トレッキングを楽しむ
蓼科の別荘地区は背後に蓼科山、横岳、縞枯山、左手に八ヶ岳、前面の諏訪盆地の先に南/中央/北アルプスが広がり、右手前の車山を含めて全てが日帰り圏内。夏はトレッキング、冬はスキーに絶好のベースキャンプだ。朝5時に起きて空を見て出発する。八ヶ岳や蓼科山なら30分で登り口に着く。木曽駒ケ岳でも一時間。ルールは正午までに目的地に着けないか、天気に自信がなければ、問答無用で帰途に就く。日帰りでも装備は万全に。日本有数の高山で天気の変化も激しい。実際に登って楽しかったところを、楽に登れる順に紹介する。茶臼山から縞枯山は良く紹介されるが、縞枯れに学術的興味がなければ見晴らしも悪くお勧めしない。
準備
私たちの山荘の標高は1,600メートル。慣れないと車から山荘まで荷物を上げるだけで顎が上がる。山荘に着いたら、次の日から毎日1時間のウォーキングで高所に体を馴染ませる。一週間もすればずっと体が楽になる。日帰りだが装備は万全に用意する。いざという時のためにNASA開発の保温シートをザックの底に入れる。非常食を兼ねてお馴染みのソイジョイとアミノバリュー、雨具、水とおにぎりを入れて準備完了。
八島が原湿原(標高1,540メートル)
ビーナスライン沿いに30分で八島ビジターセンターに着く。一周1時間半の、山野草が咲き乱れる湿原一周コースは、整備もよく、心の洗われるウォーキングコースだ。ところどころでガイドが草花の名前を教えてくれる。中間点で寄り道してヒュッテ御射山で一服する。平坦な道で、ところどころに湿地を渡る板張りの歩道がある。駐車場が限られているので朝のうちに到着することを勧める。ここは霧ケ峰高原の一部で、強清水のグライダー滑走路や有名な霧鐘塔を廻るトレッキングコースも近いが、俗化しすぎだ。
八子が峰(標高1,833メートル)
八子が峰は気楽に登れ足慣らしに絶好も、山頂からの景色は素晴らしい。蓼科ビレッジからは半日の行程。山頂の笹原の向こうに左から八ヶ岳、富士山、南アルプスが眺望できる。左手の手に届きそうなところに蓼科山が見える。山ツツジが美しい。ビーナスライン沿いの蓼科山登山口から山頂まで30分。登山路の整備は良くない。
車山高原(標高1,925メートル)
白樺湖をこえてビーナスラインを行くとすぐに車山肩に着く。ここに車を止めて、右手の、レンゲツツジとニッコウキスゲの中を通る緩やかな坂道を登って、1時間で車山山頂に着く。ここから見る富士山は絶景だ。360度の眺望は日本の名山のほとんどを見る感がある。山頂にある気象レーダーは富士山に代わる今や日本の気象観測の中心なのだそうだ。それだけ見通しが良いということなのだろう。
入笠山(標高1,995メートル)
日本スズランの自生地。マウンテンバイクのメッカ。6月中旬の日本スズランの開花に合わせて訪れると良い。ゴンドラの終点から山道を上がってすぐ入笠湿原の上端に到着。足元を日本スズランが埋める。満開時でも葉の下に隠れて覗き込まないと花が見えない。ここからゆっくり湿原を横断して登山口まで1時間。途中にクリンソウがたくさん咲いている。そこから頂上まで30分といったところか。途中は山ツツジやズミ(コナシ)が美しい。頂上は丸裸で360度の眺望が楽しめる。八ヶ岳が美しい。地元の富士見町が観光に注力、登山道が良く整備されている。
蓼科山(標高2,530メートル)
いよいよ本格的な登山だ。もっとも登りやすいのは大河原峠(標高2,100メートル)まで車で行って、そこから2時間半かけて頂上へ。緩やかな登りが多いが、将軍平からの最後の登りは傾斜があってきつい。将軍平と頂上脇に山小屋がある。頂上は大きな溶岩で覆われ、ここが火山ということがわかる。360度見晴らしがきくが霧に覆われることが多い。
ニューから東天狗岳(標高2,640メートル)
メルヘン街道の麦草峠手前から白駒池を通ってニューへ、さらに中山峠を経て八ヶ岳連峰最北端の東天狗岳へ。かなりきつい行程だ。白駒池脇の青苔荘からニューへ2時間、ニューから東天狗まで1時間半。大きな岩のニューの頂上から見る八ヶ岳東側の絶壁は印象的。帰りは中山峠から高見石側に降りて、後は白駒池まで一本道。白駒池からしばらく湿地が続く。青苔荘の名前の由来がわかる。西天狗岳のほうがわずかに標高が高いが強いてそこまで行く必要はなかろう。
木曽駒ケ岳(標高2,956メートル)
中央自動車道の駒ヶ根ICから菅の台バスセンターまで車で。そこからバスと駒ケ岳ロープウエイで千畳敷駅へ。ここが登山のスタート点。お花畑を経て千畳敷カールの大斜面を登って乗越浄土へ。ここまでくれば後は楽だ。途中の中岳を越えて木曽駒ケ岳山頂までは緩やかな道をだらだら登ったり下りたり。山頂で早い昼食になる。帰りは菅の台バスセンター近くの町営温泉で身体を癒し、明治亭で夕食用にソースかつ丼を折詰にしてもらう。バス途中のシラビソの森林も興味深い。バスの始発が遅いのであまり早く出ると待ちが長くなる。予め調べておくべし。紅葉の時期が美しい。
以上、私たちで実際に登って楽しかったコースを順に紹介したが、実は、別荘地内の散策や、石臼台給湯センターからピラタススキー場に至る林道、ホテル蓼科虹の平前から八ヶ岳自然学校まで登る林道など知られざる素晴らしいトレッキングコースが別荘地周辺に沢山ある。これらを発見的に歩くのも楽しい。