Bike Touring --Vancouver Island--

Bike
Trip
Day 6
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Day 6

Day 6

Parksville ->
    Nanaimo ->
    Ladysmith ->
    Chemainus ->
Cowichan River

   101.42 km

   普通
   雨のち晴れ
   無風 -> 追い風 (北西)



テントの中で雨の音を聞いた。あるいは聞いたと思った。 時計を見ると6時10分。テントの入り口を開けて外をのぞき見る。小雨が降っていた。ラジオを早速つけて天気予報を聞く。 午後には雨は止むでしょう、とのこと。 天気予報はあまり当てにならない。たぶん、一日中降ったり止んだりの空模様だろうと思う。 まぁそれもいい。パラダイスにはたまに雨が必要なのだ。

天気が良くなるまでキャンプ地に滞在するという手もあった。予想に反して、前線は北の方から徐々に南下してきたようだ。 もし低気圧が僕よりも北方に位置していたのなら、昨日の風の動きは納得ができる。 この調子で行けば低気圧は今日の午後か明日の朝のうちに南に抜けていくだろう。 その時点で晴天のもと、北風に助けられながららくらくと南下できるはずだ。

だけど一日中雨が止むまでテントの中に滞在するということを考えただけで、うんざりした。 たぶん馬鹿なことをしているのだろうけれど、やっぱりすぐに出発したかった。

そういうわけで、出発することにする。すべての荷物をビニール袋にくるんで完全防水し、キャンプ地をあとにする。 キャンプ場は誰もいないかのように静かだった。他のキャンパーたちはまだ寝ているようだった。

昨日の経験から、内陸側のハイウェイ19を行く。 たぶん内陸側の方が海岸沿いの道よりも風が穏やかだろう。内陸の方はあまり景色が良くないだろうけれど、この天気ではどちらにしてもいい景色は望めない。

雨は止んでいたけれど道はまだ濡れていた。とくに路肩はひどかった。 車道側は割と水はけがいいのに、自転車が走る路肩はやたらと水はけが悪く、水たまりがあちこちに残っている。 なんでこうなるのか知らないけれど、そういうふうにできているのだ。

ナナイモに着くと、青空が見えた。しかも少しだけど追い風が吹いているようだった。追い風はだんだん強くなってきている。総合的に考えて、低気圧はすでに南へ去っていったのだ。よかったよかった。追い風のおかげでかなり快適に自転車をこげた。

1時半に Chemainus 到着。この町に住む Schiller さんに、一宿をオファーされていたのだけれど、あきらめた。ここで今日の旅を終えるにはまだ時間が早すぎるし、これから彼女に電話するには遅すぎる気がしたからだ。

Chemainus は町のあちこちの建物に見事なペイントがされているので有名な町だ。 ハイウェイを降りてちょっと寄ってみようかという気がしたけれど、それよりもむしろそのまま進むことを選んだ。この町はじつは前に両親と一緒に来たことがあるのだ。

ハイウェイは上り坂になってきた。空は快晴。 追い風はだんだん弱まってきたけれど、まだ完全に凪いではいなかった。 店も家も全くない。鹿の一家が小さな川のそばに立っているのを見かける。小さい鹿は水を飲み、大きい鹿たち(おそらく両親)は僕を注意深く見ている。僕の他には誰もこの鹿一家に気がついていないみたいだった。やがて再びいい感じの牧場を横目で見ながら自転車をこぎ出す。 不意に、 "TAKE ME HOME COUNTRY ROADS"を思いだし、歌い出していた。

* Country roads take me home
  To the place I belong
  West Virginia Mountain Momma
  Take me home country roads

Almost heaven West Virginia
Blue Ridge Mountains Shenandoah river
Life is old there older than the trees
Younger than the mountains blowin' like a breeze

*

All my memories gather round her
Miner's lady stranger to blue water
Dark and dusty painted on the sky
Misty taste of moonshine teardrop in my eyes

*

I hear her voice in the morning how she calls me
The radio reminds me of my home far away
And Drivin' down the road I get a feelin'
That I should've been home yesterday yesterday

**
「故郷に帰る」という言葉ほど、甘く切ない言葉はない。人が故郷を思う気持ちは古今東西かわらない。

ようやくハイウェイ18にぶつかった。Lake Cowichan はすごく綺麗なところだからぜひ行くべきだ、といわれていたので、ハイウェイ18を使って行くことにする。

ハイウェイ18はあいにく、疲れたサイクリストにとってはひどく長くていやらしい急坂だった。 さらに悪いことに、ずっと向かい風が吹いていて、ますます僕の体力が無くなっていった。 Lake Cowichan 行きを後悔し始めたけれど、もうおそい。

今日湖まで行くことは残念ながらあきらめざるを得なかった。湖よりも今日の宿を確保するだけことで僕の体力は限界に達しそうな気配だった。キャンプ場は Cowichan River Provincial Park という州立公園にある。 そこへ行くまでにいくつかガタガタ道を通らなくてはいけない。この時点でパンクしてはかなわないので、仕方がないので自転車を降りて手で押すことにする。

4時半に Cowichan Riv. Provincial Park に到着。僕の他には誰もいない。 強い風の音以外には何の音もない。若くて細い木がいっぱい生えているので、場所によっては強風のために木が倒れてくる危険がある。 キャンプ地を注意深く選んで、テントを設置する。

疲れ切っていたため、ベンチに座ってぼんやりとしているうちに1時間が経っていた。ぼんやりしていても仕方がないので、風で折られた枝をいっぱい集めて今夜のキャンプファイアーの準備をする。

走行するうちに、一組のパーティーが現れた。4,5才くらいの三人組をつれてきている。 そのうちの一人の女の子が僕のところへやってきて話をし出し、あっという間に三人組と僕は仲良しになった(このくらいの年齢のガキは好きなのだ)。 一緒に焚き付けのための枝を一緒に集める。弟と妹があちこちから枝を集め、一番年上のあにきが偉そうにこの枝はいいとかこれは湿っていてだめだとか判断する。このあにきはおかしらなのだ。 お頭の命令は絶対なのだ。この小さい子供たちがせっせと枝を集めている光景は結構おもしろいものがあった。 彼らの親は RV で来たらしく、ガキンチョたちは僕の小さなテントを興味深そうに見ていた。

キャンプファイアーに火をつけ、水を沸かす。 この水は手動式のポンプを使って得たものだ。こういう古いものが現役なのがうれしい。 パスタの夕飯を食べ、8:30 に就寝。 風は止んだようだが、寒かった。



 
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