CORSAIR SF450 (SF600) カスタムケーブル
 

ケーブルの改造と制作

必須工具


■使用する工具として最低限必要な機能を以下に示す。

1・圧着ペンチ
2・ワイヤーストリッパー(ワイヤーカッター)
3・ラジオペンチ
4・ピンリムーバー

圧着ペンチ、ワイヤーストリッパー、ともに専用の工具はそれなりに高価であるが、これら機能をまとめて有する工具も存在し、それらは電工ペンチと呼ばれる。

電工ペンチは多機能なうえにリーズナブルなものが多く、たまにしか使わないような利用頻度であればコストパフォーマンスは高い。
しかし、圧着ペンチの機能以外の能力(ワイヤーストリッパーなど)は価格相応と思ったほうがいい。

電工ペンチによるケーブル制作で重要な部分である圧着ペンチの部分はサイズや形状(ダイス)の種類が多く選択に注意する。
本ケーブル制作で対象とするコンタクトピンはオープンバレル端子である。

自作電源ケーブル用に電工ペンチを購入する時の注意点としては以下の要素がある。

・電工ペンチの種類は電気器具用と電装用があり、ケーブル制作用として使いやすいのは電装用である。
・対応できるケーブルサイズに注意する。ここで扱うケーブルのサイズはAWG18であるのでsq 値2.0以下を扱える物を選ぶ事。
・ダイスの形状はオープンバレル端子用はハート形のような形状であることを確認する。
・この手の格安万能型電工ペンチは製品のばらつきが激しいので店頭でよく製品を見比べてかみ合わせが合っているものを選ぶこと。
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使い方参考URL
 電工ペンチの解説
 電工ペンチの正しい使い方
 電工ペンチの使い方
動画(youtube)
 ギボシ端子のかしめ方 【エーモン】
 電工ペンチの使い方・端子のかしめ方




ピンリムーバー
コネクタからケーブルをピンごと引き抜くのに使用する。
ケーブルやコネクタを使いまわしたい時にこれがないと行き詰る。

・LAMPTRON Deluxe Modding Tools Kit (オリオスペック
値は張るがPC DIY専用に作られたツールキットでそれだけの価値がある。
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・その他のピン抜き
各コネクタ用の単品をセットにしたような構成で、お手軽価格が魅力。




■あると便利な工具と材料



瞬間接着剤
スリーブ化する場合に使用するもので位置決めしたスリーブを固定する為に使用する。

ハンダごて
基本的に使うことはないが、圧着では不安な場合などで使用する。

熱収縮チューブ
端子部分はコネクタ内に埋まるので基本的に使うことはないが、スリーブ化による切れ目などの目隠しや見た目を良くしたい場合などで使用することもある。





 ケ-ブル基本仕様


AWG18断面積(mm2) 0.823  sq(JIS)対応サイズ 0.75 sq  直径1.02mm~1.016mm 40.3~40.0Mils



 ケ-ブルの種類

撚り線(一般的に使用されている物)
撚り線は何本もの細い線でできているため、接合する前に接合部分に容易に絡めておく事が出来、安定したハンダ付けができまる。また、何回でも折り曲げが可能なので、やり直しが何回も可能。 ただ、折り曲げが何回もできるという事は折り曲げても形が固定されない事でもある。 基本的な抵抗値が高い。
シリコン銀コード
シリコン銀コードは、皮膜が柔らかいシリコンのため取り回しがしやすく、また銅線は腐食に強いシルバーメッキが施され、芯線の本数も385本と同種のコードの中でも飛びぬけて多い。
OFC、102 SSC等のオーディオ用
3398-18 BK(黒)
3398-18 WT(白)
単線
あまり曲げたり直したりすると折れてしまう。だいたい3回が限度。しかし、折り曲げが何度もできない代わりに形状の記憶がよいのでレイアウトが美しく整えやすい。 許容電流が大きく、抵抗値が低い。
金メッキフッ素線(オーディオ向け)
本来オーディオ向けであるが金メッキの特性である耐腐食性に着目。抵抗値が高いのが欠点
4N純銀 (オーディオ向け)
最も比抵抗値の小さい物質であるが耐腐食性が低い。

カスタムの種類


ドレスアップ目的のカスタム自体は様々なものがあるがケーブル制作と言う趣旨から外れてしまうのでここでは簡単に述べる

 現物加工


基本系、付属のケーブルそのままで直接加工する。
長さの調整や任意の本数を束ねたりする。最も低コストで安上がり。



 ケーブル交換


より効率の良いケーブルに交換したり、柔らかく扱いやすいものに変えたりなど、抵抗値の少ないものほどコストが跳ね上がる。
高価なケーブルほど見た目も良くなる傾向なのでドレスアップの効果も期待できる。

あくまで自己満足的的なものであり、性能が上がるとか安定する等と言った効果はないし、仮にあったとしても体感でわかるようなものではない。
大事なのは、きちんと接続され通電されることである。


 スリーブ化


現在、ケーブルのカスタム化で主流となっている方式。純正の完成品から自作用のスリーブ素材まで種類も豊富で選択肢も多い。
市販の完成済みのスリーブケーブルと自作スリーブケーブルの場合、コストは自作の方がかかるうえに見栄えも気にするなら大変な労力と時間を要する。
綿など繊維系のメッシュのスリーブは汚れが定着しやすいのと毛羽立ったりするのでナイロンなどの化学素材が無難である。
処分品などのスリーブ化済みの製品を買って自分の電源用に改造、流用すると安上がりで済むので安いものが売っていたら買っておくとよい。


スリーブ化制作時の注意点


・ケーブルの色がスリーブを透けて完成時の色味に影響する場合がある。スリーブの中を通すケーブルの色は黒か白にしておくと無難だ。

・スリーブの購入は余裕をもって購入する。失敗や修正などで足りるはずが足りなくなる場合があるほか、追加で購入しようと思っても品切れになっていたと言う事が無いように余裕をもった長さを購入する。

見た目と若干取り回しが楽になる程度の事なのでコストと労力に見合う物かよく考えて導入する。
たるみ等を極力なくし長さも過不足なくムッチリと張りがある状態で整然と配線されないとせっかくのスリーブ化も昆布かワカメの海藻かカラフルになった貞子の髪の毛かという残念な結果になる。


コイルチェーン


車やバイクではお馴染みの処理方法。
メカニカルな雰囲気を醸し出すのに非常に有効で、実車ではケーブル膨張の抑止や外的要因に対するケーブルの強化目的に使用される。
PCで使うものは車やバイクの様な金属製のチューブではなく樹脂製である事に注意。また、よくあるスパイラルチューブの事ではない。
コイル状のチューブの為、取付けも容易でケーブルの切断や取外しをすることなく取付けることができるので付属の純正ケーブルをそのまま利用できる。



ピンリムーバーの使い方


ケーブルのカスタムにおいて最も頻度が高いのがコネクタピンの抜き差しによる変更であり、ドレスアップ目的や長さの調整以外は、大抵の場合この差し替え作業だけで完結する。
電源ケーブルのカスタマイズにおいてお手軽に済ます場合には必須とも言える工具である。

各、イジェクターの用途

ここではLAMPTRON Deluxe Modding Tools Kitを例に説明する。
コネクターの規格によって使用する工具は異なる為、工具先端部分は各規格に合わせて交換できるようになっている。これをイジェクターと呼ぶ。
イジェクタ


モレックスタイプコネクタ用

モレックス 5557 リセプタクルハウジング 4.2mmピッチ用
LAMPTRON Deluxe Modding Tools Kitでは同タイプが爪の部分の厚みが異なるのか?2種付属するので外しにくい場合は切り替えてみよう。
イジェクタ
基本的な使い方はコネクタのコンタクトピンの返し部分にイジェクターの爪を押し当ててからケーブルを引き抜くと言うものである。
イジェクタ
イジェクタ⇒  イジェクタ⇒  イジェクタ



Berg コネクタ・FAN 電源 コネクタ用

Berg connectorとは3,5インチFDDなどの電源コネクタで使用されていたもので、3,5インチFDDの終焉とともに現在では使用されるパーツは殆どなくなった。
3ピン又は4ピンファンコネクタでケーブルを一本だけ外したい場合などで使用できる。
イジェクタ
3ピン又は4ピンのFAN用電源コネクタ用。
イジェクタ
コンタクトピンの返し部分をイジェクタで押しながら、かき出す様な要領で取り出す。
イジェクタ⇒  イジェクタ⇒  イジェクタ



SATA 電源 コネクタ用

終端接続用のSATA電源コネクタ用だが、ピンのロック部分の構造によっては利用できないないものがあるなど、利用する機会はまずないだろう。
イジェクタ


ペリフェラル電源コネクタ用

4ピンペリフェラル電源コネクタ用で太い方がメスのコンタクトピン用。
イジェクタ イジェクタ
4ピンペリフェラル電源コネクタの例
イジェクタ⇒  イジェクタ⇒  イジェクタ





制作事例


三分岐電源ケーブルの作成

2.5インチ3ドライブベイの制作に伴い、三分岐の電源ケーブルが必要になったので制作にチャレンジ。

一般に市販されるSATA、ペリフェラル用電源ケーブルではストレートタイプを除くと、コネクターから直に枝分かれする分岐タイプのケーブルは2本までである。
なぜ2本までかはコネクタを見れば明らかで、2本がコネクターに収まる限界の太さだからだ。
しかし、無理して押し込めば3本も不可能ではない。

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早速、3本のケーブルの端をアルミテープで束ねたのが右の画像である。
さすがに3本ともなるとまともに銅線をよじることは出来ないのでハンダで固める。
しかし、このままではコネクターに収めるどころかコンタクトピンすら装着できない。


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問題はコンタクトピンの装着である。
これだけ太いとまともにカシメることが難しいので、ばら売りではないランナーでつながった状態で売られているコンタクトピンのランナーごと利用する事で補う作戦を考えた。

左がランナー付のコンタクトピン、右が通常のコンタクトピン。


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本格的にカシメる前の仮カシメの状態
ラジオペンチで収まりがいいように予め曲げていき、いい感じに収まったところでハンダを流し込む。
しっかり固定されたことを確認したら一気にカシメるとハンダもろとも変形し、ギリギリコネクタに収まる綺麗なサイズになった。

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コツをつかめば後はサクサクである
比較的簡単に3分岐のケーブルが完成。
熱収縮チューブで保護するが、コンタクトピンとの接点部分はコネクターに収めるためには保護できないので保護できるのはアルミテープで束ねた部分をランナーでカシメた部分だけである。

なんとかコネクタに無事収まった
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完成した ペリフェラル to 3SATA ハーネス
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その他



高効率配線

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