江戸料理百選タイトル   

葱めし

          葱を根を断細く切て、水にて洗ひ、上ケ其水気の乾さるうちに鍋に入、煮る時は葱より水出る也。その中へ栗子,皮牛蒡、椎茸、麩なとの類切。扨何にてもあふら濃からぬ魚類を、常のことく洗ひ、三枚におろし、肉計りを焼、ほね皮を去り、揉細にし、右の加料とともに葱と煮置。前の染めしの部の山梔子飯に調和し、達失汁にて食す。
         

             伊万里赤絵蓋茶碗

江戸料理食べる人

『名飯部類』


材料および概量
     
 ねぎ  ┐1本 
 栗   │2個
 ごぼう │細1本、40g
 椎茸  │4枚
 あられ麩│10個
 塩   ┘小1/5、材料の0.5%
 鯛切り身┐100g
 塩   ┘小1/5、鯛の1%
 くちなし飯 米で2カップ分
 だし   3カップ、600cc
 塩 3  小1/2┐だしの0.6〜0.7% 
 醤油1  小1 ┘
     

一、くちなし飯を炊く(米で2カップ分)
  くちなしは、殻を割り、実をほぐし、水に漬け、10〜15分後に漉す
  (米の150%重量)。米は洗ってザルに上げ、水を切り、
  先のくちなし水に、最低30分は浸けて、炊く。

二、具を用意する
  ねぎは、5ミリの厚さの小口切り。
  栗は、1センチ角に切り、ゆでておく。
  ごぼうは、笹掻きにし、水に放ち、水気を切る。
  椎茸は、せん切り。
  あられ麩は、水に戻して絞る。
  鯛は、塩をして、15分置き、素焼きして、身をほぐす。

三、鍋に、ねぎを入れて、しんなりするまで炒りつけ、残りの具も入れ
  て、ざっと火を通し、淡い塩味にし、火を止める。

四、かけ汁を作る。
  だしを温め、塩、醤油を加えて、吸物加減のかけ汁を作る。

五、一、の炊き上がったばかりのくちなし飯に、三、の具を混ぜ合わせ
  蒸した後、器に盛り、四、のかけ汁をかける。


 扉 【留意点】

*少量の飯を炊く場合は、沸騰するまではやや弱めにする。

【試作余話】

ねぎは、青いところもよいと思います。
また、栗にこだわらず、くわい、かぼちゃ、さつまいもなど、魚は鯛でなくとも、白身のものならよいと思います。
料理の本に書いてある通りのものでおいしく作れたら、あとは応用を考えてみたいものです。表示の材料に振り回されることなく、冷蔵庫の余りもの、手持ちの品々を活用すれば、新しい発見があるかもしれません。

【参考】

山梔子めしは、『料理珍味集』宝暦十四年(1764)の「瀬戸食」にも見られる。この他根葱飯『料理早指南』享和元年(1801)は、色付け飯でなく葱の白いところを細かく切り混ぜている。
「ねぎしろねばかりを細くせんに打ちてよくゆでこぼし水をきり、さて常のごとくたきふき上る上に置きふたをしてむし上げる也。又一しゅ白ねこまごまにしてまぜてたく」



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