2001年を振り返って

▼今年の出来事

さて、今年も最後のメイン更新がやってきました。歳を取るにつれ、時間の経過が早く感じられるようになるという言葉がありますが、事実ですね。実感してます。でもこの速さは歳の所為ばかりでなく、世界的に時間の動きが早くなっているような気も。あっという間の1年でした。

今年のニュースは・・・新婚旅行に行きワールドカップを家や職場で観戦記録的な台風に夏休みの沖縄旅行が飛びその代わりディズニーシーに行くADSLを開通し念願かなってウィスキー&ミステリー講演会に行き、競馬にはまって有馬記念大当たり(だけどJRA収支は確実にマイナス)。。今年は映画も結構見ましたね。テレビの『耳をすませば』やDVDで観たのも含めると20本か。まあ本当に好きな方に比べるとたいしたことないですけど、去年と比べると映画も観られるようになったのは、生活のペースも大分つかめてきたってことかな。そんなところです。もちろんオフ会も何度も行きましたが(もはやオフ会とは言わないか。あれは)

▼今年のおすすめ

さて、今年のおすすめ本に参りましょう。今年はなんと言っても『このミス』『文春ベスト10』『本格ミステリベスト10』のベスト10入り作品を全然読んでないのが強い(笑)。完全にそれらを無視して、私のお勧め本を列挙。

やはり私の中では最高の作家だと思う宮部みゆきの『あかんべえ。ミステリから入った私は、彼女の時代小説はなんとなく敬遠してたのですが、面白いや。やっぱり。「物語」を作らせたらこの人の右に出る人は(今は)いないと私は思う。売れるだけありますよ。そして対極にあるような「おバカ小説」の旗手、奥田英朗『イン・ザ・プール。おバカ小説というと戸梶が人気ですが、最近の彼の小説の崩れ加減に少々ついていけなくなった私は、ソフトなおバカの奥田のほうが好み。電車の中で何度爆笑をこらえたことか。もう一人、笑える小説のホープ荻原浩の『神様からひと言。これは見事私のツボにはまって、痛快小説では今年トップです。そして同じく会社を描いている作品をもう一つ。このところ廃れつつある社会派、井上尚登『キャピタルダンスは、googleをモデルにした起業家小説。日本で「何度も失敗する」とか、「後ろ盾がいない」というのは非常にマイナスなのでしょうが、そういった逆風にくじけず、自分が売れると信じた商品を見事成功させるという、こういう安心して読める小説は、読む時期によってはツボにはまりますね。

そして今年は感動ものに弱い1年でした。SFタッチの東野圭吾『トキオ、そして本の雑誌上半期1位だった池永陽『コンビニ・ララバイ。特に後者は涙なしでは読めないといった感じ。こういう他人を気遣うという行為に、私は非常に弱いです。東野圭吾は、私の中では1年に1作はベストの中に入る作品を書いてくれると思っているお気に入り作家。引き出しの多さでは、宮部みゆきを凌ぐかもと思っています。同じく泣ける本では、本多孝好『MOMENTも外せないですね。これはこのミスでも20位以内に入っていたんでしたっけ。この人も弱いとこをついてきてくれます。

一方で、本格ミステリと言えるようなものがいまいちだったんですよねぇ。意外や意外、10冊選べといったら、いわゆる本格が1冊も無いかも・・・と思ったところで思いついたのが黒田研二『ふたり探偵。カシオペアという閉鎖空間を舞台にしたよくできた本格ミステリだと私は思ってます。あとは一応本格ジャンルで語られる歌野晶午『世界の終わり、あるいは始まり。思い込みによって転げ落ちる男の話ですが、話の中にはまり込むという点では今年のピカイチ作品。意外と取り上げられてないように思うのですが、結構おすすめですよ。

そしてやはりこれははずせない、乙一『暗いところで待ち合わせ。乙一は、2年前の綾辻行人講演会で名前が挙がって気になり、全部持ってた相方にごそごそと借りて読んでるのですが、これまたなんとも言えないニッチなジャンルの小説を書く人なんですよね。今までいた誰とも比較的できない。書いている文庫が文庫だけに、一部ジュブナイル小説の域を出ていない部分もあるのですが、この『暗いところで待ち合わせ』にはやられました。うまい。

海外ものが全然ないですが、読んでないからしょうがないですね。やはり今年もディーヴァー『青い虚空は面白かったのですが・・・。

というわけで、今年のおすすめ10作品。去年よりは読書量も改善したのですが、来年はもう少し新人を含めて量を読んで、意外なミステリに驚きたいところです。

というわけで、今年1年見てくださった方、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。ちなみに『椰子の実通信』の最終更新は12月31日、来年最初の更新は1月1日です。2日、3日とお休みして、4日から再び更新する予定。こちらもよろしく。