CORSAIR SF450 (SF600) 構造
 

構造と構成部品

 SFシリーズは中国の企業であるGreat Wall(長城)でコルセアのCSラインを構築して作られているが、 これは委託先の企業が的確な製品管理と高品質のコンポーネント,そしてモダンな設計デザインによっては, 中国の企業でも良い電源を製造することが可能であることを証明したケースの一つと言えるだろう。
 元々Great Wall社自体は製品管理とコンポーネント等の品質を度外視すると意外と素性は良いようで中国では定番に入るメーカーのようだ。

内部構造

洗練された基板構成とモダンなレイアウト
SF450 skal
内部基板はよく見られるような触手のようにうねったケーブルによる取回しを排除。 整然とレイアウトされた、設計者の志と高性能ぶりが伺えるものとなっている。
出力が大きくなるほど部品が占める面積は出力に見合うだけのスぺースが必要になるが、 SFX電源のような小型の規格サイズに詰め込むには、このきちんとしたレイアウトは重要です。
きれいなレイアウトは、ファンからの空気を効果的にすべてのコンポーネントに到達することを保証するものだ。
―私には、内部ビルドの品質について話をする資格はないが、 SF600を開いたときに私を襲った一つのことは、その小さなサイズにもかかわらず、 メイン基板からドーターボードに至るまで基板全てがきれいに半田付けされ、唯一のケーブルによる配線は、ファンのためのものだった事です。― https://smallformfactor.net/reviews/
―多くのPSUの内側を見てきましたが、これは私が見た最もきれいな内部ビルドの一つであると言いたい。 はんだ付けやホットグルー作業がきれいで、黒いPCBもきちんとレイアウトされている。―http://desktoprigs.in/corsair-sf450-review/
等々、内部の作り込みについて、多くの海外レビューサイトが評価しているようにSFX電源では画期的とも言える出来映え。
― 内部比較 SF450vsSX500LG ―
放熱効果に優れた基板搭載方法
SF450 BOX
電源のケース内側に熱伝導素材が付いた金属製のサブフレームが載せられている
このサブフレームは電源のケースと接触する形となりケース表面もつかって放熱させる効果が狙える。
まるで基板裏面の自然放熱部分と表部分のファンによる強制空冷部分に冷却方式が2つに分かれているようだが、ファンが回ればどちらも冷却される。
矢印
SF450 BOX
電源ケース及び、金属製のサブフレームと基板裏面のとの接触を避けるため、熱伝導素材部分をくりぬいた透明な樹脂製の絶縁版を乗せる。
絶縁版自体は金属筐体を用いる電源では一般的なものだが、単純な板を折り曲げたような物ではなく、複雑な切抜き形状。
他にサブ基板専用もあり、手の込んだものとなっている。
矢印
SF450 BOX
サブフレームと絶縁版の上に載せる形でメイン基板を実装。
基板裏に実装されているMOSFETとサブフレームに貼られた熱伝導素材を密着させることによってケースを利用して全面に放熱させるという設計。
こうした配慮により小さなボディサイズでも安定した電源内部の温度を可能としている。
熱源の一つがケースにつながっているような方式である為、特にCORSAIRの刻印がある上面は稼働中に触れるとそれなりに熱くなるが、 負荷が低いとファンが回らないというセミファンレス方式の都合上、低負荷時の状態が長く続くと予想した以上に熱くなる場合もある。

主要構成部品 (SF450)

一次側
過渡フィルター4x Y caps, 2x X caps, 3x CM chokes, 1x MOV
突入電流保護NTCサーミスタ&リレー
ブリッジ整流器(複数可)1× GBU1508(600V,15A @ 115℃)
APFCのMOSFET1xのアルファ&オメガAOK42S60(700V,100℃,0.099Ω@ 25A)
APFC・ブースト・ダイオード1×CREE C3D04060A(600V,4A @ 135℃)
ホールドアップキャップ(複数可)1×日本ケミコン(420V,390uF,2000H @ 105℃,KMW)
メインスイッチャー2倍フェアチャイルドFCP104N60F(100℃,104 MHM @ 600V,24A)
APFCコントローラチャンピオンCM6500UNX&CM03XグリーンPFCコントローラ
スイッチング・コントローラチャンピオンCM6901
トポロジー一次側ハーフブリッジ&LLC共振コンバータの二次側:同期整流&DC-DCコンバータ

二次側
+ 12VのMOSFET4倍アルファ&オメガAON6590(100℃,125℃ @ 1.55mmΩ @ 40V,100A)
5V&3.3VDC-DCコンバータ:4倍インフィニオンBSZ040N04LS G(40V,40A @ 100℃,4Ω)PWMコントローラ:APW7159
フィルタリングコンデンサ電解コンデンサ:1×日本ケミコン,ルビコン(105℃,KMG @ 1000H)(105℃)ポリマー:日本ケミコン,CapXon(DC-DCコンバータ)
スーパーバイザーIC    SITI PS229(OVP,UVP,OCP,PG)&AS358M
ファンモデルコルセアNR092L(92mm,12V,0.22A,3950 RPM,ライフルベアリング)

5VSB回路
整流器1× APS04N60H FET(620V,100℃ @ 2.2A)2倍SVM1045V(25℃ @ 45V,10A)
スタンバイPWMコントローラLeadtrend LD7750RGR

単一ブリッジ整流器のGBU1508は15Aまで対応することができる。
バルクキャップはケミコン(KMW 105℃,@ 420V,390uF,2000H )これはホールドアップ時間を提供するのに十分な容量がありATX仕様の要件を十分に満たしている。
+12Vレールは4つのAlpha & Omega AON6590 によって調節されているが,それぞれが100℃で100Aまで扱うことができるので450Wの電源ユニットとしては過剰と言える性能。
はんだ付け品質は全体で良好でありレイアウトも綺麗にまとまっている。

完全モジュラー化ケーブル

 SF450(SF600)の大きな資産の一つは,2つの6+2ピンのPCIe(400mm)コネクタが装備されているという事実である。
能力的にハイエンドグラフィックスカードと強力なCPUを運用するために十分以上であることを考えると,1つのPCIeコネクタしかなかったら本機の使いやすさは著しく低下したであろう。
 ケーブルは全て黒いフラットタイプでATX仕様で推奨されている標準的な18ゲージのワイヤを使用しているがスモールPC向けの製品である為,ケーブルの長さは短いものが付属する。
ケーブルレイアウトを無視すれば大抵のケースで届くと思うが、背面回しといった凝ったレイアウトをするにはやっぱり短いのではないか?短いよね?短いでしょ?短いってば! 少なくとも35cm以上の長さはほしい。

RMシリーズで実績のある長寿命かつ静粛性に優れるファン

 従来のファンに比べて低回転でも多くの空気の流れを発生させるという※静圧重視のファンにはボールベアリングより長寿命かつ静粛性に優れると言う謎のライフルベアリングを採用。
この特殊な92mm径ファンのベアリングタイプは2013年にRMシリーズに採用され,3年目となる今回はより熟成されている可能性がある。
※静圧重視型
静圧=風圧の一種,特定の部位や対象に抵抗(ヒートシンクやコンデンサなど)となる障害物があるような部分に適している。
※風量重視型
風量=単位時間当たりに移動させる空気量。排気または給気する空気量を求める場合に適している。
この新装備のファンによって高回転のファンによる振動から生じる可能性のある問題を回避できる効果も期待できるだろう。
 ファンの長寿命かつ静粛性を謳う以前に不快感を感じない程度の室温の環境であればゲームや映像編集などのヘビーな利用をしない限り通常の使用では滅多に回転しないほど電源の対温度設計は高く,ファンレス電源として利用しても万一の高発熱時に冷却ファンの排気による保険があると思えば安心だろう。
ファンの厚さは15mm。ファンのケーブルはコネクタ接続式で2pin仕様。
ファンの始動電圧は3Vを僅かに超えたところから始まり、12Vで約3900RPMの最高速度までスムーズに回転数が上がる。
CORSAIRのJon Gerowによると、 ファンコントローラは内部温度と電流負荷の両方を考慮し、 理論的には低負荷時は純粋な温度制御に比べて高い温度でも低い回転数でファンを実行することができると言う。
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