1998年
7月
-July-
文月
先月を
振り返って

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<先月の本>

先月は、面白い!と思える本がたくさんあって、幸せでした。
まず、先月の★★★★★は、オベールが2冊。「マーチ博士の四人の息子」は、犯人とお手伝いの日記形式で、犯人が一体誰なのかを当てるもの。「森の死神」は全身麻痺で外界と交信ができない女性が語り手で、犯人を知っているという女の子との語らいから、本当の犯人を考えるもの。設定に凝ったミステリというばかりでなく、その設定を十分に生かしたストーリーで、うまい、と言える作家です。

そして、貴志祐介の「天使の囀り」。夏らしくホラーです。ホラーが嫌いと公言していた私も、この本には脱帽。確かにホラーでもあるのですが、それだけで終わらないストーリー性が、面白いといえる1冊です。

今月の作家は、もちろんブリジット・オベールですね。感想のところにも書きましたが、オベールを読むきっかけとなったのが、雑誌「FIGARO」の特集記事でした。雑誌なんてめったに読まないので、たまたま「FIGARO」を選んでくれた、美容院の女の子に大感謝です。とりあえず今邦訳されているのはあと2冊。これを読むのも楽しみですが、新刊もどしどし邦訳してもらいたい作家です。フランス語だと、辞書をひきつつ原書を読むっていうのは、無理ですから(^^)。

<先月の私>

先月は、何といっても「YAKATA」に嵌まった1ヶ月でした。敵からキャラから防具や武器に至るまで、ミステリーと何らかの関係があるRPG。一つ一つが何から取られているかを当てていくだけでも面白いゲームです。ゲーム好きの方はどう思うかわかりませんが、RPG自体初めてやる私としては、ゲームの内容が笑えることの方に満足しました。

先月見た映画は、1本。エルロイ原作の『L.A.コンフィデンシャル』です。
6月に見た「レイン・メーカー」も「L.A.」も、どちらも原作があるものですが、これはやはりアカデミー賞で最優秀脚色賞も受賞している「L.A.コンフィデンシャル」の方が上ですね。もちろん、全然内容が違うので、比べることに意味はありませんが、映画としても、ストーリーとしても「L.A.」のほうがよかったです。

この2つの映画は、どちらにもダニー・デビートが出ています。「レイン・メーカー」では、マット・デイモンと共に弁護士事務所を開くパートナー、デック役。「L.A.コンフィデンシャル」では、ハッシュ・ハッシュ誌の記者、シド・ハジェンズ役です。どちらもシリアスな映画に、笑いをもたらす役どころで、うまいなあと思いました。

「L.A.」のほうは原作を読んでいったので、読んだときに思っていた人物との違いも面白かったです。ダドリー・スミスはもうすこし脂ぎったおやじを想像してましたし(笑)。でもエド・エクスリーと、バド・ホワイトはイメージがぴったりでしたね。特に、バドは目がよかった。最初はどうしようもなく対立する二人が、強敵に立ち向かうために手を組むところなんかは、息がピッタリで、見ていて気持ちがよかったです。

「L.A.コンフィデンシャル」は、超おすすめ映画です。とにかく格好良い。多分、もう1回は見に行くでしょう。ずっと「タイタニック」だったデスクトップテーマを、「L.A.」に変えようかなあと思ってます。