1998年
8月
-August-
葉月
先月を
振り返って

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<先月の本>

先月の★★★★★は、逢坂剛「燃える地の果てに」。恋愛小説でもあり、ミステリーでもあり、冒険小説でもあり、パニック映画の要素もあるという盛りだくさんのおもしろ本です。厚さもかなりありますが、それを感じさせないテンポの良さだったと思います。

もう1冊、馳星周の「夜光虫」。「不夜城」で超人気作家となった馳氏の新刊は、舞台を台湾に移してのハードボイルド。台湾ヤクザに取り込まれてしまった、日本人野球選手の哀れなお話で、一気に読ませます。前2作より私はこれの方が好み。レベルの高い小説を次々と出していく馳氏のこれからの活躍にも期待できます。

そして、本命(笑)の恩田陸「六番目の小夜子」。これは面白い。この雰囲気はなんでしょう。他の人では出せないこの雰囲気が私は大好きです。「サヨコ」に指名された生徒が3年に1回ある行事を行うゲームのお話。今年は六番目の「サヨコ」が指名される予定。さて、ある行事は行われるのか、「サヨコ」は誰なのかというのがポイントです。

★★★★の中でもおすすめは、花村萬月の「皆月」。妻に捨てられてしまったおじさんの再生物語。やくざ者の義弟とソープランド嬢と一緒にで妻を捜しに行くという設定が萬月氏らしい気がしますが、人間的な話と泣けるラストでおすすめです。

先月の作家は、花村萬月ですね。芥川賞を受賞したというニュースに驚いて、ちょっと手にとってみたのですが、「ブルース」がかつて「このミス」の上位に入ったときにあらすじを読んで敬遠していたのを大後悔。ただあの時に読んで「面白い」と思えたかと言われると、ちょっと解らないですけど。他の小説にはない力を感じます。これほど暴力的で差別的なのに、それに嫌悪感を抱かせないという不思議な小説家だと思います。

<先月の私>

先月は、とりあえず北海道へ行けたのがよかったですね。夏の北海道は6歳の時以来。来年も行きたいですね。旅行記もUPしました。お暇な方はどうぞ(^^)。

そして、先月見た映画は、『仮面の男』『L.A.コンフィデンシャル』『タイタニック』。『L.A.』は2回目、『タイタニック』は3回目です。(笑)。

『仮面の男』は、可もなく不可もなく、まあまあの映画でしたね。あらすじは、デュマの『鉄仮面』を脚色したもの。先王に使えていた名高い三銃士が、暴君ルイ14世を廃し、ルイの双子の弟である「仮面の男」を王位に就けようと企てるお話。衣装がよかったですね。あの銃士の衣装は本当に格好良いです。あとダルタニアンはGOOD。おいしい役でした。「ディカプリオの仮面の男」として宣伝されているようですが、このストーリーのポイントは、絶対にダルタニアンです。ディカプリオも良かったとは思いますが、他の三銃士&ダルタニアンに食われてしまっているように思いました。

『L.A.コンフィデンシャル』は、先月も書きましたから、やめときましょう。何回みても面白いですよ。

『タイタニック』は、皆さん見ているでしょうからあらすじを書いても仕方がないでしょうが、ほんとうにすごい映画ですね。12月からすでに8ヶ月が経過してますけど、いまだに立ち見が出るほどの人気ですから。サウンドトラックもすごい人気ですし。私はジェームズ・キャメロンの映画は本当に好きで、ほとんど見ているのですが(エイリアンは怖いので見てないのです(^^))、今回のは期待を裏切らない出来だったと思います。出航のシーンとか、ほとんどCGらしいですから、吃驚ですよね。
アカデミー賞を大量に取ったことで、どうも一部から不評のようですが、言いたい人には言わせておきましょう。やっぱりここまで人間を、しかも地域や宗派を問わず、全世界の人間を動員する映画というのは、それなりの魅力があると思うのです。それを重箱の隅をつつくような批判をするのは、映画界の利益にはならないと思いますよ。

今月は、その他にビデオもいくつか。今『2』をやってますけど、その前作、『スクリーム』を見ました。これはミステリー映画なのでしょうか。どうもそうは思えないのです。犯人当てをしても面白くないと思います。でもホラーやミステリー映画を茶化すシーンなど、面白かったですね。ホラーなのでしょうが、私にはどちらかというとブラックなコメディに見えました。

そして、マイケル・ダグラス主演の『ゲーム』。これはいまいちでしたね。こんなラストあり?って感じでした。宣伝の仕方が悪いのかも。『セブン』はなかなか良かったですが、これはちょっといただけないですね。

あと、『ピースメーカー』。最近Dream Worksの映画って多いですが・・・それについて言及するのはやめておきましょう。『エア・フォース・ワン』を見たときも思ったのですが、私はちょっとテロリストの方がかわいそうかなあ、と思うのです。こんなこと書いてると、ミサイルが飛んできそうですが(^^)。彼らの言うことも一理あるんですよね、多分。もちろんテロは最悪だと思いますが。こういう映画ってちょっと苦しいですね。政治色をだすと、なんとなくしらけますし、単なるパニック映画として作ると陳腐になってしまいますし。だから、地球外生物(あるいは物体)が地球を襲うというのが流行っているのでしょうか。

先週見たビデオは2本で、『ブラス!』と、『スリング・ブレイド』。どちらも良い映画でした。『ブラス!』は、閉鎖されそうになっている炭坑の街の、ブラスバンドのメンバーの人間模様を描いた作品。良く知られている管弦楽曲に乗せて、笑いあり、涙ありの感動映画です。特に、「Danny Boy」を弾くシーンとか涙ぼろぼろでした。『スリング・ブレイド』は、去年のアカデミー賞脚色賞を取った作品。母親とその愛人をスリング・ブレイドで殴り殺した知恵後れの男が、再び街に戻ってきて、気のいい街の人の中で暮らしていく話。こういう話は私は結構好きですね。アメリカの現代小説の一ジャンルになっているのではないでしょうか。

おー今月は長くなってしまいました。来月もまた<先月の映画>をよろしくお願いします・・・あれ?題名違う?