「青森遺跡探訪」掲示板旧石器捏造事件ログ4

 このログは、青森遺跡探訪の閉鎖にともない青森遺跡探訪案内人の了解を得て転載したものです。転載にあたり体裁を一部変更しています(01.4.16 早傘)

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[301] Res#291トンビさんの問題提起に対して(前) 投稿者:makoto-s 投稿日:2000/11/29(Wed) 00:14:51 [ppp11-135.din.or.jp]

(1)「今まで発見されてきた前期旧石器は全て信用できない」と「日本に前期旧石器はなかった」は同じ意味なのか?

 これについて「不当に同一視している」という指摘を受けましたが、むしろ私にはこの2つが明確に区別されていないような気がします。

 ネット上での議論の特性のひとつに「検証不十分なままの事象」が「証明された事実」であるかのごとく流布したり、いわゆる「とんでも学説」が賛同者を得て拡大再生産されていくということがしばしば見受けられます。

 今回の事件は、調査団長自らが「ねつ造」に走るというショッキングかつスキャンダラスなものであるため、一部(ここの掲示板でと言う意味ではありません)には感情的な非難が出始めていることにも注意しなければいけないと思います(そのために閉鎖された考古学HPもいくつかあるという話です)。

 「上高森遺跡第6次調査」と「総進不動坂遺跡第3次調査」以外の「前期旧石器時代遺跡」で「ねつ造」があったのか、なかったのかは、現在検証作業中であり、この検証作業の結果をもって議論すべきではないかと思います。

 現段階で、当事者でもなく、実物資料も記録も見ずに「ねつ造はあった」「ねつ造はなかった」と言ってみても推測や憶測に他ならず、決して生産的なことではないと思います。

 また、ネット上では不確定な情報がいつの間にか「確定した情報」となってしまうことはよくあることなので注意が必要であると思います。

 さらに「前期旧石器遺跡の存在は信用できない」という理由については、小田静夫氏が主張されたように「出土した事実」は認めた上で、出土したものが自然に割れた「偽石器」が「自然に堆積したもの」を「遺物・遺跡と誤認している」という考え方と竹岡俊樹氏・角張淳一氏が主張されるように「遺跡のねつ造」(角張氏は明言されていませんが)という考え方の2つがあります。

 前者の考え方では、「出土した石器がねつ造されたもの」ではなく「出土した石器の認定方法」に問題があり、後者ではまったくの問題外ということになるでしょう。

 結果論としては「前期旧石器ではない」としてもこの両者には大きな違いがありますのでこの2つには明確に区別して議論すべきだと思います。

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トンビ > ネット上の議論の特性の一つは、相手が主張してもいないことに対して反論する、です。難波さんだけは、全部捏造と断言しているように読める発言をなさいましたが、ほかにそのようなことを言った人はいません。私の主張は、「捏造はなかった」ことを証明しない限り、信憑性の回復はできない状況だが、「捏造はなかった」ことの証明は原理的に困難である。したがって、必然的に、信憑性の回復も非常に困難である、というものです。人の主張を踏まえて議論していただけると幸いです。 (2000/11/29(Wed) 10:09:32)[canal.wslab.ntt.co.jp]

難波紘二 > はい、私は藤村が関与した発掘は、1980年代の初期からぜんぶねつ造だと思います。 (2000/11/29(Wed) 10:35:47)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

makoto-s > 私の上記の発言は『「前期旧石器は信用できない」と「前期旧石器は存在しない」ことを不当に同一視している』というトンビさんの指摘に対して私の考え方を述べたものです。トンビさんが主張されていないような発言をしたかのような誤解を招くような書き方であったことをお詫びいたします。 (2000/11/29(Wed) 21:17:38)[ppp11-251.din.or.jp]

岡安光彦 > こう言うと、皆びっくりするかもしれないけれど、難波さんのいうとおり、だめだと思います。辛いけれどね。ただ、あの一群の「前期旧石器」は大変よい練習問題となると思います。旧石器研究は、徹底的になぜだめかいいか、長い時間をかけて練習問題を解き直して欲しいと思います。 (2000/11/29(Wed) 22:24:15)[rt.ctktv.ne.jp]

トンビ > 岡安さんを支持します。また、上にも書きましたように、makoto-sさんの書かれることは典型的な詭弁です。「前期旧石器は信用できない」と主張するものが、「前期旧石器は存在しない」という主張と自分の主張を明確に区別もできていないという、ありもしない事をでっち上げて批判しているわけで、このような不誠実な態度には強い不快感を表明致します。 (2000/11/30(Thu) 10:30:02)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > わたしとしては、岡安さんのようなお考えが考古学内部の大勢であるか、makoto-sさんのようなお考えが大勢であるか、ここに関心が集中しています。岡安さんのような考え方が普通であることがわかれば、これ以上投稿を続ける意味はないと思っています。 (2000/11/30(Thu) 10:39:30)[canal.wslab.ntt.co.jp]


[302] Res#291トンビさんの問題提起に対して(後) 投稿者:makoto-s 投稿日:2000/11/29(Wed) 00:15:31 [ppp11-135.din.or.jp] 

(2)捏造がなかったことを証明するのか、それとも捏造があったことをするのか

 「ねつ造があったか、なかった」を検証するわけですからこれについては「結果」ではないか思います。

 ただし、考古学を含めて歴史学においては「存在すること」は、証明が可能ですが、「存在しなかったこと」を証明することは極めて困難です。

 そのため、「ねつ造があった」ことは証明できるとは思いますが、「ねつ造がなかった」ことを確実に証明することは出来ないだろうと思います。

 

(3)どちらも証明できなかった場合(可能性は高い)、どうするのか

 この場合においてはとるべき方法は2つでしょう。

 ひとつは「すべてを研究資料として使わないこと」、もうひとつは「参考資料程度に使うこと」、です。

 考古学では「出土地点・出土状況が明確な資料」が最も重要で、次いで「出土遺跡のみが明確な資料」「出土地点が不明の資料」の順になりますが、せいぜい「出土地点が不明の資料」と同じか、それ以下の資料としてしか使えないということになるでしょう。

 もっともきちんと研究しようとするならば「使用しない」ことが最善であるとは思いますが。

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トンビ > 何を証明するのかによって、調査の目的は変わるでしょう。捏造があったことを示す物証がなかっただけでは、捏造がなかったことの証明にはならないのですよ? (2000/11/29(Wed) 10:13:31)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > 最善が「使用しない」であるならば、使用するべきではないのでは? (2000/11/29(Wed) 10:14:01)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > 藤村氏の他の出土物は、単に出土地点不明、ではすまないのでは?年代もなにもかも不明ということではないでしょうか。 (2000/11/29(Wed) 10:15:01)[canal.wslab.ntt.co.jp]

tak > 彼が関わった遺跡についてはとりあえず、陸上競技の参考記録のような扱いになるのでしょうかね。 (2000/11/29(Wed) 16:16:52)[h028.n068.nhk.or.jp]

人類学学生 > 疑わしいデータを参考にすれば、それだけでも非科学的と思いますが?  (2000/11/29(Wed) 19:57:33)[kwgcd-02p26.ppp.odn.ad.jp]

tak > 今後発掘されたり、彼が関わっていないほかの遺跡の出土物と良く一致するものであれば、分布の考察などでは視野に入れてもいいのではないかな。共に発掘に参加した善意の調査員の成果は少しでも救い上げられればと思うのですが。 (2000/11/29(Wed) 21:03:17)[h028.n068.nhk.or.jp]

makoto-s > 上記の発言の内の後半部分は「ねつ造の有無を証明できなかった場合」のことであり、「疑わしいデータ」は使用すべきではないということはそのとおりだと思います。ただし、今後の発掘調査によって「間違いなく前期旧石器の遺構・遺物」が確認され、その資料と「ねつ造疑惑のある資料」とを比較して「ねつ造された可能性が弱まる」可能性が指摘できるようになった場合において「参考資料」として使用できるのではないか、との予察です。少なくとも第1次資料としては使えないのはまちがいありません。 (2000/11/29(Wed) 21:21:59)[ppp11-251.din.or.jp]

makoto-s > 「ねつ造があったか、なかったのか」を証明するための検証だと思います。「ねつ造がなかったことを証明する」でも「ねつ造があったことを証明する」でも不完全であると思います。 (2000/11/29(Wed) 21:32:25)[ppp11-251.din.or.jp]

makoto-s > 「出土地不明」については「資料レベル」の話であり、厳密な意味で使用していません。紛らわしい表現をしてしまい申し訳ありませんでした。 (2000/11/29(Wed) 21:33:31)[ppp11-251.din.or.jp]

トンビ > 困りますねえ。。。makoto-sさんは、捏造の有無を証明できなかったときどうするのか、という私の問いに答えて、捏造の可能性が薄まった場合のときを書くのですか??? (2000/11/30(Thu) 10:18:47)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > 若干疲れて来ましたが、捏造がなかったことを証明する、で、どこが不完全なのですか?どうも言葉をもてあそばれておいでのようですが、このような詭弁を弄してまで、藤村遺物を最大限救済しようという姿勢には不快感を表明致します。 (2000/11/30(Thu) 10:24:52)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > よくわからない意見が多いなあ。。。出土地点不明のものを、分布の考察にいれてしまうのですか? (2000/11/30(Thu) 13:37:02)[canal.wslab.ntt.co.jp]


[303] ねつ造の検証 投稿者:まりや 投稿日:2000/11/29(Wed) 12:19:39 [e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp] 

ねつ造の検証に際しては、個別に具体的に事実に則してやってもらいたいと思います。素人が口をはさむ必要もないでしょうが、何につけても十把一絡げにするのはいやです。藤村氏が認めている2つの遺跡以外も全てやって欲しいのはもちろんですが、逆に上高森と不動坂にも藤村氏の手が触れていないものが出ている可能性もあると思います。

藤村氏が現場に来る以前に発掘されたものがあったとしたら、それは白といえるのではないでしょうか。もちろんターゲットの層まで、剥いである状態で無人になる時間があったらアウトかもしれません。(その場合でも藤村氏が絶対来れないことが証明されればOKかな)例えば未だもっと上層の発掘段階で何層か下まで掘り返して石器を埋めて地層まで元に戻すということはできないですよね?。そういう時間的経過や、誰がその場にいたかとか、掘り出された状況とか全て厳密に調査し、報告して欲しいです。それと、前期旧石器以外にも上層から出た縄文時代とかの遺物があれば、それも検証して欲しいですね。

あと、穴はどうなんでしょう?藤村氏が単独で誰の立会いもないまま、半分残すこともしないで掘った穴ありましたよね。後の穴は藤村氏以外の人も掘り出したと思うのですが、その辺はどうなんでしょう。そういうものも「ねつ造」できるのでしょうか。

もう一つはねつ造かどうかの検証とは別に、地層の年代についての疑義あるいは石器そのものの評価等等、学術的な問題も検証されるのでしょうね?

全ての遺跡そのものが価値が無くなったかのような話も聞きますが、調査結果を待ってから議論しても遅くない?のかもしれません。

この段階で関係者でもなければ知ってる方いないかもしれないけど、藤村氏の関係した発掘の様子がわかるような情報はないでしょうか。

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makoto-s > 現在行われている検証作業では「遺物・遺構が出土した日」と「藤村氏が現場にいた日」とをつき合わせることから始められているようです。(新聞・テレビの報道による) 「藤村氏が来て埋めていった」可能性はあるでしょうから「藤村氏が来る前」から遺構・遺物が出土していればある程度「疑惑」は晴らせるのではないかと思います。 (2000/11/29(Wed) 21:26:42)[ppp11-251.din.or.jp]

makoto-s > 穴(遺構)についてはすべて掘り上げられてしまっていると検証はほぼ不可能でしょう。写真から判断する方法もあるでしょうけれどもかなり難しいと思われます。また、遺構の覆土・埋土というのは「色が違う」「堅さが違う」等を基準に発掘するのでこれも掘り上げてしまった後では検証は難しいだろうと思います。 (2000/11/29(Wed) 21:29:34)[ppp11-251.din.or.jp]

makoto-s > 地質の年代については火山灰・有機物などで年代測定をする方法がありますので検証は可能だと思います。 (2000/11/29(Wed) 21:31:04)[ppp11-251.din.or.jp]

岡安光彦 > 学問の世界は厳しいもので、判官贔屓は通りません。私は、あまりにも汚染が激しいので、ゼロからやり直したほうがいいと思います。藤村の行為はゼロでなくて、マイナスの行為だったので、0に戻すだけでも、なかなか大変です。 (2000/11/29(Wed) 22:29:35)[rt.ctktv.ne.jp]

koyugun > 地質の年代については、さほど極端な違いは出ないと思います。何年もの間にデバイスの精度と技術の向上があったために生じる誤差は、測定法によっては無視できない数字になる可能性は否定できないと思いますが。 (2000/11/29(Wed) 23:25:46)[myzcc-02p62.ppp.odn.ad.jp]

koyugun > しかし、年代測定も行ったほうが良いでしょうね。年代測定は問題がなかったということを証明するためにも。 (2000/11/29(Wed) 23:28:29)[myzcc-02p62.ppp.odn.ad.jp]

トンビ > 藤村氏が、記録に残らない形で遺跡を訪れていなかったことを証明できますか???? (2000/11/30(Thu) 10:31:24)[canal.wslab.ntt.co.jp]

まりや > 記録に残らない形で遺跡を訪れていなかった???すみません。日本語さえおぼつかないようです。 (2000/11/30(Thu) 12:53:28)[e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp]

まりや > 岡安さん、0に戻すということは、「岡村氏関連の遺跡はなかったことにする」と考えてよろしいのでしょうか。石器文化談話会の人たちやボランティアで掘ってこられた学生その他の方々、いろんな関わりのある方々を思うと胸が痛いです。でも、感傷と学問は別のこと。致し方ありませんね。ほんとにいろんなマイナスを作ってくれたもんです。 (2000/11/30(Thu) 13:09:56)[e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp]

トンビ > 藤村氏が来る前に出土した、ってことを証明するためには、出土する前には藤村氏は来ていなかった、ってことを証明しなければならないでしょう?それはどうするんですか???ってことです。藤村氏は実は来ていたけど、記録には残っていない。その可能性を否定するための証明はどうやってやるんですか? (2000/11/30(Thu) 13:31:55)[canal.wslab.ntt.co.jp]

まりや > 彼はサラリーマンだったんですよね。土曜日仕事が終わってから現場に駆けつけたらしいですね。例えば、ある層が掘られ始めた時間から何かが出た時間まで、彼が仕事をしていたら、それは白です。距離や時間の関係で来られないということでもいいと思います。その層が出てから発掘が中断されている時間があったら、だめですね。夜の間や朝に埋めたとかの可能性が残るのですから。そうやって消していくと何も残らないのではないか。そんな気はします。でもそれはあくまで私の感じなので、事実はどうか冷静に知りたいのです。だから、一つ一つの出土品について検証して欲しいのです。 (2000/11/30(Thu) 15:08:39)[e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp]

トンビ > 捏造発覚の際にも、彼は早朝未明に遺跡に現れて、捏造して、帰っていったのです。まりやさんが言う通り、そうやって消して行けば、確実に何も残らないでしょう。わたしはご提案の検証作業というのは時間と労力の無駄だと思います。 (2000/11/30(Thu) 17:11:17)[canal.wslab.ntt.co.jp]

まりや > 当事者が時間と労力の無駄と判断されたらそれまででしょうね。私は遺跡も見たことがないし、どんな石器がどのくらい出ているのかも知らないし、発掘の様子も知らないので、「何も残らないのかな」というのは私の予想というか感想です。自分の感想と「事実」は分けて考えたいので、私には今は「確実に残らない」と断言することはできません。なんだか、まわりくどくてごめんなさい。この後の興味は前期旧石器時代研究の「本当の」到達地点は何処かということです。 (2000/11/30(Thu) 18:02:42)[e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp]

まりや > makoto-sさん、koyugunさん、ありがとうございます。またいろいろ教えてください。 (2000/11/30(Thu) 18:10:40)[e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp]

トンビ > まりやさんの「知りたい事実」を、わたしもできれば知りたいですが、藤村氏が口をつぐむ限り、我々には絶対に知り得ないのです。我々は推定するしかない。どんなに確実性が高くても推定は推定です。推定の合理性、確実性を高めることしかできないのに、「完全な証明」「完全な事実」をあくまで求め、それが出てこない限りは捏造だと推定することすらできないはずだとするのは、非合理極まりない態度です。また、学問では信憑性に重大な傷がある証拠は用いないものでしょう。どうも一つ一つ反論するのが疲れますが、地質の年代がどうのこうの細かいことを言っても、そこの地質から本当に出てきたのかもわからないのだから、上の議論は全く無意味だと思うのですが??? (2000/11/30(Thu) 19:33:49)[canal.wslab.ntt.co.jp]


[304] ごめんなさい 投稿者:岡安光彦 投稿日:2000/11/29(Wed) 23:19:48 [firewall.ctktv.ne.jp]

この間は、つい「よかったよかった」などどと書き込んで申し訳ありませんでした。ただ、相馬さんが、’管理に戻って来てくれてうれしかったものですから。

私も、今年の二月に父を亡くしました。ちょうど、昨年の年末から危なくなって、正月あけに入院しました。入院した後、一喜一憂していたのですが、しばらく大丈夫だといわれて、ほっとして帰ったその日に、死んだという知らせが入りました。

いまだに、毎日のように、生きて元気な父の夢を見ます。

ああしておけばよかった、こうしておけば、と思っても、逝ってしまった人は、もう戻らない。

すごく辛いことですよね。

どういっていいのか、わからないけれど、おたがい、ふんばりましょう。

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案内人 > 岡安さん、気になさらないでください。私も岡安さんが私の復帰を喜んでくれているのだと思っていましたから。私も今回父を亡くしまして、同じ境遇ですね。大分前から覚悟はしていましたので・・・。父の死に目に立ち会え、それだけは良かったと思っています。病室から見えた津軽富士の岩木山がとても綺麗で、それを父に見せてやることができなかったのが残念です。 (2000/11/29(Wed) 23:29:53)[c5-182.actv.ne.jp]

bambi > 大変なご心境の中、かくも早期の再開を心よりお礼申し上げます。くれぐれもご無理をなさらないでください。 (2000/11/30(Thu) 05:21:02)[cse4-46.nishinomiya.mbn.or.jp]

案内人 > bambiさん、お心遣いありがとうございます。亡き父はこのページのことをほとんど知りませんでしたが、あの世から「ガンバレ」と励ましてくれていることと思います。 (2000/11/30(Thu) 06:31:42)[c5-182.actv.ne.jp]

まりや > 私も父を亡くしました。まだまだ、これからという時でした。胸中お察しします。私だったら、とても掲示板のお守りはできなかったと思います。感謝しなくては… (2000/11/30(Thu) 18:16:09)[e7sun-1.kais.kyoto-u.ac.jp]


[305] 質問:日本の考古学界 投稿者:bambi 投稿日:2000/11/30(Thu) 06:06:48 [cse4-46.nishinomiya.mbn.or.jp] 

一般人の情報源としたら、通常、一般新聞紙かインターネット経由しかないのですが、このところ新聞発表がかなり減って、残るはインターネットのみということになってしまいました。

質問なのですが、日本考古学協会と日本考古学会、どう違うのでしょう?

専門が違うのでしょうか?

ホームページ検索で調べたところ、日本考古学会(The Archaeological Society of Nippon )は、明治28年設立。ホームページはみつかりませんでした。日本考古学協会のHPは、http://www.avenue.co.jp/~kouko/でしたが、今回の事については、何も述べられていませんし、英語版もありませんし、E-mailアドレスもないようです。

毎日新聞のHP、http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/iseki/200011/07-11.htmlでは、

>考古学で最も権威ある学会とされる「日本考古学協会」(東京都江戸川区、会長・甘粕健新潟大教授)

>1948年に発足し、会員数は約3600人。藤村前副理事長は84年に加盟したと、あります。今後の事件の展開として、この日本考古学協会の動きを一番注目しておけばよいのでしょうか?

又、今回のKeally氏の特別報告の掲載された

The Sosiety for East Asia Archaeology(東アジア考古学会)は、考古学界においてはどの程度の影響力があるのでしょうか?

考古学関係者は、ここは、当然見ているサイトなんでしょうか? 

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bambi > 上の「ここ」とは、http://www.eastasianarchaeology.org/     の事です。 (2000/11/30(Thu) 09:57:13)[cse5-11.nishinomiya.mbn.or.jp]

E.T. > タイトル、佐々木藤雄氏のまちがいでした。訂正いたします。 (2000/11/30(Thu) 12:40:08)[barolo-gw.osaka-gu.ac.jp]

bambi > E.Tさん、出来ましたら上の書込みを削除していただけないでしょうか?「青森遺跡探訪」掲示板 のタイトルの下の[記事削除]から簡単に出来ます。ご協力よろしくお願いいたします。 (2000/11/30(Thu) 19:43:57)[cse4-36.nishinomiya.mbn.or.jp]


[306] 佐々木静雄氏の見解を読んで 投稿者:E.T. 投稿日:2000/11/30(Thu) 12:36:59 [barolo-gw.osaka-gu.ac.jp] 

今回アップされた本の序文、またそれ以前に「異貌」に発表された三内丸山「縄文文化論」批判を読ませていただきました。今回の捏造発覚によって瓦解した前期中期旧石器時代の話と、あまりにも似た構造を持つことに驚くと同じに、素人ながら「やっぱり」という感想をもちました。捏造発覚の直前に岡田さんと小山修三氏の対談に基づいた『縄文の商人たち』(題名、ちょっと違うかも」という本を読んだのですが、これまでの定説を覆し、縄文人のイメージを変えるということに力点があり、どう実証できるのかという点は弱いと感じていました。物の流通があったということと、専業の商人集団があり、三内丸山が港町として栄えていたという話にはかなり落差があります。また、商港だから女郎屋もあったはずだという小山さんの話にいたっては「語るに落ちる」というか、なんとも。岡田さんは小山さんとつきあうのをしばらくやめて、発掘物としずかに対話された方がよいのではないかと思いました。 

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E.T. > タイトル、静雄ではなく藤雄氏でした。お詫びして訂正します。 (2000/11/30(Thu) 12:42:02)[barolo-gw.osaka-gu.ac.jp]

bambi > 直接このBBSに入って来た方のために… 案内人さんのご紹介のあった http://jomon.cside.ne.jp/sasaki-book-2000/sasaki-book.htm  でした。 (2000/11/30(Thu) 13:49:07)[cse9-8.nishinomiya.mbn.or.jp]

案内人 > 小山修三さんは、地元新聞の紹介によると最近では、「考古学の伝道師」を自認されているとか。小山さんって、考古学者じゃないと思っていたので、勝手なことを伝導していただくと困ると思うのですが。岡田さんと小山さんは、もう腐れ縁みたいなもので、お互い離れられないでしょう?たとえは悪いのですが、まるで漫才コンビのようで。そう言えば、どこかに、似たようなコンビがいましたね。早く、佐々木さんの著作を読んでみたいものですが、青森の本屋さんでは入荷しないところが多いとか。 (2000/11/30(Thu) 20:38:49)[c3-070.actv.ne.jp]


[307] ブリードの反論 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/11/30(Thu) 15:28:01 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp] 

キーリィ報告に対する反論の翻訳です。ブリード氏は、今年の春から客員教授として東北大学に滞在している人類学者のようです。たぶん日本語はあまりできないと思います。反論には引用文献も、注もありません。

特別報告:スキャンダルを発掘する

ピーター・ブリード(東北大学博物館、客員教授)

総進不動坂と有名な旧石器時代遺跡上高森に石器が埋め込まれていたというスクープは、日本社会に衝撃波となって伝わった。この残念な事件のあたえた衝撃の全貌は、たぶんまだ完全にはあきらかになっていないし、悲しいことに、不正行為の範囲すら完全には解明されていないのだ。にもかかわらず、C.T.キーリィによる問題の学問的状況についての評価は時宜をえたものであり、思慮深いものだ。これにより問題は国際的議論の対照となり、確かに考古学者や他の旧石器時代研究や人類の進化に関心を抱く研究者に読まれるだろう。報告に「予備的報告」とつけることで、キーリィはこれについての議論が続くと予期していることを明白に示している。読者が意見を述べる気になったとしても、彼が驚くには当たらないだろう。

およそ25 年の間、私は大部分日本国外に住んでいて、日本の初期・中期旧石器時代研究については、辺縁から観察していた。過去6ヶ月間、私はこの研究と現役の研究者とより密接な関係をもってきた。私はキーリィが提起した問題点のすべてを議論する立場には問うていないが、研究者社会は彼が報告したスキャンダルを解明する作業をはじめなければならない。こういう精神に基づき、キーリィが提起した問題点のいくつかに、私が答えなければならない。

キーリィが提起した問題点のなかで、もっとも重大なのは以下の点だと思われる。

1. 藤村新一が初期・中期旧石器遺跡のほとんどに関与していることにより、全ての遺跡が疑わしい。

2. 初期・中期旧石器時代遺跡の出土物は疑わしい。

3. いわれている初期・中期旧石器遺物がえられた地表は問題がある。

1. すべての初期・中期旧石器遺跡は汚れたか?

藤村が現存する前期・中期旧石器時代遺跡のほとんどすべてを発見し、ほとんどの発掘に参加し、多くの石器を「発見した」のは、疑いもない事実である。にもかかわらず、論理的にも、歴史的情報に照らしても、これらすべての遺跡を丸ごと破棄することはできない。

1970年代の終わりから、藤村は旧石器時代遺跡を発見するのに多くの時間を費やすのをはじめた。ほかに仕事がないのだから、彼は職業的な研究者が探索できない場所を自由に探ることができた。当時は、日本のバブル経済の時代であり、とてつもない数の新しい地層が掘り起こされ、彼はそれを観察できた。また時はあたかも、地質学者たちが本当にすぐれたテフラ年代決定の研究を行っていた時代でもあった。これにより藤村は、探すべき地層を狭めることができたのだ。もしほんのちょっぴり疑いを広げれば、これはまさに初期・中期石器時代にふさわしい場所を見つけるための研究だったと認めざるをえないだろう。

日本は狭い国で、研究者のネットワークも小さい。藤村のような社交的な人物が、発掘中の場所を訪問することは、私にはちっとも不思議でない。同様に、発掘している場所の地層学的知識が十分にあるのだから、藤村がその地層から石器がでる直前に、その場を訪問し、それが歓迎されたとしてもまったく不思議でない。初期・中期旧石器時代の発掘は、すべて能力あり、責任ある研究者たちにより、監督されてきた。かれらがすべて「間抜け」であったとは信じられないし、彼らの仕事のぜんぶを不注意だったとして、捨て去ろうとは私は思わない。

(中略)

2. 前期・中期旧石器とその配列は洗練され過ぎているか?

日本の前期・中期旧跡時代遺跡からの石器についての主な不審は、あまりにも洗練され過ぎている、ということだ。キーリィは、梶原洋が縄文時代の石器のようだと言った、と引用している。私は梶原の研究室にあるコレクションを観察し、キーリィ報告にあるのとよく似た会話を彼とした。私の受けた印象は、しかし、キーリィのそれとは違う。梶原は、初期旧石器は縄文遺跡からみつかった石器と類似している(comparable)と言ったのだ。もちろんこれは、「縄文石器と区別がつかない」というのとは、全然違う。

多くの石器を研究し、沢山のフリントを割ってきた経験に基づく私見を述べると、キーリィが議論している「二面性石器」はかなり基本的な(fairy basic)石器時代のものだ。

I am far more surprized by the several small ovoid bifaces that look pressure flaked than I am by the mid-sized bifaces. (この一文は、than以下の構文の意味がわからないので訳せません。英語オタクさん、出番ですよ)これに比べれば、例えばアフリカやヨーロッパのアシュール石器などは、あくびが出るほど単調だ。

(中略)

最後に、日本の遺跡から出土した石器の質について、留保を表明するというより大きな問題がある。これらの発言に含まれている仮定は、日本と東アジアの出土品は、「西欧」において観察されたパターンと照らし合わせて理解されなければいけない、というものである。私はこの仮定を拒否する。私は、日本の前期・中期旧石器遺跡から発掘されたすべてのものを、理解できているわけではないが、それがフランスで報告されたものと似ていないから「間違っている」という仮定に基づき、これらの発掘物を考察するのを拒否する。

3. 初期・中期旧石器時代の地表は問題があるか?

(前略)

発掘者の観点から、ほとんどはっきりした変化がないために、ローム層の堆積物は非常に識別しにくい、ということを述べておかなければいけない。私はこの問題について1998年のSAA年次総会で鎌田俊昭と話をした。彼とその共同研究者はこの会でその研究成果を発表した。しかし困難にもかかわらず、二つの理由から、自分が見たり、読んだりした前期・中期旧石器地表が本物であると受け入れるのを、私はちゅうちょしない。

第一は、この時代の地表がどのように見えるのかを私は知らないが、石器の散乱が発見された場所が、当時の地表であったと考えてはいけない理由は全然ない。この考えのどこがいけないのだろう?

第二は、ほとんどすべての報告された遺跡は、よく研究されたテフラに上下を夾まれた地層のものであるという事実は、それらが撹乱されたものでないということを示している。キーリィの(厳しい)批評に反して、日本で行われたテフラ年代学の研究は、本当に傑出したものなのだ。もちろん、もっと精密な年代が欲しいのだが、日本における前期・中期旧石器時代研究のための年代学的な枠組みは、卓越したものであり、世界の他のどの地域のそれとも比較できるのだ。

(中略)

キーリィの批判は(個人批判を避けた点で)賞賛に値する。彼が長い間、初期人類の日本生存に関する証拠を受け入れるのをためらっていたことは、周知のとおりであり、またその疑念を何度も、自己顕示のためではなく、表明してきた。彼がこの問題についての専門家であり、深い知識をもっていることには疑いがない。しかし、大きな刷毛でなでつけるようなキーリィ型の批判をSEAA(東南アジア考古学会)のホームページに載せるような行為は、研究に大きなマイナスとなるものだ。(中略)このキーリィのような圧倒するような批判は、日本における初期人類の存在の証拠を提出するのに必要な個別の研究を、押しつぶしてしまいがちなのだ。何度も何度も、外国の考古学者たちは、日本からの驚嘆すべき発見を承認するのをためらってきた。それには、旧石器時代のedge-ground tool、九州における洪積世の村落、1万2000年前の土器、初期現世の貝塚、その他がある。舞台は同じことの繰り返しになった。

トム・キーリィが記述した日本考古学のスキャンダルは、本当であり、深刻である。

藤村は、2カ所の遺跡において、石器を埋めたことを自白している。新聞に報じられた証拠によると、彼の行為はアマチュアであり、馬鹿げている。にもかかわらず、彼の行動は広い疑惑を投げかけるものであるが、日本の初期遺跡を支持する証拠のすべてを棄却するには、あまりにもはやすぎる。強力な公開された調査のみが、藤村の不正の範囲を解明できるだろう。陳腐な表現だが、日本考古学者は自ら発掘して、この国をスキャンダルから救うしかないだろう。

東アジアと世界の人類史を理解する上で、初期日本の遺物のもつ潜在的重要性を考えると、日本の前期・中期旧石器遺跡の研究を継続するのが決定的に重要である。発掘はこれらの遺跡が本物かどうかを明らかにするだろう。さらに、世界考古学は、日本列島における初期人類居住にかかわるデータを、討議するのをはじめる必要がある。日本とそれ以外の国際的学者が、日本における前期・中期旧石器時代発掘にかかわった人々の努力を賞賛し、その発掘品を世界の観客のまえに提起するように、励ますべきなのだ。このテーマに関する研究が、前進するのを保証するために、ありとあらゆる努力がなされなければならないのだ。

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英語オタク > 考古の基礎知識すら欠く単なる英語好きですから自信ありませんが、ご指名を受けては止むをえない。「中型の両面(加工)石器の場合と比べて、押圧剥離で加工されたように見える数個の小型尖頭器の方が私にとって遥かに驚きが大きい」といったところでしょうか。つまり例えば小鹿坂から出た石器には6〜7センチのと約2センチのものと大雑把に言って2種類あるわけですよね(?)。その小型のタイプの方は本当に驚きだ、と言っているのだと思いますが。 (2000/11/30(Thu) 19:31:24)[global-user.toshima.ne.jp]

英語オタク > 前・中期旧石器としては、これほど精妙に細工されたものは類がないから、ということかなと理解しているのですが・・・。考古の皆さん誰かフォローして下さいよ。 (2000/11/30(Thu) 19:36:42)[global-user.toshima.ne.jp]

難波紘二 > ああ、そうかmore thanの構文の変形だったか。助かりましたありがとう。 (2000/11/30(Thu) 19:45:19)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

ヒューヒューポーポー > 難波先生が翻訳をアップして下さるので大変助かってます。キーリィ氏の報告に反論がでたということで興味深く読ませていただきましたがブリード氏は東北大関係者なのですね、後ろに黒い陰が見える私は考えすぎなのでしょうか。東北大東北福祉大関係以外の方のキーリィ氏に対する反論は出てこないのでしょうか、そちらの方が素直に受け入れられ両論について冷静な判断ができるかもしれないのですが。 (2000/12/01(Fri) 01:44:46)[pl016.nas112.ota.nttpc.ne.jp]

ソフィー > biface は両面加工石器または両面調整石器、ovoid は卵形石器、したがって ovoid biface は卵形両面調整石器と訳せばよいでしょう。early palaeolith は「前期旧石器」で統一してください。なお、東北大関係の人だと冷静な判断ができず、そうでない人は冷静な判断ができるなどという「判断」は、冷静さを欠いてますね。「黒い陰が見える」なんて、まさに考えすぎです。 (2000/12/01(Fri) 19:40:07)[]


[308] 疑惑のリスト 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/11/30(Thu) 19:18:34 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp] 

旧石器発掘ねつ造疑惑のリスト(ソース:時事通信11月6日配信+他紙)

藤村新一氏が発掘にかかわった主な遺跡

遺跡名         調査時期      内容 

1)座散乱木(宮城県岩出山町)77年〜81年  約4万数千年前の旧石器を発見

2)中峯C(宮城県大和町)   83年     30万年前 初の「原人」の石器(見学に来て発見)

3)馬場壇A(宮城県)    84年     20万年前の石器に"ナウマン象"の脂肪が付着

4)多摩ニュータウン471B(東京都) 84年  5万年前 関東で初の中期旧石

5)高森(宮城県築館町)  88年〜94年   約50万年前の石器など

6)袖原3(山形県尾花沢市) 93年〜99年  発見された石器が中島山遺跡の石器と断面が一致

7)上高森(宮城県築館町)  93年〜    約60万年前の生活跡や石器など。今年10月発見の石器は大半がねつ造と認める

8)瓢箪穴(岩手県岩泉町)  95年〜    約10万年前の石器と獣骨化石など食料跡と道具が共にあった最古の事例と主張

9)中島山(宮城県色麻町)  97年〜    同遺跡で発見された石器が袖原遺跡の石器と断面が一致。約10万年前のやり先を発見

10)総進不動坂(北海道新十津川町)98年〜  今年9月、約20万年前の石器を発見。ねつ造と認める

11)一斗内松葉山(福島県安達町)2000年3月 約70万年前とみられる石器など。「上高森遺跡の石器よりも古い可能性」とも

12)下川田入沢(群馬県沼田市) 2000年6月 約30万年前の石器など

13)小鹿坂(埼玉県秩父市)   2000年2月 原人の小屋跡とみられる約50万年前の穴など

14)長尾根(埼玉県秩父市)   2000年7月 約35万年前の大型穴。「世界最古の墓の可能性」と主張


[309] あらためて疑惑を述べる 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/11/30(Thu) 19:20:38 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp] 

藤村が発掘に関与した遺跡のリストは、別表の通りです。

彼が現在までに認めているのは、7)の上高森と10)の総進不動坂の2カ所のみで、しかも今年の分だけです。

日本の考古学者は、あまりすれていないから、文字通りそれを信じたい気持ちは分かりますが、ねつ造がしょっちゅうあり、うっかりそれを信じたら身の破滅になる厳しい血液病理関係の世界で曲がりなりにも、トップグループに位置して、30年以上暮らしてきた私には、それは信じられないことなのです。

3日分の各紙を、まとめて全部読んだ11月8日に、私は「藤村は初めからやっていた」と確信しました。しかしそれを人に信じてもらうことは容易でないこともわかっていました。相当厳しい批判や非難も浴びましたが、11月17日付のキーリィ報告の存在が明らかになってからは、事態は少し変わったようです。

ここで私の立論の手順をお示しします。

私がもっとも恐れるのは、調査委員会ができても、「東海村事故」やその他の調査と同じように、原因を徹底的に解明して、責任を明確にし、再発防止のための根本的改革がなされるのではなく、あいまいにされ、問題が先送りされるおそれがつよい、ということです。それではまた日本は馬鹿にされてしまいます。

ですから市民が調査委員会を監視し、絶対にいい加減な調査で終わらせないように、しなければいけないのです。野次馬をきめこんでいる場合ではないのです。キーリィやブリードが主張している完全な公開性とは、現在の状況はほど遠いところにあります。

そこで市民の側は、「目覚めた」考古学者と連帯して、「ここが怪しい」というところを徹底的に明らかにしておかなければならない。そこに触れない報告書は無意味なのだ、誰も信用しないのだ、という常識を作っておかなければいけない。そしてそれはインターネットが普及した現在では、以外に簡単にできるのだ。これが私の基本的スタンスです。

そこでわたしは、このリストに上がっている遺跡のうち、要になる部分のおかしさをまず指摘しようとしています。

6)の袖原と9)の中島山は、お互いが支え合っているので、どちらかが崩れれば、他方も崩れます。このどちらかがねつ造であると証明されれば、93年から99年までの時間帯全てが灰色になります。つまり藤村は、出来心でやった(それはまったくありえないと、私は確信していますが)のではなく、「計画的に」犯行に及んだということになります。

そこで、これら二つの遺跡の問題、1. 石器の接合の確率論的「ありえなさ」、2. 槍先とされる石に残る炎の跡はねつ造である、という2点を指摘しました。

この点については詰めがまだ残っていますが、基本的視点はいまも変わりません。

私は、6)と9)を潰すことで、基本的には93年以後のすべての遺跡が「黒」になったと考えています。

では92年以前についてはどうか。

この焦点は馬場壇A遺跡から出土した石器に「ナウマン象」の脂肪酸が検出されたという問題にあります。

これが中野益男のねつ造であることは、すでに指摘しました。しかし彼は石器に油を塗る必要がありませんから、誰かが油を塗ってそこに埋めたとしか考えられない。その犯人が誰であるにせよ、石器が埋められたものであることは間違いない。どうして犯人が、北海道で出土したナウマン象の油を入手することができたのか、また犯人は一人なのか、それは私にもわかりません。今のところ説明できない謎です。

しかしこれで馬場壇Aが潰れたことは間違いありません。

従って残るのは、1983年以前の中峯Cと座散乱木だけになります。

これも藤村が中心的人物であり、状況証拠は「黒」ですが、今のところそれを証明はできません。

私の提出した問題を皆さんが冷静に検討され、積極的な反論を行われることを期待します。 

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トラ > 馬場檀Aの「捏造」の根拠がよくわかりません。ナウマン象云々が中野氏の「捏造」だとしたら、それは中野氏の捏造であって藤村は関係ない、というより持ち出す必要が無いんじゃないですか。そもそも難波先生は中野氏の脂肪酸分析そのものに疑念を持たれていたのではないのですか。すくなくともこの点についてはむりやり藤村氏を持ち出しているように思われます。(といって藤村氏の弁護をする気も、馬場壇が無条件に信じられると言う気はありませんがね。) (2000/11/30(Thu) 19:53:46)[]

トラ > なお、「中●●男のねつ造」というような表現は、なさらないほうがいいのではないかと思いますが。難波先生のファンとして老婆心まで。 (2000/11/30(Thu) 20:18:25)[]

難波紘二 > 「脂肪酸分析について」という論考は、ここで削除されたのですよ。「南河内考古学研究所 喫茶室」326発言をお読み下さい。の (2000/11/30(Thu) 20:27:41)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

トラ > 知っています。あの日アップされているのを見ました。ダウンロードする前に消されてしましましたがね。南河内考古学研究所で読むことができてよかったと思いました。ずいぶん前から疑念をもっていた行政内埋蔵文化財関係者としてはね。あまり無茶はなさらないようにお願いします。 (2000/11/30(Thu) 20:37:07)[]

難波紘二 > トンビさんは、事件を単純な単独犯によるものと考えておられるようですが、私は「民科」グループが引き起こした「ルイセンコ遺伝学」事件に匹敵するものだと考えています。 (2000/11/30(Thu) 21:06:00)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

人類学学生 > 私も1人の人物が毎年のように発掘する、その確率を推測すると天文学的に小さくなると思います。根拠のない個人的な意見ですが。 (2000/12/01(Fri) 01:48:32)[omiya-ppp-210-253-104-222.interq.or.jp]

トンビ > わたしも、文化庁の岡村氏、東北旧石器文化研究所の鎌田氏、東北福祉大の梶原氏などは、怪しいと思っていますよ。事件後、根拠もなく、藤村氏が自白した2遺跡以外の捏造を否定するのは、学問的良心がある人間ならばしないことです。 (2000/12/01(Fri) 10:30:12)[canal.wslab.ntt.co.jp]


[310] あらためて立証責任 投稿者:トンビ 投稿日:2000/11/30(Thu) 20:27:21 [canal.wslab.ntt.co.jp] 

私がここでの議論に参加したころは、難波さんに対して、考古学関係者が、「捏造だと決め付けるのは憶測ではないか?」という集中砲火を浴びせていました。

これだけの事件が起こっていながら、「他の遺跡については何も言えないはずだ」という議論が盛んで、異論を述べる考古学関係者がいないのを見て、「ちょっと大丈夫?」という感想を持ち、議論に参戦しました。

その後、捏造発覚の瞬間に、藤村氏達がいかに不誠実な対応をしたか毎日新聞の報道により明らかになっても、この掲示板での論調は変わりませんでした。

その論調は、「捏造があったこと」の立証責任を、藤村遺跡を批判する側に一方的に全て押しつけるものでした。

他の遺跡の信憑性に対する疑惑にはいくつも根拠があったのにも関わらず、です。

その後も、前期旧石器の信用性に対する批判と、前期旧石器は無かったとする主張を混同して(ほとんどワザととしか思えない)、前期旧石器は無かったという証明をしない限り信用性の批判をすることすら非科学的だという詭弁が登場し、今度はまた新手の、「捏造がなかった」ということの証明が不可能であることを証明ができない限り、「捏造があった」とは言えないという手のこんだ(と言うべきか。。。)詭弁が登場しました。

全て、本来捏造を否定したい側が負うべき立証責任を、捏造を主張する側に負わせるという構造を持った詭弁です。

まあ、気持ちはわかります。と言いたいところですが、ここまで、次から次へと、詭弁を弄して藤村遺跡・遺物を救済したい人達が現れるとウンザリしますね。

皆、完璧な証拠がないことは断言できないはず、というのを金科玉条として、それが唯一の学問の鉄則と履き違えています。

一定の根拠を持った主張に対しては、それを上回る根拠を持って反論しなければならない、という議論のルールを学んでください!!!!


[311] とてもよい練習問題 投稿者:岡安光彦 投稿日:2000/11/30(Thu) 21:31:29 [rt.ctktv.ne.jp]

論理的には、現時点で「捏造だと決め付けるのは憶測ではないか?」というのは正しいと思います。証明が難しいし、証明には大変なコストがかかります。私は、捏造だと決め付ける証明をする試み、例えば発掘しなおすとかは、基本的には馬鹿馬鹿しいから止めた方がいいと思います。ただまあ、二、三箇所くらい、すこし掘ってみてもいいかなとは思います。とはいえ、考古学者のエネルギーやお金を注これ以上注ぎ込むのは無駄とは言わないが、もったいないと思います。完全なサンクコストですから。

ただ、これまでに「発掘」された石器類は、きわめて優れた考古学者のための練習問題になると思います。本来は、層序によらず、モノ自体で相対年代を決められなくては考古学では無いと思います。その意味で、これから少なくとも数十年間、旧石器あるいは縄文時代研究者が考えるための、とってもよい知恵の輪になるのではないでしょうか。

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人類学学生 > 厳密な発掘地層の年代測定くらいはやるべきではないでしょうか? (2000/12/01(Fri) 01:50:26)[omiya-ppp-210-253-104-222.interq.or.jp]

koyugun > 年代測定に関しては、石器ほどの問題はないとは思いますが。石器が現代人の埋めたものであったら、年代測定の検証を行って誤差が生じたとしても、何の意味もないと思います。それから、年代測定は、測定法の違いによっても誤差は生じますし、ラボによって(要するに測定装置が違った場合)誤差が生じることもあると思います。うんと下のほうにも書きましたが、デバイスと技術の進歩による、発掘調査時点での年代測定値と現在の測定値では、誤差が生じると思います。 (2000/12/01(Fri) 02:13:07)[myzcc-01p65.ppp.odn.ad.jp]

人類学学生 > おはようございます。遺跡自体の年代測定で必要と思いますが? 遺跡すらねつ造されている可能性は? (2000/12/01(Fri) 06:42:53)[omiya-ppp-210-253-104-222.interq.or.jp]

koyugun > 「遺跡すら捏造されている可能性」ということは、遺跡そのものが複数の確信犯による捏造ではないか?ということですか? (2000/12/01(Fri) 07:49:14)[myzcc-02p56.ppp.odn.ad.jp]

トンビ > 意見は完全に一致はしていないけど、岡安さんを概ね支持します。憶測かどうかというのは、日本語の問題でもあります。わたしは憶測ではなく、推定と言って良いレベルの根拠があると確信しています。ただ、ここでの本質は、再検証は時間と労力の無駄だ、ということですよね。それには大賛成です。 (2000/12/01(Fri) 10:11:41)[canal.wslab.ntt.co.jp]

英語オタク > 【316】に対する岡安さんの説得力あるレスを読んで初めて私にも理解できたのですが、お金の問題より遥かに深刻なのは、他の一連の遺跡も捏造ではないか、つまり掘りなおしても何も出てこないのではないか、と疑っている旧石器専門家の多くも、再検証への協力を依頼されれば義務感の強い人ほど断りにくしし、ひとたび引き受けると最悪の場合、例えは悪いけれど「麻原教祖」の国選弁護人に選ばれてしまった法曹のように、貴重な人生の数分の一の時間と労力をこの仕事に割かざるを得なくなって研究者として余りにも大きな犠牲を余儀なくされることになりかねないのかな、と類推し、改めて事態の深刻さを痛感させられました。 (2000/12/02(Sat) 02:51:07)[global-user.toshima.ne.jp]

英語オタク > ですから素人ながら岡安さんの意見に賛成です。なお一つ前の私のレス、譬えが不穏当だと判断されるなら遠慮なく削除してください>案内人様。 (2000/12/02(Sat) 02:54:38)[global-user.toshima.ne.jp]

北條芳隆 > 岡安さんの「練習問題」って表現、きついな。でもその通りですね。型式学的研究法を誰も使えていないことが証明されてしまったのですから、とても本番の試験には耐えられませんよね。 (2000/12/02(Sat) 09:10:13)[tokushima-099.seikyou.ne.jp]

トンビ > 誰も使えていない、は嘘なのでは?竹岡氏、その他、疑いの目を向けていた人もいたでしょう? (2000/12/04(Mon) 11:24:07)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]


[312] 学校教育と捏造問題 投稿者:aki-shou 投稿日:2000/11/30(Thu) 22:35:18 [3536140544r22.freeserve.ne.jp]

初めまして。今までROMさせてもらいましたが、今回投稿させていただきます。私は宮城県の中学校で教員をしており、現在1学年の社会科を教えています。

今回の事件は、宮城県の中学社会科教員にとってはたいへん大きな衝撃でした。というのは、宮城県で使っている歴史の資料集には、今回問題になっている方が発掘に加わった遺跡が、かなり入っているのです。座散乱木、馬場壇、中峯、中島、高森、上高森‥などなど今回の問題で私が頭を痛めているのは、これらの遺跡のうち、どれが本物で、どれが偽物と教えればいいのかと言うことです。今回の事件が起こってから、生徒に新聞記事を見せ、今回の事件の感想を求めました。大きく分けると、今回の事件の感想は、F氏は許せないと言うもの、マスコミの対応を非難するもの、そして学問そのものへの非難という風に分けられると思います。

 もうおわかりでしょう。私が一番重要視しているのは、第三の問題です。この掲示板の参加者の方々はどう考えますか。

1 はっきりしないものは、とりあえず事実ではない。

2 はっきりしないものは、事実でないとはいえない。

3 わからないものにはコメントしない。

教育者としての良心が問われると思います。

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人類学学生 > 理系の立場を基準に「誤差の大きいデータは総て切り捨てる」で1がよろしいと思います。ちなみに、私は2度目の大学生です。 (2000/12/01(Fri) 01:40:01)[omiya-ppp-210-253-104-222.interq.or.jp]


[313] 現段階の日本の旧石器時代 投稿者:大杉 投稿日:2000/12/01(Fri) 03:10:40 [] 

初めまして、大杉@環境コンサルタントと申します。

新聞記事で大きなショックを受けて以来、あちこち情報をフォローしております。

私は全くの素人ですが、あちこち当たってみて非常に不満なことがあります。

それは、今までの旧石器時代の理解は捏造に基づいたものだったということが明らかになった現時点において、ではいったい日本の旧石器時代は何に基づいてどう理解すればよいのかが分からないことです。

ネット検索をしても、旧石器の説明には必ず藤村氏が関わった遺跡を含めた説明がなされていて、その知見なしに旧石器時代を理解するすべがありません。

藤村氏が関わっていない遺跡はないのでしょうか?

岩宿遺跡まで遡らなければならないのでしょうか?

旧石器時代を理解したい素人ととしては「ウソを抜いて考えたら、ホントとして何が残っているのかな?」というところが知りたいのです。

藤村氏関係のものがはっきりしないということは分かったのですが、では、はっきりしているものはなんだろう?という質問は生徒に必ず聞かれるのではないでしょうか? 私も知りたいです。

例えば以下のようなことです。

 1.藤村氏が関わっていない旧石器遺跡はどんなのがあるのか。

 2.それら情報をもとにすると日本の旧石器時代はどう理解できるのか。

これらの理解を助けるサイトや書籍など、お教えいただけると幸いです。

僕が残念なのは、専門の方はよく勉強もされているだろうし、考古学に関する情報をたくさん持っておられるはずです。

にもかかわらず、これまでの経緯を見ると新しい有用な情報というのは、難波さんなど専門家でない方から出てくるように思います(印象が誤っていたらすみません)。また専門家の方は、積極的に捏造問題の検証に参加されず、事態を静観しようとされているように感じます。

自分の仕事もお忙しいだろうし、そのうち考古学協会が設置した委員会でやるさと考えておられるのかもしれませんが、専門的な知識やノウハウがネット上の検証に生かされず、非常に残念なことです。 

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ソフィー > 藤村氏が関与したのは、数千箇所にのぼる旧石器時代遺跡のごく一部です。もうすこしご自分で調べてみれば、1と2についての情報が簡単に得られるはずですが。 (2000/12/01(Fri) 19:02:52)[]

トンビ > 数千箇所にのぼる旧石器時代遺跡のごく一部という書き方はあきらかに不適当でしょう。どうしてこう、デマゴギーが横行するのかなあ。質問の趣旨は明らかに、今回の捏造発覚で影響を受ける時代=前期旧石器の遺跡のうち、どれだけの数藤村氏が関わっているかということなんだから。 (2000/12/01(Fri) 21:55:02)[canal.wslab.ntt.co.jp]

早傘 > 大杉さんの質問をよく読んではいかが? 前期と後期の区別なんてしていませんが。僕にはあなたの方がデマゴギーに見えますよ (2000/12/01(Fri) 23:10:51)[b142168.ppp.asahi-net.or.jp]

ソフィー > 大杉さんへ。専門家の中には、静観者もいるでしょうが、積極的に検証に参加しようとしている人もいます。また、多忙にもかかわらず、BBSに参加して捏造問題について発言している人もいます。http://cgi.skao.net/kissa/trees.cgi?喫茶室にどうぞ。 (2000/12/02(Sat) 13:12:14)[]

ソフィー > http://www.avis.ne.jp/~tsutsumi/八ヶ岳旧石器通信は、旧石器関係のなかなかよいホ−ムページです。 (2000/12/02(Sat) 13:19:30)[]

大杉 > ソフィーさん、八ヶ岳通信のご紹介ありがとうございました. (2000/12/02(Sat) 17:58:22)[j029235.ppp.dion.ne.jp]

大杉 > ただ私のように前・中・後期の区別もいいかげんな素人にはネット上の議論を理解したくても旧石器時代全体像の把握が必要ですが、それが整理されているサイトが見つからない。旧石器で検索してもほとんど1万5千年程度のものばかりです。その辺は影響を受けなさそうだというのはさすがに分かります.書き方が悪かったのですが、トンビさんの助け舟の内容が知りたいのです.要は藤村氏の発見抜きで旧石器時代の全貌を説明するとどうなるのかということです.3万年以前は信用できなくなるのでしょうか? (2000/12/02(Sat) 18:17:31)[j029235.ppp.dion.ne.jp]

大杉 > ネット上には膨大な情報があふれているので、全部はとてもフォローできません.また断片的な情報ばかりで、素人には全体像が掴みにくいのです.そういう時、少しこんなサイトやこんな本を当たってみたらという専門家の方のアドバイスがあると非常にありがたい.考古学情報広場とかにそういうリンク集や文献リストが出来ると非常に助かるのですが. (2000/12/02(Sat) 18:22:55)[j029235.ppp.dion.ne.jp]

ソフィー > 藤村関係以外にも3万年以前の確かな遺跡が発見されています。そのことは、ネット上でも散発的に指摘されています。詳しくはやがて誰かが解説するでしょうから、楽しみに待っていてください。前期と中期の区別はまだ定説になっているわけではありませんので、およそ3万年より以前を前期旧石器としている人もまだ存在します。 (2000/12/02(Sat) 23:50:07)[]

トンビ > どうも、ここには人の発言の字面しか読めない読解力の人が多いのかな。。。わたしはそこまで読解力がないとは想像もできなかったので、悪意で的外れな答えを返していると推定したのですが。 (2000/12/04(Mon) 10:15:05)[canal.wslab.ntt.co.jp]

大杉 > ソフィーさんは非常にお詳しいのに、その出典が明記されていないのが残念です。私(だけじゃないでしょう)が教えて欲しかったのは、上の書き込み情報はどの遺跡なのか、それを自分で確認するにはどんなサイトや本を読めばいいのかです。人に話すにも青森掲示板でソフィーさんが言ってたでは説得力がないのですよ。そういう情報提供や現時点における知見の整理こそ専門家がすべきなのに、それがないのが残念なのです。あれば教えていただければありがたいのですが。 (2000/12/04(Mon) 11:04:41)[]

大杉 > お二方から情報メールをいただきました。感謝します。「日本の考古学リソースのデジタル化」のページにFAQがまとめられています。http://www.amy.hi-ho.ne.jp/mizuy/zenki/QandA.htm前期旧石器 QandAです。重ねて残念なのはお二方が高校の先生と理学部の方だったことです。 (2000/12/04(Mon) 16:39:47)[]

ソフィー > ご希望はよくわかっていても、仕事の合間や資料をおいていないところからの書き込みだったりして、申しわけないけど、とりあえず書き込んだ次第です。それでも善意でのことなのですから、トンビさんのように悪意には受け取らないでください。 (2000/12/04(Mon) 17:10:24)[]

大杉 > もちろん私自身は悪意とは全く受け取っていません。ただ(厳しい言い方ですがお気を悪くされないで下さい)善意であろうが悪意であろうが根拠情報がないことには変わりないのです。せっかくの書き込みの説得力がなくなってしまい非常に惜しいと思うし残念なんですよ。もう少し丁寧に根拠を示しつつ議論を進めれば、もっと建設的になるのにと思うのです。特に専門家の方には、僕のような素人に対して教えてあげよう勉強させてあげようという気持ちでやってもらえたらありがたいのです。こんなに考古学に興味が集まっているのですから、その面白さを伝える良い機会だとも思うのです。ぜひ素人の素朴な疑問に根拠を持って答えられるようなサイトづくりを目指してください。チョットこのところ、議論が専門的すぎるので。それも大事だとは思いますけど。えらそうにスミマセン。 (2000/12/04(Mon) 18:45:03)[]

トンビ > ソフィーさん、あなたは、素人だと言っている大杉さんの希望がわかっていながら、「藤村氏が関与したのは、数千箇所にのぼる旧石器時代遺跡のごく一部です。 」というような書き方をして、それがどういう誤解を大杉さんに与えるか、知らなかったと言い訳されるおつもりですか???それで悪意じゃなかったなんて、どこの世間で通用するの? (2000/12/04(Mon) 18:47:51)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

早傘 > 日本の旧石器時代全般を解説した本なんて、普通の公立図書館でも数冊は置いてあるはずです。それを借りてきて、その中から藤村氏が関与した遺跡を取り除く。その程度の作業はされたのですか? そうであればもう少し質問の内容が違っているはずですが。 (2000/12/04(Mon) 21:33:09)[b142097.ppp.asahi-net.or.jp]

大杉 > 早傘さん、もちろんやってませんよ。なぜかというとそれこそ素人の「その程度の作業」で分かることなどとっくの昔に専門家ならやっててそれを基に議論しているに違いないと考えたからです。調べた結果をネット上にUPすれば情報の共有化もできるし「その程度の」ことをやってないはずはないと思ったんです。いずれにせよ「それぐらい自分で調べろよ、素人だからって甘えるな」というわけですね。分かりました、そうする事にします。でも知ってるんだろうに教えてくれないっつーのは・・・何だか考古学研究者ってケチンボですね。もうちょっと「そうそう教えてあげよう」と心を広く持ってほしかったです。淡い期待でした。それでは失礼します。 (2000/12/04(Mon) 23:03:24)[]

トンビ > 早傘さん、あまり苦しい言い訳で、仲間の肩を持つような発言をしないでくださいね。そのように、身内に甘い体質だから、今回の事件が起きたのですよ。 (2000/12/05(Tue) 10:25:28)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

早傘 > どこが言い訳なのかさっぱり分かりませんが? 僕が藤村氏関連遺跡をどうみているかは、この掲示板でこれまでの発言で明らかなはずですよ。また、専門家以外に入手困難な情報は各種提供していることもおわかりになるでしょう。大杉さんに対する素すげない態度は大杉さんの発言姿勢から導かれたものです (2000/12/05(Tue) 22:56:37)[d238010.ppp.asahi-net.or.jp]


[314] 何が信用できるのか? 投稿者:人類学学生 投稿日:2000/12/01(Fri) 07:14:37 [omiya-ppp-210-253-104-222.interq.or.jp] 

http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/001130/dom/20180000_maidomm070.html

<旧石器発掘ねつ造>多摩ニュータウン遺跡も再検証 都教育庁(毎日新聞)より、一部を引用します。

 都文化課や同センターによると、南関東でも前期旧石器時代の遺跡を発掘しようと1986年4月から職員と東北旧石器文化研究所の前身にあたる石器文化談話会のメンバーが共同で踏査を始めた。最初に崖面から石器が発掘された87年5月2日は、藤村氏は参加していなかったが、その前回の86年12月の踏査で現場を見ていた藤村氏が「あそこを掘るように」と参加者に伝えていたという。

(中略)

 これまで報告書も出ておらず、都文化課は同センターに早急に刊行するよう指示した。また、調査概要に日付の誤りがあったり、作業日誌の前半部分の記述がないことなどから、事実関係の調査は関係者の記憶に頼らざるをえず、内部調査だけでは客観性を保てないと判断。発掘後の検証も十分でなかったため、第三者を含めた調査委を設置することを決めた。

引用終り。

まとめ

1遺物の真贋が不明

2記録も正確ではない

3発掘後の検証も不充分

現地の地層だけが信頼性の高い「唯一の証拠」と思われますが? 

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トンビ > 捏造の疑いがある場合、現地の地層の証拠としての価値はゼロです。そこに藤村氏がねじ込んだだけという疑いがあるわけだから。 (2000/12/01(Fri) 12:44:47)[canal.wslab.ntt.co.jp]


[315] 証明について 投稿者:トンビ 投稿日:2000/12/01(Fri) 10:55:23 [canal.wslab.ntt.co.jp] 

今、自白された2遺跡以外でも捏造が行われたことを推定させる根拠はいくつかあります。

専門的には、出土状況とか、加工の状況とか。素人にもわかることとしては、藤村氏が来ないと出土しないとか、来ると必ず出土するとか、どんどん年代が古いものが出てくるとか、2遺跡について自白したときも、証拠をつきつけられるまでは必ず否定するとかです。

捏造がなかったことを主張するためには、上記の根拠を上回る証拠を提示しなければならないのですが、それは、理解されているでしょうか?

どうも、科学における「証明」という言葉の意味を理解しない方が多いようなので、それについて、おおよそのイメージを持っていただくための説明をしたいと思います。

結論から言うと、数学については、完全な「証明」というものがありえますが、

普通の科学においては、科学的知見というのは、経験則に過ぎません。経験によって蓄積されたデータを、より広く、より深く、より一般的で、より単純名形で表現した仮説のことを科学的知見と言っているのです。

例えば、物を持ち上げて手を離すと下に落ちますが、これにしても、今までそうであっただけで、次にわたしが何かを持ち上げて手を離したら落ちないかもしれません。そして、もし落ちなかったら、万有引力の法則は崩れ落ちるのです。

万有引力の法則は、今まで、何度も再検証されて(それこそ日常生活のなかでも)、法則としての確度は高いですが、論理的に絶対のもの、ということはできません。

そういう知見が得られるのは、数学だけです。

言い方を変えれば、科学における証明とは、所詮「推定」の域をでないのです。

では、どのようにして、科学における議論を行うべきなのか。

簡単に、推定の確実性を数字で表現できるものとしてください。

私が今、捏造があったことを、確率40%で推定できる根拠とともに主張しているものとします。

そうしたら、捏造があったことを否定したい人は、捏造が無かったことを、40%より大きな確率で推定できる根拠を示さなければなりません。

私が、捏造があったことについて、確率60%で推定できる証拠を提示していたら、捏造が無かったことについて60%より大きな確率の証拠を提示する必要がありますが、これは不可能です。事実は一つであり、捏造はあったか、なかったか、どちらかしかあり得ない(第三の仮説はありえない)のだから、両方の主張の確率の和は、足して100%を超えることはありえません。というのは、推定の確率を数字で表現できると、空想した場合の話ですが、科学の議論のエッセンスは、おおよそ、上のようなものです。

当たり前のことですが、根拠を持った主張に対しては、相手を上回る根拠を持って反論する。反論したいが、証拠がない場合は、反論できません、と言うか、反論しないかにする。

上の例え話に戻ると、相手の主張の確率が40%でしかないときに、「お前の主張の確率は40%でしかないじゃないか」と言っても、反論する側が40%を上回る確率の証拠を提示できない場合は、相手は痛くも痒くもないのです。反論する側の確率はその時点では0%だからです。

以上のことは、理解されているでしょうか? 

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在京学生 > 科学に染められた頭をお持ちの方々、科学は万能なのですか? (2000/12/01(Fri) 13:06:48)[wise82.mn.waseda.ac.jp]

在京学生 > すいません、批判ではなくて疑問です。何だか皆さんで水をかけ合っているだけのように見えてしまって…。 (2000/12/01(Fri) 13:09:04)[wise82.mn.waseda.ac.jp]

トンビ > 上のような書き方で、批判ではなく疑問だと言える感性を疑いますね。 (2000/12/01(Fri) 13:18:03)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > それはともかく、考古学は科学ですから科学の方法論に則って議論を行うべきだと主張しても何もおかしくないでしょう。更に言えば、捏造があったかなかったかを立証するにあたって、余りにも非現実的な厳密性を、捏造があったと主張する側に要求する詭弁がまかり通っているので、それをわたしは批判しているのです。立証は、現実的にできる範囲で、合理的な厳密性が確保されていれば良い、という現実論が、わたしの立場なのです。きっと在京学生さんはそこまで理解されていないでしょうけど。 (2000/12/01(Fri) 13:21:20)[canal.wslab.ntt.co.jp]

在京学生 > 頭の中が完全に整理されていない状況で、軽率でした。ここの議論に心苦しさを覚えてしまうので見ないようにします。 (2000/12/01(Fri) 13:36:14)[wise82.mn.waseda.ac.jp]


[316] 座散乱木と馬場壇Aについて 投稿者:加藤真二 投稿日:2000/12/01(Fri) 11:57:13 [] 

藤村氏が関わった遺跡とその石器群については少なくとも検証が済むまで使うことができないと思います。ただし、個人的には座散乱木遺跡と馬場壇A遺跡については次の点から、捏造はなかったと考えています。

 1.座散乱木の石器群では、報告当時、報告者によっても認識されていなかった後期旧石器時代の台形様石器の祖形とされる石器「素刃石器」が報告者とは別の研究者(安斉正人氏)によって見出されました。また、石器製作技術の構造が後期旧石器時代の前半期のものと系譜関係をたどることができることをこれも別の研究者(佐藤宏之氏)により指摘されたました。学史的にみると、座散乱木の発見・発掘時にこうしたことを考慮して捏造することはできなかったと考えられます。

 2.馬場壇A遺跡のうち、20層上面では、熱残留磁気法により炉跡が確認されています。その周囲から石器が出土し、それらにナウマン象とされる脂肪酸が検出されています。こうした状況は極めて自然で捏造の結果物とは考えづらいこと。

 3.石器自身も東アジアの同時代の石器と比較して矛盾がないこと。

です。とにかく、今後の検証作業を見守っていきたいと思っています。

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トンビ > 脂肪酸に関する難波さんの発言、また、座散乱木遺跡、馬場壇A遺跡に関する小田静夫氏の論文の評価と、加藤さんのお書きになることは真っ向から対立しています。難波氏、小田氏のどこが間違っていると加藤さんはお考えでしょうか? (2000/12/01(Fri) 18:02:24)[canal.wslab.ntt.co.jp]

元企業技術者y > 「ナウマン象とされる脂肪酸」とは、具体的に化学化合物名で教えて下さい。合わせて、その文献の出典も教えて下さい (2000/12/01(Fri) 21:46:20)[tn-ar188.ppp.ttcn.ne.jp]

トンビ > 加藤さんは、まるで独り言のように、自説を唱えておられますね。異なる見解との間での議論を避け手いるように見えます。あとは雨乞いしたあと、雨をまつ古代人のように、検証作業を見守る、という美しい言葉残していらっしゃいますが、ハッキリ対立する見解に対しては、優劣を争ったらいかがですか? (2000/12/01(Fri) 21:59:09)[canal.wslab.ntt.co.jp]

岡安光彦 > 座散乱木は、本当だったら、かなりいい資料があったかもしれません。ただ、汚染されてしまった資料なので、あつかいが非常にやっかいです。このままでは、資料として使えないのは勿論、検証には大変なコストがかかります。厄介なのは、「使える」と思う人たちだけでなう、「使えない」と思う研究者も動員されなければならない、ということです。そういう点では旧石器研究者でなくてよかったとおもいます。 (2000/12/01(Fri) 22:07:15)[firewall.ctktv.ne.jp]

英語オタク > 岡安さんのレスの最後から2番目の文章、部外者の私などにとっても非常に説得力がありますね。本質を鋭く明快に突いており、感服しました。 (2000/12/01(Fri) 22:37:25)[global-user.toshima.ne.jp]

早傘 > 1・3は、ねつ造でないことの根拠とはなりませんよ。論理的に考えれば分かるはずですが。2については、岡村道雄さんの宣伝を鵜呑みにしているだけですね。脂肪酸分析でナウマン象など同定不能であることは、中野さん以外の残存脂質分析の研究者のほぼすべてが言っていること。また、馬場壇の「炉跡」について、残留磁気の分析者は、決して炉跡とは断定せず、むしろ炉跡ではない可能性が高いことを馬場壇A遺跡の報告書自体に記載していますが。 (2000/12/01(Fri) 23:19:09)[b142168.ppp.asahi-net.or.jp]

岡安光彦 > 脂肪酸に関して、15年前には人類学の世界のほうが、注目してました。今や、考古学の世界でも、やばいんじゃない、と感じている人が多いのでは。 (2000/12/02(Sat) 00:09:08)[rt.ctktv.ne.jp]

岡安光彦 > 具体的にいうと、今から15年まえ、旧石器(後期)の礫群の脂肪酸で食べてるものが判るというのに飛びついたのが、パリノサーベイの辻本さんと人類学の人たちです。私は、ホントかなーと、思ってましたが。いつのまにか、人類の人たちも言及しなくなりました。 (2000/12/02(Sat) 00:13:37)[rt.ctktv.ne.jp]

早傘 > 僕は岡安さんのいうところの15年前に脂肪酸分析に注目していた「人類学の人たち」の末席を汚していた者ですが、残存脂質分析自体は、限界をわきまえて利用すればそれなりに有効な分析と考えていますし、現在も研究を続けている人はいます。まして「言及しない」ということはないのでは(礫群に限ればそうかもしれませんが)。 (2000/12/02(Sat) 22:00:00)[b142026.ppp.asahi-net.or.jp]


[318] ルイセンコ事件 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/12/01(Fri) 17:08:31 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp] 

「リイセンコ事件」のことをちょっと書きましたが、これはもとはソ連で起きた事件で、ルイセンコという生物学者が「生物に遺伝子などはない。生物は環境により形を変えるので、その性質は遺伝的に固定されたものではない」という説を提唱し、これがあれよあれよという間に、ソ連共産党の公式見解となり、政府も支持し、ルイセンコは出世階段を登り詰め、「ソ連科学アカデミー」の総裁になった。そして「生物の基本性質は、遺伝により伝達され、その本態は遺伝子である」という欧米遺伝学の立場を維持する科学者たちは追放され、投獄され、あるものは死に追いやられた。ソ連科学の最大の罪悪です。この事件のため、ソ連の生物学は息の根を止められ、二度と西欧と対抗することができなくなっった。

ルイセンコが権力の絶頂にあった時代に(もちろん戦後のことです)、日本共産党の影響下にあった「民主主義科学者協会(民科)」に属する生物学者、農学者たちは、この「理論」を受け入れて、研究や啓蒙活動を展開した。もちろん日本の学者全員がこの馬鹿げた理論を信じるわけがないから、小数の理性的な生物学者、農学者は完全と反論し、ここに「ルイセンコ論争」が起こった。幸いに日本は共産党の支配する国でないから、反対者が政治的に迫害されると言う事態にはならなかった。

こうして10年近く不毛な論争が続いたが、1953年にスターリンが死に、続いてルイセンコ、ミチューリン(農学者)などが失脚し、1956年になってフルシチョフ秘密報告が行われ、スターリン主義体制の害悪が暴露されると、日本でのルイセンコ派は、まったく沈黙してしまった。

しかし日本生物学の主流がこれに賛同した後遺症は大きく、すでに欧米では遺伝子の本態がDNAという核酸であり、そこに遺伝情報が書き込まれている、というところまで追い込んでいて、分子生物学という新しい学問が誕生していたが、日本は10年以上遅れてしまった。また欧米の大学には、つぎつぎと「分子生物学」の学科や講座が作られたが、日本ではまったく作られなかった。それほど生物学は、信用を失ってしまっていた。この後遺症はいまも続いていて、日本からは誰もノーベル賞受賞者がでない。利根川さんは、医学領域の研究で、仕事自体はスイスのバーゼルの免疫学研究所で行ったものが、対象となった。

注目すべきは、この「日本版ルイセンコ事件」では、共同謀議や謀略はいっさい行われていない。つまりある「空気」にもともとそういう傾向をもっていた科学者たちが感染し、信じてしまった。そうなると環境の作用で、遺伝的性質が変わったと解釈できるような実験結果がどんどん出るようになった。そして大声で「ルイセンコは正しい」と叫ぶようになった。この人たちは、ルイセンコが追放され、スターリンは「人間は、正しい環境(社会主義)に置けば、改造することができる」という政治的主張を正当化するために、彼を利用したにすぎないのだ、ということが明らかになっても、まだ自分たちの実験は正しいと主張するのをやめなかった。

今回のスキャンダルでは、ルイセンコは明らかに藤村新一です。利用された人間です。

後は皆さんで、お考え下さい。

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難波紘二 > ねつ造が明らかになったとき、藤村が鎌田に言った言葉を覚えていますか。彼は「すみません」とは言っていない。「破門してくれ」といったのです。 (2000/12/01(Fri) 17:12:43)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[319] 地層の検証 投稿者:トンビ 投稿日:2000/12/01(Fri) 17:16:58 [canal.wslab.ntt.co.jp]

藤村氏が、出土地点不明、年代不明の石器を遺跡にねじ込んだ疑惑が持たれている現在でも、地層の再検証について、お書きになる方は、一体それがどういう意味があるのか、説明してください。

私は、もう何がなんだかわからなくなってきました。 

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難波紘二 > トンビさん、匿名のなかには、自分で削除した京大農学部の「まりや」のような人もいるので、まともに取り合わない方がよいですよ。 (2000/12/01(Fri) 18:15:13)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

人類学学生 > もうどうでもいいです。記録を正確に残せないのでは、もはや学問ではなくて趣味の世界です。 (2000/12/01(Fri) 20:27:01)[kwgcd-01p123.ppp.odn.ad.jp]

岡安光彦 > 地層については、それなりにしっかりしているのでは。どうでもいいです、なんて感情的なこといわないで。 (2000/12/01(Fri) 23:59:37)[rt.ctktv.ne.jp]

岡安光彦 > 地質学的な記録は、十分に正確にのこっているとおもいますよ。誤差はあっても数万年オーダーで、信用していいのでは。そこに問題があるのではないと思うのですが。 (2000/12/02(Sat) 00:02:25)[rt.ctktv.ne.jp]

koyugun > 地層の再検証については、あまり意味がないことだと思います。せいぜい年代測定に問題がなかったかどうかということを明らかにできるくらいでしょう。最も重大なことは、遺物等が捏造であったか否かということですので、それが明らかになるまでは、地層の年代を論じても、殆ど意味をなさないことといってよろしいかと。 (2000/12/02(Sat) 00:09:50)[myzcc-01p53.ppp.odn.ad.jp]

岡安光彦 > そうなんです。何で地層の年代が問題になるのか、考古学研究者としても、分からない。そんな繊細な問題じゃないですからね。 (2000/12/02(Sat) 00:17:18)[rt.ctktv.ne.jp]

koyugun > 東北の一連の年代測定などの関連分野の方から直接うかがったことですが、「一体、今まで追試に追試を重ねるなどして一生懸命やってきたことは、一体なんだったのか?」とのこと。石器の年代を直接測定することが不可能な場合が多いので、間接的に年代を明らかにしたという作業ですので、石器が怪しければ、ひどい言葉になってしまいますが「無駄骨」になってしまうわけです。私も年代測定そのものには、殆ど問題はないと思っています。 (2000/12/02(Sat) 00:18:51)[myzcc-01p53.ppp.odn.ad.jp]

難波紘二 > 地層の年代については、私も疑う理由がありません。それよりもブリード論文の記載の意味を噛みしめて欲しい。ブリード(ネブラスカ大学)とキーリィは友人ですよ。 (2000/12/02(Sat) 00:53:31)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

英語オタク > 難波さんのレス、含蓄に富みすぎているのか私にはその真意がわかりません。もう少し説明していただけないでしょうか。二人の友人関係の証拠はブリードがキーリィのことを文中で愛称のトムと呼んでいることでしょうか? 大勢の人が押しかけたらしくしばらくアクセスできなかったキーリィ研究室のホームページにようやくまたたどり着いて、例のレポートに変更がないかどうか確かめたら、一番末尾に「ピーター・ブリードによる<スキャンダルを発掘する>も参照のこと、と追記されているのを発見し、「反論に自ら注目を向けるのは立派な態度だな」と同時に「この論争に関しては相当に自信をもっておられるのだな」という感想を抱きましたが、それ以上の深読みはできなかったのですが・・・。 (2000/12/02(Sat) 02:18:29)[global-user.toshima.ne.jp]

難波紘二 > 藤村の石器探しは、地層の絶対年代が判明してから始まったとブリードが書いているでしょう。その意味を考えて欲しい、と言うことです。 (2000/12/02(Sat) 08:32:08)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[320] 不存在の推定を行って良いのはいつ? 投稿者:トンビ 投稿日:2000/12/01(Fri) 18:18:26 [canal.wslab.ntt.co.jp] 

話は少しずれますが、仮に、1億歩ほど譲って、藤村遺物と矛盾しない遺跡の発見が、再検証の目標であるとしましょう。

なかなか見つからないことが予想されます。

では、いつ、「もうだめだ、あれはやっぱり捏造だったんだ」と判断するのでしょうか。

10年くらい経って見つからなかったらですか?100年ですか?いやいや、1000年くらい経たないと、「慎重さ」に欠けますか?

今はどのように論じられているのか知りませんが、昔、わたしが考古学少年であったころは、邪馬台国論争において、三角縁神獣鏡というのが、卑弥呼に対して送られた鏡じゃないかというので、畿内説の根拠になっていたと記憶しています(不正確だったらゴメンなさい)

そのとき、九州説の反論の根拠は、三角縁神獣鏡が中国本土で出土していないことでした。

これはかなり、論理的に、キワドイ論争であると思います。

たまたま、まだ出てきていないだけかもしれないことを、根拠にしちゃってるわけだから。

これも考古学特有の問題かと思うのですが、皆さんはどう思われますか? 

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tak > あれはねつ造だったのだと断定することは、藤村氏が認めるか、客観的な証拠がみつからない限り、1000年経っても出来ないでしょう。つねに嘘かもしれないと言う不安を抱えた参考資料として、でも、学界では結局生き残って行くでしょう。しかし、まあ1000年経って、衆人が満足するぐらい沢山の石器が出ていて、それとこれまで出てきた遺物が矛盾しないなら、それは十分な確からしさをもって本物と言われるようになるでしょう。 (2000/12/01(Fri) 22:58:51)[h028.n068.nhk.or.jp]

さとうけいすけ > トンビさんの議論、論理的には賛成です。「見つかっていない」=「存在しない」は論理の飛躍ですから。まぁ、「見つかっていない」=「あまり存在しなさそう」ぐらいが言える限度でしょうか。 (2000/12/01(Fri) 23:17:03)[dhcp092.bun.kyoto-u.ac.jp]

makoto-s > もともと考古学を含めて歴史学においては「存在しなかった」ことを証明するのは極めて困難です。「出土していないだけ」「遺物として残らない」「記録に残さなかった」等があるからです。私が学生の頃先輩に「何十年と研究してきてもたった1度の発掘調査ですべてが覆されることがある」と言われたことがあります。「見つかっていない」「確認されていない」ことは傍証としては取り上げられても根拠とは出来ないでしょう。 (2000/12/03(Sun) 18:45:01)[ppp11-066.din.or.jp]

makoto-s > ちなみに「邪馬台国九州説」の根拠は、「三角縁神獣鏡」が中国で出土していないだけではありません。また、「三角縁神獣鏡」も「卑弥呼がもらった鏡」という説があるだけで確実なことではないと思います。 (2000/12/03(Sun) 18:47:54)[ppp11-066.din.or.jp]

トンビ > また、人が言ってもいないことに対する指摘がある。。。。makoto-sさんはちょっと病気なんじゃないの? (2000/12/04(Mon) 10:06:35)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > ちなみに、前期旧石器論争というのも、遺跡が出ていない段階で、前期旧石器はあるとかないとか論じたものだったんですよね?(誤解があったら正していただけると幸いです)。こういう論争が起きてしまうこと自体が問題だとおもうんだけど。 (2000/12/04(Mon) 10:36:36)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

早傘 > 「遺跡」から発見されたものが「石器」かどうかを中心とする論争です。言い換えれば、遺跡が発見されたといえるか否かの論争 (2000/12/05(Tue) 07:17:41)[d238118.ppp.asahi-net.or.jp]

トンビ > 早傘さん、どうもありがとうございました。 (2000/12/05(Tue) 10:23:09)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

トンビ > いずれにせよ、上の議論で、藤村遺物と矛盾しない遺跡の発見を目的とした再検証を行うことが、いかに非現実的か、お分かりいただけましたでしょうか? (2000/12/05(Tue) 10:41:38)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]


[321] #302のレスに対して 投稿者:makoto-s 投稿日:2000/12/02(Sat) 02:38:20 [ppp11-039.din.or.jp]

 検証の結果、「ねつ造があったともなかったとも言えない」という結論が出た場合においてその考古資料の取り扱いについてどうするか、ということに対して私は#302で「すべてを研究資料として使わないこと」と「参考資料程度に使うこと」の二つの取り扱いがあると述べました。

 「ねつ造」の有無が確認できない、ということは「ねつ造だった」ということとと「本当である」という二つの可能性が残ったままということになってしまいます。

 どちらとも決しがたいのであるならば将来的に「間違いのない前期旧石器時代の資料」と比較・検討が出来るようになるまでは「考古資料」としては無価値でしょう。

 また現段階では「ねつ造」については「(1)出土はねつ造、出土品は本物の石器(ただし、時代不明)」、「(2)出土はねつ造。出土品も贋作の石器」の2つが考えられます。

 (2)の場合、黒曜石のようなガラス質の石材では難しいでしょうが、それ以外の石材ならば最近作ったものと数千年〜十数万年前に作られたものではその割れ口の風化具合が異なるはずなので詳細に観察すれば判別は出来るはずです。

 問題となるのはやはり(1)です。

 この場合、時代は旧石器時代前期ではないにせよ「本物の石器」であるとなれば「石器」としての資料価値はあるはずです(今のところ「石器」自身が「贋作」であったとの話は聞いていないので)。

 私が「出土地点が不明の資料」と同列かそれ以下ではないかというのは上記の意味においてです。

◎ 捏造がなかったことを証明する、で、どこが不完全なのですか?どうも

◎ 言葉をもてあそばれておいでのようですがそもそも「捏造がなかったことを証明するのか、それとも捏造があったことを証明するのか」という問題提起をされたのはトンビさんの方です(#291の発言)。「言葉遊び」をしているのはトンビさんの方だと思います。

◎ 藤村遺物を最大限救済しようという姿勢には不快感を表明致します。 救済しようと等思っていません。

 #285の発言のレスの中で書きましたが(11/18付け)、私自身は心証としては「ねつ造」「偽石器(自然に割れた石を遺物と誤認定している)」の両者を含めて大半の「前期旧石器遺跡」についてはバツ印がつくと思っています。

 ただ、私も研究者の末席を汚している身である以上、現物資料も見ず、現地調査もせずに一方的な判断を下すことには疑問を持ちます。

 難波紘二さんは、報告書・論文を検証された上で、「脂肪酸分析」の問題に指摘指されており、その分析はかなり説得力があると思います。

 しかし、トンビさんは「藤村新一氏が発掘したこと」以外に明確な根拠を提示されていないように思います。

 「藤村氏が参加した時以外に石器が出土しなかった」というのがどの程度のパーセンテージを占めるかが現段階では明確になっていません。検証の結果、同時に参加している人々と比して明らかに藤村氏がいる時の方が出土率が高いことが証明された時に「藤村氏のねつ造」の状況証拠となるでしょう。

 繰り返しになりますが、藤村氏の関わった発掘調査において「ねつ造」の疑惑があるのは事実です。しかし、「ねつ造があったと断定できるデータ」も「ねつ造はなかったと断定できるデータ」も現状ではどちらも明確にはないと思います。

 繰り返しになりますが、「藤村氏発見の資料」を救済しようとは思っていませんし、そのような発言もしていないと私は認識しています(私の表現のつたなさによりそのような発言に読めてしまったのかもしれませんが)。

 ただ、実物も見ずに、現地の調査もせずに、報告書の検証もせずに心証だけで「ねつ造だ」と断ずる姿勢に疑問を感じているだけです。

 ちなみに私自身は奈良〜平安時代を研究テーマにしているので前期旧石器が存在しようが存在しまいが個人的には興味はありません。

 しかし、今回のねつ造事件は「考古学」及び「埋蔵文化財保護行政」の根幹を揺るがす事件であり、「ねつ造」の部分だけに限って言えばどんな時代、どこの地域においても起こりうるものであるので関心を持っています。

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岡安 > 石器そのものについては、意外と簡単に間違いなく駄目なものは (2000/12/03(Sun) 00:30:39)[rt.ctktv.ne.jp]

岡安 > 駄目と (2000/12/03(Sun) 00:31:08)[rt.ctktv.ne.jp]

岡安 > 判ってしまうかもしれません。問題なのは例えば山形と宮城で接合関係があったとかいうやつ。藤森製の可能性があり、石器の分析だけからは、そうではないという証明がほとんど不可能。それから中期旧石器。もしかしたら本当に混じっているかもしれないが、やはり汚染されていない、という証明は不可能。 (2000/12/03(Sun) 00:41:41)[rt.ctktv.ne.jp]

岡安 > 遺跡についていうと、石器の分析から、埋められた縄文石器だけと見なされる遺跡は掘る必要がない。判断の難しいものだけが出ている遺跡。それは掘る価値があるかもしれない。 (2000/12/03(Sun) 00:42:29)[rt.ctktv.ne.jp]

岡安 > それはそれとして、改めて協会の発表要旨などを見ると、「前期旧石器」の時代というのは、まるで「石器埋納時代」ですね。 (2000/12/03(Sun) 00:42:54)[rt.ctktv.ne.jp]

makoto-s > 12/24・25に「東北旧石器を語る会」で前期・中期の資料を可能な限り集めて展示・検討をするそうですから....「石器」については早々に結論が出るかもしれませんね。 (2000/12/03(Sun) 00:43:26)[p8bc902.atgijk02.ap.so-net.ne.jp]

makoto-s > 私があからさまに疑問を持ったのは今年の「日本考古学協会総会発表要旨」を見せてもらって「石器埋納遺構」があまりに多いことでした。後期旧石器でさえ「遺構」が確認されることは滅多にないのに....と思いましたが、その時は「それが前期旧石器の特徴だ、と言われればそれまでですよね」などという話になりましたが。 (2000/12/03(Sun) 00:46:35)[p8bc902.atgijk02.ap.so-net.ne.jp]

英語オタク > キーリィ教授は「2000年11月5日、日曜日、日本の前・中期旧石器時代は崩壊した」と述べています。例のレポートの一層上の註に記されているので、直接あのレポートに飛んでいった人は見ていないかもしれないと思って付記しておきます。 (2000/12/03(Sun) 01:02:38)[global-user.toshima.ne.jp]

makoto-s > 「発掘調査」の成果に基づいて研究をする以上、その発掘調査にねつ造疑惑があるのですから....研究の根本が破壊されたことになりますね。 (2000/12/03(Sun) 18:37:45)[ppp11-066.din.or.jp]

トンビ > makoto-sさんに分かってもらうことだけは諦めました。推定と断定の違いがわからないでよく学問ができるもんだ。 (2000/12/04(Mon) 10:02:04)[canal.wslab.ntt.co.jp]

トンビ > あと、これは大事なことだと思いますが、藤村氏が来たときしかでない、来ると必ずでる、マスコミの前で出したりする、と言ったことに、おかしさを感じられないような麻痺した感覚だから、今回のようなことが起きたのです。考古学は、常識的な論理思考すらできないと馬鹿にされているのですよ。そのことに危機感を持って欲しいですね。 (2000/12/04(Mon) 10:04:11)[canal.wslab.ntt.co.jp]


[322] 掲示板移行のお知らせ 投稿者:案内人 投稿日:2000/12/02(Sat) 08:41:18 [c1-215.actv.ne.jp] 

実はこの掲示板は、ある方のご厚意により提供いただいている掲示板です。その方の事情により、この掲示板を12月末で閉鎖せざるを得なくなりました。 したがいまして、年明けの1月1日より別な掲示板(現在探索中です)に移行いたしますので、なにとぞご了解下さい。よって、それ以前のログにつきましては、継続できませんが、遅ればせながらログの保存に努めていますので、整理が出来次第、何らかの形で公表したいと考えています。 11月5日に発覚した「捏造事件」についての議論は、まだまだ進行中ですので、皆様方の熱意をそいでしまうのではないかと、危惧しているのですが、事情をお酌み取り下さいますよう、お願い申し上げます。

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さとうけいすけ > これだけ大規模な掲示板ともなると、ログの保存など大変な作業だと、心中お察しします (2000/12/02(Sat) 15:27:42)[dhcp092.bun.kyoto-u.ac.jp]

案内人 > さとうさんへ、掲示板は最大100件しか保存できませんので、その範囲内でファイルを保存する予定です。 (2000/12/02(Sat) 16:13:52)[c1-215.actv.ne.jp]

bambi > 案内人様、特に、ここ1ヶ月のご奮闘ありがとうございます。かくいう私も、HP検索から相馬さんのHPに辿り着いた一人です。多くの掲示板で、一時沸騰していた議論も世間の関心が薄れるにつれ議論も沈静化に向かっているように思います。そんな多くの掲示板でも、この掲示板は活発な意見が交わされていると、紹介されています。案内人さんが、掲示板を設置した本来の趣旨からは、多少、外れているとは思いますが、幸か不幸か、日本で一番、今回の石器ねつ造事件について、注目が集まった掲示板になったからには、出来るだけ長く掲示板を続けていただきましてこの事件がどのように収束していくのかを、見届けていただきたいというのが私の希望です。尚、新しい掲示板ですが、今回の掲示板と同様に、「記事削除」と「ワード検索」の機能をお願いします。 (2000/12/04(Mon) 09:22:35)[cse7-9.nishinomiya.mbn.or.jp]

案内人 > bambiさんへ、ご希望に沿うように努力いたしますが、ちょうど都合の良いのがあればいいのですが。cgiに精通していれば、簡単に設置できるのでしょうが、いかんせん、そのような知識がまるでありません。あしからず。 (2000/12/04(Mon) 21:32:30)[c1-215.actv.ne.jp]


[324] 日本考古学協会緊急委員会の記録 投稿者:早傘 投稿日:2000/12/02(Sat) 12:12:28 [b142095.ppp.asahi-net.or.jp]

本日、協会の会報(2000年12月号)が届きました。表紙を開くと、いきなり緊 急委員会の記録です。広く周知が期待されているはずですので、以下に転載し ます。(本来、協会のホームページに掲載されるべきもの。本当に役立たず) なお「委員会」というのは普通の団体の「理事会」または「役員会」に相当し ます。

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緊急委員会記録 2000年11月12日(日)午後3時〜5時30分 於:明治大学13号館2階第2会議室 出席者:(省略) 議事:上高森遺跡、総進不動坂遺跡において事実捏造事件が発覚したことによ って、緊急に委員会を開催し、下記の見解を発表した。委員会の議論した問題 は研究者倫理の徹底、前・中期旧石器問題調査検討特別委員会の設置、鎌田俊昭委員の「委員辞職願い」の受理と辞職の承認、および藤村新一会員の処分で ある。藤村会員に対しては「入会退会に関する内規」の「3 会の名誉を著し く傷つけた者、(略)は、委員会の議をへ、総会において退会させることがで きる。」にもとづいて退会処分とした。 (総会は開かれていないから、正式には退会になっていないんですね (^^; )  

上高森遺跡問題等についての委員会見解               2000 年 11 月 12 日                         日本考古学協会委員会 日本考古学協会は、1948年に結成されたわが国の考古学研究者の全国組織で、 自主民主・平等・互恵・公開の原則にたって考古学の発展をはかることを目的 として活動してきました。 考古学は、遺跡の発掘調査によって確認された事実関係を基礎とする科学で す。このたび明らかとなった藤村新一会員による上高森遺跡、総進不動坂遺跡 の調査における考古学的事実の捏造は、考古学の基礎を自ら破壊するもので、 研究者としての倫理が厳しく問われる行為です。日本考古学協会は、このよう な行為をなす者を出し、しかも研究者相互の批判によってこれを防ぐことがで きず、わが国の考古学の信頼を大きく傷つけたことに対し、深くお詫び致しま す。大地に残された過去の人間活動の痕跡の調査を通じて、列島の歴史をより 豊かに描き出す上で、考古学が果たしてきた役割は高く国民に評価されてきま したが、その一方で、新発見こそが重要であるかのような誤解や誤った風潮を 生み出していた恐れはなかったかどうか、また新たな発見をめぐって、資料の 公開と多様な意見の研究者による相互批判が不十分ではなかったのか、本協会 としても厳しく反省する必要があると受け止めています。協会として研究者倫 理の徹底についても検討に取り組みたいと考えます。 日本考古学協会委員は、本日、考古学研究及び学界の社会的信用を著しく損 なう結果を招き、本協会の名誉を傷つけた藤村新一会員の行為は到底容認でき ないものとして、会則に照らし、退会させることを決定しました。 前期旧石器問題、いわゆる「原人遺跡」問題は、「新発見」の連続によって 認知され、定説化されたように受け止められていますが、学界にはなお異論も 多く、論争の渦中にあるというべきです。しかし一方、本協会が、わが国及び 東アジアの人類史を考える上できわめて重大なこの問題に関して、必ずしも積 極的に取り組んで学術的な検討を進めてきたとは言い難いとの指摘は、謙虚に 受け止め、反省しなければなりません。これまで、本協会は、その時々の重要 な課題について、学会をあげて集中的な調査を行い、例えば、弥生式土器文化 総合研究特別委員会、洞穴遺跡調査特別委員会による弥生文化や縄文草創期文 化の積極的解明などを、実施してきた歴史があります。本協会は、今回の事件 によって疑念の生じた遺跡の検証を含めて前・中期旧石器遺跡の自由闊達な学 術的検討が集中的に行われることの必要を認め、特別委員会(前・中期旧石器 問題調査検討特別委員会)を組織してこれに当たりたいと考えます。 なお、「東北旧石器文化研究所」に対しては、今回の事件に関する真摯な総 括と真相を明らかにするための資料の公表を求めるとともに、未報告の過去の 発掘調査結果について、早急に学術報告書を刊行するよう求めます

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bambi > 早傘さん、11月12日の日本考古学協会の緊急委員会記録および、同日付けの、「上高森遺跡問題等についての委員会見解」の掲載ありがとうございました。新聞報道で、12日に緊急役員会を開いて、記者会見を開いたというのは知っていましたが、その後、何の情報も無く、どうなっているのだろう?と思っていました。早傘さんも、協会の会員でいらっしゃいますか?是非、日本考古学協会のインターネット活用を進めてください。今回の石器ねつ造事件を、科学的に検証していくことは重要な事と思いますが、それと同時に、考古学界が、この事件にどのような対処をしていくのかを注目していきたいと思っています。 (2000/12/04(Mon) 09:25:12)[cse7-9.nishinomiya.mbn.or.jp]

案内人 > 早傘さんの仰るとおり、役立たずのホームページですね。協会のお偉いさんたちは、ホームページの存在すら知らないのでは無いではないでしょうか? (2000/12/04(Mon) 21:41:02)[c1-215.actv.ne.jp]

bambi > ここ http://www.avenue.co.jp/~kouko/ 協会公認なんでしょうか? E-mailアドレスもありません。変なところに、下宿していますね。ホームページのコンテンツ製作会社でしょうか?いずれこの会社のお世話で、独自ドメインを取って、自力で、ホームページを立ち上げたように装うのじゃないか?と、深読みしてしまいました。いずこも同じかな… (2000/12/06(Wed) 05:49:56)[cse5-19.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > ちょっと、言い過ぎたでしょうか?知り合いの企業なんですが、ここと同じパターンで、まず、コンテンツ会社のHPに宿かりて、試験運転して、それから、ドメイン取得して立ち上げたところがあるのですが、ホームページ製作すべてを、その会社にお願いしてしまいました。相手はプロですから、デザイン的にはしゃれたものを作ってくれるのですが、結局、その製作会社にお任せで、自社内で、ホームページ管理出来る社員がぜんぜん育たなくて、その製作会社なしでは、ホームページの変更が何一つ出来なくなって、毎月膨大な管理料を払っているところがあるのです。折角、考古学協会々員の方の中には、インターネットに精通されている方が特に若い方はほとんどでしょうに、もったいない気がします。 (2000/12/07(Thu) 00:33:12)[cse8-15.nishinomiya.mbn.or.jp]

早傘 > おっしゃるとおりです (2000/12/07(Thu) 07:01:43)[d238056.ppp.asahi-net.or.jp]


[325] 100000アクセスに感謝! 投稿者:案内人 投稿日:2000/12/02(Sat) 16:17:02 [c1-215.actv.ne.jp]

1997年7月に開設以来、3年5ヶ月で100000アクセスに達しました。多くの方々にご覧いただき、深く感謝しています。 これからも、「青森遺跡探訪」をご愛顧下さい。

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さとうけいすけ > 10万なんてすごいです!おめでとうございます!これもひとえに管理人様の努力あればこそですね。 (2000/12/02(Sat) 17:49:20)[dhcp092.bun.kyoto-u.ac.jp]

こうせい > 10万ですか、、、青森市民の3人に一人は観てる計算ですね。単純計算ですが(笑)。なかなか出来る事ではありませんね、相馬さんの熱意の賜物です、おめでとうございます。これからも、あまり気張らず、マイペースで頑張ってくださいね。くれぐれも御無理なさらぬよう。 (2000/12/02(Sat) 23:52:02)[c1-185.actv.ne.jp]

案内人 > ありがとうございます。これからも老体にむち打って?、ほどほどに頑張ります。体力では若い方に負けてしまいますが、問題意識の持ちようでは負けないつもりです。 (2000/12/03(Sun) 08:39:52)[c1-215.actv.ne.jp]

岡安 > おめでとうございます。私などは 新しいサイトを開いてまだ一月にもなりませんが、もうぜいぜいいっています。継続は力なりといいますが、いざ実行するのは並大抵ではありませんね。お互い、年のことはなるべく忘れてがんばりましょう。 (2000/12/03(Sun) 16:38:39)[rt.ctktv.ne.jp]

案内人 > 岡安さん、ありがとうございます。私のサイトは岡安さんのホームページに刺激されて、それを目標に運営してきました。これからも、私にとって希望の星であって下さい。 (2000/12/03(Sun) 19:44:35)[c1-215.actv.ne.jp]

岡安 > 『これからも、私にとって希望の星であって下さい。』・・・ずしっとくるお言葉。う−ん、たまたま早くかかわっただけですから。でも、かのうな限りがんばります、ごいっしょに。 (2000/12/03(Sun) 20:34:26)[rt.ctktv.ne.jp]


[326] 駒井卓の発言 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/12/03(Sun) 01:30:59 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

中村禎里「ルイセンコ論争」(みすず書房、1967)を読み返していたら、日本の「革新的」生物学者、農学者などが「獲得形質が遺伝する」というルイセンコ学説に血道をあげている最中の1951年に、雑誌「生物科学」で次のような意見を述べているそうです。 学者が自分の意見を通俗書として、公にする場合は、「批判力の乏しい初学者や読書人を誤らせる心配があるから」、もし学会の定説とちがうことを考えているのなら、まず「論文に発表して専門家の批評をきくがよい。またそれが相当重大な問題なら、日本の学会だけでなく、世界の学会に訪うべきである。そうした上で、誤りがないとなって、はじめて通俗書を書いたり、教壇で初学者に講義したりするのが順序だと思う。(P128) 実はこういう基本的ルールが、ルイセンコ理論にのめり込んでいった生物学者には、まったく欠けていた。共産党の機関紙「赤旗」や岩波の雑誌で、学生、知識人に宣伝したから、みんなそれを信じてしまった。その分だけ被害が大きくなった。ことに進歩的農業指導者が信じたので、農業にも大きな被害が出ました。 今回の事件でも、やはり学生、知識人が巻き込まれ、農民や行政にも被害が出ていますね。共産党の役割は、文化庁がつとめた。岩波は懲りもしないで、また同じことをやった。 なお中村の本は、絶版と思いますが、紀田順一郎「20世紀を騒がせた10冊の本」という今書店にある新書(会社名失念、岩波ではない)に、ソ連と日本のルイセンコ騒動が、要領よく、まとめられています。

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難波紘二 > 書き漏らしました。駒井卓は日本を代表する遺伝学者で、当時京大理学部教授を停年退官したばかりでした。 (2000/12/03(Sun) 01:42:33)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

科学評論家 > 難波先生が言及されていますルイセンコ騒動については、工作舎から出ているアレクサンダーコーン「過失と不正の科学史、科学の罠」の第五章「ルイセンコ 科学と政治」にも出ています。ご参考まで (2000/12/03(Sun) 01:56:05)[nttoska05086.ppp.infoweb.ne.jp]

bambi > 難波広島大教授のおっしゃる「岩波は懲りもしないで、また同じことをやった。」の意味が分からず、この掲示板についているワード検索で「岩波」を検索して、11月13日(月)の[238] 『脂肪酸測定と年輪年代学 』という難波先生の投稿を見つけました。岩波書店は、京大系の考古学者、佐原真と田中琢の共著「考古学の散歩道」(岩波新書、1993)を出版している事を確認しました。難波先生のルイセンコ事件に関する直前の投稿は12月1日の[318] 『ルイセンコ事件』ですので、その要旨から、思いますのに、難波先生が今回の事件に絡んだと問題にされたい本は、岡村道雄氏著の「日本の歴史 01の 縄文の生活誌」(ISBN:4-06-268901-4)で、出版社は、岩波書店ではなく、講談社かと思いますが、どうでしょうか? (2000/12/03(Sun) 08:47:22)[cse6-29.nishinomiya.mbn.or.jp]

難波紘二 > 岩波は、雑誌「科学」と岩波新書で、科学的には未検証の問題を、確定された事実であるかのように報道しました。講談社は、後続です。 (2000/12/03(Sun) 10:42:59)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

難波紘二 > 紀田順一郎の本は「20世紀を騒がせた本」(平凡社ライブラリー、文庫)で、ルイセンコ「農業生物学」を取り上げています。 (2000/12/05(Tue) 10:43:28)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[327] 「脂肪酸」か「脂肪」か? 投稿者:元企業技術者y 投稿日:2000/12/03(Sun) 11:18:17 [sk-ap99.ppp.ttcn.ne.jp]

この掲示板に初めて投稿しますが、私は企業の研究部門に勤務していた元化学系技術者で、考古学は素人です。 以下の投稿は難波先生の提起された残存脂質分析に関するものです。難波先生の提起された問題が掲載されている南河内考古学研究所研・喫茶室への投稿が筋かと思いますが、喫茶室には技術的な論議は馴染まないかと思いましたので、こちらに投稿します。

(1)石器に付着していたのは「脂肪酸」か「脂肪」か? 本来なら原文献を自分で読み、確かめるべきですが、そのようなアカデミックな環境にないので、表題の疑問について教えていただきたいと思います。 (1)−@「脂肪酸」の表現 南河内考古学研究所研・喫茶室[326]脂肪酸分析の問題 で 難波先生が引用された文章(…田中琢と佐原真(編)「発掘を科学する」(岩波新書)の「第2章:脂肪酸が示す世界」という中野益男が執筆した箇所…)では ★「石器にはナウマン象とオオツノジカの脂肪酸が大量に付着しており、石器が見つかった地点の土にはこれらの動物の脂肪酸とコレステロールが残っていた。岡村さんは石器とその周辺の土と同時に、石器の見つからない地点の土も20箇所から採取して送ってきてくれたが、この土からは植物の脂肪酸とステロールしか見つからなかった。」 となっており、石器に脂肪酸が付着していたと読みとれます。 (1)−A「脂肪」の表現 青森遺跡探訪・掲示板 [308] 疑惑のリスト:“…20万年前の石器に"ナウマン象"の脂肪が付着…” [251] 馬場檀A遺跡の石器脂肪:“…その6個に動物脂肪が検出され…” 石器に付着していたのは「脂肪酸」または「脂肪」のどちらだったのでしょうか?

(2)もし、石器に付着していたのが「脂肪酸」でなく「脂肪」であれば、パルミトレイン酸の低融点を根拠にした推論は再考が必要と思います。 難波先生は前記の岩波新書での中野教授の執筆個所に準拠し、脂肪酸が付着していたという前提で、パルミトレイン酸の低融点に着目するという専門家らしい非凡な着想で、パルミトレイン酸の存在をねつ造の根拠の一つに挙げられています。しかし、「脂肪酸」でなく「脂肪」の状態でパルミトレイン酸が存在していたとすると、難波先生の推論は再検討が必要になると思います。化学系の方には周知のことですが、脂肪はグリセリンに三個の脂肪酸(単一の場合は少なく、多くの場合は異なる脂肪酸)が結合しています。パルミトレイン酸は低融点にしても、パルミトレイン酸を構成の一部とする脂肪が低融点であるとは限らないと思われます。手元に専門書がないので確かめられないのですが、パルミトレイン酸を構成の一部とする各種脂肪の融点を確認しておく方がよいと思われます。

(3)私は残存脂質分析についての難波先生の問題提起[南河内考古学研究所“喫茶室”(326)]は、科学的検証方法への盲信に警鐘を鳴らし、科学的方法内部に潜む問題点を明るみに出したという点で高く評価されるべきものと思います。ただ、発端がねつ造事件に関連した議論の反証の一部として、先生が提起された経緯があるために、個別事例に関する内容、表現の判断からこの青森の掲示板から抹消される事態があったようです。そのためか、この掲示板では難波先生の問題提起が正当に評価されない雰囲気を感じますが、その科学的根拠ならびに化学系教授の一般的な行動を基準とした周辺状況の判断は耳を傾けるべき内容と思います。私が思った疑問点は上記のパルミトレイン酸関連の部分でした。

(4)脂肪は単一化合物でなく、脂肪酸やその結合位置の異なる多数の分子種の混合物であり、外部環境の影響(酸素、水、微生物の働き等)が分子種により違うので、遺物の残存脂質の分子種構成が当初の状態と異なっている恐れがあると、私は考えます。特に、不飽和脂肪酸は空気中の酸素により、酸化され、過酸化物生成、炭素鎖切断と進行するので、別の姿になっている可能性があると考えます。中野教授のように化学畑から遺物の残存脂質分析に参加された方が分子構造に及ぼす環境の影響が分子種の違いにより異なることをどう考えているか、知りたいと思っています。

(5)今回のねつ造事件に関連する一連のネット上の意見交換に、当事者の組織あるいは周辺の方のご意見が見られないのは残念に思います。仮名で参加されているのでしょうか。中野教授は難波先生のご批判をご存じかどうか、気になります。以上

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科学評論家 > トリアシルグリセロールのエステル結合が加水分解されて、パルミトレイン酸が遊離したのか、あるいはエステル結合が分解されずアシルグリセロールのままで残存していたのか?ということですね。脂肪と脂肪酸の違いはかなり大きな問題ですね。 (2000/12/03(Sun) 12:39:52)[nttoska05086.ppp.infoweb.ne.jp]

岡安 > 掲示板からの抹消は、この掲示板を管理されているお父さまにご風向 (2000/12/03(Sun) 16:43:51)[firewall.ctktv.ne.jp]

岡安 > 失礼、不幸があって、管理できないので当分書き込みを遠慮してほしい、という掲示があったにもかかわらず書き込んだため(警告の上で)削除されたものです。 (2000/12/03(Sun) 16:46:43)[firewall.ctktv.ne.jp]

岡安 > キーボードを親指シフトキーボードに変えたばかりで、ミスが多くてもうしわけありません。 (2000/12/03(Sun) 16:53:31)[rt.ctktv.ne.jp]

元企業技術者y > 岡安様 お教え有難うございました。誤解していました。関係者の方、すみませんでした。 (2000/12/03(Sun) 20:01:10)[sk-an33.ppp.ttcn.ne.jp]

ash > (1)残存しているのは脂肪です。中野氏は「脂肪」と「脂肪酸」とを厳密に分けて文章を書かない方のようで、読み手に誤解を与えていますね。 (2000/12/03(Sun) 23:46:16)[tkscc-02p58.ppp.odn.ad.jp]

ash > ついでに、難波氏が非難している「胞衣壺」の血液型の件ですが、別の遺跡のものなので血液型が異なることに問題はありません。ちなみに「西隆寺」遺跡の脂肪酸分析は報告書において考古学者によって批判されています。なお、「西隆寺」遺跡の報告書はこちらで読めます。 http://www.nabunken.go.jp/Nabunken-Doc/hukyu/gakuhou/gaku52/gaku52.html (2000/12/03(Sun) 23:50:45)[tkscc-02p58.ppp.odn.ad.jp]

難波紘二 > 元企業技術者yさんへ。匿名批判には原則として、お答えしないのですが、他の人の理解を助けるためにも、別途回答します。 (2000/12/04(Mon) 11:27:29)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

おがみ大五郎 > 「喫茶室には技術的な論議は馴染まないかと思いましたので」とのことですが、そんなことはありませんので、南河内考古学研究所の喫茶室もぜひご活用下さい。 (2000/12/05(Tue) 00:40:16)[csc2-228.osaka.mbn.or.jp]


[328] Untitled 投稿者:うささぎ 投稿日:2000/12/04(Mon) 01:58:40 [global-user.toshima.ne.jp]

英語の話題はどうも盛り上がらないので「英語オタク」から元のハンドルネームに戻ります。今後は発言するにしても「うささぎ」のままでゆきますのでどうかご容赦下さい。 脂肪酸分析などの理科系の話題にはとてもついてゆけないのですが、難波さんが問題にされている岩波新書『発掘を科学する』の中の中野益男氏の記述には、全然異なったレベルの問題ながら「ホント?」と言いたくなる部分があります。馬場壇A遺跡の調査に関する下記の文章です。 「発掘を担当した東北歴史資料館(当時)の岡村道雄さんは、このとき現場で竹ぐしを刺し、石器とおぼしき石に当たると、ガラスのコップを差し込んで上を覆う土ごと摘出し、そしてそのまま私に送ってきた。」 私は全くの素人ですが、旧石器の地層の土が、ガラスのコップが差し込めるほど柔らかいことってあり得るのでしょうか。ガラスのコップではとても刃が立たないように思うし、砕けた場合の処理も大変でありそうもない話に思われてならないのですが、本当のところはどうなのでしょうか? もちろんこれは岡村氏の言ったことを(発掘現場の状況には詳しくない?)中野氏が単に誤解しただけの可能性もあるのですが、今回の捏造事件が明るみに出た後で読み直してみると、「藤村氏が靴の踵で踏み均しただけの地面だったらそんなことも可能だったのかな」と猜疑心にかられた想像をついしてしまうのですが・・・。

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人類学学生 > ほら、またねつ造だ! もう学問じゃないですね。税金を返せ! (2000/12/04(Mon) 07:00:04)[omiya-ppp-210-253-104-175.interq.or.jp]

ash > 岡村氏は、「石器や石器周辺の土を採取して残留脂肪酸を調べる。現代の脂肪が混ざらないように,移植ゴテをアルコールで洗い,手袋をかけ新しいシャーレに採集する。」(岡村道雄『日本旧石器時代史 増補版』79頁図31キャプションより)と述べています。 (2000/12/04(Mon) 07:11:06)[tkscc-02p62.ppp.odn.ad.jp]

うささぎ > あまり先走らないで下さいよ>人類学学生さん。底意地の悪い書き方をしましたが、私はこの記述は中野氏の思い違いによるものと推定しています。しかし一般書とはいえ「科学」を標榜する本ゆえ、荒唐無稽な記述は避けてもらいたい、と思っている次第です。 (2000/12/04(Mon) 09:32:44)[global-user.toshima.ne.jp]

bambi > 「英語の話題はどうも盛り上がらない」と、お嘆きの元「英語オタク」さんの為に、話題を提供したいと思います。と、言っても、元「英語オタク」さんが雑誌 Nature を、購読されていたらの話なんですが、YAHOOの掲示板(ホーム>芸術と人文>歴史> 日本史>「70万年前の石器」ねつ造事件)のNo381で http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v408/n6810/full/ 408280b0_fs.html と、いうのを紹介されていました。その後、何のレスもつかなかったようなので、出来ましたら、内容を調べていただけないでしょうか?又、その後の追加関連記事なども見つかりましたら、ご紹介いただけないでしょうか?よろしくお願いいたします。 (2000/12/05(Tue) 14:02:03)[cse6-8.nishinomiya.mbn.or.jp]

うささぎ > 私は純文科系でNatureすら読んだことはありません。もちろん手元にもない。トライはしてみますが・・・。 (2000/12/05(Tue) 15:47:43)[global-user.toshima.ne.jp]

bambi > 一応、http://www.nature.com/ に登録して、INDEXを見たのですが、それらしい、記事が見当たりません。おそらく、雑誌Natureには載っていなくて、WEB上に流れた記事と思います。うささぎさんがNature(Web版)を購読されていて、簡単に読める環境ならいざしらず、無理をして探し回っていただくほどの事もないと思いますので、このお願いは撤回します。替わりといっては何なのですが、件のKeally氏の論文の掲載された東アジア考古学会 http://www.eastasianarchaeology.org/ についてのSurveyをお願いできたらと思います。本年7月に英国ダーハムで行われた第2回世界大会においては、私が数えた所、日本から14名の議長あるいは、パネリストが選出されています。わざわざ英国まで、これだけの日本関係者が行くっていうのは、結構大きな団体なんじゃないかと思うのですが…また、ニュースなどで梶原氏、藤村氏の名前も、頻繁に出てきます。英語で書かれた参考文献としては、梶原氏、蒲田氏の論文なども紹介されていますし、深く調べたら、結構面白いのではないかと思います。何分、卒業以来、ほとんど英文に接していませんでしたので、読解力には自信がないので、これっていう、面白い箇所があれば教えていただければと、思います。よろしくお願いします。 (2000/12/05(Tue) 17:57:06)[cse6-16.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > [341] にアップしていただいてたのですね。早速、ありがとうございました。 (2000/12/05(Tue) 18:02:32)[cse6-16.nishinomiya.mbn.or.jp]

うささぎ > 勝手ながらほかの人の翻訳を一応チェックしようと思って「英語オタク」を名乗っただけで、自分で次々と関連文献を翻訳して紹介するつもりは全くありませんので、どうかご了解下さい。考古の知識も乏しいですし。 (2000/12/05(Tue) 18:44:33)[global-user.toshima.ne.jp]

bambi > 翻訳までお願いする気はないのです、もし、うささぎさんが、英文を読まれるのがお好きなら、ただ、ざっと読んで、ここが面白かったよ、くらいで結構です。後は、なんとか自力で行きます。でも、特に、読む気がおこらないのでしたら、無理にとは申しません。「英語オタク」とおっしゃったので、よっぽど英語がお好きなのかと思っただけですから。 (2000/12/05(Tue) 18:57:04)[cse8-18.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > 訂正:2000/12/05(Tue) 17:57:06発信のMSG中、蒲田氏→鎌田氏 (2000/12/06(Wed) 13:00:13)[cse5-33.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > すみません、うささぎさん。例のNatureの記事なんですが、少し気になっているのは、東北旧石器研究所の藤村氏の名前は出ていたとして、あと、鎌田氏とか、東北福祉大の梶原教授とかのお名前は出ていましたか?もし、出ていたとしたら、どのような紹介のされ方をしているのでしょう? (2000/12/06(Wed) 13:02:16)[cse5-33.nishinomiya.mbn.or.jp]

うささぎ > そのお二方もしくは近い関係者は誰一人言及されていません。 (2000/12/06(Wed) 13:06:16)[global-user.toshima.ne.jp]

bambi > わ、めちゃ、速攻のお返事おそれいります。その点は、外国のメディアはわきまえている気がします。気まぐれに、色々あたって入るのですが、鎌田氏は、研究所の所長だから名前が出て入る所はあるのですが、梶原教授のお名前を出しているところはないようです。 (2000/12/06(Wed) 13:13:03)[cse5-33.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > 訂正:入る  →いる (2000/12/06(Wed) 13:14:16)[cse5-33.nishinomiya.mbn.or.jp]


[332] 民博の縄文シンポジウムお知らせ 投稿者:bambi 投稿日:2000/12/04(Mon) 07:18:02 [cse8-9.nishinomiya.mbn.or.jp]

三内丸山遺跡・縄文シンポジウム2000 in 大阪 「民族学と縄文文化 三内丸山遺跡からの発信」
開催日:平成12年12月9日(土)、10日(日)
会 場: 国立民族学博物館 講堂 (定員450人【先着順・常設展の観覧料(大人420円)が必要】)
主 催: 青森県教育委員会 国立民族学博物館 12月9日(土)14:00〜16:00(開場 13:00)

●第1部 三内丸山遺跡から発信  ・三内丸山遺跡発掘調査の歩み 岡田康博(青森県教育庁文化課)  ・三内丸山遺跡の今年度の発掘調査成果報告 秦光次郎(青森県教育庁文化課) ◎第2部 パネルディスカッション「縄文経済学」 パネリスト 米山俊直(大手前大学) 岡田康博(青森県教育庁文化課) 小山修三(国立民族学博物館) 佐々木史郎(国立民族学博物館) 12月10日(日)14:00〜16:00(開場 13:00)

●第1部 縄文ファッション  ・縄文人は何を着たか ─ 民族服飾学の視座 松本敏子(薫英女子短期大学) 小山修三(国立民族学博物館) ◎第2部 パネルディスカッション「縄文の饗宴 ─ 食文化とまつり」 パネリスト 松本敏子(薫英女子短期大学) 金子裕之(奈良国立文化財研究所) 岡田康博(青森県教育庁文化課) 石毛直道(国立民族学博物館 館長) 小山修三(国立民族学博物館) ******** 以上、大阪府千里万博公園内にあります国立民族学博物館のHPよりの紹介です。 http://www.minpaku.ac.jp/

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案内人 > 確か、大阪でのシンポは、初めてではないでしょうか?三丸関係の予算だけは、すんなりついてしまうのかな?相も変わらぬメンバーによるシンポ。皆さんは、行かれるのでしょうか? (2000/12/04(Mon) 21:45:57)[c1-215.actv.ne.jp]

bambi > 議論の中心は、もう、上高森を越えて、更に、馬場壇A遺跡の脂肪酸の科学的検証から、前期旧石器時代の存在にまで、移っているようですが、たまには、こういう話題もいいでしょう。案内人さんが言及された方々のお名前がずら〜っと並んで壮観でしたので、紹介させていただきました。 (2000/12/05(Tue) 11:48:40)[cse8-20.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > 大阪は、サントリーの故佐治敬三社長の舌禍事件(1988年)より、東北に負い目があります。http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/digi/abni/abni6a.htm   (2000/12/05(Tue) 11:50:15)[cse8-20.nishinomiya.mbn.or.jp]

bambi > 東北と名がついたら、予算はおりやすいし、当然、東北礼讃の友好的な展開になるでしょう…  なんて、冗談はこの掲示板で許されるでしょうか? (2000/12/05(Tue) 11:51:54)[cse8-20.nishinomiya.mbn.or.jp]

案内人 > 予算の大半は青森県が出している?税金を使って、佐々木藤雄さんが言うところの「文化的捏造」を大々的に宣伝する?いつまで許しておいていいのでしょうか? (2000/12/06(Wed) 06:55:54)[c1-215.actv.ne.jp]


[333] お答え 投稿者:加藤真二 投稿日:2000/12/04(Mon) 10:09:56 []

小田さんの論文については、小田さんが石器でないとした粗粒の石材を使った大形の資料は、明かに石器であること、縄文時代のドリルと似たものは旧石器時代にもあること、炭化物が検出されていないのは埋没後、溶けて消失しまうこと、ないとされた接合資料はその後、検出されたことなどから、あまり有力なものではないと思います。指摘された粘土塊も是非ごらんになってご自身で判断してください。問題は後期旧石器時代の遺跡のようにチップ類が検出されていないことです。これについては、旧石器研究者は、中期旧石器時代以前は、石器製作とその使用の場が異なっていたのではないかということで解釈をしようとしていました。それにしても馬場壇あたりで、すでに小田さんが指摘したチップ類をなぜばらまかなかったのでしょうかね。このほうが石器埋め込みと比べても非常に容易と思いますが。 学史の中で座散乱木の資料を理解することは、なにも岡村さんの受け売りではありません。研究者の多くの考えと思います。安斉さんや佐藤さんが指摘するまで、岡村さんや鎌田さん、小田さんを含めて当時の研究者がその重要性を認識できなかった資料をどうして、どうやって捏造することができたのでしょうか。また、意図して捏造したとするならば、発見当時から捏造者はそれを主張しなかったのでしょうか。たまたま、偶然の一致だったのでしょうか。 ナウマン象の脂肪酸については、べつにナウマン象でなくてもいいのです。種の同定は無理でも動物由来か植物由来かは判別できると聞いています。石器と動物の脂肪酸、炉跡のセットが状況的に非常に自然で、ナウマン象の脂肪を石器に塗る、脂肪酸分析の捏造、1人でなく複数のものによる捏造という仮説を設けるよりも私にははるかに理解しやすいです。

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トンビ > ナウマン象出なくても良い、というのは本当ですか?現代にも生存している動物のものかもしれない、ということだったら、あまり資料としての価値はないとおもうのですが。 (2000/12/04(Mon) 11:53:16)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

加藤真二 > いえ、いえそんなことはありません。石器の形だけでは対象物などはわかりません。そこで動物を対象とした何らかの作業が行われたことがわかっただけでもすごいことです。 (2000/12/04(Mon) 13:22:58)[]

トンビ > それは嘘でしょう。加藤さんは脂肪酸を捏造でない証拠としてあげておられるのですよ?動物を対象とした何らかの作業が行われたことがわかっただけでは、捏造を否定できませんよ。縄文時代に、動物を対象とした何らかの作業をおこなったのかもしれないじゃないですか。 (2000/12/04(Mon) 13:32:34)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

トンビ > 小田論文の主眼は、宮城県の旧石器は地層と地層の境に水平に出土するということの指摘と、年代測定方法が不適切であることです。また、人工物と認定できなかった、と書かれているだけで、自然物と断定はされていません。それを「明かに石器」と言い張っても反論にはなりませんよ (2000/12/04(Mon) 14:00:24)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

トンビ > どうも詭弁を弄して遺物を救済しようとする人が次から次へと出てきますねえ。まあ、今回の事件の土壌は、わたしにはハッキリとわかりました。 (2000/12/04(Mon) 19:08:57)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

早傘 > 安斎さんや佐藤さんの論文は座散乱木が捏造でないことを前提にしてそれから後期旧石器への変化を説明しているものですから、結論が前提の無謬を保証しないのは論理の初歩。“後期旧石器の祖型は座散乱木の資料のようなものでしかありえない”といったたぐいの「証明」が不可能なのはいうまでもないことでしょう (2000/12/04(Mon) 22:37:25)[b142060.ppp.asahi-net.or.jp]

早傘 > 「岡村道雄さんの受け売り」がなにを指すか、もう一度ご確認ください。また、馬場壇の「炉跡」が確実だといっている分析者または自然科学者がいたら御教示ください。 (2000/12/04(Mon) 22:40:36)[b142060.ppp.asahi-net.or.jp]

加藤真二 > 早傘さま、馬場壇Aの報告書2は確かに否定的でしたね。でも別の地点を分析した馬場壇の報告書3は肯定的だったと記憶してます。さらに別の場所を分析した馬場壇Aの報告書1については忘れました。確認するので時間を下さいね。トンビさん、小田さんの論文にはいくつか柱があったのでは?そのうちの1つが層累面にくっついて出るということだったと思います。年代測定値についてはほぼ確定しているでしょう。ちなみに馬場壇A20層上面では10cm程度の上下差をもって出土してます。この値が大きいのか小さいのか、どんなものでしょうか。 (2000/12/05(Tue) 17:26:47)[]

トラ > 加藤さんトンビさんが言っているのは、「データの質を確保する」という基本的なことをなぜ、躊躇するのかということなんですよ。そこが「非常識」で理解不能だといっているんです。あなたも表採遺物ときちんとした包含層の遺物を同じに扱うことはないでしょう?藤村氏という「汚れた手」が触れた「可能性」あれば、資料としてはアウトです。 (2000/12/05(Tue) 20:08:27)[]

トンビ > 加藤さんは、考古学会でも支持されていないようですから、もうどうでも良いのですが、私のナウマン象に関する指摘には答えていないようですが、それはどうしたのですか?また、小田氏の論文の柱が何本かはともかく、捏造が発覚した今となっては、水平に石器が出土することの重要性は非常に大きいと思いますが、それについても、認識が甘いようで、ハァー、という感じです。それにしても、加藤さんは、なぜ、あくまで座散乱木と馬場壇Aの捏造をそこまで否定しようとされるのか、動機が知りたいです。お答えくださいますでしょうか? (2000/12/05(Tue) 20:58:05)[canal.wslab.ntt.co.jp]

花關索/永瀬唯 > 加藤隆司/広岡公夫、「馬場壇A遺跡第20層上面における全磁力探査および残留磁化測定(第2報)」、『馬場壇A遺跡III−−前期旧石器時代の研究』、東北歴史資料館/石器文化談話会編、1989、pp52-58、より。「2.残留磁化の測定<中略>注目すべきは斜線部で、南下向きの磁化を持つ部分がある。この方向は真鍋(1986)によって焚火跡と推定された部分の持っていた磁化方向とほぼ同じである。ただし、磁化強度は他の部分とほとんど差がない。/この南向きの磁化を持つ試料と、現在の地磁気の方向の磁化を持つ試料の段階交差消磁実験の結果を図46に示す。磁化強度の減少に両者の差はほとんどなかった。/75Oeで全ての試料を消磁した結果を図47に示す。現在の地磁気と異なる磁化を持っていた試料は現在の地磁気の方向に近くなっている。これは二次的な磁化が消磁されたためと思われる。しかし、斜線部の3試料は依然南下向きであり、安定であることがわかる。/5.考察 今回の調査範囲内から真鍋(1986)により報告されたような南下向きの磁化を持つ部分が検出された。<中略>これを見てもあきらかな様に、この3つの試料は他の試料とは異なる方向の磁化を獲得していることが分かる。また?全磁力探査の結果を見ると、この部分は負の異常を示している(図45の斜線部)。南向きの磁化が作る磁場は地磁気を打ち消し、減らす方向にはたらくので負の異常が現われたものと解釈できる。/第19g層が堆積した時期が磁気エクスカーションの時期であり(広岡・寺崎1988)、地磁気エクスカーションが始まった後に第20層上面で焚火が行われたとすると、焼土は南向きの磁化を獲得したことが説明可能である。このことは、この部分が焚火跡である可能性が高いことを示している。しかし、磁化強度および磁化の特性からは、この南向きの試料と他の試料に差はあまり見られず、この磁化が熱残留磁化であるという確固たる証拠は得られなかった。/今回の調査では焚火跡を断定できる証拠は得られなかったが、焚火が第20層で行われたとすればこの南向きの磁化を持った部分である可能性が高い。」 (2000/12/06(Wed) 02:46:48)[itbs2139.ppp.infoweb.ne.jp]

花關索/永瀬唯 > というわけで、馬場壇レポートの3においても、結論は「焚火跡を断定できる証拠は得られなかった」です。加藤隆司氏らが述べているのは、第20層で焚火がされていたという確固たる証拠が、別に得られているなら、その場所を特定する材料として、上記の磁気アノマリーが有用であろうという言説にとどまっています。このような分析の結果のどこが、「でも別の地点を分析した馬場壇の報告書3は肯定的だったと記憶してます」という発言につながるのでしょうか? しかも、加藤真二さんは、元の発言([316]座散乱木と馬場壇Aについて)で「2.馬場壇A遺跡のうち、20層上面では、熱残留磁気法により炉跡が確認されています」と断じています。このような典拠を示さぬ断言の内実が「と記憶しています」や、レポート1についての「さらに別の場所を分析した馬場壇Aの報告書1については忘れました」なる発言どおりであるなら、笑止どころか正気のさたとも思えません。馬場壇B遺跡と大原Bについての報告(「東北歴史資料館」29)については措くとして、加藤真二さんは、3つある馬場壇についての主要なレポートのうち2つにあたることなく、しかも、早傘さんの指摘に対して、わずか19時間後に確認することができた、つまり、容易にアクセスできる資料についても、「早傘さま、馬場壇Aの報告書2は確かに否定的でしたね」と認めているように、事実に反する言明をおこなっているわけです。ちょっと感情的な言い方をします。加藤さん、このようなデマゴギーをふりまいていること、自分で恥ずかしいとはお思いにならないのですか? (2000/12/06(Wed) 02:47:43)[itbs2139.ppp.infoweb.ne.jp]

花關索/永瀬唯 > 真鍋健一、「馬場壇A遺跡上面第20層上面の残留磁気測定」、『馬場壇A遺跡I』、東北歴史資料館/石器文化談話会編、1986、pp151-153、より。「これらのことから、破線で囲った範囲内の残留磁化は、地層の堆積後にこの部分が熱の影響を受けて磁化(熱残留磁化)を獲得した可能性があるといえる。しかし、図68の消磁曲線では、200Oeの交流磁場で約50%に消磁されてしまうことや、試料そのものの肉眼的な特徴(色・硬さなど)が他のの周辺部分のものとあまり差がないことなどを考えあわせると、あまり高い温度で焼成されたとは考えにくい」。 (2000/12/06(Wed) 02:48:57)[itbs2139.ppp.infoweb.ne.jp]

花關索/永瀬唯 >  というわけで、「さらに別の場所を分析した馬場壇Aの報告書1については忘れました」と加藤真一さんが弁明されている報告書1の該当部分を引用しました。ただし、このレポートがふれているのは「別の場所」ではありません。もしかすると、レポート3における真鍋健一氏の論考「Y・Z−1の残留磁気測定」のことでしょうか? だとするなら、この場所の分析結果が、レポートの本体(第4章「各層発見の遺構と遺物」、7.「20層上面」、c.「石器群の平面分布」、(5)「残留磁気・全磁力測定の結果」)で触れられていないことからも明白なように、「いずれも交流消磁実験の結果からは特に熱残留磁気であると考えられる積極的な証拠は得られなかったことになる。しかし、図29の磁化ベクトルの偏角分布図とあわせてみると、No16の試料だけが周囲と異なった方向を向いている。このことだけからは直ちに熱の影響を考えることはできないが、何か周りの試料とは異なったメカニズムで磁化を獲得したと考えることができる」ものであり、まさに、「積極的な証拠は得られなかった」のです。 (2000/12/06(Wed) 02:49:52)[itbs2139.ppp.infoweb.ne.jp]

難波紘二 > 永瀬唯さん、ちょっと文字色が読みにくいですね。遺跡に関する自然科学的データで、はっきり「原人が使用した証拠だ」と述べたのは、中野益男だけではないでしょうか。物理学的データは、科学に無知な考古学者が自分に都合がよいように盲信しただけだ、と思っています。 (2000/12/06(Wed) 10:31:00)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[334] 比較検証、その他 投稿者:トンビ 投稿日:2000/12/04(Mon) 10:49:34 [gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

矛盾がないとか、比較検証とか言う言葉が乱れ飛んでいますが、 捏造の疑いがあり、出土地点、状況の確定ができない遺物を、 他の遺跡から出土したものと、比較検証できると本当に思っているのでしょうか。 わたしは、ちょっと常識を疑います。 もし、それをするなら、藤村氏が主張する出土地点、状況を一度無批判に 受け入れなければならないのですよ? そのことに疑惑があるからこそ、検証が必要だと(私は無駄だと思いますが)言うひとがいるわけでしょう。 自己矛盾していることに早く気がついて欲しいのですが。

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トンビ > 地層を検証すればどうのこうの言う人も一緒ですね。そこの地層から出てきたことを、一旦無批判に受け入れるという矛盾をおかしてます。 (2000/12/04(Mon) 15:09:15)[gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

tak > なるほど、確かにそうですなあ。結局は心の正しい考古学者が新しいクリーンな石器をたくさん発掘してくれるのを待つしかありませんね。じっくり待つとしましょう。 (2000/12/05(Tue) 00:33:06)[h028.n068.nhk.or.jp]


[335] 脂肪と脂肪酸(1) 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/12/04(Mon) 14:40:55 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp] 

1.脂肪の化学について 「脂肪」という用語は、厳密には化学用語ではありません。脂肪(fat)とは、我々が普通に肉眼で見ている、バターやすき焼き肉の脂肪の塊のようなものをいいます。いわゆる脂肪の塊とは、脂肪細胞という特殊な細胞の集まりで、細胞のなかに、「脂質(lipid)」が蓄積したものです。 化学的には、脂質というのが、正式の名称です。 さて脂質には、その構成成分により、1)単純脂質と2)複合脂質が区別されます。 単純脂質というのは、グリセリン(グリセロール)に脂肪酸が3つエステル結合した「トリアシルグリセロール」や1つまたは2つ結合したもの、さらに長鎖脂肪酸が分解されて水酸基がつき(高級アルコール。グリセリンも水酸基をもつので、アルコールです)、これが他の脂肪酸とエステル結合した「ワックス」などを含みます。 グリセリンには水酸基が三つあり、三つの脂肪酸と結合することができるのです。 このうちグリセリンと脂肪酸のエステルについては、医学的には「中性脂肪」と呼びます。いわゆる肥満症の場合にたまるのは、この脂肪です。また酒の飲み過ぎで、肝臓にたまるのもこの中性脂肪です。この中性脂肪は、機能的には動物のエネルギー源として重要です。 またいわゆる亀の子状のステロール核をもつ、コレステロール(これも化学的にはアルコールです)やビタミンAアルコールも、脂肪酸とエステル結合し、単純脂質となります。 エステルというのはアルコールから水酸基が、酸から水素が失われ(エステル結合)、二つが化合した物質をいいます。 複合脂質というのは、アルコールと脂肪酸以外に、糖や燐酸など他の成分をも含むものをいい、糖を含むものが糖脂質と、燐酸を含むものが燐脂質と、呼ばれています。複合脂質は、生体膜の重要な構成成分で、脳には多量に含まれています。 原人が石器で肉を調理すれば、そこに付くのは、肉眼的な「脂肪」であり、「脂肪酸」が直接付着するわけではありません。その脂肪は、多数の脂肪細胞のなかに、小さな滴状物として含まれています。この脂肪滴のなかに、脂質が含まれています。脂肪細胞は、細胞の自己融解や細菌の分解作用により、化学物質としての脂質に分解されます。さらに空気中や水分中の酸素の作用により、酸化が進み、その構成成分であるアルコール、脂肪酸、燐、糖などに分解されます。これが50万年の間、間断なく進行します。 従って、もともと石器についた脂肪はごくわずかですから、もし石器表面に脂肪や脂肪酸が残るような状況があれば、その土壌では、酸化や腐敗は、ほとんど起こらなかったことになるから、もっと大きな塊である人間や動植物の遺体がミイラや化石となって発見されるはずです。元来、ローム層(テフラ)というのは、そういう有機物残留物を「残さない」ので有名な地層のはずです。このことを知っていれば、「50万年前の石器から、脂肪酸を発見」という報告の、うさん臭さにまず違和感をおぼえるはずです。

2. 脂肪か脂肪酸か?  石器に付着したのは、動物の脂肪ですから、それは化学的には、大部分が中性脂肪だったと考えられます。つまり「トリアシルグリセロール」が主要成分だったと思われる。モノ、ジ型のものは、代謝の中間産物であり、量的にはわずかのはずです。 さて、中野の報告(脂質生化学研究、25:236-239,1983、学会抄録)には(これには出土地の記載がない)、「獣骨、骨角器」からクロロフォルム・メタノールを用いて「脂質」を抽出し、ついで塩酸・メタノールで、加水分解し、脂肪酸のメチルエステルを作製し、これをヘキサン・エーテルの混合液に溶解し、シリカゲルGの薄層プレートで「脂肪酸メチルエステル」成分を抽出し、このサンプルをガスクロマトグラフ装置にかけた、と記載してあります。 これはどういうことかというと、出土サンプルから、有機溶媒を用いて、脂質を抽出し、ついでそれを脂肪酸に分解し、その脂肪酸を分析した、従って直接検出したのは、「脂肪酸」であり、それを通して出土サンプルに付着していた脂質を検証した、という意味です。 この方法が妥当かどうかは、わかりません。トリアシルグリセロール自体が、ヘキサン・エーテルによく溶け、シリカゲルの薄層クロマトで容易に抽出できますから、塩酸・メタノールによる加水分解は、その後で行うのが、妥当だと思いますが、この点については、今後脂質分析の専門家の意見を聞いてみます。 確認します。石器に自然の状態で付着していたものは、「脂質」(脂肪)であり、脂肪酸が付着するわけはありません。ただ分析の手順としては、「動物種」を鑑定する必要上「脂肪酸」を成分別に検出せざるをえなかった、そういうことなのです。


[336] 脂肪と脂肪酸(2) 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/12/04(Mon) 14:42:18 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

3. ついで融点の問題に移ります。  脂肪酸(これは炭素原子が、縦に長く連なった鎖をなしています)のなかには、炭素同志の間が二重結合(不飽和結合)になっているものがあり、これを不飽和脂肪酸といいます。 不飽和結合があると、この部分で炭素の鎖が、直線にならず、折れ曲がってしまう。すると沢山集合したときに、ぎっしり材木を積んだようにならず、折れた竹竿を重ねたようになり、分子と分子の間に隙間ができます。つまり分子の可動性が生まれる。このために不飽和脂肪酸の融点は低下し、不飽和脂肪酸をふくむ脂質の融点も低下します。サンマを焼いたときに最初に出てくる油、あるいはすき焼きの鍋で、肉からでてくる油は、これです。 生物が、低融点の脂質をもつ意義はいろいろありますが、その一つに寒冷耐性が著しく向上するという利点があります。従って低温環境に住む生物は、細胞膜や脂肪細胞のなかに、比較的多くの不飽和脂肪酸からなる脂質をもっています。マンモスも当然そうだったに違いありません。 不飽和脂肪酸のなかでも、パルミトレイン酸は融点が0.5度ときわめて低く、常温で液体です。脂質として存在する場合には、グリセリンの3つの水酸基全部にこれがくっついたものは、人では4%しかありません。(H.Brockerhoff: 1965)たぶんマンモスではもっと多いでしょう。パルミトレイン酸の「トリアシルグリセロール」の融点は、いま文献がないのでわかりませんが、グリセリン自体が常温で液体ですから、液体と液体の化合物が固体になるとは、まず考えられません。従って、自己融解が進み、細胞膜が壊れた瞬間からこの脂質は、流れはじめたはずです。だから「石器に残るはずがない」という私の指摘は、付着していたのが、脂質か脂肪酸か、ということに関わりなく、成立すると思います。

4. 対照実験の不備  中野益男の仕事についての文献学的調査がほぼ終了しました。 彼が考古学にかかわる仕事について、フルペーパーを書いた証拠は、どこにもありません。 結局、「歴史公論」、「考古学ジャーナル」などの商業誌に書いた「総説」と「脂質生化学研究会」(講演要旨)、「第四紀学会」(講演要旨)と文部省の研究班の報告書などがすべてです。 それどころか、現実には存在しない外国雑誌の論文を架空引用した疑いも出てきました。 (これは非常に重要な点なので、さらに確認を急いでいます。これが証明されれば、「ねつ造」が成立します) 50万年の歳月に耐えて、石器に付着した土中の脂質が残存する、ということを証明するには、石器から脂質を検出しただけではダメで、その理由を同時に説明しなければなりません。さもないと我々の周囲は、過去から蓄積した「脂肪酸」だらけになるのは、明らかなことです。我々は、グリースの海でおぼれてしまうのです。 中野がこのことを証明するために行った実験は、生のエゾシカの脛骨を土中にうめて、23ヶ月間残留脂肪の総量と脂肪酸成分の変化を追跡した、というものです。しかも測定は、14ヶ月後と23ヶ月後の二点でしか行ってありません。実験が行われた季節は何時だったのか、埋めた深さはどの位か、その土壌はどういう地層だったのか、それらは一切明らかにされていません。(中野益男:考古学ジャーナル、No.385:2-8,1995) つまり彼は、エゾシカ脛骨の骨髄中の脂肪(石器表面とはまったく条件が違う)を、たった二回、わずか2年足らずの期間調べただけで、「残存脂肪酸の量とその組成は、大きくは変化しない」という結論を導き出しているのです。この実験から言えることは、せいぜい「2年程度土中にあった骨の骨髄中の脂肪については、その脂肪酸組成は、大きくは変化しない」ということだけです。数万年も土中にあった石器表面の脂肪が残存し、その脂肪酸組成が変化しない、という結論は、ぜったいに導き出せないのです。これは方法論的には、適用限度を超えて、実験結果の過剰な外挿をおこなっており、「科学の論理として間違っている」のです。 こういうずさんな研究者のデータを信じるのは、科学に対して無知であることの証明だと思います。

5. 科学的真実は、多様な方法で確認される  さて中野は、「石器から、各種脂肪酸を検出した、それには絶滅動物の脂肪酸(のパタン)が含まれており、従って原人が使用したと考えられる」という主張を行っています。この主張が、「馬場壇A遺跡」が原人の遺跡であるという、非常に重要な根拠になっています。仮にマンモスの脂質は、石器に残らないということが証明されれば、1)石器から脂質を検出したという実験が嘘であるか、2)誰かかが、遺跡に油付の石器を埋めた、という推定が成り立つと思います。 だから、私は、この問題が今回の事件の「再調査」において、きわめて重要な位置を占めていると、主張しているのです。 酸化が急速に進み、分解されやすい脂質よりも、多糖類やDNA(これもデオキシリボースという糖を含んでいます)のほうが、はるかに残りやすい。実際に、中世の日本のミイラの血液型は、調べられています。5000年前のペルーのミイラから、HTLV-1というウイルスの遺伝子も検出されています。また化石になった骨のなかから、ミトコンドリアDNAの断片を検出したという報告もあります。もし石器から、マンモスの脂質が検出されたというのが本当であれば、同じところから出土した石器から、人間にない糖脂質(血液型物質もそのひとつ)や動物のDNAが検出されるはずです。 中野が実験を行ったと主張している1980年代の初めに比べ、微量物質の検出方法は、飛躍的に発展しています。例えば、DNAならサンプル中のDNAを100万倍に増量して分析する技術が確立しています。もし彼の主張が正しければ、別の方法で彼の主張の「正しさ」は科学的に証明されるはずです。 そのように他者の多様な方法での確認によって、はじめて「科学的真実」というものは、確定されるのです。 私はすべての発言で、実名をあげて批判を行っています。これはいつでも、当事者から反論をうけつけます、ということの表明です。私は逃げも隠れもしません。日本人の多くは、私に感情的反発を抱かれるかも知れませんが、キーリィやブリードの論文をお読みになればお判りのように、これが国際的な科学者の常識なのです。

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うささぎ > マンモスじゃなくてナウマン象ですよね? 念のため。 (2000/12/04(Mon) 15:39:00)[global-user.toshima.ne.jp]

難波紘二 > ああ、そうでした。寒冷という連想からついウーリィマンモスを想い出し、間違えました。すみません。 (2000/12/04(Mon) 15:56:37)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

難波紘二 > もひとつ間違いが、「人間にない糖脂質」ではなく「人間にない多糖類」です。 (2000/12/04(Mon) 17:06:44)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[337] 関係考古学者へのお願い 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/12/04(Mon) 15:47:50 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

奈良国立文化財研究所学報No.52「西隆寺発掘調査報告書」を読みました。Ashさん、情報ありがとうございました。 すでに1993年の時点で、中野の仕事に対するきわめて重大な疑義が考古学者から提出されていたことをはじめて知りました。 「脂肪酸分析の結果だけが胞衣壺を示唆しており、それ以外の状況証拠はことごとく地鎮め説に有利なものとなっている」、「脂肪酸分析の結果には重大が疑義がある」、「”科学的”だからという理由だけで、文章全てを無批判に受け入れていいわけではない」 私の言いたいことは、ぜんぶここに書いてある。 ところで「脂肪酸分析はズコーシャと帯広畜産大学に依頼し、両者の署名入りの報告書を受領している」と書いてありますが、ズコーシャというのはどういう会社で、中野とどういう関係にあるのでしょうか? これが教えていただきたいことの第一。ネットに差し障りがあれば、konanba@hiroshima-u.ac.jpへのメールでもよいです。 もう一つは、中野の生データをネットで公表して欲しい。具体的には、報告書の図45-50と表6-9です。 病理や考古学と異なり、化学関係では、物があとに残らないから、ねつ造は簡単にできるのです。だからねつ造者は、証拠を残さないように、生データを論文に公表しないのが普通です。 これがネットに公表されれば、化学に詳しい人には簡単にねつ造が指摘できると思います。報告書自体は、公文書であり、著作権の問題はありません。後は、考古学者の勇気の問題でしょう。

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科学評論家 > 私は、考古学関係ではありませんが、検索で調べると帯広にズコーシャというのがあります。http://www.zukosha.co.jp/悪臭の分析もやってるようですガスクロか液クロとおぼしき装置が写ってます。家畜糞尿・堆肥・スラリー・土壌・作物中の成分分析(悪臭分析)ということでアンモニア、硫黄、低級脂肪酸(ノルマル酪酸プロピオン酸ノルマル吉草酸イソ吉草酸)を分析しているようです。 (2000/12/04(Mon) 17:50:37)[nttoska08244.ppp.infoweb.ne.jp]

難波紘二 > なるほど帯広に本社がある、「環境分析調査」の会社ですね。実績を見ると帯広畜産大学のダイオキシン測定も手がけている。また以下の遺跡の脂肪分析も行っている。大阪府(池島遺跡)、愛知県(門間沼遺跡)、京都府(東土川遺跡)、北海道(全遺跡)、栃木(西赤堀遺跡)、 (2000/12/04(Mon) 18:18:26)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

難波紘二 > これで論文に中野の名前しかないわけがわかった。彼の仕事はここが下請けしているのです。だから共同研究者がいなくても、学会発表ができたのですね。しかしこれはひどいことになってきましたね。業者がやった仕事を、大学の名前で権威づけてきたのか! (2000/12/04(Mon) 18:20:58)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

科学評論家 > 考古学関係者への質問です。このような分析は、GLP (Good Laboratory Practice Standard)でやってるのでしょうか? (2000/12/04(Mon) 18:43:14)[nttoska08244.ppp.infoweb.ne.jp]

科学評論家 > このような分析は、信頼性保証のためにGLP 分析すべきですね。 (2000/12/04(Mon) 18:49:38)[nttoska08244.ppp.infoweb.ne.jp]

案内人 > すみません、GLPってなんのことでしょうか?お教えいただければ幸いです。 (2000/12/04(Mon) 21:51:01)[c1-215.actv.ne.jp]

早傘 > [248]と[282]に説明があります( (2000/12/04(Mon) 22:32:26)[b142060.ppp.asahi-net.or.jp]

案内人 > 有り難うございます。 (2000/12/04(Mon) 22:56:53)[c1-215.actv.ne.jp]

案内人 > でも、正直言って、良く理解できません。おつむが悪くて申し訳ありません。 (2000/12/04(Mon) 23:01:37)[c1-215.actv.ne.jp]

科学評論家 > 米国で1970年代に医薬品の毒性試験を受託している会社が、ありもしないデータを捏造していたことが、FDA (連邦食品医薬品局)のPathologist (病理学者)によってあばかれました。ところが、この会社が大変に多くの製薬会社、農薬会社および化粧品会社から依託されて試験をおこなっていたので大きな社会問題となりました。これを受けて、FDA では、捏造できないシステムをGLP (Good Laboratory Practice Standard) 優良実験所規範として法律にしました。もちろん日本でも医薬品については、昭和57年から施行されています。具体的には、施設や人員配置のありかたから、実験のプロトコール、測定装置のカリブレーションやありとあらゆるものについて基準を設けて、全て文書化し、最終的には、QAU(Quality Assurance Unit) 信頼性保証部門が独自に監査し、実験の生データが正確に最終報告書に反映されることを保証するものです。一個一個のデータをすべて調査します。もちろん、ぬきうちで実際の実験を調査したりします。また、厚生省はしばしば企業の研究所や試験受託機関を査察します。大学にも一部ではこのGLP で実験しているところがあります。それと分析したサンプルなどについても低温倉庫でアーカイブとして保存しておくことが義務ずけられていますので、その試料を再分析すれば、いいわけです。証拠になるような標準物質はすべて残しておく必要があります。だから、捏造しようと思っても捏造できないような仕組みになってます。このための研究会もできています。http://www.jsqa.com/ (2000/12/04(Mon) 23:57:27)[nttoska08244.ppp.infoweb.ne.jp]

科学評論家 > GLP下で矛盾がないように捏造をしようとすれば、ものすごい労力と多数の人間を一度にまきこまないとできませんので、捏造するよりはまともな実験をする方がずっと簡単だと思います。また、全分析サンプル、化学物質、標本などをアーカイブに残さなくてはならないのでまさしく難波先生いうところの“ものののこる試験”となっています。このような体制を敷くことで、医薬品など直接いのちにかかわる製品の毒性試験や分析試験の実験の信頼性を確保しています。 (2000/12/05(Tue) 10:38:58)[nttoska02030.ppp.infoweb.ne.jp]

bambi > http://www.jsqa.com/ 拝見しました。考古学においても、科学的分析は可能な限りの厳密さを持って行わなければならないのは当然ですが、製薬業界など、多くの受益業界のある分野でのGLP分析を、そのまま当てはめるとして、その財務的基盤をどのようにお考えでしょうか?受益業界のない考古学では、その財務のほとんどを、我々の税金から拠出しないといけないと思います。それがはたして現実的に可能なんでしょうか? (2000/12/05(Tue) 16:23:14)[cse7-10.nishinomiya.mbn.or.jp]

難波紘二 > 日本で考古学的発掘のために使われている予算は、年間1000億円を超えるそうです。 (2000/12/05(Tue) 16:40:00)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

科学評論家 > そんな巨大予算が考古学に使われているのですか、びっくりしました。だったらなおのことしっかりしたデータを出してもらわないと納税者として納得できません。さて、考古学関連の化学分析をGLPで行うとしたら、通常分析の何倍ぐらいお金がかかるのかについては、受託している会社で見積ってもらわないと分かりませんね。現段階では、考古学の化学分析にGLPを採用している会社などはないでしょうから、考古学化学分析に特有な初期投資も必要ですし、そこらへんから詰めていく必要があろうかと思いますので、いま、すでに行われている医薬品とか農薬のGLP分析とは違いますので見積もりも簡単じゃないですね。私は、考古学はまったくの門外漢なので考古学関係者への質問ですが、通常、考古学における化学分析の費用はどこが負担しているのでしょうか?データの信頼性保証のために必要なお金はどこが負担するのがもっとも妥当なのでしょうか?でも1000億もあるんだったら大丈夫のような気もします。そもそも今回のような捏造事件がなければ、考古学化学分析にGLPを適用するなんていう発想自体が思いうかばなかったでしょう。 (2000/12/05(Tue) 17:16:19)[nttoska02030.ppp.infoweb.ne.jp]

トラ > 日本の発掘調査の9割以上が「行政発掘」といわれるもので、発掘の原因者が負担します。このことについて説明すると長くなりますので「縄文学研究室」というホームページをごらんください。結論から言いますと、分析の費用は発掘費用に含まれます。また、発掘費用は税金(つまり行政)から出ることもありますし、民間の企業、個人が負担することもあります。「縄文学研究室」はこのホームページのリンク集からいけます。取り急ぎお知らせまで。 (2000/12/05(Tue) 17:35:49)[]

トラ > 「行政発掘」(あるいは緊急発掘)は、「学術発掘」に対応する言葉で、発掘主体が都道府県教育委員会、市町村教育委員会などが、開発行為による遺跡の消失のまえに調査し「記録保存」するものです。これに対し、「学術発掘」は、研究目的の発掘調査です。上高森、総進不動坂などはこの「学術発掘」でした。 (2000/12/05(Tue) 17:47:09)[]

トラ > わたしの世代で「行政発掘」に関わっているものは、いろいろな意味で「学術発掘」に対する引け目を感じていることが多いのですが、鎌田氏の調査の意味を疑わせるような発言をみると目の前が真っ暗になる思いでした。 (2000/12/05(Tue) 19:48:12)[]


[338] 考古学の日本的体質 投稿者:トンビ 投稿日:2000/12/05(Tue) 10:59:57 [gold.rdh.ecl.ntt.co.jp]

この掲示板でのやりとりを通じて、明かにできたことは、一言で言って、考古学会がいかに日本社会の典型的体質を持っているか、ということであったように思います。

(1)あらゆる詭弁を使って、身内をあくまでかばうこと。身内、というのは、他の学閥の人から東北大学閥を守る、という意味だったり、部外者の批判から考古学を守る、という意味だったり、色々します。

(2)部外者に、非常に敵意を持ち、大変に不親切であること(初期の難波氏や、最近、質問を投稿した大杉氏に対して)。非常に陰湿な発言が横行しています。

(3)一億総懺悔。誰も形式的方法をつかえていなかったことが証明されてしまった、と言う発言が311で北條さんよりありましたが、捏造をおおよそ見抜いていた学者もいたのです。個人の責任、見識、能力を問われているという 受け止め方が希薄だと思います。 こうした、旧来型日本社会の特質からの脱却が、考古学に今求められているものなのだ、ということをわたしの総括としたいと思います。 こうした部外者からの発言が真摯に受け止めてもらえることを祈ります。

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難波紘二 > トンビさん、お気持ちにはまったく同感です。日本考古学に変化が起きるのを期待します。 (2000/12/05(Tue) 12:49:30)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[339] パルミトレン酸の存在は遺物ねつ造の物証になるか? 投稿者:元企業技術者y 投稿日:2000/12/05(Tue) 13:14:17 [tn-ah148.ppp.ttcn.ne.jp]

(1)掲示板[327]:遺物に付着しているのは“「脂肪酸」か「脂肪」か?”の疑問に対して、「脂肪」と教えて下さった方々、どうも有難うございました。

(2)「脂肪」であれば、“石器に残るはずがない”という議論の根拠は「パルミトレイン酸」そのものの融点でなく、「パルミトレイン酸を構成成分に含む脂肪」の融点になります。

(3)論理的には「パルミトレイン酸を構成成分に含む脂肪」の融点についての十分なデータがないと、“石器に残るはずがない=パルミトレン酸の存在は遺物ねつ造の物証“という説の可否の判断はできないと思います。

(4)「パルミトレイン酸を構成成分に含む脂肪」の融点について難波先生は[336]で次の見解を述べられました。 「グリセリン自体が常温で液体ですから、液体と液体の化合物が固体になるとは、まず考えられません。……中略……だから「石器に残るはずがない」という私の指摘は、付着していたのが、脂質か脂肪酸か、ということに関わりなく、成立すると思います。」

(5)この見解について、私は次のように考えます。 「液体と液体の化合物が固体になるとは、まず考えられません」と述べられましたが、化学の世界ではあります。飛躍した例で言えば、電気製品によく使われるプラスチックであるポリスチレンの原料は液体です。スーパーのポリ袋の材料はポリエチレンですが、原料は気体です。 このような極端な例でなく、今回の脂質の関連で言えば、オレイン酸は融点14℃近辺で、室温がそれ以上であれば液体です。しかし、オレイン酸がトリグリセリドの構成成分になっているチョコレート用の油脂(カカオ脂など)の融点は体温近辺で、チョコレートが固体であることはご存じのとおりです。 パルミトレイン酸を含むトリグリセリドの融点が低いことは予想されますが、グリセリンに結合できる脂肪酸の数は三つあるので、パルミトレイン酸の他にどのような脂肪酸が結合するかで、トリグリセリドの融点が変わるはずです。オレイン酸の例から類推すれば、特にパルミトレイン酸が一つ、長鎖飽和脂肪酸が二つ、結合したトリグリセリドの融点はパルミトレイン酸自身より高くなる可能性があります。 “脂質か脂肪酸か、ということに関わりなく「石器に残るはずがない」という指摘が成立する”ためには、厳密な論理としては、やはりパルミトレイン酸を含むトリグリセリドの融点のデータの裏付けがあって言えることと思います。

(6)なお、ある成分が遺物から流出するか否か、土壌とか岩石表面の吸着性も考慮する必要があり、融点のデータは流出に影響する一因子と考えるのが妥当と私は思います。粘土鉱物のモンモリロナイトの結晶層間(正確な表現ではないかも知れません)にある種の有機化合物が包接されるのはよく知られた現象です。土壌中の物質移動について、考古学、地質学、土壌学、界面化学などの専門家によるシンポジウムを開いたら相互に有益かもしれませんね。 (6)この掲示板の針を一ヶ月近く、巻き戻したような時代遅れの投稿ですが、この掲示板の存在を知ったのが最近ですので、ご容赦下さい。

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難波紘二 > 確かにそうですね。「パルミトレイン酸のグリセリンとの化合物が常温で液体である」ということは、私は証明データをもっていません。科学とは厳密でなくてはいけない。謝ります。 (2000/12/05(Tue) 13:28:54)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

科学評論家 > 難波先生の非は非として認める態度に科学者のすがすがしいものを感じました。先生のファンとして発言にはいつも注目しています。融点は下のような本のデータが参考になると思います。The physical chemistry of lipids : from alkanes to phospholipids / Donald M. Small ; with contributions by Bryan M. Craven ... [et al.].- Plenum Press, 1986. -- (Handbook of lipid research ; v. 4)手元にないのでこの本をNACSIS WebCat にて調査すると全国で24大学においてあります。難波先生の近くなら、広島女子大にあるようです。 (2000/12/05(Tue) 14:27:30)[nttoska02030.ppp.infoweb.ne.jp]

難波紘二 > ご教示ありがとう。この大学は、宇品港の近くにあり、とても遠い(私の研究室は、東広島市酒どころ西条にある)誰か化学に強い人調べてくれませんか。 (2000/12/06(Wed) 12:47:34)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]


[340] アカウンタビリティ 投稿者:難波紘二 投稿日:2000/12/05(Tue) 13:18:02 [konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

学問は、市民の支持の上に成り立っています。だからそれにたずさわるものは、市民に対して、説明をし、その理解を深める努力をする義務があります。それをアカウンタビリティと呼びます。別に役人や行政だけにそれがあるわけではありません。しかし、今度の事件でわかったことは、ほとんどの考古学者にも、考古学会にもそれがほんどないことでしたね。 事件も深刻ですが、この事態はもっと深刻だと思います。恐らく「311」で発言した大杉さんは、日本人の考古学者を憎むようになったのではないかと思います。 この前「ルイセンコ論争」を紹介しましたが、あの時ルイセンコ支持を表明した多数の日本の生物学者・農学者のうちで、ルイセンコ失脚で論争が終わった後にも学者生命を維持できたのは、生物学史の八杉龍一だけでした。後は、世の中に見捨てられた。日本共産党も、被害を受けた農民の反発を食らって、農村基盤を失います。 私は今度の事件でも、同じような事態が起こるだろうとにらんでいます。 世の中というのは、それほど甘くないですよ。誰と誰が、見捨てられるかは、この掲示板で発言してきた人には、ほとんど確実にわかっているのではないでしょうか。 しかし批判をしてきた考古学者だって、その態度はあまり尊敬できるものではない。彼らを世間がこれからどう処遇するかも、注目する必要があります。 日本考古学を日本人だけの学問ではなく、世界に開かれた国際的な学問にすることが一番重要なことでしょう。その基盤があれば、今度のような事件は起こっていないと思います。早い話が、キーリィ教授のHPに書かれている「日本考古学入門」の翻訳だけでも行われていれば、「日本人の考古学を見る国際的な眼」がどのようなものであるか、わかるはずです。 ねつ造論争もほぼ終盤に入ったので、ゆとりが生まれ、少し感想を書きました。

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トンビ > 大杉さんの発言は313です。それ以外については、同感です。自分の学生かなにかに対してなら、勉強してから質問しろ、という指導も場合によって必要でしょうが、あの文脈で、ああいうことを言える(しかも見苦しい言い訳として)感性を私は疑います。 (2000/12/05(Tue) 21:02:15)[canal.wslab.ntt.co.jp]

大杉 > 難波さんの言い方がキツイのでつい出てきてしまいました。憎むってのはちょっと(笑)。まあでも失望したのは確かですね。藤村氏が関与していない「前期」旧石器遺跡は以下の竹岡氏の指摘のように存在するみたいですが、遺跡名や詳しい内容が(かなり調べたつもりでも)分からないのです。検索エンジンでは山形県−袖原遺跡、岩手県−瓢箪穴遺跡とどちらも藤村氏が関与した遺跡しか出てきません。かといって文献を調べようにもどんな本に当たればいいのやら…。こんな状態の方は多いんじゃないですか? なのに自分で調べろ的発言しか帰ってこなかったのはやっぱり残念です。しかもネット上で聞いてるわけですから、情報は共有されて同じ疑問を持つ人は質問せずに済むし、後から同じ質問されてもURLを示すだけで済みますよね。もっとインターネットの利点を生かして情報の共有化・集積化を図るべきだと思い、[313]の書き込みをさせていただきました。最後はスネた書き方をしてしまいましたが、専門家の皆さんの益々のご活躍と考古学界の健全なる発展は本当に期待しています。専門家の方が情報発信してくださるからこそ僕ら素人衆は新たな発見に興奮したり古代のロマンを感じたりできるのですから?多少の悪口・いやみに反発なさることなく本質的な所の議論や専門家ならではの情報発信を今後ともよろしくお願いします。 (2000/12/05(Tue) 22:51:21)[]

大杉 > 朝日新聞「考古学が危ない」下 先史考古学者・竹岡俊樹さんに聞くhttp://www.asahi.com/paper/special/sekki/001110d.html---1997年のことです。彼はかかわっていない山形県の遺跡の石器を見たら、フランスなどと製作技術や形態が同じ前期旧石器時代のものでした。位置付けをはっきりさせたいと思って山を一つ越えた宮城県上高森遺跡から出た石器を見に行って驚きました。前期旧石器時代のものと聞いていたのに、技術も形態も縄文時代と変わらないのです---(中略)---私は論文を発表してから見せてもらえないが、かつて見た彼らの石器の中には確実に前期旧石器時代のものが一つか二つはあった。藤村氏とは無関係の岩手県の遺跡でも前期旧石器時代の石器が出ている。東北地方に前期旧石器時代の遺跡があるのは間違いないのです--- (2000/12/05(Tue) 22:52:58)[]

大杉 > すいませんURLが変でした。正しくは朝日新聞「考古学が危ない」下http://www.asahi.com/paper/special/sekki/001110d.html (2000/12/05(Tue) 22:59:34)[] 科学評論家 > 大杉さんの意見にまったく同感です。私も市井の一考古学ファンとして以前から大変に知りたいことがあります。前にも書き込んだのですがash さんに教えてもらった阪大理学部の電子常磁性(スピン)共鳴法(EPR またはESR)による熱を受けた上高森遺跡の石器の年代測定結果です。http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt37/20001105b63b5007_05.htmlこの実験の妥当性とデータの信頼性はどうなんでしょうか?これが藤村氏の嘘の上に嘘を重ねたものなのか、それとも信頼性ある測定結果で事実なのかを知りたいと思っています。上高森遺跡発掘関係者、阪大理学部池谷研関係者あるい奈良教育大学の長友研の方など、上記の電子スピン共鳴法による年代測定法について詳しい情報を持ってる方情報提供よろしくお願いします。 (2000/12/06(Wed) 10:02:47)[nttoska02030.ppp.infoweb.ne.jp]

難波紘二 > 化学評論家さん、私は65万年プラスマイナス20万年という測定結果がでるような精度ではデータは使い物にならない、と思います。これはなかったものとして扱うべきでしょう。 (2000/12/06(Wed) 15:52:29)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

科学評論家 > ご両人様、ご返答まことにありがとうございました。心証的にはだめだろうなとは思ってたのですが、やっぱりでめですか。まだ、電子スピン共鳴法による年代測定は未熟なのですね。わかりました。 (2000/12/06(Wed) 21:29:25)[nttoska02030.ppp.infoweb.ne.jp]

早傘 > koyugun さん ESRの測定値のことは以前から気になっていました。都合のよい測定値が出るように測定に出す予定の資料に紫外線や放射線を当てまくったのではないかと考えたこともあります。上のご説明を読んで、それほど大がかりなことをしなくてもよいとわかりました。もう一つ可能性として考えられるのは、60万年位前の地層から熱を受けた礫を探し出し、それから石器を作成するという方法です(その後薬品処理して風化させる)。 (2000/12/06(Wed) 21:44:06)[d238067.ppp.asahi-net.or.jp]

koyugun > ESRは、貝類や動物の歯などの年代測定では、信頼性も高いようです。それから、60万年前の焼石を採取して石器を造ったりした場合は、新たに割った新鮮な礫面が出た場合に思惑どおりの結果が出るかどうかは解りません。 (2000/12/06(Wed) 22:55:33)[myzcc-01p56.ppp.odn.ad.jp]

koyugun > ESRの測定法そのものには問題はないと思いますが、試料の問題(全面一様に熱を受けたかどうか判定できない)があるようです。ただ、この測定結果の場合は、ちょうど都合のいい値が出てしまったので、そのことのみが一人歩きを始めてしまったようです。ESRがご専門ではありませんが、奈良教育大の長友先生は、「年代測定の結果を過信したり、鵜呑みにするのはいけない。」といっておられますよ。 (2000/12/06(Wed) 23:06:34)[myzcc-01p56.ppp.odn.ad.jp]


[341] nature 11月16日号の記事抄 投稿者:うささぎ 投稿日:2000/12/05(Tue) 17:13:24 [global-user.toshima.ne.jp]

bambi様 [328]のレスでご指摘のnature2000年11月16日号掲載のデイヴィッド。シラノスキー(David Cyranoski)の署名記事「捏造遺物が暴露した批判力の欠如」(Fake finds reveal critical deficiency)を今ネット上で読みましたが、約1ぺージの短いもので、残念ながら新知見はあまり得られません。 訳出に値するのは次の部分くらいでしょうか。最初の記事からしてこの程度ですから、続報もあまり期待できないように思いますが。(下記の引用だけに関して言えば中略はありません)。 国立科学博物館の先史人類学者馬場悠男氏は「日本では批判が個人攻撃と捉えられるため、直接批判するのは難しく、相手が権威ある(established)地位にある場合はなおさらだ」と語る。馬場氏は今回の事件が、批判というものを個人的なレベルでなく科学的なものとして受け止められるような研究土壌(culture)が生まれる契機となることを望んでいる。 この[相互批判の欠如]という問題は以前から広く知られている。例えばある滞日中の物理学者は、日本の指導的な物理学者の出した結論(findings)を覆す研究を発表した際、「個人攻撃」と見なされる恐れがあったために、プレッシャーを感じて[主張]を弱めざるを得なかった、と告白している。 東京都文化局の小田静夫氏によれば、その結果として研究者たちの視野が「大海を知らぬ井の中の蛙」の如くく狭窄化してしまうこともあるという。
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うささぎ > それよりも難波先生も指摘されているキーリィ教授のHPのJapanese Archaeologyの項の最後にある「国際化に向けての提言」の方が遥かに重要だと思います。(1)調査報告書や論文の英語化、海外への発信のために、諸外国語と日本語に通暁した人がもっともっと多くこの仕事に携わらねばならない。(2)外部からのアイデア(=着想や意見)が日本での考古学研究に入ってこられるようにする必要性も同じくらい大きい。 (2000/12/05(Tue) 17:26:01)[global-user.toshima.ne.jp]

bambi > 早速、ありがとうございました。Japanがタイトルに入っていなかったので、見逃していたようです。Natureにそのように載っているというのは、世界中の科学者が見ているって事でしょうか…やっぱり、恥ずかしいことですね。 (2000/12/05(Tue) 18:08:21)[cse6-16.nishinomiya.mbn.or.jp]

うささぎ > natureの記事で上記以外で目につくのは「考古学は日本国民[全体]にとりついた強迫観念である」という文章(つまり他の国では考古関連の記事が新聞の一面を飾ったりしないということ)、および今回の事件によって「日本の著名な学者たち(scientists)が同じ専門の研究者たちからの批判を一体どの程度まで免れることを認められてきたのかについての自己分析」が再び開始されることになった、という冒頭の文章でしょうか。 (2000/12/05(Tue) 18:24:05)[global-user.toshima.ne.jp]

難波紘二 > 私はこの記事は、「日本の考古学者の大部分は、藤村の関与した発掘が全部向こうになるのを待っている」とあり、ネットで発言しない大学考古学者の多数意見を適切に紹介していると思いますよ。彼らも世間の批判にそれほど鈍感ではないし、下手に対処すれば身の破滅だというこ (2000/12/05(Tue) 21:21:26)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

難波紘二 > 「向こう」ではなく「無効」でした。変換ミスです。 (2000/12/05(Tue) 21:22:22)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

難波紘二 > 身の破滅だというこ「とを知っていると思います」です。かっこ内が落ちてしまいました。度々すみません。帰宅します。 (2000/12/05(Tue) 21:24:54)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

うささぎ > 藤村氏が二遺跡以外の捏造を否定しているという記述に続く文ですね。たしかにそれがいわゆる「声なき声」なんでしょうね。But most Japanese archaeologists are waiting for the rest of his findings to be discredited. (2000/12/05(Tue) 21:39:26)[global-user.toshima.ne.jp]

難波紘二 > いつも英語ではやられているので、お返しをひとつ。記事の題の「ciritical deficiency」は、「批判力の欠如」と「決定的な欠陥」の二重の意味をもたせてあるのです。 (2000/12/05(Tue) 21:42:50)[konanba.ias.hiroshima-u.ac.jp]

うささぎ > 忙しいのでもう身を引きたくて誤魔化したつもりだったのですが難波先生の目は騙せない。お見それしました。 (2000/12/05(Tue) 21:44:49)[global-user.toshima.ne.jp]

うささぎ > 題名の2重の意味についてもまさしくご指摘の通り。存在意義がないのでもう引退します。 (2000/12/05(Tue) 22:15:57)[global-user.toshima.ne.jp]

夢 鳥 > 私も「国際化にむけての提言」を、キリー先生の意見の核だと受け取りました。お住まいの関係から東京・西多摩の調査と関わりが深く、縄文時代研究者の中で何かと話題になった土の巨人・塩野半十郎氏(故人)とも親交があったようです。ただ日本在住が長いだけではなく、考古学に関わる様々な層とのつきあい方から見て「海外から見て」というよりも「視点を変えた内部批判」と個人的にはとらえている次第です。 (2000/12/05(Tue) 22:25:42)[jnclic-66-51.ppp.justnet.ne.jp]


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