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MadDic2-- 簡略拗音と歴史的仮名遣いについて

— 今よみがえる“未来的仮名遣い”の必要性—

 

さて、MadDicβを世に送り出した後、しばらくして、私は、
今度は、キーボードの文字配列に関心が移っていきます。
というのも、世間一般で使われている かな配列は、
使えば使うほど、その欠点が強く露呈してくるものだからです。

おそらくローマ字入力派の人の数%は、
かな入力を試していて、その使い勝手の悪さに嫌気がさして、
転向していってしまったのではないかと思うほどです。

事実、かな入力にも いくつかの弱点&欠点があることは、
私も認めないわけには いきません。
それが「拗音と濁音の存在(入力)」であり、
それを行なう基盤となる JISかな配列のキー配置のマズさです。

…ということで、もう、次の研究テーマは 必然的に決定ですね。(笑)

で、そこで何をしたかというと、まず、
打ちにくいといわれる最上段や右手外野のキーに割り振られている文字を
内側10列3段のキーのシフト文字として入力できるよう、
キーボードリソースの設定をいじって書き替えてみたのです。

これは コロンブスの卵というか、自分でも驚いたくらい画期的というか、
なぜこんな普通のことを 今まで誰も考えつかなかったんだろうと、
しばし興奮が収まらないほどの発見でした。

さて、即座に私は これ の第1弾を世に公開しましたが、
時すでに 20世紀末、かな入力をしている人なんて、
ほとんど いなくなってしまっている時代であり、
当然のように反応もなく、人々の関心も薄かったのでした。

しかしここから 私の“キーボード改革”は火がついたのでした。(笑)
理想のキー配列(英字については Dvorak配列でいいとして)を考案すべく、
日夜 研究と試作の繰り返しが 始まるわけです。

そんな中、ふと目にした「ナラコード」というキーボードを元に、
私は、たわむれに(笑)、50音配列のキーボードを考えてみました。

50音配列は、かつて家庭用ワープロが もてはやされていた頃、
一部のメーカーで あいうえお順というものが 作られていて、
これは 予想通り消滅してしまいましたが、
それでも生き残っている 50音配列があるんですね。

これは何かというと、
皆さんも 誰しも 一度は 経験しているのではないかと思いますが、
銀行のATMの文字入力用かな配列として採用されているんですね。
(こちらは縦配列で、あちらは横並びですが)

ま、それはともかく、50音配列というのは ある意味 有用なんですが、
その“私家版”ともいえるものを作った時、
特別フィーチャーとして「拡張拗音入力」ということを考えつきました。

これは 例えば、シフトしなから「さ/す/そ」を押すと
「しゃ/しゅ/しょ」が入力できるというようなもので、
これまた コロンブスの卵ともいうべき画期的なアイデアだったのですが、
いかんせん、これは、リソースの書き替え程度では
済まないレベルのものですから(IMレベルの作り替えが 必要)
これの代わりに簡単に実現できるものとして、私は、
「簡略拗音(入力)」という方式を 作り始めることにしたわけです。

すなわち、それは、上に述べた「拡張拗音(入力)」の逆で、
「しゃ/しゅ/しょ」を「さ/す/そ」で 置き換えてしまうという方法です。
これならば IMやリソースを書き替えることなく、
辞書を作り替えるだけでできますので、直ちに着手することができます。

これは 一見 乱暴な方法のように思われますが、
漢字の呉音と漢音の読みを比較すると、
昔から普通にある方式であることが わかります。
(※簡略拗音に関する参考資料はこちら:その1そ の2

オマケに、「拡張拗音(入力)」に比べ、シフト操作が必要ありませんから、
これは まさに画期的というか、
省力化という観点からも 採用しないわけには いきません。

しかし、ここからが MadDic2プロジェクトの始まりです。
つまり「簡略拗音」は、省打鍵という点では優れていても、
そのままでは ごく一部のものに対してしか 有益でなく、
多くの場合、従来からある漢字の読みとバッティングしてしまうんですね。
これを どうするかが「簡略拗音」の成否を握る 最重要課題というか、
研究の必要な部分といえるわけです。

ところが、ある種のものに関しては、
意外なところに“答え”が ありました。(ヒントでなく答え(笑))
それが なんと、「歴史的仮名遣い」なのです。
これは 今 思うと、古典の授業の中に眠らせておくには 惜しいほど、
素晴らしい“発明”であり、昔の人は すごかったと、
認識を改めずには いられません。
これこそ、21世紀の現代に かな入力を蘇らせる
救世主(笑)ではないかともいえるぐらいのシロモノです。(^o^;;;

つまり冒頭にも書きましたが、この歴史的仮名遣いが使われていた時、
まさか その表記のように発音していたとは 到底 思えないんですね。
ということは、すなわち、いろいろ調べてみた結果、
当時 紙というものは 貴重でしたから、
そのために考案された表記法なのではないかと考えることもできるわけです。
(※漢字の読みは 基本的には 中国での音を反映させていると考えられるのですが、
  多くの一般庶民は それを間違いなく使い分けていたわけではなく、
  ほとんどの場合 混同したり、短い表記となるものを用いていた)


振り返ってみると、今や 多くの人が
パソコンや 携帯電話で 文字入力をしている時代ですが、
その際、それに適した表記法というのを、誰が 一体 考えているでしょう?
誰も 何も 考えていないんですね。

まぁ、それはそれで 仕方のないことなのかもしれませんが、
目の前に先人の残してくれた貴重な財産がありながら、
それに気づかず、あるいは無視し、
その結果、ムダな労力をかけているのだとしたら、
どれほどの損失になるか わからないし、
全く以てバカげたことと、私なんかは思ってしまいます。
(#同様の例として東洋医学などの例もありますが)

さて、それはともかく、この「歴史的仮名遣い」の再利用によって、
日本語入力が 格段にやりやすくなっただけでなく、
ある部分、MadDic1が 出過ぎていた部分までをも
より自然な形に戻していくことが 可能となりました。
(※ optionキーを使って1ストロークで1文字入力するよりは、
  かなで そのまま2文字(音)入力したほうが 自然ですからね。
  しかも打鍵数は変わらず、ヒット率は向上するわけだし)


もちろん、「歴史的仮名遣い」だけで すべてが 解決するわけでは ないので、
そこは 新たに“打ち言葉”ともいうべき表記法を作らないといけないわけですが、
それに関しては、現在もなお研究中というか、ある程度できているというか(笑)、
試案は こちら です。

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ことえり2用・MadDic2辞書( 指定変換形式:2008年4月2日版:sit形式アーカイブ781.7KB )
ことえり4用・MadDic2辞書( 指定変換形式:2008年4月2日版:zip形式アーカイブ1.0MB )
ATOK14〈Mac版〉用・MadDic2辞書( 2008年4月2日 版:sit形式アーカイブ1.0MB
ATOK17〈Mac版〉用・MadDic2辞書( 2008年4月2日版:zip形式アーカイブ1.1MB

※拗音の二重母音を逆輸入型(キウキオ式)で 登録しています。
 ただし、濁音のものに関しては 音尾シフトしています。(キユキホ式)《暫定仕様》
※拗音の入声音(kt音)を単純簡略型(キャクカク式)で 登録しています。
 ただし、濁音のものに関しては 子音シフトしています。(ギャクケク式)
※拗音の単音については、単純直音型(シュス式)としています。
※促音(っ)は大文字にしています。長音は音引きバスター形式(=直前文字連打)で。
※単音の濁音に関しては、単純省略(清音化型)としています。
※該当する語のみ抽出したファイルとなっています。
※カタカナ語については 全く考慮していませんが、該当するものは含まれています。
※実用性は低いと思われるので、指定変換辞書形式(ことえり版)としています。
※ことえり版・ATOK版ともに、環境設定/辞書設定をお忘れなきやう。
※置き換えられている読みの“法則”は、改良のため予告なく変更することがあります。




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