老後の資産運用は・・・

■ペンネーム「招き猫」さんからの投稿です。

 いつも楽しく読んでいます。二度目の投稿です。
 悪徳ではないのですが、F。老後の備えのために、マンションを経営しろという例のやつです。私、以前にマンションを探していたことがあったので、こういう電話もしかたないか・・・くらいに思い丁寧に対応していました。
 が、とにかくひつこいひつこい。しかも知り合いも結構かかってくる人が多いんですよ〜。我慢するしかないと思っていたけど、このとおみさんのHPのお陰で闘う力が出てきました。
 
 10日ほど前、Fより電話。
 
F 「こちらF○○と申します。現在大変金利が低くなっており、貯金を持っていても老後不安ですよね」
私 「全然不安じゃないですよ」
F 「(秒殺)でも、このまま少子高齢かが進むと年金もどうなるかわからないですよね。私、この度、東京でマンション経営して、老後に・・・」
私 「あ、私老後は海外に行くもんで」
F 「(瞬殺)そういった方にも是非お奨めしたいのが・・・」
私 「マンション経営でしょ。ところでこの電話東京から?」
F 「・・はい?」
私 「私の電話番号どこから漏れたの?」
F 「これは全国の電話帳をデータベース化してまして・・・」
私 「うちの電話番号電話長に載せていないんだよ」
F 「えっと(と一瞬ひるむがすぐに)各地方毎にまとめてありまして(と全く答えになってないことを、しかし流暢に続ける)
私 「(すんごくおだやかな口調で)はい、わかった。そちらの連絡先教えてください。あなたお名前は? そのマンション欲しくなったらこちらから電話します。」がちゃ。
 
 F氏はちゃんと名前も電話番号も教えてくれましたが、もちろんこちらは控えるふりのみ。
 
 そして夕べ。
 またF(多分前回とは違う人)から電話が。
 
F 「こちらF○○と申します。現在大変金利が低くなっており、貯金を持っていても老後不安ですよね」
私 「ああ。Fさん? この前電話もらいましたよ」
F 「今日は違うんです!(叫ぶ)
 私、この度公務員の方達の担当になりまして・・・」
 
 実は私公務員なんです。名前(フルネーム)も職業も割れてんのか・・・やば・・・と、少し黙って聞いていると・・・
 
F 「・・・皆さんの公務員年金は・・・」
 
 と、この後しばらく年金に関するトークが続く・・・マンションのほかに年金運用の商品でも出たのか?
 
F 「・・・ということで、老後の資産運用はマンション経営・・・
私 「はあ?(半切れ)それは、先日お断りしたはずですっ!」
F 「いえ違うんです!!(絶叫)年金に変わる資産運用を・・・」
私 「(怒りを押し殺した声で)どこが違うわけ? 一度お断りしているのに、再勧誘は特商法違反ですよね」
F 「あ・・・(テンション急降下)はい。すみま・・・」
私 「しつれいします」がちゃ。
 
 いやあ・・・とおみさんのお陰です・・・。はい。初めてガッツポーズきめちゃったよ(感涙)。
 
 ところで、少し疑問があるのですが、もし分かるようならば教えてください。
 同一会社からの勧誘で、御茶ノ水のマンションを断った事実があり、後日神楽坂のマンションをセールスしてきた場合(商品は同じだが物件が違う)は特商法の再勧誘の禁止に当るのですか?
 それから、同じく、マンション販売を断ったのに後日外貨預金をセールスしてきた場合(商品が違う)は、どうなんでしょうか?

■招き猫さんから、2回目の投稿です。ありがとうございます!
 
■私の経験でも、マンション経営系の電話は、投資系の電話と同じく「こんなにお得な話なのに・・・」と、やたら押し付けがましいパターンが多かったです。
「なんで、断るんですか?」みたいなことも、よく言われました。「儲かるのに」と。
 
 それならテレアポなんて辞めて、資産運用して生活してみろ!
 
 なーんて言えたらキモチイイんでしょうけどねー。
 
■さて、特商法の「再勧誘の禁止」ですが、まずは法律の条文を見てみましょう。

「特定商取引に関する法律」第二章第四節、電話勧誘販売、第十七条
 
(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)
販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

 これだけでは、少し汎用的過ぎるので、通達「特定商取引に関する法律等の施行について」を見てみる事にしましょう。
 第4節の電話勧誘販売関係の項から、該当する箇所を引用します。(赤字強調効果を追加しました)

 法第17条(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)関係
 
「契約を締結しない旨の意思を表示」とは、販売業者等からの勧誘に対し、消費者が「いりません」「関心がありません」「お断りします」など明示的に意思表示した場合に加え、黙示的に意思表示をした場合も含むものである。また、具体的に勧誘されている商品について意思表示をする場合のほか、「あなたとは一切取引を行うつもりはありません」という意思表示もあり得る。この場合には商品の種類の如何を問わず意思表示をしているので、その者に対する勧誘は禁止される。
 「勧誘をしてはならない」とは、その電話において引き続き勧誘することはもちろん、その後改めて電話をかけて勧誘することも禁止されるという意味である。

(詳しくは「経済産業省」「特定商取引に関する法律 WebSite」をご覧下さい)
 
 あえて細かく言葉尻を捕らえることにすれば、
このマンションは買わない!」 → 物件が違うと再勧誘OK
「とにかくマンションは買わない!」 → 物件を問わずマンション勧誘NG、他の商品はOK
「電話勧誘は必要ない!」 → もう二度と電話してくんな
・・・ってカンジですか?
 
 とはいえ、この条文の基本理念は
「迷惑がかかるから、断った人間にしつこくするな、頼むよホンマ」
 ということでしょうから、断り文句の瑣末な言い回しにこだわらなくてもいいと思います。
 電話勧誘販売業者ならば、特商法の条文から理念までをきっちり理解してくださっているです。複数回の電話が迷惑ならば、商品の種類の如何を問わず「断った人間の再勧誘は法律違反ですよ」と言い切っちゃっていいんじゃないでしょうか。

(2005.7.13)

■上の記事をアップした日の内に「たもぎた」さんから、補足、いや訂正投稿をいただきました。取り急ぎ追記します。

 老後の資産運用は・・・(招き猫さん)の件ですが、特定商取引法では指定商品制を取っており、マンションはその中に入っていないと思います。
 
 でもご安心を。マンションなどの勧誘に関しては宅建業法で定められており、相手が迷惑を覚えるような時間帯の勧誘や断っている人に対する再勧誘が禁止されていたかと思います。
 
 で、特定商取引法は消費者しか対象になっていませんが、宅建業法ではそのあたり書いていなかったかと思いますので、職場への勧誘にも適用できるのではないでしょうか。
 もし、間違っている情報でしたら申し訳ありません。

あああ! そうだ! 指定商品! チェックするの忘れてた!!!
 そうです、その通りです。経済産業省の「指定商品・指定権利・指定役務」にある通り、マンションは指定商品に入っておりません!(←今確認した:苦笑)
 つまり、特商法の規定はマンション販売には適用されないのです。たもぎたさん、ご指摘ありがとうございます!
 
■で、宅地建物取引業法について調べてみました。

(業務に関する禁止事項)
第47条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1.重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
  2.不当に高額の報酬を要求する行為
  3.手附について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
 
第47条の2 宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
 
2 宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。
 
3 宅地建物取引業者等は、前2項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、宅地建物取引業者の相手方等の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。

そんでもって、宅地建物取引業法施行規則に、

第十六条の十二  法第四十七条の二第三項 の国土交通省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
 
一  宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をすること。
 イ 当該契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境又は交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供すること。
 ロ 正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
 ハ 電話による長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。
 
二  宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
 
三  宅地建物取引業者の相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、又は妨げること。

(詳しくは「国土交通省」「不動産業に関して」をご覧下さい)
 
 「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によると、迷惑メールもアウトだそうです。
 
 ・・・今回、初めてまともに宅地建物取引業法に目を通しました。でも、思いっきり斜め読みなので、内容がまだ自分の中でイマイチこなれていません・・・。(だから条文丸写し)
 間違いがありましたらば、ぜひ是非ご指摘くださいまし。

(2005.7.14)

■たもぎたさんから、宅建法における再勧誘の禁止などについての追加情報をいただきました。解説本か何かのコピーで出典が不明とのことでしたが、幾つかの単語を元に検索した結果、発見することが出来ました!
 
 といっても、原典を直接見つけたのではないのですが。
 国民生活センターにあった消費者被害速報No.30 マンション販売で強引・強迫・迷惑勧誘が急増!に、参考資料として以下の文が記載されていました。(段落間に空白行を追加しました)

1.宅地建物取引業法・通達(1996年3月5日)で、(1)威迫行為、(2)電話による長時間の勧誘等により相手を困惑させる行為、は禁止されている。
 
(1) 威迫行為の禁止…契約を締結させるため、または契約の解除若しくは申込の撤回を妨げるため、相手方を威迫する行為の禁止。
 
(2) 電話による長時間の勧誘等により相手方を困惑させる行為の禁止…電話による長時間の勧誘をすること、社会通念上相手方が迷惑するような不適当な時間帯に電話等により勧誘すること、相手方が契約を締結する意思がないことを明らかにしている場合において執拗に勧誘を行うこと等電話、ファックス等の方法を問わず私生活または業務の平穏を害することにより相手方を困惑させる行為は禁止。
 
2.訪問販売等に関する法律施行規則第6条(訪問販売における禁止行為)
「迷惑を覚えさせるような仕方」とは、客観的にみて相手方が迷惑を覚えるような方法であれば良く、実際に迷惑と感じることは必要ではない。具体的には、正当な理由なく午後9時から午前8時まで等不適切な時間帯に勧誘をすること、長時間にわたり勧誘すること、執ように何度も勧誘すること等はこれに該当することが多いと考えられる。(「平成10年度版 訪問販売等に関する法律の解説」より、編者:通商産業省産業政策局消費経済課)

 通商産業省、現在は経済産業省、つまりは政府による見解として「再勧誘の禁止」があるわけですから、シツコイ業者には胸を張って「宅建法違反!」と引導を渡してあげてくださいね。

(2005.7.15)
(参考)
この他の、たもぎたさんの投稿は以下の通りです。
シツコイ先物取引勧誘員・「たもぎた」さんからの補足