江戸料理百選タイトル

落語にみる
江戸の食生活

第1回 お花見  
落語『貧乏花見』 
 名物『玉子焼き』 
第2回 たけのこ
落語『たけのこ』
『竹の子料理 1 * 2 』
第3回 そば
落語『そば清』
『霙蕎麦(みぞれそば)』
第4回 豆腐
落語『酢豆腐』
『豆腐料理いろいろ』
第5回 うなぎ
落語『うなぎ屋』
真夏の風物詩
第6回 秋刀魚
落語『目黒の秋刀魚』
江戸の魚ごよみ
第7回 いわし
落語『猫久』
『 酢烹(すしに)』
第8回 大根
落語『たらちね』
『大根料理いろいろ』
第9回 さつま芋
落語『芋俵』
『甘藷百珍』

* 第 9 回 * さつま芋
第9回 落語『芋俵』 

 江戸時代  『甘藷百珍』 絶品(11点)  も併せてご覧ください。

江戸っ子はサツマイモが大好きだった!!
     花嫁の閑談さつま芋のこと
サツマイモのことで話題が尽きない嫁達の様子が書かれた川柳である。
1805年(文化二年)「包丁里山海見立相撲」の番付で、江戸っ子の大好きなサツマイモは、すっぽん、うなぎと並んで横綱級にあげられた。
月旅行も夢ではない現代でも、サツマイモは宇宙食として注目されている。NASAアメリカ航空宇宙局では、栽培が簡単、土がなくても水耕栽培できる作物として宇宙食に適し、栄養バランスがよく、葉や茎も食べられ、調理し易い面からも研究されている。
ところが、我家の子供達は、あまり口にしたがらない。胃やお腹がすぐに一杯になってあまり食べられないし、おやつにはいいが、おかずには天ぷら以外あまり思い浮かばないという人が多いのではないか。サツマイモを食べるとおならが出やすいという事も原因かな? 同じお芋でもジャガイモや里芋の方が人気のようだ。そこで改め『甘藷百珍』を元に、今までのサツマイモを見直したいと思います。

薩摩芋の伝来!
熱帯アメリカ原産の薩摩芋が、ルソンを経て中国福建省に伝わったのが1593年。12年後の1605年(慶長10年)野国総管によって琉球に伝えられ、その後、薩摩(鹿児島)に伝わり栽培されるようになった。
1696年(元禄九年)『農業全書』サツマイモの栽培法や品種を紹介。
1704年(宝永元年)『心中大鑑』「八里半といふ芋、栗に似たる風味とて四国にありとかや」サツマイモが栗(九里)に近いうまさがあるという意味で八里半が使われている。
1732年(享保十七年)享保の大飢饉(西日本、害虫の大量発生で稲がやられる )が起こる。救世食となり人々を救ったのがサツマイモである。
1734年(享保十九年)「甘藷先生」と呼ばれた青木昆陽将軍吉宗の命で江戸でサツマイモを試作し普及に貢献した。
1735年(享保二十年)青木昆陽、甘藷栽培を勧めた『蕃薯考(ばんしょこう)』を著す
1782年(天明二年)『豆腐百選』が出版された。
1789年(寛政元年)『甘藷百珍』(浪速 珍古楼主人著)が出版された。
『甘藷百珍』は百珍物のうちで最も普及した。『豆腐百選』の様式を模しているが『豆腐百選』が尋常品、通品、佳品、奇品、妙品、絶品、と六等品に分類されたのに対して『甘藷百珍』は尋常品、奇品、妙品、絶品の四等品に分類されており、料理品目は123品にも及ぶ。その「叙」には僅かだが「済世救民の微意」が述べられている。

焼き芋屋
焼き芋屋看板(○焼き)
『守貞漫稿』

焼き芋屋
焼き芋屋看板(八里半)
『誹風たねふくべ』十七集

江戸に「○焼き」「八里半」という看板の焼き芋屋が登場するのはこの頃からである。焼き芋が全盛となったのは江戸も幕末に近い天保の頃。

やがてサツマイモの名産地となった川越(江戸から十三里だった)では「栗(9里)より(4里)うまい十三里」もう栗を越えた美味しさであるという意味の「十三里」の看板も見られた。

 ※参考文献:『たべもの江戸史』新人物往来社 永山久夫著
       『図説江戸時代食生活事典』日本風俗史学会編・雄山閣出版 篠田統著        

『絵本江戸風俗往来』(東洋文庫)12月の項には、焼芋のことを次のように記載しています。
『江戸市中町家のある土地にして、冬分に至れば焼芋店のあらぬ所はなし。町々木戸際なる番太郎の店にては、必ず焼芋を売る。・・・日本橋近辺の如く総立てこみし町中にある焼芋は必ず甘味にして、香気格別なるは、川越本場を用いしと見えたり。されば価も随って高料なり。年々9月下旬より十二月までこの業の繁昌とす。正月より二,三月までは焼芋を焼かず蒸芋、また芋の丸揚等を商いたり。』
 ※出典:菊池貫一郎著『絵本江戸風俗往来』(東洋文庫)

サツマイモの栄養価!!
甘いいもなので甘藷ともいわれるように、糖質が含まれる量は野菜の中で一番多い。その為、太るのではないかと思いがちではないでしょうか。実は、さつまいもは高機能・低カロリーで美容にもたいへん効果的な食物です。カリウムも食物繊維も多く含まれています。
カリウムは血圧低下に効果的。
食物繊維は血液中のコレステロールを低下させ便秘予防の効果もある。
ビタミンCは春菊よりも多い。加熱調理しても糊化したでん粉の作用により壊れにくい利点がある。
ビタミンEも玄米の2倍も豊富で、細胞の老化を遅らせ、肌を若々しく保つ美容効果がある。サツマイモは美しさを維持するための女性の強い味方なのだ。


* ♪♪♪ *

トップへ戻る


HOME