加治丘陵に残る滝山古街道その2 地図はこちら

ところで、加治丘陵とはどこにあるのかご存じない方も多いと思いますので、簡単に触れて置きたいと思います。

加治丘陵は埼玉県の南部の入間市と飯能市及び東京都青梅市に渡る東西に長い丘陵です。秩父山地の東裾が関東平野に伸びた丘陵地で、丘陵の北側は入間川が流れ、南側は霞川が西から東へと流れています。また丘陵の南側一帯は有名な狭山茶の茶どころとなっています。

加治丘陵は東西約7〜6キロメートルで、南北約1.5キロメートルほどで、標高は250〜140メートルということです。この丘陵は現在も自然が多く残されていて、雑木林の中に貴重な動植物が生育しています。

上の写真と右の写真は金子神社から尾根上を北へしばらく進んだ辺りで、スギやヒノキの針葉樹が美しい景観を作っています。右の写真は尾根道が二俣なっているところで、写真は北から南を撮影しています。写真右側の道が金子神社への道で左は上谷ヶ貫の集落に下りて行く道です。

加治丘陵の豊かな自然は、森林浴、植物観察、バードウオッチング等と、都会のコンクリートの中の生活からは味わえない自然と接することができるのです。ここの丘陵にはオオタカも生育していることで知れれているようです。また春の植物として、マキノスミレ、コミヤマスミレ、その他多くのスミレ類が見られるそうです。それから山菜なども多いものと思われます。

丘陵には美しいモミやスギ、ヒノキの他、クリ、コナラなどの落葉広葉樹も多く分布しています。

右の写真の道は鎌倉道の雰囲気が伝わってくる素晴らしい尾根道です。山道というよりは古道の面影が感じられます。さすがにこの付近までくると不法投棄もあまり見られず、気持ちよく歩けます。

左の写真の辺りは尾根の西側に回り込み、道幅もやや細くなりますが、感じの良い切通しが続きます。この辺りは丘陵もかなり奥深いところで、現代的な人工物は見られず、中世の時代と全く同じ景観かもしれません。時折、遠くを走る車の音が微かに聞こえるだけで実に静かです。まるで自分自身が自然の中に溶け込んでいくようです。

実はここの加治丘陵は私の住む川越市からもそう遠くなく、このページを作成するにあたり、4回も訪れているのですが、いつ来ても、林業を行っている人に一人か二人位しか会いません。鎌倉街道の伝わる山道でよくお目に掛かるMTBの人も一度も出会っていません。

加治丘陵について調べてみると、この尾根の東側の地帯は、桜山展望台やサイクリングコースなどもあり、入間市の観光みどころとして紹介されているのですが、ここの尾根道は観光マップなどにも途中迄しか載っていなくて、この周辺は何も紹介されていないことに気が付きました。この尾根道は自然と触れることの出来る穴場かも知れません。そして記憶から忘れられている鎌倉街道なのです。

このページを作成取材中に、この尾根道の西側の、沢の辺り一帯が「さいたま緑のトラスト」の新たな保全地として指定されました。「さいたま緑のトラスト」とは、県民が主体となり、寄付を募って基金を作り、その資金を元に土地や建物をなど取得したりして、県内の自然や歴史的環境を守っていこうというものです。入間市寺竹の「加治丘陵・唐沢流域樹林地」がその対象地域です。そこでは、「豊かな自然環境が保たれ、深山幽谷を思わせる景観がある。」と紹介されています。

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