News >「仕事日記」2008年1月


1月6日(日) M'sレコーディング
今回はゲストを何人か迎えてのオリジナルアルバム。M'sとしては初めてのことをダブルでやる。今日のゲスト。浜崎航(Ts) Harvest。新妻由佳子(Vo) You Hide Something。合間合間にトリオものを録っていく。さすがにサクサク進行する。
1月7日(月) M'sレコーディング
再調律したところで Righteous Magnoria をソロ。ソロも含めてワンテイクが多いのは後になるほど良さが出るはず、という経験則だが今回は書き下ろしばかりだから果たしてどうか。 ゲスト。太田剣(As) Blow The Flow。島田歌穂(Vo) 三木俊雄(Ts) Love Me A Little。三木俊雄(Ts) Surf The Turf。吉田慶子(Vo、Gi) Primavera。

和田事務所で新年会というので慶子ちゃんとお邪魔。関口女子、金田クン(というアダナの年ごろの女性)真田さんはハリウッドにいるがマネージャーの朝田さんもいるところへ浅田美代子さん島健さん後から合流でにぎにぎとワインを何本も。
1月10日(木) 劇伴 市ヶ谷サウンドバレイスタジオ
久しぶりに作曲家近藤浩彰さんとの仕事。それは嬉しいのだがなんとスタジオ仕事で二か月の後払い。不景気なのか、騙されてるのか。
1月11日(金) セッション 六本木サテンドール
原朋直(Tp)
佐藤達也(Ts)
向井滋春(Tb)
井上陽介(B)
村上寛(Dr)

い〜い面子である。達也の仕切りも抜群でジャズらしいジャズを楽しめた。
1月14日(月) ソロ 宇多津 布木紙楽土(ヌノギシラクド)
岡山からのしおかぜ号での瀬戸内海横断は天気のよさと相俟って感動的。

名古屋まで眠り、その後岡山までの間に書き下ろし曲3楽章まで雛形が作れた。オケを見据えた4楽章まで作ってからエレクトーン用に刈り込む予定。このアイデアと内容の振り分けにたどり着くまでに2ヶ月かかったことになる。あとは一気にこの1週間で。このたびは数独も文庫本も敢えて持たず。白い五線紙のみの旅。

群集
イパネマの娘
ひまわり
テイクファイブ
インザベルベット
サンド・キャッスル
Sand Witch
Sayamambo
Righteous Magnoria
Primavera
Harvest
In Your Quiet Dream
Blow The Flow
ラプソディ・イン・ブルー
自由への讃歌

主催の末沢さんとホテル近くのカフェバーで打ち上げ。書道家という人と初めて会ったが貴重なお話が聞けてよかった。

僕の今年の小さな目標はペン習字とボイストレーニングなのだが、1月も終わろうとしているのにとりかかっていないところを見ると無理みたい。
1月15日(火) 松前総合文化センター 広域学習ホール
群集
イパネマの娘
ひまわり
茶色の小瓶
Creopatra’s Dream
ナルディス
ラウンドミッドナイト
マイバックペイジ
インザベルベット
Love Goes Marching On
恋に落ちて <中学生のリクエスト!教育委員会の主催なのだが、、、
スペイン 地元サックスクァルテットとの共演 
本田俊之編曲
テイクファイブ 地元サックスクァルテットとの共演
ラプソディ・イン・ブルー
自由への讃歌

ソロで何箇所か、と思い立って何人かに声をかけてまっさきに手を挙げてくれたのがここ松山の十時氏。ステージからピアノをみんなで降ろし、赤いじゅうたんを敷いて、と親密感のあるステージ作りなど余りの熱心さに頭が下がる思い。意外だったのは彼が役人だったこと。10年以上のつきあいになろうかと思うが、僕というものは職業は勿論プライベートを尋ねる習慣がないのだな、と改めて知った。

そしてその職場で僕のコンサートの実現について諮ってくれたところ、松前(マサキと読む)市内の三つの中学校の今年卒業する生徒を一同に集めて教育委員会からのお祝いと励ましにしよう、ということになったのだった。なんと素晴らしい、そしてありがたい。自分の曲ばかり、という目論見はこの際引っ込めてラプソディインブルーを含む入門メニューと解説にした。
二部の最初に女性職員の方の提案でピアノのそばで聞いてもよい、なんならピアノの下にもぐってみてもよい、とアナウンスすると10人以上が僕の周りとピアノの下。楽しかった。地元のサックスクァルテットもとても上手、というかよ〜くよくよくリハーサルしてるのがわかるコナレの良さだった。
1月16日(水) ソロ 大阪ロイヤルホース
1部 佐山旧曲
マーサ
タフ
サヤマンボ
Tears Of Nature
Sand Castle
インザベルベット
Floatin’ Time
で1部おわるつもりがまるで時間が短くて、中身は相当濃いんだけど僕のソロはどうも効率が悪いというか、、、。リクエストを2曲演奏してやっと小一時間。
スペイン
自由への讃歌

2部 Ponta Boxモノ
この会はリクエストから演奏
りんご追分
君をのせて
エリーゼのために
Love Goes Marching On
マタドール
Sand Witch
Pooh Song
Dream A While

3部
The End Of Season
Surf The Turf
In Your Qiet Dream
You Hide Something
Chase The Shade
Blow The Flow
Righteous Magnoria
Love Me A Little
Primavera
Harvest
1月17日(木) ソロ 大阪狭山市
さやま遊園地のあったところ。駅名もそうだったのだが、遊園地の閉鎖で変えたのだろうか。小さい頃に“こら!サヤマゆうえんち!”などとからかわれたのを思い出す。

小さい町なのだが立派なホールがあり、ここからは全国的な感想だが、それぞれに立派なピアノを常備しているのだから日本の文化度は大したものである。少なくとも外見は。

マイフェイバリットシングス <ピアニカ3台と共演
パリのお嬢さん
イパネマの娘
ひまわり
テイクファイブ
In Your Quiet Dream
Primavera
テネシーワルツ
シングシングシング
りんご追分
スターダスト
枯葉
ラプソディ・イン・ブルー
自由への讃歌
1月18日(金) セッション 大阪ロイヤルホース
昼間は天王寺でレクチャー絡み(ほとんど講座にならなかったけれど)のソロ。松山と大分の続きのはずが間が空いて、急遽の相談にも関わらず二か所で集まりを催してくれたギロック協会の人々に感謝しつつ、今ツアー唯一のバンドセッションへ向かう。

東原力哉(Ds)
荒玉哲郎(B)
というリズムセクションは名古屋に於ける島田黒田のようにファンの間にも定着してる模様で喜ばしい、そしてこれも名古屋と共通するのだがその面子なりのオリジナルサウンドが生まれつつあるのも楽しい。荒玉は急成長している。
ドラムソロのときにカウベルのトゥースリーがずっとキープされているのでシンセドラムによる打ち込みかと思ったら左足だった。左足でステディなビート、右足を含む残り全部でデフォルメされたソロ、である。大したもんである。うまかったのねぇ、と改めて感心したら“大事なのは音楽性でしょう”。さすがである。惚れ直した。勿論技術でなく音楽を買える人とでなければぼくは共演しない。ほとんど、、、。
1月19日(土) レッスン
バーンスタインの“シンフォニックダンス”ピアノ2台バージョンを演奏会にかけるのでアドバイスをほしい、との申し出に応じたはよいけれど助言などできるんかいな?と、とりあえず西宮北口の南改札東側(どんな駅じゃまったくぅ!)へ向かったが、意外に本人たちじゃなくて僕の気付くことも多かったし、クラシックの人は反対するだろうがジャズの視点からの僕の好み、奏法なども話せて胸なでおろし。何より僕の勉強になった。
12音技法を低音部にしての刺繍音のゼクエンツ、パーカッシブな音型と非和声音の組み立てなどなど。次回も約したので多少とも弾けるようにさらってみようか。
1月20日(日) ソロ 大分・ブリックブロック
1部 佐山旧曲
マーサ
マインドトーク
タフ
サヤマンボ
Tears Of Nature
Sand Castle
インザベルベット
Floatin’ Time
リクエストタイム

2部 Ponta Boxモノ
Love Goes Marching On
マタドール
Sand Witch
Pooh Song
Dream A While
リクエストタイム

3部
The End Of Season
Surf The Turf
In Your Qiet Dream
You Hide Something
Chase The Shade
Blow The Flow
Righteous Magnoria
Love Me A Little
Primavera
Harvest
リクエストタイム

何をリクエストで弾いたかよく覚えていないが、ひまわりはレミさんに書いたアレンジをピアノソロ用に覚えるといいと思った。荒城の月が来たのでこれ幸いとリンゴ追分のペンタ乗せややこしコードで始めたら、この曲はペンタトニックではなく、そこらじゅうで音がぶつかって苦労した、というかやはり出たとこ勝負のほうがうまくいく。中途半端な作戦は失敗の元。とはいえ失敗する様子もジャズの面白さのうち、ともいえる。いずれにせよずっと楽しくできたのは大きい収穫としてソロツアーを終える。
1月21日(月) 温泉オフ
自然に目が覚めるまで寝る。これほどの幸福があろうか。アマゾンで夢の中の鳥のさざめきが本当のことだった時は無上の幸福を感じたものだなぁ、などと起床しながらおっとりと別府へ向かう。去年のお誕生日にお世話になった青海。

お昼をいただくとお風呂にも入れるという太っ腹。早目についたのでまずひと風呂いただいてから前回の朝食と同じ海を眺める個室でお昼。喫茶部に入ってガラスに(=海に)一番近いテーブルで、やっとリードシートを書き上げた新作のスコアづくり。フレッシュジュース、ホットコーヒー、名物のホットミルク、カップだけもう一つもらって自主的にカフェオレまでつくってはしご飲み。一段落、いや二段落ほど片付いたのでもう一度お風呂に入る頃には日が傾いている。
ファンクハウスという名前のジャズバーに立ち寄るもシャッターが下りていて大分へ戻る。明日はフグなので韓国料理。骨付きを焼いてハサミで切ってくれるのは方雪花というとてもきれいな名前の若い娘さん。ホウ・セッカとそのまま読めばいいそうだ。マッコリで暖まった体をバードへ持っていく。辛島シュンジ君がいてワインを付き合ってくれるうちに、甲斐さんインタビュー上手もあずかって初めてじっくりと話し込むこともできて嬉しく楽しかった。
1月22日(火) ふぐオフ
Kさんに連れられて到着したIさんの事務所は毎年来ている芸術劇場のすぐ近く。そこで今日のメンバーが集合するのだがなんとこれから行く下関のおうちの女将(=社長)が車でお出迎え。霙にけむる関門橋を渡り終わったそのふもと、馬関戦争の時の大砲が陳列されているとなりに平家茶屋はある。玄関に波や花をあしらったあでやかな着物が飾ってあり、それはIさんからお店へのプレゼント。通してもらう奥の間の全面ガラス窓の下まで海。潮騒も聞こえて船に乗っているよう。先日飛鳥が通ったとのこと。

シャンペンの乾杯。あぶったからすみはかまぼこひときれほどもあり、早速贅沢。にこごり、煮物に交じって関サバのばってらが小さくひとつ。おけいずしで飲む前に酢メシが一口出てきて“悪酔い予防です”と教えてもらったのを思い出す。赤いワインを大きい大きいグラスでいただく中、てっさの大皿がでる。蝶をあしらって揚羽の大両翼が刺身。下の羽に湯引きした皮。薬味も3種ついてはいるが、今日の面々はカンズリを醤油に溶かしているのでそれに倣う。ピリリと引き締まって美味。そこへふぐひれ酒が出てくる。マッチをひと擦りして表面のアルコールを飛ばしたまだアツアツに刺身をひと潜りさせる“ふぐ酒しゃぶしゃぶ”。ふぐの味のエッセンスのみが凝縮されたような得も云えぬ感動が口に広がって飲み下したくない。

Iさんの事務所から持ち込んだ“櫻井”というイモ焼酎の古酒。23年間寝かせてから出してくるという。クセとコクがある種の甘味のように昇華されていて唸りながら笑いながら飲む。見ちゃおれん顔だっただろう所へから揚げ。衣と共にも美味しいが、お行儀悪く中身だけいただくとこれも旨みが閉じ込められた、味の濃さ。とはいえそのもとは淡白なフグなのだから応えられない上品さになる。いよいよお鍋になったところで社長の夫登場。なんと僕と同じ年齢。1月生まれなので学年は一つ上、とお決まりのやりとりのあと、共通の知人の話題。
彼は慶応ジャズクラブにいたというから、笹路、濱瀬などと一緒だったろうと思いきやKPSというフルバンドのサークルだったらしく、山口真文さんや野口伊織さんのほうの筋。大学へ入るまでは楽器をしておらず、ハンドボールの選手だったのを挫折していた折にコルトレーンにしびれてテナーを手にしたというから京都ラグの須田社長と似た経緯。須田氏はラグビー。負傷で引退を止む無くされ自暴自棄になっていた折にたまたま耳にしたレフトアローンに救われてアルトを手にした由。コルトレーンから入るというのもなかなかのものだが、やがてテナーからアルトに転向するというのも珍しい。逆はよくあるが。

楽しい話とふぐの出汁が利いて豆腐までがこの上なく美味しく感じていると白子酒というものが出てきてさあ大変。白子を湯通ししてうらごししたものに、、、あとは忘れたがあつあつのハフハフで甘みとろみが実においしく、コップ一杯がつるりと入る。お代りはいらないぐらい濃厚で気が済んでしまい、戻る焼酎が23年物というのだからぜいたくな話である。
酒のソムリエの資格もありながら客で楽しむのが一番だから決して自分では店は出さないという主義のIさんの愉快なうんちく話も尽きないが、はや雑炊。一日に400艙という海峡を行きかう船を見始めた頃には少しく見えていた窓下の砂浜もすっかり波の打ち寄せるところとなり、潮騒に交る打ちよせの音が極上の音楽。お向かいに座ったRさんのご自宅も福岡の浜辺だそうで、少々不便はあっても離れられないと仰る。そりゃそうだろうなぁ。2年飛鳥から遠ざかっただけで、なんだか船に乗りたくてしょうがなくなっている、海に憧れるのは本能だろうか。

小倉に送り届けてもらってそのままもちと寂しいと、K女史とともに立ち寄ったのは“タベさん”という地元の名士ミュージシャンのお店。閉まっているようだが中から音がするので入ってみるとバンドの練習の真っ最中。甘えて焼酎をいただきながらセッションしたり話し込んだり。宿にかえって三木俊雄くんと電話でツアーの打ち合わせをしたことはすっかり覚えていなくって、翌日着信履歴を見て電話してから指摘された。他に何をやっていたことやら。
1月24日(木) Four Hands Groove 目黒・ブルースアレイ
Blues Everywhere
Bud Powel
Sayamambo
You Hide Something
T , T , C & T
On Fire
Aroma Aroma Aroma
A Cat Called C
The Dog
Cantarope Island
Chicken

久々のFour Hands Grooveではあるが、間遠ながらも今までを圧縮してみたとして、このたびは実によかった。リズムに対する悩みが深かった半年・一年があり、小島にも相談したりもしつつこのところようやく長いトンネルを出られそうになっている。これが幸いしたのだろう、こなれた曲を理想のリズムセクションともいうべきコジコジと何のストレスもなく楽しくセッション。小島の新曲もあって、やはりFour Hands Grooveは時々組まなくては、と感じた。
1月25日(金) M'sジャズ講座 富士ロゼシアター(小ホール)
P-Bop
解説
Sing , Sing ,Sing
Maple Leaf Rag
Basin Street Blues
Sophisticated Lady
C Jam Blues
The Gift

地元ミュージシャンとコラボのような、ワークショップのようなものを、と要望されたのをお受けしたら現われたのは小野さんというベテランテナー奏者。たたきあげバリバリのプレイにこちらも燃え立つことしきり。ただ長喋りのあとはどうしても演奏に入り込むのに時間がかかる。やがて慣れるのだろうか。
1月28日(月) コンサートプレインタビュー ミューザ川崎
4月9日のミューザコンサートに向けて、会報誌のための取材を受ける。インタビュアーがいいのか、今度のコンサートはミューザ初の真正面ジャズであるから僕にリキが入っているのか1時間半ほど喋りまくってしまった。言いたいことを言いたいだけ言って、限られた紙面でどのようにまとめてもらえるか、これは週刊金曜日で覚えた被取材者の喜びである。

小川典子さんのエッセイというかコラムの後を受けて5月号から連載を依頼される。引き受けてはみたがクラッシックの会報誌に何を書こう?何せ小川さんのタイトルは“小川典子のUK便り”だもんなぁ。“佐山雅弘の日本温泉めぐり”じゃぁちょっとねぇ。
1月29日(火) 新年会 トミ藤山宅
トミさんの店子になんと国府弘子がいるというので、ひらめマネージャーも巻き込んでの新年会。たまたまKBMの原稿を抱えていることとて、うちのLPを持ち込んでBGMにしてもらいつつチャンポン飲み。
国府の話は面白い。その場の話題に合った本人エピソードが限りなく出てくるのである。それに反してトミさんのほうはどんな話が出ても最後には米軍キャンプやベトナム戦争(なんと彼女は戦争中慰門演奏に行っているのだ。日本人バンドを連れて!)の話になってしまう。それはそれで面白く楽しく、時に悲しく良い話。この両者のせめぎあいをにこにこと聞きながらちびちび飲む人肌燗酒のうまさよ。ピーターソン聞き込みはまた次回。

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2008年