住宅基礎の通気孔にネット?

■ペンネーム「招き猫」さんからの投稿です。

 数年前の事件ですが、この手の話は我楽多倉庫にはまだ記載されていないようなので、思い出して書いて見ようと思います。
 
 我が家を新築したばかりの4年前位のこと。うちは私道を挟み8件の家が並んでいるいわゆる新興住宅地で、建築年も似たり寄ったり。しかも、ハウスメーカーが同じなので基本的な造りは同じです。
 
 夕方私が出かける準備をしていると、呼び鈴が鳴り、だんなが出ていったのですがちっとも戻って来ません。時間になり私が出かけようと(だんなはお留守番)靴を履いて外へ出て行くと、作業員風の若い男とだんなが話しこんでいる・・・。
 だんなと若男が口々に言うには、この若男は、松本市(うちの市から車で1時間位の比較的大きな市です)から来ていて、家の土台の下方にある通気孔にネットを張る業者である。ネットを張ることにより、ねずみや害虫の侵入を防ぐことができるとのこと。そして・・・
 
若男 「今隣の△川さんの家を工事に来たのですが、ちょうど材料が余ったので格安で施行させていただきます。いかがですか?」
 
 私が無類の蜘蛛嫌いと知っているだんな。「虫も防げるし、せっかくだから頼もうと思うんだけど・・・」
 
“ちょっと待て!”
 
私 「ネットじゃ蜘蛛を防げるわけがないじゃん!」
 
 今思うと、「蜘蛛を防げる」というウリだったら私もソッコーで契約していた可能性大。
 
私 「へえ〜。安いっていくらなの?」
若 「通常一枚2,500円のところ2,000円にします」
 
 拍子抜けするほど安い・・・。せっかくなら工事しちゃおうかなと私も思いかける・・・。
 
私 「で、お宅様、何ていう会社ですか?」
若 「○○です」
私 「あなたの名刺いただけます?」
若 「今日はちょうど持ってなくて・・・」
 
 私の頭の遠くの方で警鐘が鳴り始める。
 
私 「身分証明は?」
若 「ないです」
私 「ネットのパンフレットはないの?」
若 「それも・・・」
私 「契約書は?」
若 「えっと・・・もにょもにょ」
 
 脳内で警鐘がだんだん大きくなる!
 
私 「一晩考えて明日お返事差し上げます」
若 「えっと・・・今お返事いただきたいんですよ〜。明日だったら通常価格なんですよ。格安なので会社には内緒でやりたいんですよ〜」
 
 脳耳をツンザくばかりに警鐘が鳴り響きまくっている!!
 
私 「とーにーかーく! 今は返事はできません。通常価格で結構です!」
 
 この間、5分間位かな。なんせ時間で出かける間際だったんで。だんなはあっけにとられてボーゼンと立ち尽くしていました。
 ちなみに△川さんの通気孔に、未だネットは張られていません。
 
 さて、事件から4年間。
 なぜあの若男はそんなにネットを張りたがったのか、不思議でしかたありませんでした。我が家の通気孔は9箇所。工事しても18,000円。人件費にもらなん。
 ネット代は2,000円だが、取付手数料が法外だとか・・・?
 ところが、昨今の悪質リフォームの事件を知って、あることに思い当たりました。もしかして「ネット」は口実で、実は床下に入りたかったのでは? そして「調湿剤」や「換気扇」に発展するのでは・・・??
 とおみさんはどう思いますか?

■招き猫さんから4回目の投稿です。ありがとうございます!
 
■これは、なかなかステロタイプなリフォームの訪問販売ですね。
 招き猫さんの予想どおり、間違いなく
「今ちょっと床下覗いたんですけど、こりゃ良くないですよ・・・」
 場合によっては、もっと先鋭的に
「うわあ、新築四年ですよね? これはひどい、このままだと床が抜けてしまいますよ!」
 といった展開が待っているものと思われます・・・。
 良かったですね・・・水際で防ぐことができて。
 
■いやいや、ちょっと勘繰り過ぎと違う? と思われた悪徳商法ビギナーなアナタ、よく考えてみてくださいね。
 
 まず、若い兄ちゃん曰く、
「隣の△川さんの家を工事に来た」
「ちょうど材料が余った」
「材料が余ったので格安で」
「土台の下方にある通気孔にネットを張る」
 ・・・ということなんですよね。
 
 で、「△川さんの通気孔に、未だネットは張られていません」
 ・・・これでは言い逃れのしようがありません。
 
 隣の△川さんの工事は嘘だった。
     ↓
 だからネットの材料が余っている、というのも嘘。
     ↓
 格安で施工する理由が無い(他に理由があれば、セールスの際に告げる筈)
     ↓           ↓
 格安というのは嘘 or ネット施工の他に目的がある
 
 仮に一枚二千円が「格安」じゃなかったとしても、わざわざ戸別訪問するに値するほどの利益が期待できるとは思えません。そうなると、どこか別のところに真の目的が潜んでいると考えるのが妥当ではないでしょうか。
 
 この若い兄ちゃんが、言葉どおり
・本当に名刺を忘れていた。
・身分証明書もうっかり忘れていた。
・予定外の営業だからパンフレットも無い。
・会社に内緒の格安施工だから、正式な契約書を用意できない。
 のだったとしても、のっけから「今隣の△川さんの家を工事に来たのですが」と大嘘こいている時点で、もうダメダメなのでした・・・。あーあ。

(2005.10.31)