江戸落語-6
   江戸料理百選タイトル  

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江戸の食生活

第1回 お花見  
 落語『貧乏花見』 
 名物『玉子焼き』 
第2回 たけのこ
落語『たけのこ』
『竹の子料理 1 * 2 』
第3回 そば
落語『そば清』
『霙蕎麦(みぞれそば)』
第4回 豆腐
落語『酢豆腐』
『豆腐料理いろいろ』
第5回 うなぎ
落語『うなぎ屋』
真夏の風物詩
第6回 秋刀魚
落語『目黒の秋刀魚』
江戸の魚ごよみ
第7回 いわし
落語『猫久』
『 酢烹(すしに)』
第8回 大根
落語『たらちね』
『大根料理いろいろ』
第9回 さつま芋
落語『芋俵』
『甘藷百珍』

* 第6 回 * 秋刀魚
第 6回 落語『目黒の秋刀魚』 へ飛びます。

 江戸料理百選  江戸の魚ごよみ も併せてご覧ください。

秋刀魚 : これからが本当の旬!
秋の味覚の代表格「秋刀魚」。からだが狭く細いため「狭真魚(サマナ)」と呼ばれていたものが転化したといわれています。秋刀魚漁は1673年頃紀州で始まり、伊勢志摩を経て伊豆・房総に広まりました。光に集まる習性を利用し、夜間、集魚灯をつけ棒受網(ボケアミ)で一網打尽にする漁法の普及とともに漁獲量は急激に増大、今では船の大きさにより解禁日や漁獲量が決められています。

秋刀魚は回遊魚で、日本近海では太平洋側を春から夏にかけて北上し、水温の低下とともに本州沿いに南下を始め、10月中旬頃房州沖にやってきます。南下回遊中に成熟・産卵するのでこの頃が一番脂がのって美味しく、産卵後脂肪の量の減少とともに味は落ちてしまいます。そのため和歌山あたりになると棒ずしなど加工されることが多くなります。ちなみに日本海側でとれる秋刀魚も脂肪が少なく、塩干物に加工されることが多いようです。

今年の秋刀魚は昨年より多少小さめ。水温が低く回遊時期が1カ月ほど遅れてしまったからです。でも試験船による漁では予想以上に獲れたため量的には心配なさそうとのこと。本格的な漁がスタートしましたので、これからが本当の旬です。

秋刀魚の選び方!!
黒目がはっきりしていてうろこが多く背の青みが鮮明でつやのあるもの、ひれがピンとしているもの、特に尾の付け根が黄色いものは脂がのって体の栄養状態がいいものなのでお勧めです。脂肪が酸化しやすいので、保存するときは冷凍にしてください。

秋刀魚の栄養価!!
健康によい青魚の代表格、秋刀魚。良質なタンパク質のほか、血液中のコレステロールを減らすDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸、タウリンなど動脈硬化・心筋梗塞・高血圧といった生活習慣病予防に効果があるもの、貧血に効果のあるビタミンB12、眼精疲労にきくビタミンA(レチノール)などがあります。ただ、その豊富な栄養素は脂肪部分に含まれているため、調理の際あまり脂肪が落ちてしまわないように注意してください。

秋刀魚というと塩焼きが代表的な調理法ですが、輪切りにして大根や油揚げと一緒に煮付けるのもお勧めです。カレーやトマト味など工夫してみてください。
また蛇足ですが、秋刀魚の焦げ部分にある発ガン物質は、大根おろしに含まれるアミラーゼが分解してくれるので、付け合わせることをお勧めします。


<コラム> 秋刀魚のさまざまな呼称
関西では、秋刀魚は「サイラ」と呼ばれています。昔大漁祈願をこめて神嘗祭の供えとしたことから「祭魚(サイラ)」となったようです。このほか秋刀魚は各地で実にさまざまな名称で呼ばれています。その一部をご紹介しますと、新潟では「バンジョ」、和歌山・富山では「サヨリ」、長崎では「サザ・セイラ」、鳥羽では「マルカド」などです。ピンときませんね。


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