江戸料理百選タイトル   

道味魚飯・鯛飯

          一鯛を三枚にをろし、ゆで候て、乾かし右ゆで湯ニ而めしを焚くなり。米は大びね三年米か、六年米かを焚申候。めしのふき候せつに。鯛をむしりて飯の上にをき。よくむまし釜もりにする也。器にうつせば。なまぐさけ出るゆへ也。汁は見合いにして。少し陰葛を引也。かやくは何にても見合ニすへし。
         

             伊万里染付蓋茶碗

江戸料理食べる人

『名飯部類』『鯛百珍料理秘密箱』


材料および概量
     
 鯛 切り身・中落ち┐正味100g
 塩        ┘ 2%
 米      ┐ 2カップ、320g
 水+鯛のゆで汁 ┘2.4カップ、米の150%重量
 だし    ┐  3カップ、600cc
 塩     │小1/3┐だしの0.6% 
 醤油    ┘小1 ┘
 葛(片栗粉)┐小2 ┐だしの1%
 水     ┘大1 ┘
 木の芽
     

一、鯛は、切り身、中落ちとも盆ザルに並べ、塩をして20〜30分
  置き、熱湯に通して霜降りにする。

二、別に湯を沸かし、酒、塩を入れ、一、の霜降りした鯛を
  ゆでる。ゆで湯は、飯を炊く時に使うので、あくをていねい
  に取ること。鯛は身をほぐしておく。

三、米はといて30分は浸水する。
  鯛のゆで湯を計り、その分量と同分量の浸水の水を計り
  取り、先の鯛のゆで湯を加える。飯が吹き上がってきたら、
  二、の鯛のほぐし身を乗せ、炊き上げる。

四、だし汁は、塩、醤油で調味し、薄葛を引き、三、の鯛飯を
  器に盛ってかけ、木の芽を置く。


 扉 【留意点】

*鯛のくせが気になったり、冷凍ものを使う場合は、
 飯を炊く時に、酒大さじ1〜2杯を加える。
*薬味はこの他、わさび、絞り生姜、ゆず、など。

【試作余話】

魚の好きな人なら、乙にすました鯛の刺身より、中落ちの掻き落としや、
眼肉のうまさに軍配をあげるでしょう。 試食のあとで、残った中落ちを素焼きし、身をせせり、握り飯に混ぜたものが大好評でした。
新鮮なものなら、何でもうまいわけですが、折詰の鯛、残った焼魚や
鯛ちりなど、冷たくあしらわず、
工夫してやれば見事に活き返ります。

【参考】

『料理珍味集』宝暦十四年(一七六四)には、
「鯛のさいの目に切った洗い汁にて飯を炊き、
後で鯛は混ぜ玉子のせん切り大根おろし」等、かけ汁で食すのがある。



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