江戸料理百選タイトル   

磯菜卵

          一是も。茶人の秘方なり。此仕方は。鍋に湯を煎し。新しきたまごを。白味黄味ともに。わりこみ。そのまゝにて。ゆがきて。扨浅草苔をかけ。別にのぞき猪口に。山葵しやうゆか。熬ざけかを入レて。出すへし。但又汁次に。しるを入レ。たまごは。小皿に入レ。あさ草のりの粉は。折形紙に。包出すへし。          

手前:伊万里染付小皿 左:信楽小皿(小山富士夫 作)
           右:灰釉小向付(辻 協 作)

江戸料理食べる人

『万宝料理秘密箱』


材料および概量
     
 卵    4個
 湯┐   5カップ、1000cc 
 酢│   大2
 塩┘   小1
 いり酒  大4
 浅草のり 1/4枚
 又は
 わさび醤油
        

一、鍋に湯を沸かし、酢と塩を加える。

二、卵を1個ずつ茶碗に割り、一、の鍋に入れ、ぐらぐら煮立てないように
  注意し、卵白が卵黄を包んで、こんもり固まり、浮き上がってきたら
  (約3分)、穴杓子ですくい上げ、穴杓子の底をフキンに当て、
  軽く水気をとってそのまま器に移す。いり酒と、できるだけ細かな
  もみのりを添えて(写真では折形紙に包んである)出す


 扉 【留意点】

*卵は新鮮なものを使う。古い卵は、散りやすい。
*原文では、湯に酢、塩は入れていないが、入れた方が卵白が固まりやすく、
 きれいに失敗なく仕上がる。
*いり酒の作り方(194頁参照)。

【参考】

この他、和紙で包んでゆでたものを「包み玉子」と称している。出てくる文献は、
『江戸料理集』延宝二年(1674)
『料理早指南』享和元年(1801)
『水料理焼方玉子細工』弘化三年(1846)
また、和紙で包んでゆで、砂糖あるいは浅草のりと醤油で食すものが「牡丹卵」の名でも見られる。
『万宝料理秘密箱』天明五年(1785)
この他、白砂糖と酢をかけて食す「酢煎卵」、ゆでた後、小麦粉をつけて油で揚げる、「巻煎卵」なども出てくる。



トップへ戻る 予約


江戸料理(10品)  1 2 12 19 21 28 36 46 60 66 85 100 矢印 お品書き

HOME