K105.北の丸公園の日中の気温分布


著者:近藤純正・内藤玄一・近藤昌子・泉 岳樹・大和広明・酒井健吾
東京都心の気象観測所が設置されている北の丸公園で日中の数時間の平均気温の分布を 観測した。
公園内の見通し良好な林内では、気温は広い芝地基準点に近いが、見通し不良の露場 周辺と露場の北東の吉田茂像の周辺では0.4~0.8℃ほどの高温である。他方、池と 千鳥ヶ淵の間の丘稜地形では0.8℃ほどの低温である。 (完成:2015年7月4日)。

本ホームページに掲載の内容は著作物である。 内容(新しい結果や方法、アイデアなど)の参考・利用 に際しては”近藤純正ホームページ”からの引用であることを明記のこと。

トップページへ 研究指針の目次


更新の記録
2015年6月14日:6月13日までの結果
2015年6月21日:6月20日までの結果
2015年6月22日:氏名の修正、細部に加筆・訂正
2015年7月4日:105.3節のその2(6月20日)に加筆


  目次
      105.1 はしがき
      105.2 観測方法
      105.3 快晴または日射の強い薄曇り
      105.4 晴天ないし曇天日
      105.5 気温差の解析  
      まとめ


研究協力者・機関(敬称略):
首都大学東京地理学教室:松山洋・中島虹・渡邊貴典・久富悠生・長原峻一郎・
     木下紗綺・鈴木穂高・中三川光・山川大智・和田範雄
環境省自然環境局皇居外苑管理事務所北の丸分室
気象庁観測部


気象庁データ:
北の丸露場におけるルーチン観測データは気象庁ホームページに掲載された資料を利用 した。



105.1 はしがき

気象庁の気象観測所では地域を代表する気象を観測しているが、近傍に建物がで きたり、樹木が成長し局所的な環境が変化すると観測値に影響が現れる ようになる。

気温などを観測する露場の露場風速(高度1m~2m程度)が弱くなると、晴天日中は 「日だまり効果」によって気温が高く観測されるようになる。

露場風速の弱化を表す「露場通風率」(障害物の影響のない広い空間の風速に対する 露場風速の比)は、空間広さの関数として近似的に表される。ここに、 空間広さ(=<1/tanα>=<X / h>)は気温観測点から周辺地物の仰角αの測量から 求めることができ、X は観測点から周辺地物までの水平距離、h は周辺地物の高さで ある。

例えば、「研究の指針」の「K77.露場風速の解析―奥日光」 の図77.16に示すように、露場通風率は空間広さの関数で表される。

ところが、東京の北の丸露場は平坦地にあるにもかかわらず、空間広さを定義する範囲 X の内側に低木が多く、近傍には密集した樹木によって風通し(見通し)がきわめて 悪い。

風通しの悪さを具体的にみると、平坦地にある他の観測所では、北の丸露場と同じ空間 広さ(=3)であれば露場通風率は 45%程度であるのに対し、北の丸露場は着葉期 (6月~11月)には 29%、落葉期(12月~3月)には 31%である (「K73.露場通風率の季節変化ー北の丸と大手町」)。

北の丸露場における気温の観測値には(1)地球温暖化、(2)都市気候の変化、 (3)樹木環境の変化が現れることになる。

こうした観点から、2013年時点における北の丸露場の森林環境の測定を行ない、記録 に残すことにした(「K78. 北の丸露場周辺の森林遮蔽率 (4月、9月)」)。

森林環境の変化が特に大きく現れるのは晴天日中の最高気温ないし正午前後の 平均気温であることから、各地にある様々な森林において正午前後の平均気温の観測を 行なうことにした。

晴天日の正午前後について考える。強風など特殊条件を除けば、植物の 葉面は気温より高温になり、葉面と細い枝は熱容量が小さく貯熱量が少なく、 日射エネルギーの大部分は、ほとんど時間遅れなく、葉面からの長波放射と顕熱と 潜熱に配分され、そのうち顕熱は大気を直接加熱する。

林床では、樹冠層によって遮られた日射量の一部しか届かず、日陰が多く地温・気温は 上昇しにくい。しかし風が弱いために熱拡散が弱く熱がこもりやすい。これらの兼ね合い によって、林内の気温は高温になるか低温になるかが決る。

本研究では、林内の放射量は木漏れ日率で表し、林内の風速・風通りは 目の高さにおける見通しの良好・不良によって表す。

林内の木漏れ日率
林床の日射量が林外の何%であるかの測定は非常に難しい。今回は、木漏れ 日率として、観測点の周囲約20m範囲内を目視する。林内には、一般に低木などが生え ているので、林床面上の高度1m以下の範囲を見たとき「強い直射光」が当たっている 面積の割合(%)を「木漏れ日率」と定義する。
ただし、林内の見通しが非常に悪い場合、見通しのできる範囲内、たとえば10m以内の 木漏れ日率とする。 この定義による木漏れ日率は雲量の測定に似ている。山で囲まれた山峡では天空の 見える範囲は狭く、その見える範囲内に占める雲の割合を雲量とするのに似ている。

林内の見通し
目の高さ≒気温観測用の通風筒吸気口の地上高=1.5mで林内を水平に見たときの見通し の良し悪しによって、「見通し良好」と「見通し不良」の2つに大別する。 方位の50%以上の範囲の見通しが、おおむね30~50m以下の場合を「見通し不良」、 おおよそ50m以上まで見える場合を「見通し良好」とする。

「見通し良好」では、根元から高さ2~3m程度まで枝はなく、目の高さには太い幹のみが あり50m以上、100mの遠方まで見通しがきく。

「見通し不良」では、高木の中に低木があり、高度2~3m以下に下枝・背丈の高い下草も ある。
また、全体の樹高が低く、例えば3~6m程度の低木が多ければ、気温計の高度1.5mは 樹冠層(葉面層)内であり、葉面・小枝が太陽光で熱せられて気温は高くなっている (「K83.気温観測に及ぼす樹木の加熱効果ー実測」)。

林内外の気温差は林床の放射環境「木漏れ日率」と見通しの兼ね合いに依存する。 風通しの良し悪しは、見通しと関係する。

斜面や窪地
斜面や窪地の気温は、その局所的な場所の木漏れ日率などでは決らない。 一般に、晴天日中の密な森林内の気温鉛直分布は、日射を受ける樹冠層で高温、 樹木の根元近くでは低温となっている。そのため、林床が斜面であれば低温気塊は重力に よって斜面の低いほうへ流れる。窪地では、斜面から流れてきた冷気が溜まりやすい。

逆に、林床面に日射が注ぐ広い面積があれば、そこで生成された高温気塊は斜面に沿って 上昇していく。したがって、斜面や窪地は平坦地と区別することにする。

気温差の定義
林内と広場基準点の平均気温の差は次式で定義する。

 気温差=林内気温-広場基準点の気温

広場基準点の気温とは、周囲が開けて空間広さが広い芝地上の気温である。気温差が プラスのときは林内が高温、マイナスのときは林内が低温である。

北の丸公園の南西部に東京国立近代美術館工芸館があり、その北側に池がある。 池の北~東には広い芝地がある。この広い芝地を広域基準点として選んだ。

図105.1は北の丸公園の地図である。緑四角印は東京の北の丸露場、丸緑印は広場 基準点である。広場基準点の東側と西側に大木があるが、芝地は南北に延び風通しは よい。全方位平均の空間広さ(=<1/tanα>、α:周辺の樹木・建物の仰角)は3.5で 小さいが、南南東寄りの風が吹く方位の空間広さは 9 程度で広い。

他の森林も含めて、一般に林内の気温はおおよそ±1℃の範囲内にある。そのため、多用 されている非通風式気温計や精度の低い強制通風式気温計では林内気温分布は正しく 観測されない。

本章では、北の丸公園の気温分布を高精度気温計で観測した結果を示すものである。

北の丸公園
図105.1 北の丸公園の地図(グーグルマップに加筆)。


105.2 観測方法

気温観測では高精度の強制通風式気温計を用いる。この気温計の総合的誤差(通風筒 に及ぼす放射影響を含む)は0.03℃程度である(「K92. 省電力 通風筒」「K100. 気温観測用の次世代通風筒」)。

観測は原則として快晴日または直射の強い薄曇りの日に行なうこととし、1日の最高気温 が現れやすい時間帯の11時~15時までの4時間を原則とする。ただし、風向や天気などの 条件によって0.5時間ずらすこともあり、雲が現れるときは2時間の観測となることもある。 気温のサンプリングは20秒ごとに行ない、4時間の平均気温をもとめる。センサーは Pt1000オーム、受感部の直径は2.3mmを用いている。

通風式気温計は伸縮棒(長さ0.85m~2m)の上端に取り付け、三脚に載せて気温は 継続して自動記録する。通風筒の吸気口の地表面からの高さは1.5mとする。気温計の うちの1台は広い芝地の基準点で、他は林内で観測する。

北の丸露場における気温観測用の通風筒は、放射影響により日中は0.3℃高く観測される ので、そのぶんを補正した値を用いる。


105.3 快晴または日射の強い薄曇り

その1(5月1日、2日)
2015年5月1日と2日は、正午前後の日射量は3MJ/m2以上、日照時間はほとんど100%の快晴日 であった。

まず、既報の「K103. 林内気温―新宿御苑、神宮の森、北の丸公園」 の資料を用いる。 広場基準点を基準とした気温差の分布を図105.2aに示した。北の丸露場(緑四角印)に つけた気温差+0.69℃は5月1日、気温差+0.73℃は5月2日の値である。

露場周辺は低木も多く、見通し不良である。またその北東60~70m、吉田茂像の北~北西 は低木が多い見通し不良の林のため、気温は高温となっている。 一方、露場と広い芝地の間、下枝の無い見通し良好の林では気温差は+0.15℃で小さい。

本章では、気温差が±0.3℃以内を黒数字で、+0.3℃以上を赤数字で、-0.3℃以下を 青数字で表すことにする。

5月1日、2日
図105.2a 気温差の分布(5月1日と2日)。
緑四角印:北の丸露場、緑丸印:広場基準点、×印:林内の観測点
プラス記号:基準点より高温(℃)、マイナス記号:基準点より低温(℃)

その2(6月20日)
2015年6月20日の日中は薄曇りで日射量は3MJ/m2以上の大きさであった。 11時~12時は雲によって直射ゼロの条件となる時間帯があり、また15時前には薄雲が 厚くなったので、12:00~14:30の2.5時間を選ぶことにした。

図105.2bは広場基準点を基準とした気温差の分布である。北の丸露場の気温計は 放射影響により0.3℃高めに記録されているので、補正した値をプロットしてある。 北の丸露場の気温差は+0.32℃で前図に比べて小さくなっている。

今後の他の観測からも分かってくるのだが、雨が多くなる6月になると、林床面下の 土壌水分が多くなることで、表層土壌の熱容量が大きくなることと蒸発に費やす熱エネ ルギーが多くなることで、林内の地温・気温の上昇が抑制される。 すなわち、広場基準点の気温上昇に比べて林内気温の上昇は小さい。つまり、 「日だまり効果」は弱く+0.32℃になったと考えられる。

5月20日
図105.2b 気温差の分布(6月20日)。
緑四角印:北の丸露場、緑丸印:広場基準点、×印:観測点
プラス記号:基準点より高温(℃)、マイナス記号:基準点より低温(℃)

露場とその東北東方向の吉田茂像の周辺で気温差が0.3℃以上のプラスになっているのに 対し、池の南西側は0.3℃以上のマイナスである。このマイナスの区域は丘稜地形であり、 樹木が生い茂り、尾根が北西から南東方向に延びている。尾根の南西側は外堀・ 千鳥ヶ淵である。

-0.80℃のプロット地点は、この区域にしては木漏れ日率は大きく30%もあるが、斜面 であるために、木漏れ日率の小さい斜面上部からの低温気塊が流れてきていると考えら れる。

この日(6月20日)の測風塔における風向(科学技術館屋上、地上高度=35m)は南寄り の風であったが、この斜面で気温を観測していると、斜面下降流(西寄りの風)を体感 することができた。同様のことが他所でも生じるのか、今後の観測で注意したい。


105.4 晴天ないし曇天日

このシリーズ研究では、日射の強い晴天日を狙って観測に出かけているが、雲が出て 日射量が弱くなる日もある。このような条件では、気温差は快晴日に比べて小さくなる ことをこの節で示す。

図105.3は2015年6月13日の気温差の分布図である。この日は直射光ゼロの時間帯もあり、 正午前後の日射量は 3MJ/m2以下、11時~15時の日照率は68%であった。 気温差の絶対値を快晴日と比べてみると、小さくなっていることがわかる。

6月13日気温分布
図105.3 気温差の分布(6月13日)。


105.5 気温差の解析

北の丸公園の全域の気温差分布を見やすくするために、図105.4は快晴または日射の強い 薄曇の3日間(5月1日、5月2日、6月20日)を同じ図にプロットしたものである。 気温差がプラスの区域は見通しの悪い露場の周辺とその北東側にあり、見通しのよい 広場基準点周辺の芝地とその東側では気温差は±0.3℃以内にあり、池の西側の木漏れ日 率の小さな丘稜地形の区域では、気温差はマイナスになっている。

日射の弱い晴天日ないし曇天日の図105.3によれば、中橋の西では-0.42℃であるので、 丘稜地形の区域の全域はマイナスと考えてよいだろう。

5月6月快晴日気温差分布
図105.4 快晴または日射の強い薄曇り日の気温差の分布、まとめ(5月1日、2日、6月20日)。
緑四角印:北の丸露場、緑丸印:広場基準点、×印:観測点
プラス記号:基準点より高温(℃)、マイナス記号:基準点より低温(℃)


前報告「K101.森林内の気温―北の丸公園と自然 教育園」「K102.森林内の気温―湘南海岸公園と平塚市総合 公園」「K103.林内気温―新宿御苑、神宮の森、 北の丸公園」「K104.林内気温―つくばの洞峯公園、農環研、 気象研」その他も含めて観測一覧を表105.1にまとめた。これらは3~6月のおもに 快晴日の観測である。

なお、気象庁と農環研の気温観測用の通風筒に及ぼす放射影響について、日中の誤差は 0.3~0.4℃高めに観測されるので(「K99.通風筒の放射誤差 (気象庁95型、農環研09S型」)、正午前後は平均として観測値から0.3℃低い気温 を真値として補正し、表の「広場補正」の列に示してある。

図105.5は快晴日について、気温差を木漏れ日率の関数として表したもので、縦軸のプラス は林内が高温、マイナスは低温である。記号は見通しの良好な林内(黒丸印)と不良 な林内(赤四角印)、及び窪地・斜面(三角印)に大別してある。

破線は今後、観測が増えると変わる可能性のある暫定曲線である。

気温差と木漏れ日率の関係
図105.5 快晴または日射の強い薄曇り日についての気温差と木漏れ日率の関係。
塗つぶし印は冷雨の翌日の気温差を示す。

表105.1 広場基準点の略称と、林内外で観測された気温などのデータ一覧表 (快晴または日射の強い薄曇りのとき)
 自然園:自然教育園(港区白金台)
  開の北:自然教育園の開空間(旧庁舎跡地)の北20mの林内
 海公園:湘南海岸公園の芝地中央
 海公園W:湘南海岸公園の芝地中央のやや西寄り
 総合公園:平塚市総合公園
  西池東:平塚市総合公園内西池の北東側の林内
 イギリス:イギリス風景式庭園(芝地)
 中央広場:代々木公園中央広場(芝地)
 代々木落:代々木公園の落葉樹林

 洞峯-明:つくば市洞峯公園の樹木密度が小さい明るい場所
 洞峯-暗:つくば市洞峯公園の樹木密度が大きいやや暗い場所
 池の北芝:北の丸公園内の池の北側の広い芝地
 洞峯広場:洞峯公園の広い芝地(多目的フィールド、芝地)

 林北S100:神宮の森の森林北端の南100m、西参道口の鳥居の南東200m
 鳥居100:神宮の森の南参道口の鳥居の北100m
 御苑北口:神宮御苑北口から約20mの林
 隔雲亭庭:神宮御苑内の隔雲亭前の芝庭

 南橋W70:北の丸公園の池の南橋の西方70m
 北橋W30:池の北橋の西方30m
  吉田E10:吉田茂像の東方10m
 武道SE50:武道館の南東方50m

 空間広さ:広場の空間広さ=<1/tanα>=<X/h>、h:樹高など地物の高さ、X:地物までの距離
 誤差:気象庁の通風筒に及ぼす晴天日中の放射影響
 気温差(℃):林内の気温-広場基準点の気温
  広場補正(℃):農環研や気象庁の観測所の気温は晴天日中に0.3℃高めであることを補正した気温差

 木漏日率:直径=20~30m範囲の木漏れ日率、ただし見通しが20m以下では見通し範囲内の木漏れ日率
 見通しの○印:林内の見通し良好(多くの方位について50m以上、100mまでは見える)
 見通しの不良:林内の見通し不良(30m以内)
 
月日 観測地   広場    森林名  樹高  時  刻  空間 木漏  広場     広場  林内 気温差 見通し 注
                           広さ 日率  気温 誤差  補正  気温 林-広
                                  m                    %    ℃   ℃   ℃    ℃    ℃
2012年
4/5  自然園    大手町   開空間   14 11:10-13:50  3.4  90  18.55  0.3  18.25 19.29 +1.04 不良
4/8  自然園    大手町  開空間   14  11:00-15:00  3.4  90  12.34  0.3  12.04 13.23 +1.19 不良
4/5  自然園    大手町   開の北   14  11:10-13:50  3.4  30  18.55  0.3  18.25 18.50 +0.25 不良
4/8  自然園    大手町   開の北   14 11:00-15:00 3.4 30 12.34  0.3  12.04 12.63 +0.59 不良
2015年
3/30 平塚     海公園  防砂林   12  11:30-14:30 17.4  40  16.96  0.0  16.96 17.70 +0.74 不良
3/31 平塚     海公園  防砂林   12  11:00-14:00 17.4  40  18.05  0.0  18.05 19.16 +1.11 不良
4/2  平塚     総合公園 西池東   14  12:30-14:30  4.7  20  13.44  0.0  13.44 13.73 +0.29 ○
4/9  平塚    海岸公園 防砂林   12  11:00-14:00 17.4  40  10.40  0.0  10.40 10.84 +0.44 不良 1
4/12 新宿御苑 イギリス  W区常緑 20  11:00-14:00  7.7  15  15.88  0.0  15.88 15.66 -0.22 ○  2
4/16 新宿御苑 イギリス  W区常緑 20  11:00-13:30  7.7  15  19.70  0.0  19.70 19.77 +0.07 ○
4/16 新宿御苑 イギリス  落葉樹林 20  11:00-13:30  7.7  50  19.70  0.0  19.70 20.42 +0.72 不良
4/18 神宮の森 中央広場  代々木落 15  11:00-14:00  5.8  50  17.14  0.0  17.14 17.06 -0.08 ○  3
4/18 神宮の森 中央広場  神宮の森 25  11:00-14:00  5.8  15  17.14  0.0  17.14 17.05 -0.09 不良 3
4/26 つくば  館野   洞峯-明 18  11:00-15:00  6.3  70  22.35  0.3  22.05 21.74 -0.31 ○
4/26 つくば  館野   洞峯-暗 18  11:00-15:00  6.3  10  22.35  0.3  22.05 21.64 -0.41 ○
4/28 神宮の森 中央広場  代々木落 15  11:00-15:00  5.8  23  25.63  0.0  25.63 25.53 -0.10 ○  4
4/28 神宮の森 中央広場  神宮の森 25  11:00-14:00  5.8  15  25.63  0.0  25.63 25.33 -0.30 不良 4
5/1  北の丸  池の北芝  露場S40 16  11:00-14:00  3.5  50  24.23  0.0  24.23 24.65 +0.42 不良
5/1  北の丸  池の北芝  露場N25 16  11:00-14:00  3.5  50  24.23  0.0  24.23 25.02 +0.79 不良
5/2  北の丸  池の北芝  露場W落 16  11:00-15:00  3.5  50  25.20  0.0  25.20 25.35 +0.15 ○
5/2  北の丸  池の北芝  吉田茂N  8  11:00-15:00  3.5  70  25.20  0.0  25.20 25.71 +0.51 不良
5/2  北の丸  池の北芝  露場下S 10  11:00-15:00  3.5  95  25.20  0.0 25.20 25.90 +0.70 不良
5/3  平塚   海公園W  防砂林   12 11:00-15:00 15.0  40  21.44  0.0  21.44 22.44 +1.00 不良

5/6  平塚   海公園  防砂林   12  13:00-14:00 17.4  25  19.82  0.0  19.82 20.77 +0.95 不良
5/8  つくば  農環研   塔W130   15  11:00-12:00 11.4  11  22.21  0.0  22.21 21.81 -0.40 ○
5/8 つくば  農環研  塔W300    8  12:00-15:00 11.4  12  23.46  0.0  23.46 23.75 +0.29 不良
5/11 つくば  農環研  塔ESE330 16  11:00-15:00 11.4  15  21.48  0.3  21.18 20.66 -0.52 不良
5/11 つくば  農環研  塔W300    8  11:00-15:00 11.4  12  21.48  0.3  21.18 21.39 +0.21 不良
5/13 平塚   海公園   防砂林   12  10:30-14.30 17.4  42  23.57  0.0  23.57 24.27 +0.70 不良
5/14 つくば  洞峯広場 遊戯広場 16  11:00-15:00  4.5  80  27.13  0.0  27.13 26.74 -0.39 ○
5/20 平塚   海公園  防砂林   12  12:30-14:30 17.4  40  22.24  0.0  22.24 23.24 +1.00 不良
5/20 平塚   海公園  防砂林   12  12:30-14:30 17.4  20  22.24  0.0  22.24 23.03 +0.79 不良
5/20 平塚   海公園  防砂林   12  12:30-14:30 17.4  60  22.24  0.0  22.24 23.66 +1.42 不良
5/21 つくば  農環研  旧露場   13  11:00-15:00 11.4  75  22.27  0.3  21.97 22.14 +0.17 ○
5/22 つくば  気象研  館野W    10  12:00-14:00 11.0  11  24.30  0.0  24.30 23.25 -1.05 不良
5/27 神宮森  中央広場  代々木落 15  11:00-13:00  5.8  10  28.37  0.0  28.37 27.59 -0.78 ○
 
6/7  神宮森   北芝広場 林北S100     11:30-15:00        6  23.36  0.0  23.36 21.93 -1.43 不良
6/7  神宮森  北芝広場 鳥居100  20  11:30-15:00       15  23.36  0.0  23.36 22.16 -1.20 不良
6/7  神宮森  北芝広場 御苑北口     11:30-15:00       10  23.36  0.0  23.36 22.32 -1.04 不良
6/7  神宮森  北芝広場 隔雲亭庭     11:30-15:00       80  23.36  0.0  23.36 23.45 +0.09  窪・斜
6/20 北の丸  池の北芝 南橋W70  13  12:00-14:30  3.5   9  25.10  0.0  25.10 24.35 -0.75  窪・斜
6/20 北の丸  池の北芝 北橋W30  14  12:00-14:30  3.5  30  25.10  0.0  25.10 24.30 -0.80  窪・斜
6/20 北の丸  池の北芝 北橋NE20 10  12:00-14:30  3.5  80  25.10  0.0  25.10 25.21 +0.11 ○    5
6/20 北の丸  池の北芝 露場NW60 15  12:00-14:30  3.5  20  25.10  0.0  25.10 24.89 -0.21 ○    5
6/20 北の丸  池の北芝 露場S70  16  12:00-14:30  3.5  20  25.10  0.0  25.10 24.97 -0.13 ○    5
6/20 北の丸  池の北芝 露場SE90 10  12:00-14:30  3.5   9  25.10  0.0  25.10 25.05 -0.05 不良  5  
6/20 北の丸  池の北芝 吉田E10   6  12:00-14:30  3.5  60  25.10  0.0  25.10 25.58 +0.48 不良  5
6/20 北の丸  池の北芝 武道SE50 12  12:00-14:30  3.5  60  25.10  0.0  25.10 25.27 +0.17 不良  5

注1 前日冷雨
注2 前日冷雨
注3 強風
注4 薄曇
注5 前日降雨10.5mm
窪・斜:窪地や斜面



表105.2 表105.1に同じ、ただし晴または日射の弱い薄曇りのとき
 中橋W50m:池の西方、池に架かる中橋の西50m地点
 休所:芝広場の北側にある休憩所
 基準NE40m:芝広場の北東40m
 吉田茂N45m:科学技術館北西方の吉田茂像の北45m
 事務所E20m:皇居外苑管理事務所北の丸分室の東側20m
 

月日  観測地   広場    林名    樹高  時  刻  空間 木漏 広場  林内      林内 気温差 見通し 
                            広さ 日率 気温  気温 誤差 気温  林-広 
                                 m                    %    ℃   ℃   ℃   補正   ℃
2015年
6/13 北の丸 芝広場  中橋W50m    7 11:10-15:00  3.5  10  26.92 26.50 0.0  26.50 -0.42  ○
6/13 北の丸 芝広場  休所E30m    6 11:10-15:00  3.5  35  26.92 27.02 0.0  27.02 +0.10 ○
6/13 北の丸 芝広場  基準NE40m   8 11:10-15:00  3.5  40  26.92 26.98 0.0  26.98 +0.06 ○
6/13 北の丸 芝広場  吉田茂N45m  6 11:10-15:00  3.5  70  26.92 27.32 0.0  27.32 +0.40 不良
6/13 北の丸 芝広場 事務所E20m  8 11:10-15:00  3.5  30  26.92 26.89 0.0  26.89 -0.03 ○
6/13 北の丸 芝広場  露場       10 11:10-15:00  3.5  95  26.92 27.60 0.3  27.30 +0.38 不良



まとめ

東京の北の丸公園において、快晴または日射の強い薄曇の日について正午前後の平均気温 を観測し、広場基準点(池の北側の広い芝地)の気温を基準とした気温差の水平分布を もとめた。

(1)北の丸露場とその周辺部は見通し不良で気温差は+0.4~+0.7℃の高温域となる。

(2)広い芝地とその東側の見通し良好な林内では、気温差は±0.3℃以内である。

(3)池と外堀・千鳥が淵に挟まれた丘稜地形では気温差は-0.8℃程度である。

(4)その他の森林も含めると、見通し不良の林内の気温差は木漏れ日率に関係する。 気温差は木漏れ日率が10%で-1℃前後、20%以上でプラスとなり+0.5~+1.5℃ 付近に分布する。しかし、見通し良好の林内の気温差は木漏れ日率20%以上の範囲では 木漏れ日率依存性は小さく±0.3℃の範囲内に分布し、20%以下の範囲では-0.5℃前後 に分布する。

(5)窪地や傾斜地では重力によって気塊が斜面に沿って上昇・下降するので、気温差は 観測地点の木漏れ日率とほとんど関係しなくなると考えられる。今後の観測に注意し、 確認したい。


トップページへ 研究指針の目次