(かがやくみどり つちとみず 21せいきのみぬまたんぼ)






4.目玉 新市彩る大公園構想

 20〜50ヘクタール規模の公園を見沼に造る計画が進む。米国の公園にあやかってセントラルパークと呼ばれる。
 浦和、大宮、与野3市の合併を記念する公園といい、最有力とされるのがさいたま新都心東側。規制が緩やかだった時代から住宅や公共施設が立ち並ぴ、休耕田が広がる。
 3市の合併協議会に昨夏出た新市建設計画事業計画書に見沼グリーンプロジェクトという事業がある。
 予算は5年間で約10億6000万円。主に自然と触れ合うセントラルパーク構想について調査する。
 前段階の非公開調書は6年間で計約200億円という試算だった。公園を整備すると明記し、用地買収に約123億円を計上していた。予算が膨らんだのは構想調査と事業を同時に進める想定だったためで、最終段階で調査中心の10億円規模に修正された。
 提案した浦和市政策企画課は見沼を新市建設計画の目玉になるとみている。200億円という数字について担当者は「あくまでもたたき台。夢を持ってやっていきたい」と話す。大宮市企画調整課の担当者も、新公園と新都心、氷川神杜参道を結べば緑の回廊になると夢を語る。

広がる夢 膨らむ費用

 だが、財源をどうするか。新市側には、「公有地化の基金で土地を買ってほしい」という本音がある。そうした姿勢や構想に対しては「合併バブル」「保全でほなく、単に公園を造りたいだけなのではないか」という批判もある。
田んぼと斜面林の間を素掘りの代用水が流れる。最も見沼らしい風景とされる一角に県のウエットランド構想予定地がある。
 休耕田を湿地に戻し、斜面林と合わせて約5ヘクタールを自然観察や散策の場として整備する。基本設計図まで完成したが、財政難で凍結したまま2年がたった。
 「公有地化の基金を投入して早く整備を」という声もあるが、「それを許せば『セントラルパークも』ということになりかねない」と県は否定的だ。
 仮に財源があっても、地権者が応じなければ構想は実現しない。地権者側からの土地の買い取り要請は1度もないという。だが、見沼では「地主が売りたがっている」とうわさが消えてはまた流れる。
 地権者の1人の清水信夫さん(61)は「地権者でもない人に勝手なことを言ってほしくない」と腹立たしげだ。親が亡くなり、相続税の納税猶予と引きかえに20年の営農を選んで畑を作る。
 「売ってもいいが、今は先祖伝来の土地を淡々と耕したい」と話した。

朝日新聞埼玉版(2001年(平成13年)4月11日 水曜日)から転載

 




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