Day 1
Home -> Horseshoe Bay -> Langdale -> Gibsons -> Porpoise Provincial Park Campsite
91.28 km 普通, 急坂(Gibsons) 晴れ 無風
朝6時。起きてすぐにベーコン&エッグとワッフルの朝食をとる。
準備万端、7時に出発。旅行の初日にいい天気になるとは、ついている。
重い荷物をわんさか載せた自転車をうまく扱うにはすこし慣れが必要だ。何も載せないときの自転車に比べて、ターンするときとブレーキをかけるときに予想以上の時間がかかる。それに、立ちこぎしにくいので急坂を上るときには一番小さなギアでせこせことペダルを漕がなければいけない。
バンクーバー市と北バンクーバー市を隔てる Burrard Inlet を渡るのに、SeaBus を使うことにした。他にも道が二つあるのだけれど、どちらも車用の高速道路で、自転車は煙たがられるからだ。 Kingsway と Victria ドライブウェイを使ってダウンタウンまでたどり着く。 Victria ドライブウェイで少し迷ったけれど、そのほかは交通量も案外少なく、いい感じだ。Waterfront 駅で SeaBus に乗り継ぐ。 実は SeaBus に乗るのはこれが初めて。自転車の人は後部座席に、自転車と一緒におとなしく座る。海からみるバンクーバーもなかなかいいもんだ。
次の目的地点 Horseshoe Bay ferry terminal に行くには ハイウェイ1(トランスカナダ)か Marine Dr. が使える。 少し坂があるけれど景色がいい Marine Dr. を使うことにする。 向こうからたくさんのサイクリストがやってくる。 すれ違うときは手を振るか頭全体でうなずいて挨拶する。 ぼくも同じように挨拶を返した。
Horseshoe Bay には 11:30 に到着した。なんと十分遅れで前のフェリーを逃す。次のフェリーは2時間後にやってくる。くそ!
フェリーを待っている間、バンクーバー島のナナイモからやってきた一組の夫婦と知り合いになる。旦那はマレーシア出身で奥さんは台湾出身だそうだ。旦那によると
二人でこれまで世界中を旅行したそうだ。旦那は僕のように自転車旅行をしたことがあるとのこと。 彼らはナナイモの住所を書いたメモを僕にくれた。電話すれば泊まらせてくれるとのこと。お礼にぼくの日本の住所を教えた。すごく親切な人たちだ。 一人旅のいいところは知らない人と知り合いになるチャンスが高いことだ。
1時20分。ようやくフェリーが来て、出発。 これはいい航海だった。船尾に陣取っていれば雪をすっぽりとかぶった west coast の山々が一同に見渡せる。 わかりやすい The Lions, Mt. Unnecessary, Mount Harvey... 本当に来て良かった!
対岸の Langdale に2時半に到着。 引き続き Marine ドライブウェイをゆく。 この道路は結構いい。たまに急坂があるけれどだいたいは平坦で、海が見渡せる。
そうこうしているうちに、Gibsons に入った。 Gibsons はこぢんまりとしたいい町だ。 地理的にはバンクーバーの目と鼻の先なのだけれど、町の空気はバンクーバーのそれとがらりと変わる。 一つには、この町はフェリーでしかたどり着けない陸の孤島だからだろうと思う。
Gibsons という町の名前は、George Gibson という人の名前から取ったものだ。George Gibson は19世紀後半に群がり出た開拓者のひとりで、1886年にたまたまこの地に漂着したのがこの町の始まりだった。このとき、かれは齢58。この地に定住してバンクーバーとガーデニング材の取引をするビジネスを開始したのだ。ビジネスは成功し、George は家族を呼び寄せて一家ますます繁栄した。そのうちに郵便局、銀行などができ、町の原型ができあがった。BC 州にはこの型の開拓者が多い。
Molly's Reach というのは
The Beachcombers という昔のテレビシリーズの舞台になったカフェで、いまも現役で営業している。とりあえず写真を撮って、近くの日用品店で牛乳を買う。お爺ちゃんオーナーが店の外のいすに座って、僕の顔を珍しそうに眺めた後、「兄ちゃん、自転車のロックはしなくていいよ。俺が見ててやるから。」
町ゆく人みんながこのお爺ちゃんに挨拶して通り過ぎる。この町のみんながお爺ちゃんを知っていて、お爺ちゃんはこの町のみんなを知っているような感じだった。小さな町の良さと窮屈さ。
Ocean Beach Esplanade という名前の海岸道路に進路変更する。なぜ進路変更したかというとそこにあったからだ。この道はすごい下り坂で、いい感じだった。
どんどん道を行くと、有るはずのない「行き止まり」の看板が。。。この時点で、あのすごい下り坂(今度は上り坂だけど)を引き返さなくては行けないことに、はたと気がついた。 犬を散歩していた若い女性にいい道がないか聞いてみたけれど、どのみちすごい坂を上らなくてはいけないということだった。 ひぃひぃ言いながらようやくハイウェイ101に戻ったのが 4:30 p.m. 今度は今夜キャンプするところを探さなくてはならない。この時点でもっとも近いのは Robert Creek P.P. と Porpoise Bay P.P. だった。残念ながら Robert Creek は5月15日にゲートが開くので、 Porpoise Bay に行くしかない。そういうわけでハイウェイ101をずっと西に向けてひた走ることに。道路自体は平坦で路肩も広いので、まぁよかった。 だけど水筒の水が空になって、しかも店(どころか家一軒も)ないので水なしでペダルを踏み続けなければいけないのがちょっときつい。
夕方6時(日の入りは8時半頃だからまだ明るい)ようやくキャンプ地の Porpoise Bay P.P. に到着。やれやれ。予想外の急坂がかなり堪えた。 まぁでも、キャンプ地自体はよかったから良しとしよう。実はこのキャンプ地はこの旅行中で一番良かった。サイクリスト専用のキャンプエリアがあって、そこから日の入りが見えるのだ。 水道水とトイレも手頃な距離にある。しかも無料の温水シャワーがついている! これで9ドル(720円)というのは、まぁ割といいんじゃないかな。
テントを設置してすばやくパスタをゆであげる。 簡単だけどすばらしい夕飯。 シャワーを浴びた後、8時半頃の日の入りを眺め、寝袋に。日頃怠けている体には結構きつい一日だった。足がすでに筋肉痛だ。 でも初日はたいていきついのだ。 それより何より今日の一日の成果にぼくは満足していてた。