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音無川・神倉山・熊野・玉津島・那智・花の窟・湯の峰 ・和歌の浦
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月読のひかりを清み神島の磯間の浦ゆ船出す我は（万葉）
あづさ弓磯間の浦にひく網のめにかけながら逢はぬ恋かな（定家）
足代過ぎて糸鹿の山の桜花散らずもあらなむ帰り来るまで（万葉）
いとか山くる人もなき夕暮に心ぼそくもよぶこ鳥かな（前斎院尾張 金葉）
芦刈船沖漕ぎ来らし妹が島形見の浦に鶴かける見ゆ（万葉）
風寒み夜のふけゆけば妹が島形見の浦に千鳥なくなり（実朝）
大穴牟遅少御神の作らしし妹背の山は見らくしよしも（万葉）
流れては妹背の山のなかに落つる吉野の川のよしや世の中（古今）
磐代の浜松が枝を引き結びまさきくあらばまた帰り見む（有間皇子 万葉）
行末はいまいく夜とかいはしろの岡のかや根に枕結ばん（式子内親王 新古今）
音無の川とぞつひに流れ出づるいはで物思ふ人の涙は（元輔 拾遺）
はるばるとさかしき峰を分けすぎて音無川をけふ見つるかな（後鳥羽院）
こほりみな水といふ水はとぢつれば冬はいづくも音無の里（和泉式部）
み熊野の神倉山の石たたみのぼりはてても猶祈るかな（西園寺実氏）
人にあらば母が愛子ぞあさもよし紀の川の辺の妹と背の山（万葉）
切目山行き返り道の朝霞ほのかにだにや妹に逢はざらむ（万葉）
見わたせばきりべの山もかすみつつあきつの里も春めきにけり（平忠盛）
み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢はぬかも（人麻呂 万葉）
熊野川くだす早瀬のみなれ棹さすがみなれぬ波の通ひ路（後鳥羽院 新古今）
黒牛の海紅にほふももしきの大宮人しあさりすらしも（万葉）
黒牛潟こぎいづるあまの友船はすずき釣るにや波間わくらん（源顕仲）
暁を高野の山に待つほどや苔のしたにも有明の月（寂蓮 千載）
紀の国の雑賀の浦に出で見れば海人の灯し火波の間ゆ見ゆ（藤原卿 万葉）
苦しくも降り来る雨か三輪の崎狭野の渡りに家もあらなくに（長意吉麻呂 万葉）
駒とめて袖うちはらふ影もなし佐野の渡りの雪の夕暮（定家 新古今）
波たてる松はみどりの色なるをいかで白良の浜といふらん（大中臣能宣）
玉津島絶えぬながれをくむ袖に昔をかけよ和歌の浦浪（良経）
名草山言にしありけり吾が恋ふる千重の一重も慰めなくに（万葉）
もの思ふを名草の浜の岩千鳥なぐさむだにぞ鳴きまさりける（藤原兼輔）
紫の名高の浦の真砂地袖のみ触れて寝ずかなりなむ（万葉）
石走る滝にまがひて那智の山高嶺をみれば花の白雲（花山院）
天の原雲なき空の雪と雨ととはに見せたる那智の大滝（佐伯長穂）
木の国や花のいはやに引縄の長くたえせぬ里の神わざ（本居宣長）
秋風の吹上にたてる白菊は花かあらぬか波の寄するか（道真 古今）
月ぞ澄むたれかはここに紀の国や吹上の千鳥ひとり鳴くなり（良経 新古今）
藤白の御坂を越ゆと白たへの我が衣手は濡れにけるかも（万葉）
藤代や山の端かけて秋風の吹上の波に出づる月影（雅経）
風早の三穂の浦廻の白つつじ見れども寂しなき人思へば（河辺宮人 万葉）
熊野路や雪のうちにもわきかへる湯の峰かすむ冬の山風（正徹）
妹がため玉を拾ふと紀の国の由良の岬にこの日暮らしつ（万葉）
紀の国や由良の湊に拾ふてふたまさかにだに逢ひ見てしがな（藤原長方 新古今）
若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る（赤人 万葉）
はるばるといづち行くらん和歌の浦の波路に消ゆるあまの釣舟（藤原清輔）
和歌の浦や沖つ潮合に浮び出づるあはれ我が身のよるべ知らせよ（家隆 新古今）
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