJ-45 モジュラージャック (LAN 用) から LAN ケーブルにて直接ルーターに接続します。

VDSL 方式の場合は電話線を VDSL へ接続し、そこから LAN ケーブルでルーターに接続します。VDSL 宅内装置は電話回線からの VDSL 信号を LAN の電気信号に変換するための機器。

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VDSL とは

Very high bit rate Digital Subscriber Line のこと。メタルケーブルを用いる短距離伝送用 (およそ1Km以下) のブロードバンド通信技術。

理論通信速度は 60Mbps と、ADSL をはじめとするその他の xDSL 方式と比べ高速な通信が可能である。一方で減衰が大きいため長距離伝送には向かない。

ブロードバンド回線に用いられる光ケーブルは曲げに弱く、配線の取り回しが難しい。そのためマンション等の集合住宅やビルの構造が光ケーブルに対応していない場合、建物まで光ケーブルが敷設されていたとしても光ケーブルをユーザーの元まで直接引き込むことができない。そこで通信速度を保ちつつ屋内までブロードバンド回線を敷設する方法として、回線収容局から建物近辺の電柱または建物内の主配線盤までを減衰の少ない光ケーブルで結び、屋内は電話回線等を使用して VDSL で結ぶ方式が用いられる。

CATV 回線の場合

ケーブルテレビ会社は、テレビ配信用のケーブル設備を使ってインターネット接続サービスを提供しています。

CATV回線とは

CATV回線は、ケーブルテレビ会社の提供しているインターネット接続サービス回線です。固定料金制のため常時接続が可能で、CATV網は、ADSLのように距離による速度低下はありません。

CATV回線はケーブルモデムが必要

CATV回線はケーブルモデムが必要で、CATV会社からケーブルモデムが提供されます。ケーブルモデムは、通常1台のパソコンだけを接続できるようになっているので、複数台のパソコンを無線で接続するには、無線ブロードバンド ルーターを使用します。

無線LANで接続する場合

無線 LAN で接続する場合は、ケーブルモデムと無線ブロードバンド ルーターの WAN ポートを接続します。

CATVモデムに無線親機を接続するとインターネットに接続できない場合の対策

CATVモデムに記憶されたMACアドレスを消去するか、無線親機のMACアドレスを変更すると、インターネットに接続できるようになる。

対策1:CATVモデムの電源を入れなおし、記憶されたMACアドレスを消去する

  1. 無線親機、CATVモデムの電源をすべてオフにして、しばらく時間を置くと、記憶されたMACアドレスが消去される。
  2. 無線親機背面のWANポートとCATVモデムをLANケーブルで接続する。
  3. CATVモデムの電源を入れる。
  4. CATVモデムが完全に起動するまで、数分間待つ。ランプが正常に点灯・点滅するのを確認する。
  5. 無線親機の電源を入れる。
  6. 無線親機が完全に起動するまで数分待つ。正面もしくは背面のWANランプの点灯・点滅を確認する。

対策2:無線親機のWAN側MACアドレスを変更する

ルーターが2台になった場合

ルーターが2台(ルーターAとルーターB)になる場合の特殊なケースです。

ルーターを2連接続する

ルーターをブリッジする機能を使う(PPPoEブリッジ機能)

ルーターAが、ルーター機能をオフにし、ブリッジモードで動作するものがある。例えば、ひかり電話アダプタのPPPoEブリッジ機能です。

無線LAN親機のブリッジ機能(無線LANアクセスポイント)

無線ブロードバンドルーターをブリッジモードに切り替えて利用する場合の接続です。

無線LANブロードバンドルーターをブリッジモードで使うと、DHCPサーバー機能はオフになります。

無線回線の場合

高速無線回線通信サービスの種類

モバイル無線LAN(携帯電話、WiMAX など)

NTT ドコモをはじめとする携帯電話事業者のほか、データ通信サービスが主力のイー・モバイルなどが、携帯電話回線を利用した接続サービスと通信機器を提供しています。

携帯回線を使った通信には、パソコンなどの USB 端子にアダプターを取り付けて1台だけネット接続する方法と、通信機能を内蔵した小型の無線ルーター (モバイル WiFi ルーター) を使って複数の機器をまとめてネットにつなぐ方法とがあります。

通信機器は回線事業者ごとに別のものが必要です。

コンパクトなモバイルパソコンの中には、いずれかの事業者の通信装置を内蔵した機種もあります。

サービスエリアはやや狭いものの、携帯電話回線よりも高速なデータ通信専用の 「WiMAX」 という通信基盤もあります。日本では UQ コミュニケーションズがサービスを提供 (2009年2月) しています。下り40Mbps、上り10Mbpsの速度と言われています。

更に 「WiMAX2」 と呼ばれる、「WiMAX」 よりも速度を大幅に向上した通信基盤も試験に入っている (2011年7月)。

公衆無線LANサービス

エッセイのアイコン

公衆無線LANが注目されています

公衆無線 LAN サービスを提供していたのは、NTT 東日本・西日本、関西電力系のケイ・オプティコムなどの固定通信の会社が中心で、どこも数千から1万地点ぐらいだった。

スマートフォンの普及が進むにつれ、携帯電話の回線だけではデータ通信をさばききれなくなる恐れが高まり、通信量分散のために携帯大手各社は公衆無線 LAN のアクセスポイントの拡大に乗り出している事情もあり、公衆無線 LAN が注目されています。

積極的なのが KDDI。現在の1万地点から2011年度末までに10万地点で利用できるようにする計画だ。ソフトバンクモバイルは、現在の4倍の10万地点に増やす計画 (時期は示していない)。NTT ドコモも、1年以内に現在の6800地点から3万地点に増やし、数年以内には10万地点まで拡大する予定だ。

料金も、これまでは、自宅でのネット接続とセットにして追加料金が月数百円、単体では月1千円以上かかった。ところが、携帯大手は、自社のスマートフォン利用者でパケット定額サービスに加入すれば、公衆無線 LAN を無料にしている。

データ通信量の多いスマートフォンが普及すると、データ通信が携帯電話回線に集中し、通信速度が遅くなると命取りになる。公衆無線LANの方を無料にしても利用者の満足度を向上させる狙いがある。

(この項、2011年9月13~15日朝日新聞夕刊記事:経済ナビゲーターから)

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